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何某かの歴時に当て嵌まる装飾音の一例 [ドラム]

 扨て今回は、1994年発売のスウィング・アウト・シスター(以下SOS)のアルバム『The Living Return』に収録される「Low Down Dirty Business」という楽曲を例に、表題に見られる《装飾音》やそれに付随する話題を語って行く事に。

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共通テーマ:音楽

太陽生命CMハンドダンスに学ぶ [ドラム]

 扨て、今回は趣向を少し変えて、リズム面について語ろうかと思います。本当なら属七の多義的解釈に伴う和声方面の話題やらをもっと進めたいのでありますが、まだまだ先は続くので、偶には息抜き程度の話題も必要であろうかと思い、今回は先述の様にリズムの側面を語ろうと思うのです。


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参連符ト伍連符之良好ナ相性ニ氣付ク [ドラム]

 最近の左近治の文章、慶應や明治生まれの人の様な字使い始めて読み辛ェ!とお思いの方もいらっしゃるとは思いますが、近代文化へのリスペクトを込めて態とこうした表現を用いております(笑)。

 それはそうと、3のリズムに5を乗っけたり、逆に5を3でノる!というのは非常に多くあるモノでして、少し前も5連符について語ったモノでしたが、今回は更にその続編とも言うべき内容とする事に。


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ヴィニー・カリウタ再考察 [ドラム]

 先日、ツイッターでも呟いていたヴィニー・カリウタに依るジョン・パティトゥッチの1stアルバム収録の「Baja Bajo」のイントロのドラム・フィルの譜例を今回あらためて取り上げる事にしたのは、アクセス数も好評の様なのでブログとして掲載しておいた方がいいだろうと思ったからであります。結構前にも語っていたことがあったんですが、その時は譜例を用意していなかったのでモンでして。


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短和音の発展と解体 [ドラム]

扨て、今回はマイナー・コードの可能性を探るべく和声の可能性と応用を語ってみようと思います。

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バズ・ロールの打ち込み [ドラム]

扨て、骨休み企画として今回はDAWにてマーチング・ロールの打ち込みを施す際のMIDIイベント編集などのtipsなどを載せておこっかな、と思っております。春なのでこーゆーのもたまにはイイかな、と思ってですね、いっつも少々小難しい楽理ネタばっかりじゃ嫌忌されてしまいかねないと思いサービス精神をごくたまに披露せねばなるまいと根性腐った左近治がとうとう重い腰を上げたというワケでございます(笑)。

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ドラムの音像上下感 [ドラム]

え~、6月にリリースする予定の曲でヤン・ハマー某の曲を制作していたワケですが、そちらについては追々語る予定でして、その曲を作っている過程で用いたドラムの音をどうせならこの際アップしてみるか!と思い立ち、久方ぶりにドラム関連の話題を語ろうかな、と思います。

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漬けマグロ [ドラム]

先のデモ曲でのとりあえずキック・サウンドについて語ってみようかなと思うワケですが、左近治自身は引き締まったマットな音を好むので、先の曲でもそのような音にしているのでありますが、この手の音だと自分自身が好きな音のせいかノリが出てくると言いますか、それは打ち込みにおいても心地良く挑める、というのがありましてああいう音にしていたというワケです。私にとっての究極のタイトな音はマッチング・モールのアルバム「Little Red Record」のロバート・ワイアットのような音だったりするんですが、とりあえず自分自身がイメージしているのは下記の通り。

例えば、フローラ・プリムの「Angels」におけるヌドゥーグ・レオン・チャンクラーのキック、ロバータ・フラックの「I Can See The Sun in Late December」のキック(ドラマーは特定できず)、Eggのアルバム「The Civil Surface」収録の「Germ Patrol」におけるクライヴ・ブルックスのキック、セクションのアルバム「Fork It Over」収録の「L.A. Changes」におけるラス・カンケルのキックというのをイメージして作っている音というのが先のデモ曲とキックの音なんですね。

Forkitover.jpg


いずれも年代がチョット古めな感は否めせんが、一応左近治自身トシですので(笑)。

この手の音作りでキモとなるのはサイド・チェイン・フィルタードのゲート。コレに尽きるのでありますが、この手の音作りに関しては以前にもLogic Proを用いて例を出したこともあるのでそちらをあらためて確認していただければ、と思うのでありますが、私自身がこの曲で用いているプラグイン関連はそれとは違うセッティングですのでご容赦を(笑)。

チョットだけネタバラシをするとなれば、キックの音に含まれる280-300Hz辺りに多くある部分音、すなわち膨張感を伴うような空気感を如何に残しながら切るか!?という所がキモとなります。

陰影を残そうと思うがあまり、超高域側の空気感を強調してしまうとNGです。

また、その中低域の部分音は残しすぎるとキックに含まれる最低域側の部分音の第二部分音が際立ってくるので、この辺りの微調整をしながら低域を稼ぎつつ調整することがキモとなるのではないかと思います。まあ、この辺のキック・サウンドにおいて敢えて狭いQ幅のEQでカットする、というのも以前に語ったコトがあるので、そちらも併せて確認していただければな、と思います。とはいえゲートだけでなく、その後段に挿すコンプのセッティングも重要だったりするんですが、大方のキャラクターはゲート部分で決まってくるのでゲート部分に注力して語ってみました。

このようにキックの音を声高に語ってはいるものの、私自身としての聞き所として注力しているのは実は冒頭のアコギの最後のコードでB弦開放をさりげなく忍ばせていることでDb音から見た長七度と増六度を演出させている所なんですけどね(笑)。

ドラム関連の話しているのに唐突に和声的な話題にしても酷かもしれませんが。

BTW、冒頭でチョット触れたセクションのラス・カンケルですが、予定通りならば今週金曜日リリース予定の曲でセクションの3rdアルバム「Fork It Over」収録の「L.A. Changes」というのがあるので、一応それについても追々語る予定です。

私自身が聴いていても打ち込もうとも心地良く挑める曲のひとつなのが「L.A. Changes」であるので、色んな意味でお手本としている曲を打ち込んでみた、というワケですな。

ジェフ・ベック・ライヴの「Scatterbrain」から学べるもの [ドラム]

扨て、前回はUKZについて多少辛辣な感想を述べた左近治でありましたが、あの手の出音を素直に受容できない照れ隠しみたいな所もあるのですが(笑)、四分半拍半(=半拍半の半分)という32分音符を巧みに操るドラミングなどはやはりバンドとして醍醐味の一つなのかもしれません。ただ、ややもすると飛び道具的でサーカス・バンドみたいになりかねませんが(笑)、ま、80年代後半の90125イエスやらABWHサウンドにミクスチャー系を足しているような所に一寸杜撰な印象を抱いてしまいまして(笑)。

リズムにおける細かな符割りの世界観とやらもイイんですが、それとは別方面におけるリズムの妙味みたいなモノを今回は、先のBS-Hiで放映されたジェフ・ベックのライヴから取り上げることにしようかな、と。

その題材は「Scatterbrain」なのでありますが、先のライヴは「Scatterbrain」と「A Day in the Life」が個人的には非常に満足出来た曲でありまして、ビートルズから好きな曲選べと言われたら真っ先に「Strawberry Fields Forever」と「A Day in the Life」を挙げてしまう左近治。エフェクトを多少かけているとはいえど、原音が全く判らなくなるようなエフェクトをかけているワケではないジェフのその表現力にノック・アウトされてしまった左近治なのでありますよ。

Scatterbrain_ronniescottsclub.jpg


まあ、そんなワケで先の「Scatterbrain」における特筆すべき点はというと、コレはもう後述の譜例を見ていただくしかありませんな。

※まーたやらかしちまいましたね、左近治は!譜例の元テンポに戻る時は9/8拍子の3小節の長休符上になっていますが、コレは間違いで、実際は「Vinnie's Drum Riff restart」という所から1拍3連の音価を8分音符3つに変更、という風になりますのでご注意くださいね。

因みにこのリズム譜は、先のロニー・スコッツ・クラブでのライヴのジェフの2回目のテーマのギター・ソロからという風に表記しておりますのでご注意くださいね、と。

それまでジェフは4拍子でソロを繰り広げているワケですが、キーボード・ソロになると9/8拍子なんですな。2回パラディドル・フレーズで続きますが、まあ、ココは序の口。で、2回目のテーマが終わって6/8拍子のブリッジの後に「テンポ・チェンジ」したようにキーボード・ソロが継続しますね。ココがポイントなんですな。

譜例からも判るように、それまでの8分音符×3つの音価が、テンポ・チェンジと思わせる所の1拍3連に置き換えているフェイク・ビートなんですな。

6/8拍子のブリッジがあるから判りやすいかもしれません。でも、どうやって戻るねん!?

で、フェイク・ビートに置き換えられた所も9/8拍子でカウントして2回繰り返して、ゆっくり目の6/8拍子になったらその後はルバートなのか!?と思いきや、きちんと拍を取っているんですな、コレが。

フェイクした所の最後の6/8拍子の所で四分音符を強烈に感じるか、または2拍9連をカウントするコトで戻りやすくなるんですな。

「2拍9連のタイム感なんてわかんねーよ!」

なんていうヒトも居るとは思うんですが、実は2拍9連のタイム感というのは非常に簡単でして、ジャズのワルツなんですな。シャッフルのワルツ。

以前にもリズム面での楽理の基本中の基本として語ったことがありますが、3拍子というのはテンポを速めると2拍子に聴こえてしまうんですな。誰でも6/8表記の「シャッフルに感じる」曲や12/8拍子表記は見たことがあると思うんですが、1拍3連の3拍子のテンポを速めて2小節でノる、というのがジャズのワルツなんですわ。

そうすることで6/8拍子or 12/8拍子表記における各拍(8分音符3つ)を4連符にしたり、とかそういう風にリズムを拡大させていくこともできるワケです。

で、今回のScatterbrainのフェイク・ビートの後で戻る時は2拍9連を感じていれば自然と元に戻るワケですな。非常によく出来ております。

ジェントル・ジャイアントの「Schooldays」にも似たフェイクを思い起こしてしまったワケでありますが、無論シーケンサーではないので多少のテンポの揺らぎはあるでしょうが、その辺は目くじら立てるワケにはいかんでしょうな(笑)。タルちゃんも「飲まれて」突っ込んでるような所はライヴ中にはありますし、その辺全部の吸収役はカリウタで、さらにジェフのゴリ押しでカリウタをも引っ張る!みたいな(笑)、ただ、その飲まれた所を瞬時に吸収している様が非常によく伝わるんですが、一般的な人からは気付かせないようにしている所が凄いと言いますか、ついつい目頭熱くなってしまう所なんですな。

この「吸収の速さ」というのが、その辺のミュージシャンではなかなか見られない敏感さがあるな、と。さすが百戦連覇の人たちだと痛感してしまうワケなんですな。

ジャズなどではbpm250超えとか普通にあるんですが、グイグイ行く演奏だと、読譜力が拙いとそれだけで呑まれてしまうコトも多々あります。また、他のパートの「予期せぬ」出音の迫力に自分が負けてしまって呑まれるケースとか、色々あるワケですね。そこをサポートしながら引っ張っているアンサンブルというのは、ロック系のジェフ・ベックにおいても実は結構持っているのだなぁとあらためて凄さを感じたワケですね。

ツイン・スネア [ドラム]

チョット前にNHK BS-hiにて東京JAZZ 2008をやっていましたっけ。2日目は見なかったんですが(笑)。

今年のTV放送のシメは何を持ってくるのかと期待していたら、やってくれました!「Come On, Come Over」。この曲、左近治がベースを始めた時の練習フレーズのひとつでして、実に懐かしく感じました。それに加え、いつしか自分も歳を重ねたものだとあらためて知る事に。

音程の正確さだったらアルフォンソ・ジョンソンの方が素晴らしいと思います。が、ジャコ全盛期を知る方であらば、ジャコ・パストリアスという音楽家の偉大さと言ったらそれはもうスゴイもんでして、私も憧れたものでした。

今現在、当時のジャコのようにもてはやされるベーシストがどれだけ居るのか!?というと居ないに等しいでしょうな、残念ながら。そんな時代に感銘を受けていたドラマーのひとりがハーヴィー・メイソン。私の場合は当時ガッドにどっぷりでしたが(笑)。

とりあえずハナシは変わって、私が今年の東京JAZZで注目していたのはハーヴィー・メイソン。なんだかんだいって一挙手一投足には釘付けでありましたし、やはりドラミングはもとよりチューニング巧いよなぁと、ツイン・スネアの醍醐味を堪能したのであります。

ツイン・スネアのサブのスネアというものは概ねティンバレスを模した感じでアクセントに使うのが主流だと思うのでありますが、メインのスネアやサブのスネアをセッティングしても肝心のチューニングが決まらなければハナシにならないので、ただでさえひとつの打楽器のチューニングに手をこまねいてしまっている人はスネア2つセッティングしたところでガラリと違う音2つセッティングしてしまうようでは無い方がマシ(笑)。

屋敷豪太だって藤井学だって、キース・カーロックだってツイン・スネアは巧みに使いますな。私がそういうキットを想定してミックスする場合、定位は振りませんけどね。

スネアを使い分けることもあれば、時にはマレットやらブラシ、あるいはホット・ロッドなど使うコトだってあるドラマー。ただ、DAWの音源でそれらを使い分けるとなると手っ取り早いものではToontrackのSuperiorとか。とはいえこういう部分にはまだまだ蔑ろにされているような気がするんですな。そういう所を拡張するとなると現在よりもデータ容量としては増大するワケでありますが。

ハードディスクのデータサイズもそろそろ大幅アップしてきそうな変遷期。AppleがZFSをサーバ向けだけではなく汎用OSに導入する頃がRAID環境も相当推し進めてくるとにらんでいる左近治。まあ、そんな頃にはドラム音源やらもさらに変化すると思っております。希望的観測ではありますが。

ドラムのチューニング大丈夫!? [ドラム]

以前にもドラムのチューニングの音程の合わせ方は詳しく解説しましたが、図解での説明はなかったので文章だけだと判りづらかったかもしれません。

ま、つまるところ下図のように、中心を片方の手の人差し指で印鑑を押印する位の力で押さえながら、リムのチューニングボルトから1インチほど内側を、もう片方の手にスティック持ってコンコンと軽く叩いてみる、ということですね。図で言えば赤いバツ印の辺りを、スティックを使ってスティックが重力に任せて落ちる程度の弱い力で隣同士のバツ印を叩いてみるとすぐに音程差が判るでしょう。

Snare.jpg


さも車のホイールのボルト締め付けるかのように、いずれのチューニングボルトを回した回数でしか合わせないドラムやってる人、たま〜に居ますよね(笑)。

そういう人には是非試してもらいたいんですな。どれだけ音程狂ってるかってぇのを。

ドラムのヘッドなんてえのは、均一に張力が掛かっているわけではなく、最初にハメ込むだけでもあれだけシワ寄ってれば同じ回数回した所で均一に張られているワケないのはお判りだと思うんですが、チューニングを知らない人はそこからの作業で偶発的な「出会い」を求めて、自身の誤った職人魂に寄っているというワケでありますな。

打面は判ったけど、ボトムはどーすんねん?

まあ、タム類などは残響が下降するかのようにボトムをトップ側よりも音程落とす人もいるとは思うんですが、私の場合はドラムはあくまでノーミュートで合わせるというのが基本にあるので、ノーミュートでどれだけタイトにチューニングできるかがキモなのであります。

ボトム側を高く張ることで自発的な「抑え込み」という妙味もありまして、正直タム類よりもスネアの方が効果をより大きく感じるかもしれません。一番叩くことが多いですし(笑)。

また、タム類だけは二度音程で打面とボトムに音程差を付けたり(この場合例えば、ボトム側が長2度高く張られている)します。これに関しては色々好みがあるでしょうし、やっぱりある程度沈んでいくような音程感の下降を欲しがる人だっているとは思うんですが、本当に下降させたいなら完全4度くらい差を付けてもイイとは思うんですが、チューニングの合わせ方を知らない人だと、顕著な部分音だけで音程合わせているんで、均一に張られていないヘッドの振動が不必要な部分音までを生じているので、残響が汚く鳴るのが関の山。だからこそきちんと合わせなくてはいけないんですな。

ミュートを多用する人というのは概ね残響にこだわりつつも不要な部分音が不快であるために、本来必要な残響成分すらも消して結局はミュート頼りのチューニングになってしまっているというのが現実ではないでしょうか。

まあ、小難しいことを実行するシーンだって少ない、昨今のドラム音源だけで音作りを済ませてしまうDAW環境の普及というのもあって、本物の「裏側」という部分を知らずとも音は得られるからこそサンプル音として用いられている音「そのもの」がどういうチューニングやらマイキングを施されたような音なのか!?ということを見抜くことが音作りにおいても役立つと思うのであります。

そもそも打楽器というのは音程感を得る部分音(倍音)はもとより、不協和な非整数次の部分音も多く含むソースであるが故に、アンサンブル内においては自然倍音列の中を「埋めてくれる」素材でもあるワケですな。

とはいえソコソコの音程感というものを得ながら、あまりに音程感がキツすぎると場合によっては嫌悪されるというモノでもあります。アンサンブル内で周波数帯域においても幅広い存在感として君臨するため、ドラムという素材は「部分音探り」という意味でも非常に良好なソースなのでもあります。

部分音の抽出=耳コピの最たる部分でもあるので、これを疎かにしていれば結局のところ耳コピすら鍛えられることが無くなってしまうという風にも言えるワケです。

「トライアド」の耳コピですらままならず、音そのものを耳コピしたのがやっとなのにヴォイシングなど健忘の彼方(笑)。そこで部分音抽出などやってられねえ!と仰る方も居るとは思うんですが、器楽的な「音感」という能力が劣る人(または無いと言えるような人)であっても、EQなど、特定のシーンにおいて普段から慣れ親しんでいれば、突発的にハウリングやある「気になる」周波数帯というのは覚えていきますし、概ね何ヘルツ近辺というのを感覚的に備えていきます。これもまた広い意味での「絶対音感」を実は無意識の内に用いている例なのであります。

「キーン!」と耳をつんざくハウリングをカットするのに、100Hz辺りの帯域をEQで下げようとする人は居ないと思うんですな(笑)。つまり、音感と呼ばれる能力が劣るような人だってこういう「音感」を備えているのであるので、慣れさえすれば部分音抽出だって可能なワケです。耳に何らかの障害を抱えているというのは別にして。和声の聴音についても結局は同じことで、慣れることをしないから耳コピ能力が上がらないという人は、普段聴いている音楽に偏向度が強いために不慣れな和声を耳コピができないという風にも言えるワケですね。

打楽器を軽視してはいけないのであります(笑)。

「釣り」をドラムにフィードバック (逆もアリ) [ドラム]

下野正希氏と東原力哉氏。両氏とも私にとっては非常に尊敬できる人物であります。下野氏の方がやや軽妙であるものの、共通するのは関西の人であり、優しさが満ち溢れているという所でしょうか(笑)。

プロとしての門外不出のイロハは両氏とも有しているはずですが、一般的に見ればその領域というのはあまりの遠くかけ離れているものの、礎があるからこそその領域に達することができたという証明でもありまして、自転車の乗り方や泳ぎを覚えた人がそれらを忘れることなくこなすことができるというのは、基本が身に付いたからでありまして、その基本の難しさというものを実に優しく提示できる、加えて、身近に感じることのできる人物だと思うんですなあ。

まあ下野氏は釣りのプロの方ですけどね(笑)。


「魚釣り」なんか全く興味ねえぜ!


と宣う方も多数いらっしゃるとは思うんですが、実は釣りにはドラムにも応用できる「共通点」というのがありますんで(笑)、今回は釣りキチ左近治の無理矢理な畑違いの共通項を語らせてもらおうかと思います。

ドラムの経験の浅い人のバチさばきというのは概ね共通するものでして、ひとたびスティック握らせれば「親指の爪」が上を向いて、その向きのままに上下に振ろうとするんですな。おそらく「叩く」というヒット感を強固にするイメージするためか、ヒットした瞬間の力を親指に託してしまうんでしょう。何も教えなくても殆どの人はこういう手首の動作になるんですな。

正しいマッチド・グリップのフォームだと手の甲が上を向いてそれを上下に振る、と。この時親指の爪は横を向いているワケで、左右の親指の爪は内側を向いているワケですな。

手首の動きからすれば、親指の爪を上に向けたまま上下に振る可動域よりも、手の甲を上にしてそれを上下に振る方が可動域は広く、スムーズなんですね。

ただ、この動作こそが日常生活においてあまり縁のない動作だからかもしれない。だからこそ多くの人はポピュレーション・ステレオタイプにいつしか毒され教わったワケでもないのにそのような動作を自然と身に付けてしまう、と。釣りやドラムの世界に置き換えれば、なんとも「おかしな」動作を身に付けてしまうコトに等しいワケです。

スティックを握って左右の手の甲は上を向く。そうすると肘は外を向く(あまりに脇を開きすぎてもアレなんですが)。この肘が外に開くという「捻り感覚」が、多くの人にとっては負荷に感じられてしまうからでありましょう。上腕部は内側に絞るという動作になるんで、足に例えると内股のような絞ったような負荷の感覚のようなモンですな。

足の内股と言っても、膝が内に絞れるだけで可動域のスネや足先は開かざるを得ない。こういう動作に似ているという意味です。

サッカーにも例えることができましてですね、例えば、ボールを両足の足先で両側から挟みます。両足の親指の付け根で挟み込むような感じをイメージしつつ、足首を軸にして互いに足をキュッと内側に回転させるだけの動作でボールをヒザよりも上に上げることが出来るか!?というような動作を少年少女たちにテストさせてみるとします。

すると、ココでも日常生活での動きのままでサッカーボールを扱おうとするため、よっぽどサッカー経験にある子じゃない限り膝の上まで足を内側に閉じる力で上げるコトができないんですね(この動作は右足は反時計周りに、左足は時計回りで互いに同時の足を内側にひねる動きでだけでボールをヒザ上に上げるという動作ですのでお間違いのないように)。

大概の子は、斜め前方に上がっていくだけでヒザ上すらも飛ばず、また別の子は足の甲をコロコロとボールが転がるだけの子だとか、斜め前方にしかボールが上がらないものだからムキになって(笑)、斜め前方の飛距離を稼いでボールを膝上よりも上げようとする子だとか(笑)、大体こういう感じに分類されていくんですな。

じゃあ、そのサッカーボールはどうやって膝上よりも上げることが出来るようになるのか!?というと、ボールを挟んだまま腰を若干おとして尻で大地を掴むような感覚で中腰の姿勢にして、膝を内股にします。この時両膝の内側がかなり絞れていてそれこそ両膝の側面を付けるような(付けなくても可)感覚です。で、その姿勢を維持して足首をクィッ!と内側に絞って回すだけで、ボールは真上に膝より上に上がってくれるワケですよ。

こういう一連の動作を最初に提示する時というのは、腰を落として〜膝を絞って〜・・・などというようなコトを見破られないように一瞬でやる必要もありますが(笑)、その前に、大半の子は体得できていないので、見破られやすいような動作を持ってしても多分そこには気が向いていないので気が付かないと思います。

つまり、サッカーだろうが釣りだろうがドラムだろうが、自分自身が日常の営みで得たただ単に動きやすい動作だけで対処していては、より良い動作で勤しむことができなくなるということなんですね。カラダの特性を知ることが重要なワケです。


釣りの場合はというと、例えばベイト・リール。


ベイト・リールをまともに使えないのにベイト・リールを買っちゃった!という釣り少年は全国各地で目撃することができます(笑)。名も知らぬ少年のベイト・リールのバックラッシュ(=このリールは遠心力によって巻かれている所がグルグル回転して飛距離を稼ぐ狙いがある特性をもつため、制御しきれない回転のまま着水してしまうと、リールに巻き付けてある糸が真の内側からほどけてしまうことで、外側に巻き付けてある糸からハミ出してしまって絡まってしまう、という現象をback rushと呼びます)と奮闘しながら釣りどころではなくなってしまっているという少年達ですね。

こういう問題に直面しているベイトリール使いの少年達は、やはり投げ方が悪いからですね。正しい投げ方をしてもバックラッシュに遭遇することはありますが、それ以前に正しいフォームではないからというのが大半なんですな。

つまり、釣り竿を握っている時とスティックの握り、と全く同じことで、親指の爪を上に向けたままそれを上下に振ると、まともにベイト・リールでは飛んでくれないワケです(笑)。足元に思いっきり着水している筈です(笑)。

ベイト・リールを扱う時は、手の甲を上にして、それを上下に振らないとまともに糸が出て行かないんですな。この要領こそがドラムのマッチド・グリップのスティック・ワークに置き換えるということができるワンシーンであります。


左近治はベース弾きですが、一番最初はドラムやってました。まあ、そんな私がドラムにアレコレ言うのもおこがましいのでありますが、まともなストロークを身に付けてしまえば、その動作を体得した時には現実に楽器を目の前にしていなくともイメージすることが可能で、打ち込みにも昇華させることが可能であります。ドラムに限ったことではありませんが、今回はドラムを中心とした話題ですので。

では、今回はマッチド・グリップによるバチさばきの簡単な絵を用意したので(笑)、それを見てもらいつつスティック・ワークというものを語ってみるコトに。

MatchedGrip.jpg


例えば、片手で「タン・タン・タン」と3打続けて連打することを想定してみましょうか。テンポ80くらいの四分音符3つでも構いません(笑)。別に笑うところではなく、これくらいから始めるのがベストですけどね。ただ、3つ連打といっても同じ強さではなく、ファースト・ノートは非常に弱く、2打目はメゾフォルテ、3打目は強く、というのをイメージしてもらいたいと思います。

MIDIレベルで置き換えれば音源にもよりますが、ノート・オン・ベロシティは「25→56→110」というイメージを抱いていただければ幸いです(笑)。


フォームで重要なのは図で示したように「緑色のライン」。ヒジの外側から人差し指を突き抜けて、親指と人差し指とスティックが接する点と、その先のスティックが「一直線」になるように、線で結べるフォームが理想です。

赤いラインの外腕部と、オレンジ色の手の甲の外側のラインは一直線なのが望ましく、図ではわざとズラしています。赤色とオレンジ色のラインを直線にするというイメージを持ちながら、前述の緑色のラインをキープする、と。

緑色と赤色が平行になることはまず不可能です(笑)。


通常のワンショットというのは、ダブルストロークおよびトリプル・ストロークを身に付けた人なら、「ヒット感覚」というのはスティックそのものに打撃感を感じているのではなく、図で言えば真ん中のピンクの丸付近に力を感じて、スティックに抜けていく、という動作だと思います。

アクセントや抑揚を付けて連打するという動作においては、この打撃感の移動と、先に抜けていく感覚を身に付けないとまともな音にならないと思います。

例えば、先述のように3つの音の連打をクレッシェンドする、というような場合、打撃感は手前のピンクの丸(手首の辺り)→手の甲の中央、中指の下辺り→親指・人差し指・スティックとの接点

という風に打撃感が移動していって、スティックの先に抜けていくような感覚を身に付けられるようになると思います。ピンクの丸が自分から遠い方へと移動するような感覚ですね。


ちなみにロールというのは、手首部分を除いたピンクの丸とスティック先端に抜けていく感覚の3つの動作で成立している、と左近治は感じております。


尚、ヘタな図では誤解を生じると思いますが、緑色のラインとスティックはもちろん同軸上にあることが望ましいです(笑)。


生楽器に触れる機会がなくとも音を出せてしまう昨今、物理的な動作を意識することなく、日常生活のラクな動作からイメージすることなく楽器に触れてみて得られるコトは非常に多く、それをモノにするのが一番辛いからといって迂回してしまうと応用の幅も狭まるコトになりかねないので、今一度生楽器や畑違いのジャンルからフィードバック可能な要素を掴んでもらいたいと思うばかりであります。

熟練者というのは、この打撃感の重心の移動はもちろん、「抜け幅」が非常に広いのが特徴です。スティックの握りを固定するだけではなく、若干握り具合を緩めて、さらなる抜け具合を作って新たな動作を得たり、など。こうしてスムーズな動作というものを得られるようになり、ひとつの大きい動作でいくつもの音を連続して出せたりするようになるワケですね。イメージを掴むことができれば生楽器から離れようともシミュレートが可能となるワケであります。

ロールの打ち込み [ドラム]

ダブルストロークの妙味。ロール全てがダブルストロークなワケではありませんが、大抵はダブルで済ませます。打ち込み全盛のDAW環境となると実際の楽器の奏法を知らずに音だけで判断して味気なく打ち込んでしまっていたりする人だって多いでしょう。見たり触れたりしたことの無い楽器の音ですら一応は手に入る世の中がいけないのか!?決してそうではないですけどね(笑)。

探究心が旺盛な人ほど、皆等しく流れている時間の中で出会っている筈の「何か」にチャンスを見いだしてモノにする。生年月日も一緒で同じ学校行って同じ塾通って同じくらい勉強していた筈なのに、学力の差が付いてしまったとか(笑)。こればかりは人のせいに出来ません。

しかしながら、バンドとして音を鳴らした経験など全く無い人がDAW環境に身を投じる人が増えてきているのも事実。学校の吹奏楽部ですらファゴットやオーボエ目にしたことのない人だって多いのが事実でしょう。

ロールってぇのは小太鼓の細かい符割の音ですな。先述のダブルストロークとは、一回の腕の振りによって間接を巧みに使って次に手を振る前に手首を返してその反動で副次的な動作を得て叩く、と。この副次的な動作だって習熟度が浅い時は非常に弱々しい音ですが、巧い人だとダブルのサブ音の方を強く出せるのが普通です。だからといってダブルストローク全てのサブ音が強いのかというと全然違いますけどね。

最近じゃあ事細かくベロシティ・レイヤーが用意されたドラム音源等色々リリーすされておりますが、ベロシティー・レイヤーの細かさが用意されていながらもダブルストロークというか、マーチング・ロールのようなニュアンスを出せない人が多いのは、実際に演奏を知らないからでありましょう。

ましてやいくらベロシティ・レイヤーでサンプルを多く用意されていようとも、発想が同一音の連続という所から抜け出せないから味気ない打ち込みになってしまうというジレンマに陥るワケですな。

ロールというのは確かに同一の楽器を連続して叩いているわけですが、「コ」という音があった場合「ココココ・・・」というイメージを持ってしまうとロールのニュアンスを掴むのは相当遠いと思います。判りやすく言えば「コツコツ・・・」という意識が必要です。

ダブルストロークなら「ココツツ・・・!?」それも違います。

「コツコツ・・・」を微妙にニュアンスを変えながら、MIDIレベルではベタ組みでもイイので打ち込んでみるのが手っ取り早い手段でしょう。ベロシティを変えながら。

そうはいってもダブルストロークが常に32分音符だと思ってしまっているヒドイ人も世の中にはおりますし、販売用MIDIファイルでシャッフルの曲中のロールが表れる場所で実際の元の音楽とは全然違う解釈の32分音符で入力してしまっているMIDIファイルなども見たことがあります(笑)。こうなるともはや耳コピではなくリアレンジですな(笑)。

マーチングの世界では1拍12連やら64分音符のロールなどごく普通にありふれています。また、どんな名ドラマーでも各国の軍隊のマーチング・バンドのロールにはかなり手を焼いてしまって、手数や粒立ちに負けてしまう人が多いのではないでしょうか(笑)。軍ナメてはイケません。まあ、管楽器の隆盛もクラシック音楽界ありきではなく軍隊ありきで発展したシロモノなので、音楽というのは宗教やら軍隊と密接な関係を保ちながら発展したワケでありますなあ。コンサート・ピッチが上がっていったのも元は軍隊ありきの管楽器のために推移してきたという側面もあります。

たとえば



こういうのを見ると、現在のスネアのワイドなリムというのはマーチング界からの応用というのが判ります




耳で聴いて、目で盗む!





今から四半世紀以上前を遡り、左近治がガッド・フリークだった頃はレコードがすり切れるほど聴いたアルバムがトム・スコットのアルバム「Apple Juice」収録の「Instant Relief」の長いドラム・ソロ。大概このアルバムはガッド好きの人か、マーカス・ミラー狂いの人かDrジョン好きの人なら持っているアルバムではあるんですが、これがCD再発になった時は非常に喜んだモノでした。今でもこのアルバムのガッドの演奏は打ち込みに役立てておりますし、グルーヴ・クォンタイズにも勿論役立てております(笑)。




扨て、今回用意したサンプルはまんまロールの打ち込み。スネアはNI Kompakt付属の「Blue Jay」のキットから。音は色々とSCゲートやらコンプ、EQなど加工しています。

ロールのニュアンスを理解してもらおうと思い、4種類のbpmで一連のロールのフレーズを鳴らしています。各種類のbpmごとにテンポは落ちていくという底意地の悪い左近治がトコトン配慮したモノとなっております。

一連のフレーズのMIDIレベルで見てみると、グリッドこそはベタ組みですが、各bpmごとに若干ベロシティは編集しております。これは、細かい符割になるとbpmの物理的な速度によって連続した音がある程度変化するからですね。特に符割が細かくそのままテンポを速めれば1秒間に何十個という音が連続するワケで、こうなるともはやトップノートを除けば別の周波数を生んでしまうという事でもありますんで、こういうテンポのニュアンスの違いというのも実際には出てきます。ビリー・コブハムなんぞあまりの細かさと正確さ故にコム・フィルター聴こえそうな音叩きますからね(笑)。

ただ、サンプル音源の場合は実際のロールよりもその変化は少ないとは思います。スピーカーだって平衡状態から単音鳴らした音の忠実性と、オケが鳴っている時に同じ単音のソースを混ぜて鳴らすのでは、その元々の単音の再現力とは違うのと同じようなモノです。スネアもトップノートを除けば現実にはもっと多様な変化が起こるんですが、サンプル音源だとどれだけベロシティ・レイヤーが細かかろうとそこまで再現できるのはたぶん無いでしょう(笑)。このキットなどベロシティ・レイヤーなんて少ないですしね(笑)。それでもどうにかロールっぽく聴こえさせてみた、というデモです。



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ドラムあれこれ [ドラム]

藤井学のキックっぽい音を作ろうとアレコレ思案していた左近治。径の小さめのベードラですね。まあ、彼の場合スネアのチューニングはもとよりシズル感も実にイイ音出してくれるドラマーのひとりではありますが。

藤井学の場合、リード楽器に「吸い付く」ような歌心を備えた感じで、強権発動タイプの東原力哉やデニス・チェンバースのようなそれとはまた違う「いざない&引っ張り」があるドラマーだと思います。場合によってはグイグイ引っ張ってくれる強権発動タイプのドラマーに主導権を渡すのもアリですが、強権発動タイプのアンサンブルだと自身の巧さ加減が試されるので、引っ張り感覚が鋭い人が集合しないとグルーヴは成立しにくいのかもしれません。とはいえDAW環境ではバーチャルなアンサンブルになることが多いので、そういうシミュレートとなるとかなり難しいものであるのも事実。

回り道してしまいましたが、今回のサンプルでは最初にトータルコンプでトコトン歪ませ&コンプ抑え込みでなるべく残響を抑え込んだ感じのセッティングにしてトータルコンプを掛けた例(とはいえドラムのトータルコンプ)。



デモの方では過剰なほどにサチュレーションを掛けていますが、これを緩和させることで実はアーリー70sライクなファンク系やR&B系のやさしいドラムミックス風の音にも早変わりするシロモノなのでありますが、今回はそちらの方の音にはせずにサチュレーションをふんだんに活かした音にしたという、底意地の悪い内容に(笑)。


もうひとつのデモはロールのシズル感をふんだんに活かしたデモ。



いずれのデモもEXSのキットを使用しているのは、誰もがLogicで試すことができるであろうという推測の下で作っているからであります。2小節ループとなっていますが、実際には1小節×2のループです(笑)。4拍目8分裏の半拍5連は、ケツ抜きのイメージで打ち込むとこういうニュアンスが出せると思います。実際にはケツ抜いてませんけどね(笑)。ちょっとルーズでラフな感じを演出すると言いますか。こっちのデモのキックでもう少しハイを出すと藤井学っぽい音かなーと思っております。

スネアのイヤぁ〜な余韻を撃退 [ドラム]

ソコまで嫌わなくてもイイじゃないか!と仰る方も存在するとは思いますが、左近治はなるべくマットでドライな音のスネアの音が個人的には好きであります。

とはいえドラム音源の中には潤沢なほどに付加されている残響やスネアそのものの長〜い余韻の音に出会ったりするものです。

「こんな音、使い物にならねぇ!」とばかりに断を下すのは簡単(笑)。だけれども編集の妙味を熟知していないままにそんな音を幽閉してしまうのはいささか勿体ないモノでもありまして、私の周囲にもパッと聴きでイメージとそぐわなかったが為に、二度とロードすらしてくれないようなパッチのドラム音源とかを活用できないままでいるという者もおります(笑)。

例えば、今回のサンプル。



2小節ずつ、計6小節のデモとなっておりますが、最初の2小節はBatteryの某スネアのサンプルをそのまま使っております。いやぁ、響きが長いですね(笑)。

でも、とりあえずはコレを加工しちまいましょうよ!

ってぇコトで、なるべくタイトでスムースにアレコレ弄ってみることに。

因に、2小節ずつ音変えているんですが、偶数小節部はルーム音を僅かに付加させております。

そのルーム音は、スネアそのもののてめえの鳴りと初期反射を多く分布させたリバーブ(昔ながらのいわゆるデジリバが望ましい)音を付加させている、というワケです。

最初の2小節の偶数小節はつまり、音響いているところにさらに付加させているという音ですな(笑)。モニタがドンシャリ気味の方というのはこの手のサンプルでもそれほど響きが長く感じられないかもしれませんが、モニタ環境としてはそれこそが落とし穴だったりするんで注意が必要です。

3〜4小節目はMIOの+DSPプラグインでゲートとSCコンプを使用。ゲートで結構切ってはいるものの、この切り方はゲートよりもコンプの方のキャラクターを活かして作っております。
勿論、この部分の2小節の偶数小節もルーム音付加の音です。

5〜6小節目は、MIOのプラグインじゃなくて、どうにかこうにかLogic内蔵あるいはフリーのプラグインで多くの人が恩恵にあずかれるように、FLOORFISHとLogicのSCコンプ(拡張パラメータ)を3〜4小節目とできるだけ似たセッティングにして作った音です。

それぞれキャラクターが変わるのは当然ですが、当初のデフォルトの音がとりあえずココまで変化させることが出来る、というのが今回の狙いです。

つまるところ、使いづらそうな音であるものの弄り方次第ではいくらでもキャラクターは変えることが出来るんだぞ、ということをアピールしたかったワケであります。「この手の音、他のドラム音源で聴いたことある」とかイメージする方は、その手のドラム音源が結局はこういう風なコトを利用してキャラクターを演出しただけに過ぎない、と思っていただいても差し支えないかもしれません(笑)。

元のサンプルなどそれほど変わりなくともこうして弄って騙されてしまわないように努めなければなりませんな。

生々しいハイピッチ・スネア [ドラム]

ココん所、ウォルター・ベッカーのCircus Money収録の某曲を制作していたので、たまにはダブ風レゲエタッチの曲でもヒマつぶしに作ってみようと思い、今回のサンプルはレゲエ。



この手のスネアの音だと、実際にはかなりEQやらでも弄っているワケですが、余韻を切りきれていないとコンプのセッティングが非情に難しくなってコンプのスレッショルド設定などかなり厳密に設定してもチャタリングを起こしかねず、概ね破綻しやすい音になっちまうワケですな。

ゲートで追い込んでSCフィルターも追い込んだり、複数のニー・カーブで追い込んだりして「カラッ」とした音(原音として)に仕上げるのがまず第一の作業。

そこからコンプで追い込んでいく、というやり方なのでありますな。コンプのセッティングなど同じセッティングなど存在しないかのようにソースによってはまるっきり発想すら変えないといけないくらい奥の深いモノ。たったひとつのソースで満足のいくコンプの設定をするだけで数時間くらい時間が費やされることなど日常茶飯事。

まあ、その過程では辿り着けない音への迷走ばかりではなく、ひとつのソースから音を仕上げるだけでもその過程で色々な音に出会うことがあって、ついつい回り道をしてしまったり、そういう出会いが多いからこそゲートやコンプの作業においては常に新しい発見があったりすることが多いので、それを苦労と思わず楽しんでいるからこそ余計に時間を費やしてしまうという裏事情なのでありますな。

例えばキックの音ひとつ作るにしても、ひとたびコンプを弄って低域とは別に中低域や中域に注力してアレコレ編集していると、コンプ独特のカーブによって低域のエンベロープの動きとは少し違う「ハミ出た」音に出会うことがあると思います。このハミ出し加減とやらが実に心地よいモノだったりするわけですが、空気のうごめきと高域までには及ばないオイシイ倍音成分の集合体のソレは、低域の動きとは若干違うそれをいかに操るかでもかなりキャラクターは変わってきますよね。

それとは別にアタック/リリース・タイムを極端に変えてしまうと今度は高周波を「逃がす」ようなセッティングもあります。急にベチベチ感が出たりなど。キックにおけるこういう音が実は今回のようなスネアの音作りには結構マッチングしたりもします。その後段の薄いリミッティング程度のダイナミクス加減が難しかったりするワケですが。

アコースティックという呼称はエレクトリックの対義語のように思われているかもしれませんが、実は違います。

その音本来の持つ部分音が僅かに間接音とも合わさっている状態がアコースティックとやらの本来の意味であって、アコベのボディの共鳴やらピアノの反響なども「アコースティック」なワケですね。自然界の間接音を利用した「箱鳴り」と思っていただければ(笑)。

無響室でピアノやらアコベ鳴らした日にゃ、とても本来のソレとは思えぬほどのペラい音になっちまいますんで、不要な残響や間接音やらを削ぎ落とつつも、重要な共鳴感だけは失ってほしくない。いくら弄くり倒しても生々しさが失われてしまうようではマズイので。そういう音作りが、今回のようなスネアの音になると思っていただければ夏休み中のヒントになるかな、と。

さらにタイトにStudio Tight Kit [ドラム]

今回は、EXS24mkII用のドラムキット「Studio Tight Kit」のスネアの音をとことんタイトにしてみようと思いエディットしてみることに。



サンプルのデモは完全ベタ組miMIDIです(笑)。

この手の音となると元音と比較してもある程度大胆なEQセッティングが必要になるものの、一番重要なのはコンプの設定。また前段のゲートでの、ほのかに残響を切る、くらいの感じのエディットが必要になってきます。とはいえコンプ/ゲート共にサイドチェイン設定が必須なのは言うまでもありません。

ここでのサイドチェインの設定はもちろんサイドチェイン・フィルターを活用したセッティングです。こうなるとLogic Pro単体ではなかなか難しいセッティングとなるかもしれませんがSCフィルターのゲートをフリーウェアで演出してみたいなら、似た感じでFloorfishとか使ってみるとイイかもしれませんが、Floorfishだとここまで追い込むのは少し厳しいかもしれません。この手のキャラクターを得るにはコンプ側のセッティングが重要なので、Studio Tight Kitの音をこーゆー音に変えてしまえる、というコトは、言い換えれば、世に多くのドラム音源リリースされて我々は音に騙されるワケですが、こんな程度の細工であたかも「激変」「マイナーチェンジ」「大変身」と銘打ってリリースされて騙されないようにするためにも、消費者としての知恵というか「耳」を養うことも重要かな、と(笑)。

とはいえマルチ・マイク録り全盛の昨今、出来合いの音を素直に受け止めて使うのではなく、トコトン弄くり倒すのもイイのではないかと。

多くのドラム音源の音はそれが「作られた」音であるが故に、ユーザー側での大胆なセッティングを施す場合、その時点でどのようにして作られた音なのか、ということを察知しておかないと絞ってある帯域をさらにカットしたり、大胆にブーストしてある帯域に及んでさらに膨らませたりするような暴挙に出てしまいかねません(笑)。

ましてや、その手の大胆に「作られた音」というのは、なかなか狙い通りにEQを通しても変わってくれないものです(元音を知らない&察知できないが故にEQカーブに破綻をきたす)。出来る限りすっぴんメイクに近い素材の方が弄りやすいわけですな。Studio Tight Kitだってすっぴんではありませんけどね(笑)。

大根ひとつで様々な料理を作ることができるのが良いカミさんだ!とは良く言ったモノですが(笑)、大半のドラム音源というのは大根ひとつをうまく使った料理であるというコトをお忘れなく(笑)。

EXS24mkII Studio Tight Kit編集 [ドラム]

今度はドラムの音の編集に関して。



今回使っているのはEXS24mkII用のStudio Tight Kitを選んでMetric Haloの+DSPのプラグインだけを用いて加工することがテーマ。

サンプルのアンサンブルはローズのドラムのみとなっていて、ローズのフレーズはApple Loopを迷い無く選択(笑)。

前半が素材そのもののStudio Tight Kitの音。後半がMIOのDSPのプラグインを用いて加工した音です。

息抜きガス抜き [ドラム]

スネアのシズル感が大好きな左近治は、ロールを持ちいてもきちんと打楽器感がある音(ドラム音源)を好みます。



Sizzle.jpg


音の善し悪しだけでいえば、ベロシティー・レイヤーの少ない単発系でも魅力ある音というのはありますが、やはりソコをどうにか細かいタッチで味付けしたいというのが本音。

ただ、実際には非常に小さいベロシティ値付近のサンプルなど、ベロシティ・レイヤーの組み方が雑なサンプルとかありますし、元のチューニングすら整っていないようなものまで意外に多くあるものです(笑)。

左近治がAD(=XLN audio Addictive Drums)が好きな理由はまずチューニングが非常に整っていて、極小ベロシティ部のレイヤーの組み方が非常に丁寧であるという点。

但し、今回のデモはBattery。キットはBattery 2の「multi stick」のキット。

このキックとスネアとハットをエディットして、スネアのシズル感を強調した音にして、ベードラとの分離感が際立つようにサイドチェインのゲートとサイドチェインのコンプを使って音作りしてみた、というわけです。

元々キックのステレオイメージが強いのである程度分離はしてくれるものの、前に出てくる音にするとなると少々いじる必要があります。ま、そんなワケでガス抜き程度に。

ちなみにギターのトラックはオーディオベースのApple Loop。ベースはMIDIベースのApple Loopという、なんとも安直なデモであります。

フィル・コリンズとスティーヴ・ジョーダン [ドラム]

チマチマと制作を続けている左近治でありますが、マジ曲も多目に作らないとなー、と思いながら、去年の今頃はHatfield and the Northの「Mumps」作ってた頃だったと気付くことに。

あらためて1年は早いものだと痛感するのでありますが、ココん所制作面でフィル・コリンズっぽいドラムの音が欲しかったのでついつい作っていた所であります。息抜き程度にまたデモ曲作ってみたんですけどね(笑)。

フィル・コリンズと言っても色々ありますが、左近治の言っているのはブランドXのフィル・コリンズでして、ボーカルとしてのフィル・コリンズではありません。アルバム「アンオーソドックス・ビヘイヴィアー」のスネアは結構好きなんです。

ただ、フィル・コリンズのタムは余韻をかなり嫌うタイプというか(だからこそ勉強になる)、中音域の特定ポイントをかなり大きなディップ・ポイントを作りつつ高域を持ち上げてロート・タムっぽいカラッとした音になっているのが特徴なんですな。

同時期のフュージョン界隈でスティーヴ・ジョーダンは深胴の沈みこむような余韻を作るというか、ゲートで切っているんですけどね、対極にありながら音作りの妙味をあらためて思い知らされます。

今回のデモ曲は5小節(1小節のドラム・フィルと4小節)。これを2種類、前後で音を変えながら作っております。

違いがどういう風に現れているか色々聴いてみてください。スペクトル分布やらディザ加減も色々違いますが、それよりももっと音色面において大きな違いを聞き取っていただければな、と思います。有り得ないリムショットとタムのオカズがありますけどね(笑)。


久々のサイドチェイン・ネタ(スネア編) [ドラム]

ココん所、制作曲でハイピッチ・スネアを扱うことが多かったので、裏舞台的なネタと併せてサイド・チェイン(以下SC)のネタでもやってみっか!と奮い立つことに。



今回のサンプルで大活躍しているのはMetric Haloの2882+DSP(MIO)のプラグイン君達です。MIOの多くのエフェクトの中でも特に気に入っているのがゲート/コンプ周り。特にゲートのアタックタイムに関してはこれ以上細かく設定できるプラグインは私は他に知りません。

サンプル曲に用いている最初の2小節は、ふんだんにリバーブの掛かったスネアのサンプルを使用しております。スネアにリバーブを掛けているのではなく、元々こういうサンプルなので実に使いにくいのであります(笑)。

それを3~4小節目では先述のプラグイン類でエディットして、こーゆー音に。

これだけのリバーブが掛かっているサンプルを「デッド」にするには、もはやSCゲートとSCコンプの組み合わせではないと難しいのであります(もちろんEQも通しておりますが)。

この手のキャラクターを作るのに最も重要なのはEQではなく、SCゲート。特に速いアタック・タイムにスロー・リリース、高スレッショルドというのがポインツとなります。今回はスレッショルドは高く、アタックタイム=7μsec、リリースタイム=915msecと設定しております。サイドチェイン用のシグナルはセルフ信号の特定の周波数ポイントですが、コレはヒミツ(笑)。

ただ、こうしてもコンプで特定のターゲットを抑え込んでやらにゃあ、この手のスッキリ&タイトな音にはなりやせん。コンプというよりリミッター的な抑え込みでやっていますが、実は特定帯域のSC信号選びは不可欠なんです。これもヒミツですが(笑)、特定帯域などは自分自身で普通に色々と選択できますし、他の帯域やらをSC信号で選択することによって別のキャラクターを演出することも可能なので、今回秘密としたのは別に重要な部分だからではありません(笑)。ただ、ゲートとコンプいずれもSC無しだとこういうキャラクター作りはかなり難しいのであります。

Logicで制作しているものの、今回ばかりはLogicにSCのEQを搭載してほしいと思った左近治でありました。EQというかフィルターで良いんですが(笑)。特定のトリガーによって利くor利かないということができるってこってすな。

実はこーゆーの、ベードラには非常に効果的なんです。キックの増減によってそれをSC用のトリガーに用いてフィルタの開閉をしちゃうってこってす。特定帯域を選ぶ必要はありますけど。

ちょっぴり欲張りな方なら、「音の増減によってEQのレベルの増減幅を演出するようなエフェクト作ればいいやん!」と思うかもしれません。

レベル最小時のEQの特定帯域がマイナス6dBで、最大時にマイナス1dBとか。

でもですね、入力信号に応じた可変幅で動かすと、周波数ポイントが固定であってもスウィープっぽく音が変化するんですね。EQの山の特性で。早いハナシが固定周波数なのにワウっぽく聴こえる帯域が出現しちゃうんです。

こういうのを回避するためにSCのフィルターで掛かるor掛からないというようなトリガーによる二者択一的な方が功を奏すといいますか。ただ、SCを用いたフィルターでも、スロープのキワ部分にはワウっぽい音が現れることがありますけどね、実際には(笑)。

トリガー的な動作をするフィルターならReaktorでも作れないことはないでしょう。ただ、サイドチェイン動作のフィルターって結構用途があると思うんで、Logicの次のバージョンにはこの辺りも強化してほしいなと思います(笑)。

ドラム音源にMONO申す [ドラム]

近年のドラム音源はマルチ・マイクによる収音が一般的になっており、左近治はこれらの取り扱いに非常にアタマを痛める日々が続いて、身も心も疼痛抱えております(笑)。

まあ、闇雲にステレオ感強調するためにマイク置いているのではないのだし(笑)、この辺の位相合わせというのは苦労がつきまとうモンでもありますが、モノ音源からステレオ・イメージを構築するよりかはきちんと揃えればそれなりのステレオ感が得られるというワケで、利用者への訴求力も高まるであろう、ステレオ・イメージのために注力されているのでありましょう。

私の打ち込みのメイン環境はLogic Proですが、ユニバーサル・トラック・モードとか色々設定すべきところは沢山あります。まあ、何と言っても譲れないのはステレオで用意されたファイルもスプリットで扱わないとダメなんですな。

私の周囲の知人からもDAWアプリ関連について訊かれることは度々ありまして、中にはTDM環境とWaves手に入れるんだ!と躍起になってヘソクリ貯め込んでいたのがウィッグに消えてしまったという(笑)方もいるんですが、私なら間違いなく前者を手に入れたであろうと思うのであります(笑)。まあレシオ1:9のバーコード・アシメトリーを引っさげて街を歩きたくない気持ちも理解はできるんですが、私ならアタマにタトゥー入れるかもしれませんね(笑)。フサフサの(笑)。

そんなハナシはさておき、そういう知人達が最初にブチ当たる壁の多くが、ステレオファイルをそのまま使ってステレオトラックにアサインしてミックスしてしまうという作業。問題が生じなければ別に構わないのですが、左近治なら間違いなく問題がおこるので、可能ならスプリットファイルにして各チャンネルモノラルにて編集することをお勧めしているというワケですが、実際に楽器店でのデモもほぼ間違いなくスプリットではデモしていなかったりするのだから、そういう風潮になってしまってもおかしくはないかと思うワケであります。

というのも、私はコンプはもとよりゲートを多用するというか、ミックスはやはりゲートありきだと思っておりましてですね、例えばステレオファイルをステレオ・トラックにアサインした場合、大概のプラグインはステレオ対応でロードされるワケですが、LとRチャンネル別に設定できるものは少なく(左右独立)、ステレオリンクしているプラグインが殆どであります。

コンプではかなり強烈にかけない限りはステレオリンクさせただけの設定で、ステレオイメージが大幅に崩れることはなく馴染むモノですが、ゲートの場合だとかなり違います。

ステレオイメージの場合、かなりパンを降られたソースだと片チャンネルのレベルは相当低いので、ステレオイメージを残したままプラグイン側のステレオリンクで補おうとしても無理なケースが多発するワケです(笑)。例えばゲートのスレッショルドの取り方だってそうです。

ステレオリンクさせただけの設定だとそういう時に、低い音の方のチャンネルが消えていくので音のイメージは消失して、素早く音のイメージがどちらかの生きているチャンネルに移動してパンニングのような効果が作られてしまいます。

まあもっとも、こういう音って市場でリリースされているCDやレコードでも遭遇する曲があったりするんですが、たいていはそれを効果をポジティヴに捕らえたものとして構築されているんですね。ビットレートがかなり低いMP3など昔のコーデックなどは、左右のチャンネルにおいてこういう現象が起きてしまうようなコトに遭遇するのもしばしばでした。

というわけで、ドラム音源を始め、ハナからステレオイメージを安直に手に入れられるからといって、ステレオの扱いに無頓着になってしまってはいけないんですな。ココが大きな落とし穴となるわけであります。

ゲートを多用することで得られる相乗効果はアンサンブルがスッキリする、ということ。日が落ちて闇に隠れそうな太陽だって光を届けるのは波長が低い赤の方が目につきやすいから。音もそうで低音のエネルギーというのは大きいワケですね。

多くの楽器によるアンサンブルの不要な低音のうごめきや残響がスッキリすることで、アンサンブルにおける各楽器の分離がよくなるというワケですね。だからといってゲートで切りすぎちゃダメですけどね。


そこで今回用意したサンプルファイルは、Native Instruments Battery 3に収録されている「Acostic Kit」の中から「Vintage Kit」を選択して作ってみました。正直、このキットのベードラや4つあるタムの内、低い方の2つの音はかなりキライです(笑)。

それをどうにかほどこして、スプリットステレオとして扱いながら各チャンネルをトリートしつつ作ったというワケです。

最初に現れる2小節が何も施していないデフォルトの音。2ミックスとしてのリミッターは施しておりますけどね(笑)。後半の2小節が左近治がエディットしたもの。

後半にて使ったものは、高い方の2つのタムにMetric HaloのDSPでサイドチェイン・ゲート、サイド・チェイン・コンプとEQ、低い方のタム2つがURSのチャンネルストリップ。ベードラはLogicのゲートとコンプです。

そこでApple Loopのシンセ音付加させておりますが、後半の方がアンサンブル的にもスッキリ明確に聴こえると思います。この辺の好みについては各人十人十色という部分でもありますが、スッキリ感は判っていただけるかな、と(笑)。

スプリット・ステレオの扱いと安易にステレオ・イメージを構築できてしまう誘惑。これに誤摩化されずに音作ってナンボ、というワケですな。


今回のデモは、後半での音を作った上でMIDI編集しているので、そうして出来上がったMIDIファイルを、デフォルト設定の音で適用しているだけで、MIDIデータ自体は同一です。しかし、そうして意識したMIDIではロール部で全く質感が変わって、デフォルトではヴェロシティが揃ってしまっているのではないかと疑われてしまうくらい音がノッペリしております(笑)。これは各ゲートやコンプなどのダイナミクス系プラグインの副産物でもあり、それが前提となっている音で打ち込むと功を奏するという、当たり前田のクラッカーというワケですな。

基はモノラル音源でステレオ・イメージ作る気運が薄れているような感も否めない最近の音に左近治はモノ申したくなってしまった、と(笑)。すなわち「MONO」申すというワケでした。

お後がよろしいようで。それではまた。


スネアで奏でる音楽 [ドラム]

先日、ジョン・パティトゥッチの1stソロアルバム収録の「Baja Bajo」の制作をしていたことについてチラッと語りましたっけ。この曲のドラムはヴィニー・カリウタでありまして、曲冒頭の付点16分音符を交えたフィルが実に素晴らしいのでありますが、それだけではなくスネアの叩く打面や強弱でピッチをコントロールしているのが凄い部分なんですな。

強く聴こえる部分音を抽出してみると下記の通り(原曲の調はCマイナー、ときどきCスパニッシュ・モード)

胴鳴りD、F#、E♭
トップG、D、F
ボトム:G
ロール部:スナッピーB♭、B
リム:B♭(長三度高いD音も響く)

アクセントを付けて叩いている部分は概ねG音とF音を叩き分けているんですが、リムショットのB♭音を強調させています。出だしの5つのアクセントはF音を強調し、弱めに叩いているのでありますね。

実はスナッピー部や胴鳴りの部分はEQでどうにかこうにか倍音をコントロールして「あたかも」そのピッチで鳴っているかのように調整することは可能です。非常に多くの部分音の特定の部分を削ったり、或いは強調することで音色を「ある程度」調整するという意味ですね。

原曲の音から感じるのは、EQを一番活用している部分は裏ヘッド部のようですが、チューニング自体は非常に整っている部類だと思います。デイヴ・ウェックルとは大違い(笑)。ただ、先日の東京JAZZ2007を見る限りだと80~90年代のウェックルよりかはチューニングに磨きがかかっているようなのでその辺りはちゃんと語っておかないといけませんな(笑)。

こうした部分音に全く無頓着な人もいるワケでして、漠然とEQ弄っているだけの人も多いワケです。でも、部分音には限りなく注意を払ってほしいと思うのでありますな。この点を無視したらとてもじゃないですがマーチングはできません(笑)。それと、巧いチューニングを身に付けてほしいんですな。CDになったような音を作りたいからミュート貼るんじゃなくて(笑)、整ったチューニングならミュートは要らないんです(笑)。

私がバンドとかやる場合は私が必ずチューニングしています。また、それがライヴだとしたら楽曲の調の関係がどういう関係にあるのかも分析します。

関係調、すなわち平行調、同主調、属調、下属調と追っていくと、下属調の平行調の属調とか、まあそういう風に分類していくと、ベードラやスネアの音はどの音がもっともマッチするのかが判るんですな。もちろん調性が希薄で調号に表せない曲も数多くありますが、そういう場合は「聴かせる」部分でどんな部分音が強調されるのかを知った上で、ようやくチューニングが決まるというワケです。

バスドラやスネア、タム類で大体30分くらい費やします。ドラマーが自分である程度は好みで張ってきているからスンナリ事が運ぶんですが、新品ヘッドだったりすると結構厄介なんですね、これがまた(笑)。バスドラのビーターの部分音の抽出も結構重要です。

で、こうしてチューニングを整えると、ベーアンと共鳴する帯域がどこにあるのか、ということも判った上で整えているので非常にスッキリと音がまとまるワケであります。練習スタジオのせいにしたりする人居ませんか?(笑)

まあ、実際ひどい劣悪な音響になってしまっている練習スタジオも数多く存在しますが(笑)。部屋鳴りなんて絶対音感がヘッポコの人だって、部屋の音をマイクで録ってヘッドフォンでモニターすればどの辺りの帯域が強調されているかくらいは判別可能なので、そういう所に細心の注意を払うと良い音になるぞ、と言いたいんですな。

ドラムだって音階を奏でているワケですからね。ハイタムとロータムの音の高低が判れば音感は一応備えているんですから、その辺りをもっと注意を払うべきだろうと老婆心ながら語ってみましたよ、と。

ま、実際には打ち込みでどれだけ部分音を抽出しようにも、数十GBの容量を誇るどこぞのサンプル音源使おうがこの辺りのピッチ調整なんて結局巧くいかないのが現実でして(笑)、ドラムサンプルというのはこの辺りが課題かな、と。もはや数百GBの容量が必要かもしれませんね(笑)。打ち込みとは、こういう点で妥協せねばならないシーンがあるんですなあ。

付点16分音符 [ドラム]

とまあ、現在制作中の曲のドラムのオカズが非常に高度な付点16分音符を鏤めたフレーズなので、思いっきりタイトルにしちまいましたがとりあえずは先週リリースした悟生楽横町のラインナップの方を簡単に説明していきましょうかね、と。

今回は6曲。左近治にしては多い方ですな(笑)。坂本龍一の「Dear Liz」やら「A Tribute to N・J・P」がYMO関連。他に2曲がオリジナル・ジングルに、新垣結衣が舘ひろしと出演していたドラマ「パパとムスメの7日間」のサントラやら、少々おバカ風味を醸し出した「森のくまさん」(笑)。とまあ、とってもモンドで雑多なラインナップとなっておりまして、左近治のSchiz感覚もといScatter brain感覚(笑)がそのまま反映されているようでもありまして、自身の欲望を素直に向き合うと途端にこーゆーモンドな感覚になるのが左近治であります。

オリジナル・ジングルの方のひとつはポップできらびやかな音をちりばめたループ。もうひとつは近年のincognito風味のある感じのループ、と(笑)。ベース・ラインはランディ・ホープ・テイラーを意識いたしました(笑)。

坂本龍一の「Dear Liz」の方は変則トリオ編成のアレンジにして、クラシック・ギターとドラムのMIDIグランドという構成を想定して、Media Bahnライヴっぽさを出してみました。

Dear Lizは一時期サントリーさんのCM用に制作されていた曲ですが、NHK-FMのサウンドストリートで当時は渡辺香津美と坂本龍一のデュオのバージョンが放送されたコトもありました。本来ならこのアレンジにしたかったのですが、当時エアチェックをしたはずのテープが見当たらず断念(笑)。

ま、そうして着メロデビューの際にリリースした「T Tribute to N・J・P」はマイナー・メジャーの和声をふんだんに使った私が好きなタイプの響きなので、着メロ3&4和音時代以来となるリメイクに挑戦。こちらの方はMedia Bahnnライヴをお持ちの方は同時に再生していただくと、ほぼ寸分違わぬ尺でズレもなく再生できるようになっております(笑)。伴奏部分の和声はライブバージョンだと希薄な部分もあるため、原曲の和声構造を頼りに私が付加いたしました。本来の曲の和声構造を漏れなく伝えてみたかったので(笑)。

マイナー・メジャー7th関連の話題が続いていたので、こーゆー風に引っ張ってみたんですが、実は冒頭のタイトル「付点16分音符」の某曲ものっけからCmM9(11)から始まる曲を意味するものであるのです。

ジョン・パティトゥッチの1stソロ・アルバム収録の「Baja Bajo」。この曲のヴィニー・カリウタ先生は本当にカリウタ先生らしさが出ているのでついつい作りたくなってしまったワケですが、イントロのオカズは16分付点を織り交ぜながら一連のリフが32分音符一つ分ずつズレていく、ってぇヤツですね。

フラムのルーディメントやらこなした方なら結構親しみやすいオカズだとは思いますが、フラムの符割を意識してドラミングしている人の方が実際には少なく、フラムの発展形フレーズを付点16分音符で織り交ぜて、32分音符ひとつひとつをキッチリ把握して叩いているカリウタ先生の神の領域プレイをどうしても取り上げたくなってしまったというワケでございます。
過去のブログでも、カリウタ先生は32分の裏を意識して叩いているというコトを記事にしたコトがあるので興味のある方はそちらの方も目を通していただければと思うのであります。

ジョン・パティトゥッチの1stソロ・アルバムは、ベーシストのアルバムという位置付けには勿体ないくらいコンポージングが実に多様で、ソロ取らせりゃスラップしかできねーだの(笑)、無理矢理転調してまでE一発系に持ち込もうとする愚鈍などこぞのベーシストの曲とは対極に位置するモノでありましょう(笑)。アルバムのミックスの音も私は結構好きで(チック・コリアのプライベート・スタジオMad Hatter)、80年代後期はこのアルバムとジョー・サンプルの「Spellbound」のアルバムの音はかなり好きで今でもリファレンス的な位置付けにしております。ジョー・サンプルのアコピのプレイは嫌いなんですけどね(笑)。

最近では、難解な曲でも楽譜に頼るよりもてめえで耳コピした方がやり甲斐があるというか(笑)、もはやそうでもしない限り制作意欲が湧かない(笑)のが本音でして、「俺だったら絶対J-POP作るのになー」と周囲からも言われることがあっても馬耳東風(笑)。東京事変は別として、その手のJ-POPで私がここ数年で金出したモノなんてBonnie Pinkの「Private Laughter」と大塚愛の「さくらんぼ」程度(笑)。あ、HALCALIもあったっけ(笑)。

Private Laughterのベースが亀田誠治だったらサビのリフはああしないだろーなー(笑)、などと思いつつもついついカーディガンズを思い出してしまうあのプロデューサーの名前ド忘れしちまいました、あの音についつい耳奪われてしまう郷愁感があったってェもんですよ。ホントにJ-POP関連ここ3、4年くらいまともに買ってませんね、そういや(笑)。借りたり盗んだりしているワケでもないですよ(笑)。

いかに世間の多くの人達と乖離しているかがあらためて解るってェもんですよ(笑)。歩いていても右足出した次の足も右を出そうとする感覚で歩いてスキップ、と。ちょっくら付点音符の感覚でレッツらゴー!とくらあな(笑)。今度からネーミング「Let it go三匹」にしよっかな。

MUSTなリズムマシーン達 [ドラム]

最近はオーケストレーション系のものを制作することが多かったのでありますが(近日リリース予定)、開離音程(ドロップ2&4多し)がメチャクチャ多い楽曲達を扱っていると、時たまクローズドなヴォイシングのハーモニーを妙に欲するようになってしまうんですなあ。

そんな折、オリジナルで久々90年代系のAcidなローファイな音でも作ろうかと思ってですね、レイ・ヘイデン&マッド・プロフェッサー系の音やら、当時のハービー・ハンコック系のようなモノを作っていた所なんですね。ま、ソコであらためて感じたのはOberheimのDMXって本当に役立つよな~とあらためて痛感したんですな。

ココ半年くらいを振り返ると、最近にわかにDMXが見直されてきているせいかKontakt 3でもサンプルが付いてきましたし、Ableton Live 7のAbleton SuiteにもDMXの音が。

いわゆるローファイな音作りだけでは物足らず、色んな音を混ぜこぜにした時こそDMXの良さが解るってぇモンですよ(笑)。混ぜこぜに便利なDMXはリズムマシンのMUSTアイテムの最右翼ですな、左近治にしてみれば。909なんて二の次でイイ(笑)。

混ぜこぜ系とはいえ、どういう音を混ぜるかで音の「立ち方」というのはかなり変わるので、サンプル単位でズラしてみたり、或いはゲートで削ぎ落としたり、一方では部分音ごとに極端に短い初期反射付加させてパンさせたりなどとアイデアは尽きないのでありますね。立ち方としても最も簡便的なのが、ある部分音として用いるサンプルをオクターブ上げちゃうってぇヤツですな。但し、元サンプルの倍のサンプルレートで制作していないとエイリアスノイズの影響でクリアな抜けがなくなってしまうので注意が必要なんですが、それを逆手に取って8kHz以下にリサンプルすることもあります(笑)。その前段にエイリアスノイズがふんだんに乗るであろう帯域を逆算してやたらとブーストさせてリサンプルさせたりとか、ですね。ココ10~15年はそうやって遊んでいる方々が多いと思います(笑)。左近治もその一人でして、いつの間にかそういう音作りを身に付けてしまいました。

ハットの立ち方もこれまた結構気を遣うポイントでありまして、私はKORGのS3が一番好きなんですけど、たま~にALESISのSR-16を遣う時もあります。でもやっぱりS3が一番イイですね。

そう考えると

・DMX
・TR-909
・S3
・SR-16(or D4)

上記の3つ4つあれば、混ぜこぜ系の音には十分満足できるリズムマシーンの音だと感じてしまうワケであります。ここにAcetoneやらハモンドのリズムボックスが加わってもオイシイですけどね(笑)。

2008年を迎えた現在、デジタル機器は低価格においても高品質なモノが現れてきておりますが、デジタル黎明期というのは音を通しただけでダイナミック・レンジは縮まってノッペリ感が出ちゃったり、左右のパノラマ具合すら若干変わってしまうのもありましたが、こういうのを逆手に取って音作りしている人達が実に多かったモノであります。

おそらくやデジタルの世界でのステレオのパノラマの処理ってェのは鬼門なんですかね。センターから目一杯振った時は自分自身はリニアなつもりでも結構定位にはどこもかしこもクセが出るんですよね。こういう所のクセっていうのはもちろん今でも継承されているんでしょうが、ビット辺りのdB計算の基準値の持ち方の違いなんでしょうかね。だからこそ微妙に変わる、と。

何年も前からそういうコトを逆手に取って音作りをしている人達こそが「勝ち組」なんでしょうなあ(笑)。原音すら知らない輩がこういう世界に足突っ込む時代でもありますが、逆手に取ることもしなければ本質をも理解しようとしない。そのクセ景気付けのための理由は欲しがるものの結局はデキの悪い結果の言い訳の為に欲しがる始末(笑)。

イノベイターになれぬ者など何も音楽のみならず、こういう及び腰と言い訳のスタンスで成立しているのが現実なんですけどね(笑)。音作りたさにネットを徘徊しているようじゃその時点でアウツなんですよ(笑)。

隣の芝生が青く見えようが枯れていようが、自分の連れ・女房の芝生の手入れしてやることに気ィ遣えってぇこってすな(笑)。

表現がいささかドスケベでしたでしょうか!?まあ、文字読んだ所で「音」は解らないモンなんですわ殆どの人は。G音って書いてすぐに頭に浮かぶ人、或いは事例を書いて理解できる人はそれまでの試行錯誤という自身の経験に基づいて咀嚼できるからこそイメージできるからであって、何も判らない輩が文字読んだところで理解できる筈がないんですな(笑)。

お天道さんだって四方八方まんべんなく光を照らしてくれているように思うかもしれませんが、太陽の光を目の当たりにした「結果」というのはですね実は太陽がアナタの存在を確信してその方向に向けてくれたからなんですな。何も遠回りして光が漂っていたワケではない(笑)。

太陽すらも気付いてくれぬようでは日の当たる場所に存在できるワケでもなく、太陽さんってぇのはなんでもかんでもスルッとマルッとお見通しなんですなあ(笑)。

光子にベクトルが与えられたからこそ光子は進み、それを目撃することを予め知っていたように光子は現れる。これが光速度不変の面白さであるワケで。そもそも音なんて空気が無ければ聴こえない(笑)。

同じ本を読ませても理解度は千差万別。デジタルデータを再現して音はアナログになり聴こえてくる。理解度に乏しいと聴こえてくる音すらどう理解されているのだか。世の中実に面白いモンですなあ。

サイド・チェーン活用法 ~ライド・シンバル編~ [ドラム]

さてさて、今回はSide Chain活用法のライド・シンバル編と参りまひょか。以前のブログ記事King Crimsonに学ぶサイド・チェイン活用法にて語ったのは、ダッキングを主眼に置いた、エフェクティヴな活用法としての一例でありました。今回はなにゆえライド・シンバルなのか!?

と言うのも、サイドチェインを扱うにあたってとりわけ用途が多いシーンはスネアかハットを録音するシーンと思われるんですが、左近治が感じてきた中で、一番応用を利かせることができて、且つサイド・チェインの妙味を知ることができる素材というのが私にとってはライド・シンバルを録音するシーンこそが一番糧になったから、というワケであります(笑)。

ライドと言えば、左近治にとってはPaiste。パイステですね。河に牌捨てるんじゃなくて(笑)。

ベルの音にも厚味があってふくよか、それでいってチップの音も重厚でありながら高域成分の部分音をふくよかに均一になってくれるような音だから好きなワケでありますが、とりあえずパイステであろうが他のシンバルであろうが、チップとベルの部分の音を両立させた音をクッキリ録音するには、サイドチェインのトリガーによるゲートを使わないとなかなかイイ音が得られないモノなんです。

アルバムの例で挙げると、例えば有名どころではキング・クリムゾンの『クリムゾン・キングの宮殿』収録の同名曲の終盤のライドの音。最近じゃオダギリ・ジョー出演のトヨタISTのCMにてクリムゾンを満喫できるのでありますが(笑)、あの曲は太陽と戦慄の方に収録なんでありますが、話を戻して、およそ40年ほど前に録音された楽曲の音を今も「良い音」と感じることができるというのが、あらためて作品の素晴らしさを痛感できるのであります。

ただ、左近治がライド・シンバル録音の奥の深さを思い知ることになったのは、有名なエンジニアであるダグ・エプスタイン御大が構築したサウンドに他ありません(笑)。

ダグ・エプスタインを知ることになったのは、最初は渡辺香津美のアルバム『TO CHI KA』。Unicornの収録されている有名なアルバムですね。

そのアルバムでトニー・レヴィンがフレットレスでグイグイとポルタメントを利かせて弾いてくれている「Cocumo Island」。この曲はピーター・アースキン大先生ですが、ピーター・アースキンのライド・サウンドに当時は釘付けだったワケですよ。この音に惚れて、ダグ・エプスタインの名前を知るきっかけになり、その後の渡辺香津美のアルバム『頭狂奸児唐眼(とうきょうがんじがらめ)=Talk You All Tight』に参加する山木秀夫師匠が演奏する「Riboj」のライドのチップのレガートの音にもノックアウト!これもまたダグ・エプスタイン御大。

その後、渡辺香津美の「Mobo」もこれまたダグ・エプスタイン御大によるもの。正直、このアルバムはオマー・ハキム聴きたさに購入したアルバムでしたが、このアルバムはゲート・リバーブ(Gated Reverb)を結構利かせているというか、そういう時代背景もあったんでしょうが、ゲイブリエル先生ほどゲートの前段にてコンプで圧延させていないゲートの切り方なので、やはりダグ・エプスタイン御大というのはゲートの使い方が巧みだなぁと思い知らされるアルバムには違いないんですね。

スティックのチップ音は材質やら体積など物理的な構造の違いはあっても、「オイシイ」コツコツ感というのは大体150~200ヘルツ付近。この辺りを少々Q幅狭いEQでブーストさせてやって、左近治の場合はこの後段を2系統にパラって、ベル用のサイドチェイン用とチップ用のサイドチェイン用の信号として処理するワケです。もっと欲張って3系統にするってぇのもアリなんですが。

レガートで演奏すると、シンバル自体が飽和してくるので概ね低域の余韻が強調されてきます。それをうま~くカットできるようにゲートを使うワケですが、この時サイド・チェイン用のトリガーとして使うのはセルフ信号(ライド・シンバル)の高域部分です。つまり、飽和した音が低域であるためコツコツ感を演出したい帯域とカブってしまう!それを回避するためにまずはHPFに通して、その信号の高域のあるポイントにてトリガーさせてゲートが効くようにする、と。

ただ、ここであんまりゲートを効かせすぎると、部分音をふんだんに含むタイプのライドは概ねクローズド・ハイハットのような音にもなりかねないので注意です(笑)。あんまり部分音が無いライドだと、径の大きなスプラッシュやら割れたシン・クラッシュのような音にもなりかねませんが(笑)、こんな音にならないゲートの調整が必要なのでありますな。概ねスレッショルドとリリースタイムをチマチマ扱うようになるんですが、Logic Pro内蔵のゲートはチャタリング回避のパラメータがあるんでこれは非常に便利です。

ゲートならチャタリング、コンプならブリージング、と。

江川ほーじんという方はブリージングさせたオーバー・コンプによるスラップ音が好きな方でしたが、それはさておき(笑)、ま、上記のようにチップのレガートを演出しても今度はベルの方で同じ設定をやってみると、ベルが少々軽くなっちまうってのが常なんでさぁ。

とゆーワケで、左近治は最低でも2系統、多くて3系統パラって使うというワケなんですよ。

最近のチャート系の曲でライドシンバルをふんだんに取り入れたアンサンブルの楽曲などそう耳にしないと思うんですが(笑)、ライドシンバルをもっと可愛がってあげるとイイことあるぞ、ということを述べてみたかったのでありますな(笑)。

ヴィニー・カリウタ師匠のドラミング考察 [ドラム]

ジノ・ヴァネリの「Santa Rosa」のリリースを予定しているので、我らがカリウタ師匠について少々話題を引っ張ってみましょうかね、と(笑)。

あまりに凄い師匠のタイム感やらテクニックをですね、多くの人にも確認できるネタは無いかと思い、YouTubeを漁ってみてですね(笑)、左近治が選んだのがコレ!






この曲は、師匠の1stソロ・アルバム1曲目の『I’m Tweaked/Attack of the 20lb. Pizza』として収録されているモノですね。「Santa Rosa」と同じく、ベースはこれまた、我らがニール・ステューベンハウス師匠です(笑)。タイラーのベースを使っているとは知りませんでした(笑)。余談ですが、タイラーのマーブル模様のストラトモディファイは個人的に欲しいと思っている左近治です(笑)。

ハナシはさておき、この動画における開始17秒付近から始まるカリウタ師匠のオカズがありますが、ココがカリウタ先生の代名詞である「5つフレーズ」がさりげなく凝縮されているワケでありますな。

この「5つフレーズ」とやらも、例えば最近私がブログに書いた16分音符5つフレーズやら5連符など、そんなのまだカワイイ方で(笑)、カリウタ先生はですね、32分音符の5つフレーズを何の苦も無く平然とやってのけているのがこのプレイなんですね。

とりあえず下記の譜例でも参考にしてもらいまひょ。

vincent01.jpg



譜例、2拍目途中から5つ周期のフレーズが開始されます。厳密に言えば2拍目の8分裏から32分音符の5つ周期フレーズとなっていますが、「スカタン!」というオカズは、2拍目の32分音符3ツ目から始まっているので、これまたカリウタ師匠のさりげなく匠のワザを確認できます(笑)。


「32分休符をこんなに平然と意識できるワケねーだろ」


ハイ、大概のヘッポコドラマーはそう思われるでしょう(笑)。もちろん、このフェーズに達することの出来ないプロフェッショナルなドラマーさん達も相当いらっしゃると思いますし(笑)、だからこそヴィニー・カリウタのドラミングは凄いのだ!という証明でもあるんですね。以前、カリウタ師匠のドラム・クリニックにおいて左近治はこの目をかっぽじって確認してきてですね(笑)、その凄さをブログ記事にしたコトもあるんで(笑)、その辺の記事も参考にしてみてくださいな、と。


ちなみに、譜例のスネア部分の小さい音符はゴースト・ノートを表しています。動画部分のオカズで「スカタン!」フレーズは、アクセント表記しているんで、判りやすくなっているかなと自画自賛(笑)。

ただですね、譜面にしたものの、カリウタ師匠のコトですしもしかすると下記の2つ目のような譜例の解釈の可能性も否定できません(笑)。

vincent02.jpg


こちらは、2拍目が5連符となっていて、途中が1拍10連系の細分化されたモノとなっています。左近治としてはおそらくこっちの後者の解釈でカリウタ師匠は叩いているとにらんでいます(笑)。

出音としては前者に聴こえるものの、1拍5連や1拍10連を普段から多用するカリウタ師匠の手グセフレーズが、左近治をそう思わせてしまうのか(笑)。但し、5連符の譜例の方でもこんなに明確な5連ではなく、少々モタリ気味の5連符という注釈を付けないと、この解釈は通用しなくなるんです(笑)。

ただ、音の入り方といい、2拍目は5連符から入った方がいつものカリウタ先生っぽい気がするんですけど、前者の解釈として聴いても遜色はない(大概はコチラの前者の譜例に聴こえるはず)んですけどね、希代の天才のドラミングに頭を痛める左近治であります(笑)。


余談ですが、左近治がリリースする予定の「Santa Rosa」におけるカリウタ先生のパートには、1拍9連、1拍5連、1拍10連、16分音符5つフレーズやら、左手16分音符刻みながら右手で1拍6連を刻む、カリウタ師匠お得意のバズ・ロールも網羅しております(笑)。

16分刻みながら6連刻むなんてできるワケねーだろ!と思われる方、左近治、この眼でしかと確認しておりまして(笑)、ピアノにおける幻想即興曲の難易度の、4つ上くらいのカベをブチ破った領域(神レベルですね)に達しているドラミングを平然とこなすのがカリウタ師匠なんで、あらためて驚愕してほしいと思います(笑)。

この曲の原曲の方は、カリウタ先生ひとりだけがアンサンブルから外れて「ひとり16分の15拍子」とかやってギミック感を演出していたりするんですけど(笑)、常軌を逸したそのドラミングと、周囲のアンサンブルもクリック使わないでこなす演奏力に唯々脱帽するばかり。

途中SEが入りますが、ココはCDだとカリウタ師匠の6連シングルストロークが終わったら、「2/4拍子の1小節 + 7/16拍子×17小節」というギミックが現れ、テーマが続く、と(笑)。


左近治が好きなミュージシャンなので、いつもよりもチカラが入ってしまうワケなんですよ(笑)、これがまた。

打ち込みドラムに彩りを与えよう (3) [ドラム]

サンプリング音源の音は一昔前と比較しても、元音のサンプルが飛躍的にクオリティが上がっておりますが、MIDI編集を細かくエディットしても肝心の出音がそれほど生っぽくなかったり(笑)。

ここ数年はオーバーヘッドの処理を手軽にやってのけて音作ってくれたり、両手のベロシティやら打点の位置やら細かくシミュレートできるものもありますが、アナログ的な視点でルーティングやらそれに伴うエフェクトを構築していきながらステップアップさせるというのもひとつの手であると思います。

それらを施してもですね、ドラム単体ならまだしも、バンドアンサンブルというオケの中で存在感を殺すことなくミックスするというのは意外に難しい部分であって、アンサンブルと一緒にするとどうも引っ込んでしまったりなど、そういうシーンに遭遇してしまうこともあるのではないかと(笑)。

位相やら、ことデジタル音声を取り扱うとなるとサンプル長レベルで編集など日常茶飯事。とはいえ、現実的な生の演奏というのは、物理的な距離というのはあって、どこかで位相が狂っているかもしれないけれども、マイクであちこち音を集めているワケではなく、たった2つの耳での「音」だからこそ、うまいことオイシイポイントをつかみつつ、その音を無意識に聴いているというワケですな。

最新号のサンレコのQ&Aでもありましたが、EQによる位相ずれについて。

こういうのを本編で深く掘り下げてもらいたいモンですけどね(笑)、例えばダイナミック型のマイクとコンデンサ型はどう違うのかというと、前者がどんなボールでもドンと来い!みたいな、野球で言うとキャッチャータイプで、時にはピッチャーの調子うんぬんよりも自分の受け方で、キャッチングの音を変化させたりなど、受け手はドッシリ構えても他の要因で結構キャラクターを変えてしまうようなモノ。もちろん普段はドッシリしてるんですけどね。暴投やとんでもない豪速球だとガラリの対応でも、音変えつつも一所懸命ボール拾おうとする、と。

後者のコンデンサ型は、コップに水が満たされていて今にもこぼれそう。そこに音が入ってきて溢れた量を感じ取って信号に変換と。すなわちデリケートなんです。コンデンサの蓄え効果とはまさにこういうコトですよね。

アナログでもマイクロ秒やナノ秒レベルでの遅延はつきものなんですが、遅延というよりは位相の変化ですね。

例えば昔の、パラメータの可変幅に融通が利かないタイプのEQは意外に多く、セミ・パラメトリックEQなんてえのは最たるモノだったんですよ。Q可変はできないぞ、と。バンド数も3バンドあれば御の字。大体はハイとロー以外の中域だけで音作ったり、と。

でもですね、そのようなセミ・パラメトリックEQが重宝されていたのは、バンド数が複数あった場合、大体双方の周波数の可変幅がオーバーラップしているんです。全く同じ周波数帯を備えているモノもあれば、一部の帯域がオーバーラップしているモノ、と。概ね後者の方が重宝されていたワケですよ。

なぜかというと、オーバーラップしているとはいえそれぞれのコントロールに備わっている可変幅が違うということは回路が違う、と。コンデンサも違う。そうなると、同じ周波数を別々のコントロールで合わせても、音に若干違いが出る、と。コレこそがキモだったんですよ。

dbxのセミパラメトリックEQ(型番失念)なんてかなり面白い特性でした。

私が10代最後に手に入れて使用していたのがSWRのミスター・トーン・コントロールというセミパラメトリックEQ。これはオーバーラップとバンド数が実に巧みでQなどコントロールできなくても面白かったですね。その後にTC1140ゲットしてQ幅を弄ったりしたモンでしたが。これはあくまでもベース用として使っていたんですけどね、音作りにおいては他のシーンでもいまだに活躍してくれます。

EQとマイクというモノにリスペクトをしてですね、先頃知人からノイマンのU87の特性をQ-Cloneにて保存したものを、さらに私が自分用にLogic ProのMatch EQに映してですね(笑)、それをオーバーヘッドに僅かに加えるだけで、音がどれだけ前に出てくれる感じを演出できるか、そんなことを試してみたんで、下記のMP3ファイルでも聴いてみてくださいな。ちなみにドラムにだけ耳を注力していただければ(笑)。


使用プラグインは、

HH:Sonalksis SV-719、digitalfishphones.com BLOCKFISH
SNARE:Logic Pro Noise Gate、URS 1980 Comp (side-chain)
Bass Drum:Sonalksis SV-719、Logic Pro Compressor
Reverb:Sound Space Designer
Overhed:Match EQ(Neumann U87)、URS 1980 Comp (side-chain)

正直、曲のリフとかフレージングはとっても安直に作っていますんで、それはご容赦を(笑)。 全体的にギミックだらけの音像ですが、その辺りはドシドシツッコミ入れてください(笑)。 重要なのは、この手のフルレンジでアンサンブルがガッツンと鳴っているのに対して、1~2小節目のスネアは少々引っ込ませています(それ以前に音が前時代的ですけどね)。 しかし、3~4小節目では、その音自体のキャラクターそのものを壊す感じにはしないで、オーバーヘッド(MONO)でU87の音を加えつつ音が前に出てくるようにしています。 オーバーヘッドなのになぜ前に出てくるのか? これは、僅かな遅延というよりも位相差による聴覚上の変化でしょうね。それと、U87が備えている周波数特性の妙味でしょうか。 もちろんクローンしたU87ですから、生の演奏に対してならU87現物使った方が手っ取り早いと思うんですけどね(笑)。Liquid ChannelやらQ-Cloneというようなエフェクトが実際にどういう影響度があるのか(ココでは実際にはMatch EQに移してますが)、というコトが判れば良いのではないかな、と。

打ち込みドラムに彩りを与えよう (2) [ドラム]

さて、前回の記事の続きです。

前回のそれは、左近治のMIDI編集は、グルーヴ感出すためにチマチマとMIDI編集もイイけど、ベタでMIDI打ち込んでテンポチェンジを編集するのだってアリなんだよ!というコトでした。相武紗季ちゃんのドラムについても前回の記事と、コレを参考にしていただければな、と(笑)。相武紗季のドラムのMIDIイベント情報でも、今度ヒマがあったらアップしてみましょうかね(笑)。あのグルーヴというのがどういう風に活用できるのか、というのは06年暮れの記事の方に載せています。

「だけど、MIDIベタ打ちでテンポ弄っただけだと、MIDIにおけるグリッド上の細かなtickのタイミングを他に受け渡しする時が面倒」とかそういう側面もありますね。

DPがMA編集の現場で重宝されるのは、いわゆるシーケンサーの小節や拍という概念ではなくて、絶対的な時間で管理されている上で、マーカーを沢山使って、マーカー間を抽出した上で新たな小節や拍にスケーリングする、と。また、その逆も然り。そういうやり取りにおいて巧いこと編集できるからこそなんですね。

DAWアプリケーション導入していれば、SMPTEタイムコードで管理していなくとも少なくとも「同期」という、今や空気のような存在になってしまった同期。それに支配されて作業しているワケですよ。

シーケンサー単体としての用途なら小節や拍という概念で、オーディオとMIDIを管理すれば少なくともサンプルレート周波数との同期は、意識しないレベルで作業を実行できるようになっていますが、これらの同期に加え、音楽制作ではSMPTEなどの同期もあるワケです。

人によってはDAWアプリケーションが備える小節や拍の概念こそが億劫な人だって要るかもしれません。

ただ、現在ではDPならアジャスト・ビートやらLogicならビート検出によって、よっぽど古いマシンじゃない限り、Logicはビート検出もスンナリ出来ます。

ベタで打ち込んだMIDIにテンポ情報でグルーヴ感を出すメリットは、例えばCDからある曲に併せてタップ情報をMIDI変換してテンポイベントにしてあげる方が結構自然な感じになるからですね。このタップ情報は、聴きながら手作業で行ったり、或いはターゲットとする音に対して自動的にトリガーさせたり、と色々な方法があるワケです。

ただ、ベロシティーやデュレーション(ゲートタイム)におけるノリはどうするんだ!?と。それらはもうMIDI編集においては色々なモノを研究して自身に知識や経験として蓄積していかなければならない部分で、「コレこそが答だ!」という絶対的なモノはございやせん(笑)。

ただ、概ね、ドラムで言うならダブル・ストロークの扱いがやたらと一定の編集にとどまってしまっている人が多いのも事実。

ラフなダブルストロークを演出したいのなら、プライマリな打点部の方がベロシティは強く、セカンダリの打点部は弱いワケですが、「こなれた」ダブルストロークというのはそれと全く逆なんですね。これはドラムにおいてはキックにも当てはまりますし、ベースならスラップやピックベースのアップダウンでも概ね当てはまります。

キング・クリムゾンの「Sleepless」考察の記事では、「左近治のディレイ音は元音よりも小さくしてるじゃん!」と思われる方もいらっしゃるでしょうが(笑)、実はコレは他の理由があって、ディレイ音を小さくして、16分のウラとして聴こえる部分がラフな演奏のソレとは全く違う意図でこのようにしているんですね。

トニー・レヴィン本人が「Sleepless」でディレイ音のかかった音をモニターしているのか、またはディレイ音のかかっていない「8分」の演奏でモニターしているのかどうかは判りませんが(笑)、左近治はおそらく前者だと思っております。

ディレイ音を巧みに使ったギミックフレーズをモニタリングして演奏しているプレイヤーはですね、ディレイ音の大きさを嫌います。その音欲しさにそういうギミック使っているのにね(笑)。

というのも、ディレイ音が大きいと自分自身のテンポ感にヨレが生じかねないという悪影響の要素が強くなるんで、ディレイ音を弱めようとするんです。

「それでもオレのテンポは揺れないぜ!」という絶対的な自信を持つ人でも、自分の音よりもデカイ音で16分遅れの音モニタリングさせられてテンポが全く揺れなかったら世界のどこでも食っていけると思います(笑)。名うてのプロでもこういう方は相当少ないんじゃないでしょうか。音を聴く、というより、テンポ感を視覚に委ねている場合ならその限りじゃありませんけどね。

例えば、ボーカルにモニター音を16分のディレイかけて返したらすぐに文句言い出すと思うんですよ(笑)。ハウリング防止で10ミリ秒くらい遅らせてモニター返しました!っていう状況ならいざ知らず(笑)。

表と裏、または強と弱ならウラ部分を強く打ち込めばイイのか!?というと全てにおいてそうではありませんけど、大体はウラを強くする方が多いですね。アクセントを巧みに付けた1拍12連以上の細かいマーチング・ロールなど全ての要素が詰まっているんで、こういうフレーズを研究すれば、より高度なMIDI編集が出来るようになるでしょう。

ただ、殆どのケースでロールは32分音符という、ヘボな打ち込みが多い中で、そういう音楽に慣れてしまった耳は、実際の演奏ですらも32分音符で済まそうとする物理的な演奏が多くなってきてしまっている現在(笑)。勝手に解釈する前に、今一度音楽を深く掘り下げて研究すべきではないかと思うワケですよ。

で、左近治がなにゆえテンポを揺らす方でMIDIを編集を志向するのかというと、MIDIのみならずオーディオも一緒に編集するとなると、ドラムなどは特に位相合わせという部分において確認がしやすいワケです。波形レベルで確認するのでかなりズームアップしているワケですけどね。それに加えて、あるターゲットとする音をトリガーでタップさせてテンポを揺らすとですね、ドラムの場合、両手・両足の僅かなズレがどれくらいのズレなのかが巧いこと見えてくるんですよ。こういうコトは多くの楽曲や多くの異なるテンポの曲で経験として養わなければ、その後のMIDIイベント編集に昇華できない部分でありますね。

もちろん、こういうことを左近治自身は経験してきた上で、今ではテンポ情報がベタ(一定)であっても、どれくらいtickを前後にエディットすれば良いのか、という判断はすぐにつきますし、テンポエディット細かく行いながら、MIDI編集もベタで組まずに細かくエディットするという、双方の面で編集するというコトも普通に行います。

視点を変えてMIDIを弄ると、単一的な志向性で行う作業よりももっと彩りを添えることが可能になります(笑)。

今までの左近治の着メロや着うたってそこまで人間的な打ち込みあったか!?と思われるかもしれませんが(笑)、着うたにシフトしたからといって2年前の時点で完全にヒューマナイズなエディットを全てにおいてしていたというワケではありませんよ(笑)。着うたの整備具合や普及状況やら、それらを加味した上で少しずつ段階踏んで着うたエディットをしているワケであります(笑)。

今年に入ってからですね。従来よりもヒューマナイズ感を出して演奏させている曲が増えてきたのは(笑)。次週以降はその従来よりも増してドラムなどもより一層人間的な部分をMIDI編集レベルではなくて、出音の部分でもチョコチョコとエディットしているんで、時間があったら聴いてみて下さい(笑)。

では、次回はオーディオとしての側面の、打ち込みドラムの彩り編を語るとしましょうか(笑)。

打ち込みドラムに彩りを与えよう (1) [ドラム]

打ち込みドラム。グルーヴを出すためにせっせとMIDI編集している方は多いと思います。ま、こっちの追究もさることながら、サンプリング音源のドラムにせっせと編集したMIDIイベント当てはめただけじゃ、こりゃまだ彩りを添えたとは言えません(笑)。

やっぱり音質ですよ。だからといってサンプル音を一所懸命トラックごとにEQやコンプ程度の編集じゃ生っぽさは六割程度(笑)。

ゴミもリサイクルすりゃあ金の成る木と変貌を遂げるのと同じようにですね、色んな所から音を拾って流用したりして音作りに活用するモンですよ。

例えば、だいぶ前のブログ記事にて、左近治が打ち込みドラムにおいて相武紗季ちゃんが出演していた明治安田生命のCMのグルーヴ(笑)を敢えて活用したり、など(笑)。コレにおいてはMIDI編集レベルの「彩り」です。

相武紗季のドラムなんて「彩り」になるのか?唄でも歌わせてステージに立ってくれるのならまだしも・・・。

ええ、確かに相武紗季のドラムの音の連なり自体はヨレにヨレてます(笑)。しかし、本人が想起しているであろうテンポ感、すなわち時間軸の観念自体はヨレてないんですね。

どーゆーコトかというと、叩こうと想起している段階ではブレていないけれども、叩いて音出した時がヨレている、と(笑)。つまり、本人が想起しているであろうテンポは、出音ほど大きくブレておらず、それこそ想起しているテンポ感自体はGoodなんですよ。ですからそこから起こしたグルーヴ抽出によるMIDIは「使える」ワケです(笑)。

あのCMが彼女以外とのジャムとかなら、本人が想起しているであろうテンポ感は他の楽器の人が想起しているであろうテンポ感に均されてしまってですね、ドラム叩いてるならもちろん、全体のグルーヴを平滑化させようとします。そうなった場合、テンポ感が初めて大きくヨレるコトになるワケですが、功を奏しているのは、あのCMが相武紗季ひとりの演奏だからなんですね。

こういったグルーヴ抽出もさることながら、MIDI編集レベルではベタで打ち込んでもイイんですよ(笑)。グリッドきっかりに(笑)。

但し、こういう場合左近治はマスターテンポ自体を揺らします。つまり、テンポチェンジ情報を編集する、と。

例えばある曲のバスドラやハットやらスネア部分をLPF、BPF、HPFで抽出して、それをMIDIトリガーさせてですね、外部に一旦MIDIトリガーをあるイベントに変換させるようにして、タップテンポで出来合いのMIDIファイルと同期しながらテンポ情報を録音、と。左近治はコレ、昔からやってます。Performer3.6とMTPの時代から。とゆーか、コレが出来たからこそ私は当時Macを買ったワケでして(笑)、実は左近治のMIDI編集領域は、例えベタで打ち込んでもテンポは細かく編集!というのが私のスタイルだったんです(笑)。

MOTU DPだとテンポは小数点第二位まですか。でも、細かくタップすればこれくらいでもかなりテンポは細かく編集できるモンです。

Logicだと小数点第四位まであるワケで、例えばbpm120ジャストと、bpm120.0001だとどれくらいのヨレ具合かと言いますとですね、96kHzのサンプルレートで2サンプル長くらいです、1分後に(笑)。

ヨレ具合と認識するからには、もっと大きな差異が必要なワケですね。

次は、モニタリングにおける人間のヨレ具合と、ダブルストロークなどとMIDI編集領域の部分を詳しく語るとしまひょか(笑)。それではまたね。