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ロールの打ち込み [ドラム]

ダブルストロークの妙味。ロール全てがダブルストロークなワケではありませんが、大抵はダブルで済ませます。打ち込み全盛のDAW環境となると実際の楽器の奏法を知らずに音だけで判断して味気なく打ち込んでしまっていたりする人だって多いでしょう。見たり触れたりしたことの無い楽器の音ですら一応は手に入る世の中がいけないのか!?決してそうではないですけどね(笑)。

探究心が旺盛な人ほど、皆等しく流れている時間の中で出会っている筈の「何か」にチャンスを見いだしてモノにする。生年月日も一緒で同じ学校行って同じ塾通って同じくらい勉強していた筈なのに、学力の差が付いてしまったとか(笑)。こればかりは人のせいに出来ません。

しかしながら、バンドとして音を鳴らした経験など全く無い人がDAW環境に身を投じる人が増えてきているのも事実。学校の吹奏楽部ですらファゴットやオーボエ目にしたことのない人だって多いのが事実でしょう。

ロールってぇのは小太鼓の細かい符割の音ですな。先述のダブルストロークとは、一回の腕の振りによって間接を巧みに使って次に手を振る前に手首を返してその反動で副次的な動作を得て叩く、と。この副次的な動作だって習熟度が浅い時は非常に弱々しい音ですが、巧い人だとダブルのサブ音の方を強く出せるのが普通です。だからといってダブルストローク全てのサブ音が強いのかというと全然違いますけどね。

最近じゃあ事細かくベロシティ・レイヤーが用意されたドラム音源等色々リリーすされておりますが、ベロシティー・レイヤーの細かさが用意されていながらもダブルストロークというか、マーチング・ロールのようなニュアンスを出せない人が多いのは、実際に演奏を知らないからでありましょう。

ましてやいくらベロシティ・レイヤーでサンプルを多く用意されていようとも、発想が同一音の連続という所から抜け出せないから味気ない打ち込みになってしまうというジレンマに陥るワケですな。

ロールというのは確かに同一の楽器を連続して叩いているわけですが、「コ」という音があった場合「ココココ・・・」というイメージを持ってしまうとロールのニュアンスを掴むのは相当遠いと思います。判りやすく言えば「コツコツ・・・」という意識が必要です。

ダブルストロークなら「ココツツ・・・!?」それも違います。

「コツコツ・・・」を微妙にニュアンスを変えながら、MIDIレベルではベタ組みでもイイので打ち込んでみるのが手っ取り早い手段でしょう。ベロシティを変えながら。

そうはいってもダブルストロークが常に32分音符だと思ってしまっているヒドイ人も世の中にはおりますし、販売用MIDIファイルでシャッフルの曲中のロールが表れる場所で実際の元の音楽とは全然違う解釈の32分音符で入力してしまっているMIDIファイルなども見たことがあります(笑)。こうなるともはや耳コピではなくリアレンジですな(笑)。

マーチングの世界では1拍12連やら64分音符のロールなどごく普通にありふれています。また、どんな名ドラマーでも各国の軍隊のマーチング・バンドのロールにはかなり手を焼いてしまって、手数や粒立ちに負けてしまう人が多いのではないでしょうか(笑)。軍ナメてはイケません。まあ、管楽器の隆盛もクラシック音楽界ありきではなく軍隊ありきで発展したシロモノなので、音楽というのは宗教やら軍隊と密接な関係を保ちながら発展したワケでありますなあ。コンサート・ピッチが上がっていったのも元は軍隊ありきの管楽器のために推移してきたという側面もあります。

たとえば



こういうのを見ると、現在のスネアのワイドなリムというのはマーチング界からの応用というのが判ります




耳で聴いて、目で盗む!





今から四半世紀以上前を遡り、左近治がガッド・フリークだった頃はレコードがすり切れるほど聴いたアルバムがトム・スコットのアルバム「Apple Juice」収録の「Instant Relief」の長いドラム・ソロ。大概このアルバムはガッド好きの人か、マーカス・ミラー狂いの人かDrジョン好きの人なら持っているアルバムではあるんですが、これがCD再発になった時は非常に喜んだモノでした。今でもこのアルバムのガッドの演奏は打ち込みに役立てておりますし、グルーヴ・クォンタイズにも勿論役立てております(笑)。




扨て、今回用意したサンプルはまんまロールの打ち込み。スネアはNI Kompakt付属の「Blue Jay」のキットから。音は色々とSCゲートやらコンプ、EQなど加工しています。

ロールのニュアンスを理解してもらおうと思い、4種類のbpmで一連のロールのフレーズを鳴らしています。各種類のbpmごとにテンポは落ちていくという底意地の悪い左近治がトコトン配慮したモノとなっております。

一連のフレーズのMIDIレベルで見てみると、グリッドこそはベタ組みですが、各bpmごとに若干ベロシティは編集しております。これは、細かい符割になるとbpmの物理的な速度によって連続した音がある程度変化するからですね。特に符割が細かくそのままテンポを速めれば1秒間に何十個という音が連続するワケで、こうなるともはやトップノートを除けば別の周波数を生んでしまうという事でもありますんで、こういうテンポのニュアンスの違いというのも実際には出てきます。ビリー・コブハムなんぞあまりの細かさと正確さ故にコム・フィルター聴こえそうな音叩きますからね(笑)。

ただ、サンプル音源の場合は実際のロールよりもその変化は少ないとは思います。スピーカーだって平衡状態から単音鳴らした音の忠実性と、オケが鳴っている時に同じ単音のソースを混ぜて鳴らすのでは、その元々の単音の再現力とは違うのと同じようなモノです。スネアもトップノートを除けば現実にはもっと多様な変化が起こるんですが、サンプル音源だとどれだけベロシティ・レイヤーが細かかろうとそこまで再現できるのはたぶん無いでしょう(笑)。このキットなどベロシティ・レイヤーなんて少ないですしね(笑)。それでもどうにかロールっぽく聴こえさせてみた、というデモです。



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