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対旋律というウォーキング・ベースの在り方 [ネタバレ]

 4ビート・ジャズなどではよく耳にするベース・ラインをウォーキング・ベースと呼びますが、リズムは一定であるにも関わらず非常に多様な音を繰り広げていたりするモノです。今回は、ウォーキング・ベースは何故それほどまでに多様なのか!?という所を繙いてみる事に。


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言葉と体の揺さぶり [ネタバレ]

 私が近年感じている事があるのですがそれは、友人・知人との日常的な会話での言葉のやり取りに於いて、言葉の意味の膨らませ方というのが愚直なほど杓子定規なやり取りを求められてしまう様なシーンでの違和感の事なのであります。


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半音の分かち合い [ネタバレ]

春分を過ぎ清明に入り、いつしか虫達もかなり元気になってきました。この辺りの季節は風が吹くとその一回の周期がエラい長い事が多く遭遇する時期でもあって結構走り辛かったりするんですよね(笑)。すっかり肥えた私のカラダをイジメているのでありますが、今となってはお目にかかることも少なくなってしまった明治生まれのご年配の方に「あなたは水原弘に似ているね!」などと冷やかされてしまいました。

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その和音、ホントに実像ですか!? (3) [ネタバレ]

扨て、下方倍音列とは馴染みが薄いシーンだとは思います。

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Under the Influence [ネタバレ]

扨て、今回の増四度と減五度の違いやら、近親調やら転調感などについて色々述べて参りましたが、だいぶ噛み砕いて基本中の基本とやらを語ってきたので、だいぶ理解が進んだ方や胸のつかえが取れた方も多いのではないかと思います。ふりがなにまでルビを振るような、楽理的部分においてはこれ以上噛み砕くと液状化してしまうほどのレベルなので、ここでつまずく方は残念ですが何覚えても無理だと思います(笑)。まあ、とりあえずは高尾山の頂上くらいは目指していただきたいので、高尾山の頂はもうすぐソコですからね。ガマンしてくださいね、と(笑)。


aug4_dim5.jpgバルトークの用いるトライトーンの扱いは、いわばC調における「シ」と「ファ」を入れ替えてしまうようなモノ、と言いましたが、今回はそれを補足することにしましょうか。

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減五度と増四度の違い (2) [ネタバレ]

aug4_dim5.jpg


はい。またまた前回の続きです!

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減五度と増四度の違い [ネタバレ]

扨て前回の続きとなりますが、増四度と減五度の扱いは結局一緒じゃないの!?

aug4_dim5.jpg

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トライトーン(=三全音)の転回 [ネタバレ]

今回のブログタイトルは本当なら「増四度と減五度の違い」という風にしてみたかったワケなんですが、こっちの方が簡潔だろ、と思ってこうしちゃいました(笑)。

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培養 [ネタバレ]

唐突に楽理的なハナシになっちまいますが、私左近治はジョージ・ラッセルのリディアン・クロマチック・コンセプトを否定するつもりはございません(笑)。とはいえ、リディアン・クロマチック・コンセプトを自分自身に備えるよりは、各局面において特異な和声的な響きにも対応しうる「ボキャブラリー」と、それに伴うフレージングとしての情緒を扱うための術は磨きたいと思っているのであります。

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2009年最初のネタばらし [ネタバレ]

扨て、元日からチョット一風変わったコード進行を例を手前味噌ながら出してみたワケですが、一連のコード進行の中にはハーフ・ディミニッシュを織り交ぜたということは前回も述べたことでありますが、他にもネタバレ的な用法はちりばめているのでその辺りに今一度気付いていただければな、と思いまして今回語ることにします。

先のコード進行というのは、一応「Gマイナー」を想起するようになっていたのですが、一番最後のコード「Dsus4/Eb7」の使い方に今一度注目していただきたいんですな。

私はこのコードは非常によく使うんですが、とりあえずは「Vsus4/VIb7」というハイブリッドな用法だと思っていただければよいかと思います。最も情緒が現れやすい使い方としては

「V7sus4 omit5/VIb7」という、上声部が5度抜きの7th sus4という三声という使い方ですね。

つまり、上声部の使い方は2種類あって

●7度抜きのsus4
●5度抜きの7th sus4(三声&四度重ね)

という使い方ってぇこってすな。

判りやすく、キーがCmだったとすると、ひとつは「G7sus4 omit5/Ab7」となりまして、下から順に「Ab、C、Eb、Gb、G、C、F」とアルペジオで弾いてもらっても構いません(笑)。中央ハの長三度下から順にオクターヴ上まで先述のようにサステイン・ペダルをベタ踏みで弾いてもらえればな、と思います(笑)。

m_2009_001.jpg


別な解釈としては下声部がAb△で、上声部がG△7sus4という解釈も出来ますが、メジャー7thのsus4という表記はあまり一般的ではなく、それこそ私の知る限りではFinaleのJazzフォントでくらいしか見かけなかったりするので、敢えて避けてこのようにハイブリッド・コードとしての表記をしているので誤解のないようご理解いただければな、と。

ドミナント・モーションを可能な限り回避したい左近治としてはそっちの方が好都合ではあるんですけどね、実は(笑)。

和声全体から見れば「F、Gb、G、Ab」という半音の羅列となるものの、不協和を感じることなくごく普通にこの情感を受容できるのではないかと思います。

このコードが現れた場合、どういうモードを想起すればよいのか!?ということは、私の過去のブログを読んでいただければお判りだと思います。

さらに誤解を招かないように補足しておくとですね、私は何もドミナント・モーションが嫌いなワケではありません(笑)。オルタード・テンションを用いた時というのは、非チャーチ・モードの世界でのダイアトニック・コードの構成音と酷似してくるので、ある意味においては複調(調性を確定するまでには至らないものの、選択肢としては複数の調性がある)的な要素を活かすことにもなりますが、複調的な要素のひとつに単純なドミナント・モーションの世界があるのは私の複調的な世界観からするとチョット違うかなーという思いもあります(笑)。

仮に、ある和声がドミナント7thを母体とするオルタード・テンションを用いていて、それが非チャーチ・モードのダイアトニック・コードの一部の構成音と同じだった場合、私の調的な情感は非チャーチ・モードの方にバイアスが振れるため、ならばドミナント・モーションを避けたい、という風になってしまうのであります(笑)。

今回のコードではよく知られたドミナント・モーションに属するわけでもないのでそれとは混同してほしくないんですが、つまるところ、ドミナント・モーションを極力避けていると、非チャーチ・モードの世界にドップリ浸かれる早道になりますよ、と言いたいのであります(笑)。人それぞれ道は違うかもしれませんけどね。


単純なメジャー7thのコードですら汚く聴こえてしまう耳を備えている人だって、今回のコードを聴かせると「この響きイイね」という感想を抱いたりするものです。こんなに半音が続いているにも関わらず(笑)。

但し、今回のコードは主軸となる調性観を強固に植え付けた情感の基に成り立っているので、こういう半音の積み重ねも許容できてしまうのでありましょう。逆に言えば、こういう和声から慣れていく事で、頭の中に強固に残存しているチャーチ・モードの世界から逸脱する感覚を鍛えるということになるとも言えるでしょう。まあ、親離れとは言いませんが乳離れするようなモンだと思っていただければな、と(笑)。

服毒 [ネタバレ]

え〜今回は、ごくありふれた素材を基に、どれほど毒ッ気の世界と親和性があるものなのか、という事をテーマにサンプル曲を用意してみたのでそちらをまず聴いてもらいたいんですな。



「普段から楽理面で大風呂敷拡げてるクセしてこの程度かよ!」

ってな揚げ足取らないで下さいね(笑)。作っている私とて恥ずかしくなるくらい全く手をかけていない程の音の処理といい、ヒドイもんですが、そこはそこで笑うトコロなのでヨロシクお願い致します♪

キーはとりあえずDm。コード進行はこーゆー風にしています↓

Dm9 --> G7 --> Dm9 --> Gm9(-5) --> C7(-9) --> Fm9 --> Ebm9 --> E7(+9)/G# --> G7 --> A7(-9)

とりあえず注目してもらいたい部分は上記の4つ目のコード「Gm9(-5)」。まあ、つまるところハーフ・ディミニッシュト9thですな。つまりはメロディック・マイナー・モードに寄り添うことのできる(このコードはメロディック・マイナー・オンリーのコードではありません)コードですな。

曲の方は、なにやら単音シンセ・ブラスのサブ・メロディっぽい動きをしている旋律がありますが、「E7(+9)/G#」の所ではこのサブ・メロディ取っ払ってしまってエレピとベースで構築される響きを聴いていただいても構いません。

ココは便宜上「E7(+9)/G#」と記していますが、E音はどこにも用いておりません。サブ・メロディ除けばG#dim△9ってな具合で遊んでいるんですな。とはいえ、一応はE音をオミットしてはいても「E7(+9)/G#」を想起しているため、サブ・メロディ的な役割のシンセ・ブラス音は♭13th音であるC音を絡めつつ、エレピは9th音とマイナー3rdとの長七、さらに直後にナチュラル13th音と7thでエレピは半音ぶつけをして楽しんでいるのであります。

ヴォイシングでもっと工夫する必要はありますが(笑)、お聴きになられた方が「オレならこうする!」という風に考えてもらいたいので、敢えて毒をも隠すのではなく判りやすく提示した例ですので、本来自分の楽曲に活かす場合はきちんと熟考を重ねる必要があると思います(笑)。一応わざとやってますんでその辺りはご容赦を。

元の調性の情緒を深く感じさせつつ、ときたま毒をちりばめて7thコードにおいて短九、つまり♭9thの音を用いてドミナント・モーションをより強固にさせているという進行です。

私の場合は、普段はどちらかといえばドミナント・モーションを極力回避して別の解釈で浮遊感のある調性の解釈を楽しもうとしている向きがあるので、今回のこういうアレンジは真逆のアプローチとも思えますが、ごく普通にありふれた感じの曲調において、毒ッ気をちりばめるとそれがどう聴こえるのか?という所に注目してもらいたいんですな。

まずはこーゆー響きから耳が慣れていくと、その内こういうアプローチではない方で毒操るコトできますよ!ってな事で今回は敢えて苦渋の決断でこのようにしております(笑)。

三日三晩、全く寝ずに考えて作りました!ってな手塩にかけたサンプル曲ならいざ知らず、三日三晩どころか3分30秒程度で考えだしたようなコード進行で大変申し訳なく思っている次第で、ある意味では今回の反省点はココになってしまうのかもしれませんが、ごくありふれた世界での説明が必要ではないかと心のどこかで思い描いていたんですな。

これまでの話題で、極端とも思えるほどバイアス振ってしまうと、理解を求める時の例える表現が難しくなってしまうんですな。ただでさえ冗長な左近治ブログでは、一旦適当な所で、判りやすい例をちりばめた方がイイと思いまして(自分自身も文章タイプしていてそっちがラク)、このようにしてみたというワケです。

ヘソで茶が昇華するほどのサンプル曲でありますが、これくらいすり寄らないとダメかなと思いまして(笑)。

まあ、そんな曲においても9度を多用することによる内声での長七音程の辺りとか、短九を用いることによるそれらの情感やらを今一度確認していただければ幸いですな。ヘッポコなりに一応考えてはいるんですが、各パートのヴォイシングはサブ・メロディとかなりぶつかっておりますので、この辺りは少々時間かけた方が良かったかな、と反省しきりです(笑)。

リバーブ・セッティングのイロハ 〜聴き手の感じる音〜 [ネタバレ]

ここ10年くらいのポピュラーな音楽で顕著なのはドラムやらアンサンブル全体でも非常に生っぽいアンビエンスを得ながらも、レコーディング時の音響設計やマイクロフォンやらも含めたレコーディング技術がそれまでと異なるフェーズへ抜けたためか、いわゆる「いかにも」なリバーブやらエコー感というのは少なくなったように思います。

つまり、アンビエンスと呼べる程度のコッテコテではない残響(反射音)を利用しているミックスが顕著なのであります。

そういう残響が少ない音というのは、リスナーが感じる客観的な音ではなく、どちらかと言えば演奏者の主観的ポジションの音に近いと呼べるかもしれません。しかしながら演奏者それぞれ好みはあるものの、客観的なリスナー側よりも演奏者側の方が深い残響を欲する傾向にあるのもあまり知られていない事実でもあります。

言い換えれば、演奏者がステージ側でリバーブ・タイムを調整して長目に設定するとしたら、実際にはそれよりも短めにセッティングした方がリスナーに丁度良いサジ加減になりやすい、というコトなんです。

ショートなプリ・ディレイでリバーブかけたりする程度で済ませた方がミックスを作る上では手っ取り早い時もあるでしょうが、実際にはリバーブ成分の周波数成分を下から上まで実直に通してミックスすることなどはまずあり得ず、リバーブ・タイムは稼いでも低域はカットしたり、高域もさらにそぎ落としてリバーブ成分のみの中域を巧みにEQ(特定ソースに対してピークを作る場合は1カ所のピーク付加が望ましい)施していたりするのが実際のミックスです。

で、このようにリバーブ成分を「弄った」音というのは、もはやショートなプリ・ディレイだと逆に音が変になっちゃうんですな。

今でこそあらゆる環境を模倣できるインパルス・レスポンスを応用したリバーブがありますが、このようなエフェクトを用いてもミックス時に計算しなくてはならないことは、そのアンサンブル(バンド構成)がどのような場所で、どのような立ち位置で、というようなことをシミュレートしたり逆算するのは当然のコトで、さらに重要なのは、そのアンサンブル構成の「後ろの壁面」の距離をシミュレートすることが最も重要で、これがリバーブの巧みなプリ・ディレイの取り方のコツなんですな。コレは本当に重要ですよ(笑)。実はネタバレです(笑)。


「何を意味しているのか判らない」

という方にもう少し補足して説明するとですね、反射音で最も強く現れるのは「背後の壁面」からの反射音なんですな。

例えば、ある演奏者の5メートル後ろに壁面があったとして、とりあえず気温は一定だと仮定して音速を秒速340メートルと仮定すると、はじき出される「演奏者が最も顕著に耳にする背面からの反射音」というのは、この場合だと約14.7msecとなります(※このディレイタイム値はあくまでもプレイヤーと壁面の距離であって、プレイヤー視点での間接音を演出する場合は倍のディレイタイムを用いることになります)。

15ミリ秒以下だとダブリング効果も浅く、よっぽどウェットな反射音(高域成分の吸音も少ないような)でない限り、この程度の間接音でエコー感を得るような音には感じ取れないワケですな。つまりライヴだと演奏者はリバーブをもっと得ようとしてしまいかねない、と。

ホールなどでは背面の距離は多少長くなるでしょうし、プリディレイは60〜70ミリ秒以上あることが望ましいという前提の上でステージの大きさや背面の重い吸音カーテンなど用意されていたりもするわけです。さらに客席側のイスの材質は座りは多少悪かろうとも吸音に優れていたり、カーペットも然り。

室内空間の吸音というのはOpen Window Unit、略してO.W.U.という数値で吸音率の単位が決められていて、窓が開いているという意味なのはある空間から窓を開ければそこから音が逃げていく、という根拠から生まれている言葉なんですな。

色んな吸音材ではこのO.W.U.というのが数値化されていたり、周波数特性が載っていたりしておりまして、左近治もこのような工業吸音材に関する文献や資料を幾つか持っていて、そのパラメータをReaktorに用いたりして自作したりすることもあります。

重要な事は、コンサートホールなどのステージ背面と演奏者との距離を判断してリバーブ・タイムのプリ・ディレイを算出しろ、ってこってす。いくつかのディレイをタップ・ディレイとして用いる時には素数を意識したり、背面との間接音とダブついたりしないよう計算してみたりすることも重要で、さらにはバーチャルな演奏形態であれば、そのアンサンブル自体がどのような形態や立ち位置、室内空間をシミュレートしているものなのかを頭の中で組み立ててプリ・ディレイを得ることが重要なんです。


「60〜70ミリ秒(或いはもう少し長くても可)というプリ・ディレイって長いんじゃないの?」

こう思われる方がいると思うんですが、リバーブをリバーブたる使い方をするには、直接音をいかにスムーズに「引き延ばしてくれるか」という音に味付けすることが重要で、直接音ににただ残響が付加しただけのリバーブは、本当のリバーブではないんです(笑)。

直接音に変なギラついた間接音が付加した残響で引き延ばされた音、というのも違います(笑)。イメージとしては直接音を心地良くサステインがアップしたような音をイメージしてリバーブの音を弄り、プリ・ディレイは先ほどの演奏形態をイメージして作りだす、ということを重視すれば自ずと算出されるでありましょうし、リバーブの「音作り」のイメージも判っていただけるのではないかと思います。

本来なら、色んなリバーブのプラグインやらハード機器を紹介しようが、こういう基本的なイロハを専門雑誌はきちんと掲載すべきだと思うんですが、特定の商品の製品や、発売時期に合わせてしまっているためなのか、いかにも取り上げたモノがイイんだ!みたいな風潮が生まれかねない(笑)。

少し前までのKクリでリリースしていた着うたというのは、モニタ環境をカーステ用のスピーカーやPC用の安物スピーカー、それとEQと「大雑把なリバーブ」でデフォルメしておりました(笑)。ここ1年半くらいですか。徐々にデフォルメ感を希薄にしてきているのは(笑)。こういう風に段階積まないでいきなりやってしまうと飽きられるのも早いので、左近治はこれまで小出しに(笑)。着信音業界が隆盛の時にこんなネタバレしていたんじゃいけませんし、ある意味今だからこそネタバラシできるってぇこってす(笑)。

難曲であっても元を採っておけば、音はいくらでもデフォルメできますし、後でいくらでも手直しすることも可能です。中にはこんなことは先刻ご承知でハナからデフォルメなどせずに着うたを作っている所だってあるでしょう。ただ、これはあくまでもリバーブの側面での中級ランクのイロハというか「ニホヘト」でして、他にももっと奥深いTipsと呼べるようなものなど真砂の数ほどあります(笑)。

こういう「アンビエンスな」時代だからこそリバーブを蔑ろにしてしまっている人って実は多いんじゃないかなーと思って、今回取り上げてみることにしたんですね。

どんなショートなプリ・ディレイだと感じても、聴き手の耳に届く時はちょうど良くなってしまっているという実際がライヴなんですな(笑)。それ考えると、ギターのカッティングにショート・ディレイでダブリングかけた音がリスナーにもきちんとその音として届く場合、ディレイ成分の周波数特性をどのように弄らなければならないか!?という所にきちんとアタマ働かせることができるはずです(笑)。

この手の吸音材やら資料や文献などには正直言って答は沢山詰まっています(笑)。ひとつだけの答ではないにせよ、「One Size Fits All」と呼べるようなコトが載っていたりするので、音楽雑誌だけにとどまらず、いろんな資料を参考にしてもらいたいものでありますな。ちょっと前のサンレコでも吉田保氏が手掛けたミックスがありましたが、あれこそがまさに「One Size Fits All」を物語っていたミックスだったな〜と痛感したものであります。

余談ですが、ザッパの「Inca Roads」や「Andy」作ってみましょうかね、と。

Four Letter Words [ネタバレ]

4文字の「イケない」言葉の暗喩。それが=Four Letter Word。

とってもポピュラーなひとつは「fuck」。あんまりデカデカと書き連ねるのもアレですが(笑)、その昔米国人に「fuckとは本来どういう意味なのか?」と質問したことがありまして、彼曰く

その昔、悪さをした人を街に晒し首にする時にT字型で木製の拷問用の張り付け台に「For Unlawful Cardinal Knowledge」と書いてさらし者にした、という所から「F.U.C.K.」が誕生した、というコトでした。

そのT字型の張り付け台とは、横方向に3つ穴が空いていて、両手と首をそれぞれ穴に入れられ動きを封じられるってぇ器具ですな。穴と穴の間のスペースにそのように文字が書かれていた、というワケです。どういう罪人だったかというと、戒律を無視して強姦やら不倫だの、そういう罪を犯した人が対象となってさらし者にされた所から端を発しているようです。

最近だとエディ・ヴァン・ヘイレンでも有名な、「Cardinal」の方ではなく「Carnal」と記されているようですが。

「I have no fuckin' clue what you're talkin' about!」(おめえの言ってるコトなんかさっぱりわかんねーよ、ボケ、みたいな意味)とか、毛唐の人達と口論になったりすると頻繁に使われるコトバですね(笑)。私も昔、少々じゃじゃ馬が過ぎるとある毛唐の女性に「You're fuckin' bloody cunt!」と言ったコトがありましたが(笑)、「cunt」も確かにfour letter wordであるものの、夏休み中の良い子のみなさんには早くから覚えて欲しくないコトバではあります(笑)。

まあ、cardinalでもcarnalでもどちらでもイイんですが、先の日テレの「全力!Tunes」では真矢が登場していて、彼のタム周りにはエレボイ(=EV)のマイク「Cardinal」が使われていて、8才の男の子に真っ向勝負!(笑)というシーンがありましたので、そこから今回のネタに引っ張っているという左近治。

「全力!Tunes」は毎週見ているというワケではありませんが、時間があるとついつい見てしまう良好な番組で、全国のチビっ子たちが一所懸命楽器にチャレンジしているという、自分自身の若かりし日のコトもついつい投影しながら、当時の練習の苦難やそれに伴う生活など色々振り返ることができてついつい感慨深くなってしまって、親目線のように他人のお子様を愛でるように見れてしまう、というついつい涙がチョチョ切れてしまうこともある番組なんですね。一番最初は「ん?テレビでiTunesのコトやるの?」と誤解して新聞読んで出会ったのがキッカケだったんですけどね(笑)。

で、8才の少年のドラミング。叩き方のフォームも良く将来楽しみな子ですね。ややもするとタム類叩く時タムの反動に腕が負けてしまっているような所はあるものの、年齢を考えればそんな所に目ェギラつかせて揚げ足取るようなケツの穴の小さい左近治ではございやせん。子供達のひたむきな目というのはやっぱりイイものですし、自分自身の幼かった頃の苦労を投影しながらついつい目元が緩んでしまって親目線で愛でるように見れてしまうのが「全力!Tunes」のイイところ。

まあ、真矢のエレボイ持参の音処理もさることながら、8才の少年のスネアの音はエンジニア的な視点で見ると処理が難しかったのでしょうか。おそらくチューニングとなるとまだまだ鍛えなくてはいけない部分なのでしょうが、余韻(残響)が長く、SCコンプで中域抑え込んであげているんでしょうが、中高域の不要な部分音を抑え込めていない音でした。ゲートで極端に切るワケにもいかないでしょうが、それでもSCフィルターで抑え込んであげてはいるような裏舞台の苦労が判るシーンがありました。やはりチューニングのトリートメントは重要なのですな。

ここ10年くらいのドラムというのは、シェル厚を稼いで不要な部分音を抑え込むというそれまでの流れに反して、シェル厚を稼ぐことなくリム(フープ)の厚みや重量、フープのガッチリした取り付けという部分で、不要な部分音を抑え込もうとする設計にシフトしているような気がします。こういう、リム厚を稼ぐやり方はマーチングの世界の発想がフィードバックされていると思うんですけどね。現在のこういう流れの前からソナーのスネアなどはリム部分に相当注力していた設計の配慮が見られたモンでしたが、ドラマーというのは自分の叩いている音と卓を通った時の音の違いを埋めていく作業というのは、結構シンドイものがあると思いますので、腕自慢だけにならずに音の面やチューニングにおいても幼い頃から追求するのは必要だと思う左近治であります。

今回、こういうブログネタになっているのはそもそも真矢の使うエレボイのマイクの「Cardinal」から、こういう風におよんでいるだけなんですが(笑)。

スネアのチューニングにもよりますが、ちょっぴり耳障り系な部分音を抑え込む帯域というのは大体2種類に分けることができると思うんですが、ひとつは300Hz周辺と、もうひとつは750〜1.1kHz付近の部分音。これらの抑え込みというのはEQだけだと余韻そのものは変わらないので、ゲートで抑え込んでやるか、コンプでほんのり抑え込んでやるか、またはコンプでどっちを抑え込んでゲートは他の成分でSCフィルターに任せるか、という発想があれば、かなりヘンテコリンなチューニングでもある程度は対応できると思いますので、左近治、またまた老婆心ムキ出しで語ってしまいました(笑)。

今回のデモのサンプルは先日のEXS24mkIIの音を使っている音です。SCARBEEのオンラインショップが安くなっているこの時期に色々購入された人も多いのではと思いSCARBEEのコンテンツを使いながらデモを作ることにしてみました。左近治は高い時に手に入れてしまっているというのが実際で、悔やんでも悔やみきれないのでありますが(笑)。



本サンプルではSCARBEEのSlap 'n FingeredとEEP使ってます。ドラムはEXS24mkIIのStudio Tight Kit。ドラム類にかけている往年のヴィンテージ系リバーブを燃した音ですが、これはスネアでやたらとリバーブ感を強調させないように、SCコンプとスネアの帯域を調節しながら「ほんのり」抑え込むようにリバーブ部にもSCコンプを使用しているのが実は重要な部分。間接的に聴いた場合だと作り手以外はほとんど大きな違いは判りにくい部分かもしれませんが、アンサンブルに応じてスネアの残響をコントロールするような余韻のコントロール、というのを主眼に置いたリバーブ類のコンプの使い方というのは結構重要だと思います。オーバーヘッドやルームマイク類のコンプの使い方ともチト違います。

いかにも●ーカス・●ラーとプージー・ベルっぽい音にしちゃいましたけど(笑)。21世紀になった現在でもこのような音を作るというわけで、サンプルのタイトルは「MM21」にしちゃいました。横浜とは全く無関係です(笑)。

SCARBEEのオンラインで買うと、インストーラーがないので注意書き通りにフォルダをコピーした程度ではパスがファイル名やフォルダ構造に反映されてしまっているのでこの辺りを修正しないとうまく読み込めないかもしれませんが、とりあえずMacならAutomatorを使うのがよろしいかもしれません。Black Bass買った時以来私は使用しておりませんが、Logicを使う場合、ファイルネームに「¥」が反映されてしまっていると、プロジェクト・マネージャー周りでうまいこと認識してくれないことがあるので、パス名が反映されちゃっているのを削除したりしないとKontaktが装備しているSpotlightサーチエンジンを使った検索もできなくなるので「Y」より前の名前を削除したり、「Y」を他のキャラクターに変えてみたりして、編集するのが早道だと思いますので、老婆心ながら語ってみました(笑)。

パス名がファイルネームに反映されているということは、その通りに本来バックスラッシュと思われる「¥」以前の名前と同じフォルダをAutomatorで作らせて、その後段でAutomatorで「¥」を用いたフォルダやファイルをアンダーバー
などに変えて、それらのファイルを当該フォルダに移動させる、という風にAutomatorでマクロを組んでしまえばイイと思います。Mac版のKontaktならオーディオのサンプルファイルの名前さえ一致していればそのままSpotlightサーチエンジンで拾ってくるとは思うんで、この辺りの修正だけすればスンナリと堪能できるようになるのではないかと。私もこの作業をやって1年ほどは経過しますのでうろ覚えですが(笑)、ついつい懐かしくなってこの機会に語ってみましたぞ、と。


余談ですが、蚊とんぼマーカス君、今度やスタンリー・クラークとヴィクター・ウッテンとのベース・トリオ「S・M・V」なるものをリリースしたようですね(笑)。Jazz Lifeで特集されてましたっけ。スラップに酔うのが久しくなってしまった昨今、たまにゃあこんな飛び道具でも作ってみるかと、丁度タイムリーだったんで色々ネタに絡めたつもりです。

Sample Demo [ネタバレ]

この曲。実はこのようになっていたということが、過去のブログをお読みの方ならお判りになると思うんですが、各部分から抜粋してデモを作っていたという左近治の実態(笑)。とりあえずデモですからね。とはいえSD風なコードワークを用いて解説も加えるとなると、こういうネタから抜粋する方が手っ取り早かったというわけです。



とはいえこのデモもショートバージョンで短いですけどね、原曲はアップロードしていないのでそんなコト言っても判らないとは思うんですが。

SCフィルターの応用 [ネタバレ]

扨て、今回はSCフィルターを減衰方向ではなく、ブースト方向に作用する効果について語るとします。

SCフィルター・ゲートがドラム類に効果的な理由は、残響部というのは低域が残りやすいので、不要な残響部分をカットするにはゲートで減衰させた方が効果的、あるいはSCコンプによって狙った帯域を抑え込むというやり方が功を奏するというワケで多用されるわけですね。

ではブースト方面だとどんな効果があるのかと、一例を挙げてみましょう。

いまや30年も昔の曲になってしまって隔世の感がありますが、YMOの「ファイヤークラッカー」が最たる例ですね。

この曲の各小節4拍目のスネアの音は「スカッ!」とフィルターが掛かった音になっていて効果的な音を得ているわけですが、これこそがサイドチェインの応用例でもありますね。

この曲のレコーディング時はクリックを伴って同期されているのかどうかは判りませんが、原理的には変拍子もなく4拍子一辺倒なのでステップシーケンス的発想で4拍目にトリガー信号が生きるようにして、フィルターを作用するようにすればいいワケですね。

但し「ファイヤークラッカー」の場合は設定されたフィルターの周波数はスタティックではなく、高い周波数へ動くのでスウィープします。まあ、ワウペダル踏み込んだようなモンと同じです(笑)。

スウィープ速度は100msec以内程度にして、スウィープ幅を設定周波数の倍、つまりオクターブ上で止まるように幅を制限させれば、「ファイヤークラッカー」の4拍目に用いられているスネアのフィルターと同様の効果が得られることになります。

4拍目の音でトリガーさせている、ということこそがサイドチェインの要領でもありまして、フィルターをSCトリガーさせるとこーゆー効果もあるんだぞ、というコトが言えるわけであります。

一方でこれまで語ってきたSCフィルター・ゲートの周波数はスタティック(固定)なので、音色そのものはスウィープしません(厳密に言えば増減量が多く、且つ元ソースの周波数スペクトラムのターゲット周辺で音の揺らぎが備わってしまっているソースだと、増減による山や谷のキワ部分とその曲率からスウィープ感を生むこともたま〜にあります)。

フィルターの曲率の特性というのは様々で、それこそブースト方向とカット方向では曲率が違う特性を持つフィルターやEQなどもありますし、曲率が及んでいる裾野に当たる作用幅は変わらなくとも、山(谷)の部分を絵と例えるなら、その絵の面積を変えないように変化するタイプの曲率やら、色々フィルターの特性はあって奥深いものであります。オーバーシュートしたりとか。

Logic Pro 8のEQの拡張パラメータはこの辺りが実に変化に富んでいて面白いものであります。まあDPの4.5以降のMasterWorks EQもイイEQではありますが、今となってはLogicの方が私は好きです(笑)。

私がReaktorを初めて手にした時試したのが、実はこのSCフィルター動作の応用だったので当時を思えば懐かしさもあるってぇモンです。コンプもゲートもそうですが、Kneeカーブの曲率に手が加えてあるようなモノ、特にKneeカーブの曲率がマイナス方向に作用しているようなカーブというのは実にエグみのあるオイシイ効果が得られるので、この辺りにハマるともう病み付きになってしまいます(笑)。SV-719のゲートの特性もMIOの+DSPのようにひとクセもふたクセもあるので、色々お試しになってみるとよろしいのではないかと思います。

Logicユーザーのためのサイドチェイン・フィルター・ゲート [ネタバレ]

Logicの難点はとりあえずはゲートプラグインにSCフィルターのパラメータが無い(笑)。これさえあれば数多いプラグインを備えるLogicとはいえかなり追い込めるとは思うんですが、正直なところコンシューマレベルではゲートというエフェクト自体過小評価されているようなところがあって、音に劇的な変化が加わる、いわゆる化粧タイプのようなものに目がいきがちなのでゲートそのものの使い方がクローズアップされていないところに原因があるともいえるんですが、一応ゲートは備えているわけですね。

前にも述べたように、狙った帯域のみゲートがかかるようなセッティングはサイドチェイン・フィルターを使わないと出来ないですし、発想を変えたルーティングについても以前に述べた通り。ユーザーからの要望が増えればいずれは要望に応えてくれるかもしれませんが、特にドラムの加工には無くてはならないほど多用するSCフィルターによるゲートなので、この辺りは是非新バージョン辺りで搭載してほしいモノなんですな。

私が気に入っているのはSonalksisのSV-719やMIOの+DSPでのエフェクト達。SV-719は通しただけでも僅かな音色変化を伴ってコンプを若干通ったような微妙な変化が絶妙で、やたらと太くなるわけでもないけれども、中高域の抜けが良くなってゲートの応答も杓子定規のようなリニアな曲線っぽくならないのも気に入っている所です。30日間デモで使えるので興味のある方はSCフィルターをSV-719で試してもらえればな、と思います。

SV-719ではHystを4.0dBくらいにしてアタック最小、Hold=15msec、Release=255msec辺りにセッティングしてSCのFilterのスイッチを入れて、フィルター部のレベルを-24dB、100〜350Hzあたり、Q幅0.8くらいにしてみて、フィルターの周波数を前述の範囲くらいで色々変えてみてください。スレッショルド自体はソースにもよるので一概に言えませんが-12〜25dB辺りに落ち着くのではないかと思います。音が出てこないようならスレッショルドを下げてみればいいので(笑)。

こうすることでSCフィルターの効果というのをあらためて理解を深めることができると思います。SV-719の私の気に入っているのは、レンジが広く録音されているベードラに、上記のSCフィルターゲートをかけて、周波数を8.5kHz〜11.8kHz辺りにセッティングしてフィルターを-18dBくらいにしてQ幅はやや広めにすると、ソースによっては残響感とうまく分離して独特の空気感が得られますのでお試しあれ。特にルームマイクが混ざったベードラのソースには非常に合いますので、その絶妙な効果をお探しになってみてはいかがでしょうか。

この効果はSV-719独特の効果なので、音色変化とともにキャラクター付加が非常に絶妙にプラスに働くセッティングなのでオススメです。SV-315も非常にイイコンプですが、敢えてコンプのキャラクターを避けつつゲートで緻密に音作りをしていくという方に目を向けてみてもらいたいものであります。

SCフィルターによる音作りが可能なのは何もSV-719だけではありませんが、いい意味でアナログを介在させた時のような音の変化具合が付加されながらその効果やパラメータの豊富な操作とは相反して効果が得られやすいという判りやすい設計なので今回紹介してみたわけです。

タム類サイドチェーン・フィルター・ゲート設定 [ネタバレ]

今回はタム類のゲートの設定例みたいなものでもやろうかな、と思っていたら赤塚不二夫氏やハイラム・ブロックは他界してしまうという訃報が相次いで飛び込んできて、左近治としては非常に驚いております。

普段は「ケムンパスでやんす」のような排他的なブルースの世界観こそ我が人生の原点!とばかりに魂こめている(笑)左近治。ハイラム・ブロックにしても、先のウォルター・ベッカーのソロ・アルバム「Circus Money」においては、「Darkling Down」や「Somebody's Saturday Night」のギター・ソロがハイラムだったらピッタリだったろうなぁと思っていた矢先。

大阪生まれのハイラム、当時レーベルがあった頃のケンウッドからリリースされていた「First Class Vagabond」のライナー・ノーツ読んで驚いたことがあったモンですが、両者に共通するのは「Vagabond」(バカボン)と。久々に同名タイトル曲やら「Teasin' Eyes」やらを聴いている左近治であります。

その「First Class Vagabond」のド頭のスティーヴ・ジョーダンのタムのオカズでのゲートのセッティングが結構好きなわけでありますが、それよりもゲートのリリースタイム1.3倍程度にして、リバーブを付加した音の類が今回のサンプル、と。



サンプルに用意したタムのキットはNI Kontakt3の「Funk Kit」から。スネアやキックは忘れちゃいました(笑)。

よくある半拍半フレーズで4つのタム(ハイ、ミッド、ロー、フロア)を回しておりますね。前半のオカズは無加工、後半のオカズが若干EQとコンプをかけつつも最大の特徴はゲートによる加工、という音になっております。

ゲートは、セルフ信号によってトリガーするサイドチェーンで特定の周波数帯域が減衰方向に働くSCフィルターによるゲートの音そのものですね。

ベロシティこそベタ打ちではありませんが、グリッド的には完全な「ベタ組み」(笑)。オカズの手順としては4つの32分音符で16分音符ひとつのキックをはさむ、という半拍半フレーズですが、単純にタム類はLLRRやらRRLLという手順ではない所が注意してほしい所。タム類は全て「LRLL」という手順で叩いているのをシミュレートしております。

タムっつっても、ハイタムというのはよっぽどチューニング下手な人でも無い限り不協和なセッティングにはしにくいモノで、あてずっぽうにチューニングしてもまとまってしまうほどの簡単な所があるんですが、強くヒットした時の部分音の「変な」集合が出やすいのもハイタムの特徴。Kontaktのサンプルがそうだと言っているワケではないんですが、私は今回ハイタムでのSCフィルターのリジェクトされるフィルターの中心周波数はやや広めのQ幅用いて370Hz付近に置いております。

SCフィルターの中心周波数をソコに置いたとは言っても、ミッド&ロー・タムというのは別モノ。ミッド・タムはハイタムよりも長六度低い周波数辺りに置いていて、ロータムはミッドのそれよりも「高く」(長三度分ほど)の周波数に置くのが私のポイントであります。

フロアというのもタム類とはいえ、全くの別物なのでこうして3つの音作ったら自ずとどの辺りにSCフィルターの中心周波数置けばいいか、というのは決まって来ると思うので、この辺りは各自お試しいただきたいと思います。

例えばスネアの部分音 [ネタバレ]

生のドラムだろうがドラムマシンだろうが、音色を弄る際多用するのはEQではないかと思います。生ドラムの場合だったらチューニングそのものもキメ手となるので、EQばかりではどう足掻いてもチューニングそのものを見直す必要なシーンだって多いもの。

ただ、生ドラムの場合は、よっぽどラフなチューニングを意図して用いない限りは、チューニングのイロハを知っていないといつまで経っても理想の音に出来ないスパイラルに陥ることだってあるでしょう。生ドラムをサンプリングした音源だってチューニング面を見るならば、その多くは一般的なヘッポコ音と比較すればどれも整っている部類に属するものだと言えますが、より厳しく見てみると各メーカー&各商品はキャラクター演出のせいもあるのでしょうが、整い具合は結構差があったりするものです。

「汚い」とまでは言わないまでも、比較的整っていない類の音の特徴というのは打面の部分音分布の汚さ故に(笑)結局は、本来スネアなどが出すような特徴的な部分音と「汚さ」が埋没し合って、打面の細かな部分が相殺されてしまいがちで、そのクセちょっとでも打点が違うとチューニングそのものが整っていないので部分音の分布具合がコロコロ変化しているのだかれども多くはスナッピーにかき消されているから気に留めないような音、というのが意外に多く存在したりするんですな。

鍵盤で例えるなら「ド・ファ・ラ」という風にスネアの部分音が構成されていたと仮定します(実際にはもっと複雑でこの例はあくまでも仮定です)。汚いチューニングで打点が変わって「レ・ファ#
・ラ」に変わったんだけど、トップノートが変わらないから変化に無頓着、みたいなね。

つまり、整ったチューニングというのは鍵盤に例えるならコードが大きく変化せずに、音のニュアンスの変化を楽しむ方が理想的だったりするわけです。もちろん偶発的に部分音の汚さがパワフルとなって、それほど細かいニュアンスなど求められないシーンであれば乱れた部分音分布が功を奏する時だってあるかもしれませんけどね(笑)。

生ドラムでこれだけ無頓着だった場合、ドラムマシンやらサンプラーの音を加工して作る時どーすんの!?ってぇハナシなんですが、楽理的な面や倍音構造など難しいこと考えることなくとりあえず「カッコイイ」音を作ろうとしているとは思うんですが、EQやコンプ、時にはピッチエフェクトやら汚し系と言われるエフェクト、変調などありとあらゆることを試してトライ&エラーしていると思うんですな。共通するのは部分音を新たに作ったりしてスペクトラム分布を変えようとしている。つまりはこういうことだと思うんですが、日本語一辺倒な人より外国人の方が部分音の計算高さや「分析」能力というのは結構高いのではないかと思うんですな。もちろん日本人であってもそういう能力に長けている人は多いとは思うんですが、外国人の場合は特に音楽的な知識などなくても、このような部分音やら言葉の子音には非常に敏感であるため、一般的な日本人と外国人がその手の音作ると、スペクトラム構造的にはかなり違いが出る音を構築して、特に外国人の場合はアタック部だけではなく、ディケイ部の音の変化にも非常に鋭敏な感覚を持っていると思います。日本人的な感覚だと「なんでその音を使おうとするの?」というような発想に思えるくらいの。

まあ、外国人の場合は虫の鳴き声には返って無頓着だったりするワケでソコは一長一短の面もあるんでしょうが、かなり以前にも触れたことでありますが例えば「bullet」と「squarrel squirrel」の発音を何度も外国人から「違うっ!」と指摘された左近治の過去(笑)。

「bullet」の場合はカタカナ表記であれば「ブレット」ですが、発音的には「ブゥレッ」なんですな。しかも「ゥ」の時は口ン中で一旦舌でちょっぴり音を「ふさぐ」ような形で、2つの目の「L」で、ふさいだ舌の動作を維持したまま「L」をちいとばっかり意識して発音するような感じの音。つまり、「L」が2つ続くスペリングを2つ一辺にひとつの「ル」のような音ではないということなんですな。

squarrel squirrel」だって向こうの発音はほぼ「スクワォ」。「ォ」の後にドラムで例えるならフラムの要領で直後に「ゥ」という感じで、先ほどの例の1つ目の「L」のような感じで音を止める、と。

左近治のようなボンクラ日本人がこれだけ無頓着であるのに、エレクトロなドラムの部分音をアレコレ編集しようなどおこがましい(笑)。

とまあ、そこまで無頓着な音があるにも関わらず、音楽のアンサンブルなどいかに言語とは違う音の分布とはいえ見逃す事のできないシーンというものがあったというワケです。

英語で決定的に日本人が不得意とする音は「J」「Y」「L」「T」「D」ではないかと思ったほど。この音に敏感になれば少々音の志向具合も変わるのではないかと思い、色々トライしたものです(英語を)。

ま、そんな反省を踏まえて今回はまぜこぜなドラムの音を使って少々エレクトロ風味を醸し出すことに。


今日の毒見 [ネタバレ]

さて、またまた毒ッ気のあるコードを肌でふれていただきたいと思いまして、底意地の悪い左近治が愛情タップリ注いで作ってみました、今回のサンプルは!?

いっつもクロスオーバー風味がプンプン漂うようなサンプルばかりなので、とりあえずキャッチーにしてみて、うわべだけでもハウス風にしてみっか、と思いましてですね、ド田舎から竹下通りやお台場やってきちゃったようなドン臭さを備えてみました(笑)。



今日も叙情性タップリ。

ちょっと馴染みの薄いコードというのはですね、園児でも「次」が読めそうな調性感を得ながら体得した方が判りやすいので敢えてこうしているんですな(笑)。私の感性がイッパイイッパイという風に受け止めいただいても構いませんが(笑)。

今回のモチーフはGm --> Fmの2コードパターンのモチーフ。実際にはGm9 --> Fm9のモチーフですが、4小節おきに、このモチーフに「彩り」を与えます。

そのパターンのコード進行は

Gm9 --> F#M9(+5) --> Fm9 --> EbmM9(+11)

というコード進行になります。

さんざんウォルター・ベッカーやら坂本龍一やらジョン・パティトゥッチやらで例を挙げてきたので、これらのコード表記見ただけでもお気付きになってくれることでありましょう。

チャーチ・モード以外のモードを示唆する(概ねメロディック・マイナー・モードやハンガリアン・マイナー・モード)時に多く見かけるこのようなコード。それらのモードから形成されるダイアトニック・コードの構成音というのは、あるオルタード7thの代理和音のように共通する音を持つ、ということもふれましたね。

決定的な違いは、ドミナント・モーションを避けるか避けないか。という所です。

ですので、これらのコードを見て「他のオルタード・テンションに置換できるんじゃないか!?」と短絡的に思わないでくださいね。これには意図があってのこういうコードなのでして。

例えばウォルター・ベッカーの「Selfish Gene」の、ギターがCスーパー・ロクリアン弾く所ありますよね。C7のオルタードの所で。

多くの場合はここで「V/VIb」的な使い方をするか、もしくはDbmM7で対処するという選択肢もあるんですが、特定のモードスケールで半音の音程を含む音列が特徴となっている場合、ダイアトニック・コードを形成する場合において母体のトライアドをメジャーにするのかマイナーにするのかという選択肢も生まれてきます。

例えば、Cのコンディミをダイアトニック・モードにしてCをルートにした場合3rd音はEを選ぶのかEbにするのか!?というコトと同じ。

厳格に、この時はこう!みたいに区別すればそれこそが厳密な「ダイアトニックの形成」ですが、その辺りに自由度持たせたやり方もあります。

ベッカーの場合はDb音とEb音を一緒に使うことを選択して、あそこはCをルートとするコードを形成した、というワケですな。決してCのオルタードでごまかしているのではなく、あそこではCスーパー・ロクリアンがダイアトニック・スケールなのだ、ということであります。

ま、そんなワケで、ベッカー の秘密を探っていきまひょ!という狙いだったのであります。

叙情性タップリでどこかメランコリック(笑)。

Logic Pro 8でサイドチェイン・フィルター的発想のゲートを試みる [ネタバレ]

ドラム類では頻繁に使うゲート。特にサイドチェイン(以下SC)を用いるのは効果的。但し、ドラム類に使うSC動作は大きく分けて2種類ありまして、それは!?

●トリガーとして機能する帯域によって呼応して、ターゲット音の「全帯域」にゲート処理

●トリガーとして機能する帯域によって、ターゲット音の「一部の帯域」にゲート処理

こういう風に大別させる事が出来ます。

不要な残響部だけをゲートでカットしたい。だけれども、Logicのゲートを幾ら使っても狙った通りにはならない・・・。

こういう悩み、先日のマージャンにおいても話題になりました(笑)。

私がドラム類でよく使うSC動作は、先の例では後者の方。サードパーティー製プラグイン類で用いられているSCゲートには、SCフィルター的発想で動作させるゲートがありますが、LogicにおいてSCフィルターは発想を変えないと行けません。単体プラグインではムリがあるってぇこってす。

エフェクトの原理とでも言いますか、その辺りまで発想が及ばない(単体プラグインだけでやろうとしてしまう)からこそ陥ってしまう悩みですな。着眼点はイイのでありますが、初歩的なつまずきであります。

が、しか〜し!Wounded no more!眞鍋かをりも言ってます。

「もう、悩まないッ!」

これにて安心。LogicでのSCフィルター的動作のゲートは一体どういうモンかととりあえずサンプル用意しました。



最初の音が無加工の音。その次がSCフィルター的動作のゲートで処理した音です。

無加工の音をそのままアップロードすると著作権的にも問題があるので、本来なら全く必要のないシンセのパッド音混ぜていますので、ソコにはツッコミ入れないで下さいね(笑)。権利関係にも問題無く、関係各所に配慮された、底意地の悪い左近治が贈る愛情タップリの心遣いということをご理解いただければな、と(笑)。

ドラムキットはEXS24mkIIの「Studio Tight Kit」のキックの音を使っております。

例えば、インストゥルメント・トラックにEXS使ったなら、そのトラックのエフェクト類はまず下記のようにセッティングします。

コンプ --> EQ

各エフェクトセッティングはこれらの通り。拡張パラメータにも細心の注意を払って見落としなくセッティングが必要です。

SCfiltered_01comp.jpg


SCfiltered_02EQ.jpg


そして、Bus1とBus2(いずれもポストフェーダー)で、どちらも送り量は「0.0」にして見てくださいね♪

※重要なコトを書きそびれてしまいました!ここでのインストゥルメント・トラックのアウトプットのアサインは「無し」に設定することが重要です


Bus1のセッティング

ここではEQのみインサート。そのセッティングがコレ。

SCfiltered_03bus1EQ.jpg


Bus2のセッティング

ここでは下記のような順序でプラグインを用います。

EQ --> Noise Gate --> Direction Mixer

で、それらの各プラグインのセッティングは下記の通り

SCfiltered_04bus2EQ.jpg


SCfiltered_05bus2NoiseGate.jpg


SCfiltered_06bus2DM.jpg


Bus2で使用しているノイズゲートは、Logicの機能のひとつでサイドチェインのアサインが可能になっていますが、ここではサイドチェインのアサインは必要ありません。

これらのルーティングの特徴は、ひとつの音をふたつの帯域にパラって処理しているという事です。LPFとHPFを使っているという事ですね。HPFの曲率やらはひとクセもふたクセもあるようにしているのがミソですね(笑)。

でも、今回のセッティングはあくまでもこのEXSのキックを元に作っているだけなので、タム類などに使ってもチャタリングふんだんに表れるんですが(笑)、この発想さえ掴めば帯域バランスなどは各自研究して応用が利くと思われます。

まずこれらのセッティングでキモとなっているのはコンプを強くかけている(VCAのアルゴリズム)。スローアタック気味で。それとノイズゲートの比較的高いスレッショルドと速めのリリースタイムがポインツ!となります。チャタリング回避しつつ、低域成分を殺しすぎずにカットしているというのがYou have a clue what I talk about。つまりお判りになっていただけるかと。

2つにパラった信号をまとめたい場合は、オーディオインターフェースの別の入力経路をアサインしてそちらでまとめたりする必要が出てくるかもしれませんけどね。

私の場合はMIOのFireWire Return使ったりしております。FW Return使えば同時に他のDAWアプリ起動させて、そちらにルーティングさせたりもできるんでいちいちReWireなどにこだわる必要がないんですね。

入力数に乏しい人はSoundflowerで対処したり、色んな方法があると思います。

今回重要な点というのは、LogicでのSCフィルター動作によるゲートの使い方。私の周囲でこういう人がいるんだからネタ的に結構イイのではないかと思って今回このように記事にしてみました。狙いがお判りになっていただければ幸いですが、この手のサードパーティー・プラグインを導入する方が手っ取り早いかもしれませんけど、Logicだけで完結させたい場合など、原理や動作を判っていればいくらでも対処できるという事でもあります。

気をつけて欲しいのは、ゲートであまりに切りすぎると、オケがワンサカ入って来た時に味気なくなりかねない所。そうすると結局ゲートを活かさない事にもなりかねません。

例えば、かなりゲートで元の音を切ったとしても、その音に対してアーリー・リフレクションを付加させたり、残響付加させたりと手段は残されています。その負荷した残響をさらにSCが利くようにして残響をコントロールさせたりする事への応用というのも、今回のセッティングでお判りになっていただけるかと思います。色々お試しいただければ幸いです。

最後に書きそびれていたことを・・・。 実際のSCフィルターの動作というのはこの設定とは全然違うものであります。あくまでもSCフィルター的に狙ったポイントをカットしてくれるタイプのゲートをLogicのデフォルトのエフェクト群を用いてそういう音を得るには!?ということに主眼を置いているのでご理解願います。

嘆きの母音 [ネタバレ]

カンカン帽被った月亭可朝にひっかけてみました(笑)。

「母音はぁ~・・・♪ 長いサステインほど基本の周波数低いんやでぇ~・・・♪」

「ウー」とか「イー」とかよく知られていますね。単発の「ウ」や「イ」だと違うんですな、これがまた。

しかも英語圏となるとさらに「j」やら「y」やら「l」を明確に使い分けてくる。特に「j」と「y」の英語の発音が綺麗な日本人に出会うと尊敬しちゃいます。これで女性だとさらに拍車がかかります(笑)。
「Auxiliary」がカタカナ化すると「オグジュアリ」ってぇのも日本語圏の人がとっさに聴こえる的な音としてこういう風になるんではないかと。ある意味、英語できねーのに無理して「Auxiliary」とネイティヴよろしくで発音するよりかは、毛唐の人達はそれらしく「オグジュアリ」と発音してくれた方が判りやすいのかもしれません(笑)。

「Foghat」を「フォガット」と発音しても「フォグハットね」と訂正してくれながらも判ってくれたり(笑)、わざわざ「traumatic」と言わなくとも向こうの人達は「トローマ」と言ってたり、色んな発見があるものです。まあでも、「actually」だけは未だに「アクショリー」にしか聴こえねえ左近治であります(笑)。


最近は初音ミクが流行って人工的とはいえ「人の声」を意識することが多いとは思いますが、母音に加えて子音の重要さも念頭に置きながら音作りにはげむのもよろしいのではないかと思います。

左近治自身は初音ミクは持っておりません(笑)。

初音ミクに金出して唄わせるよりも、その辺に単発バイト募集して女の子に歌わせてギャラ払った方が安上がりじゃないかとも思わんばかり(笑)。

もちろん、手塩に掛けて作り上げたオリジナルな初音ミクの声に「萌える」という気持ちも理解はできるんですが(笑)、音量の大小によってSCコンプの帯域設定を揺らしてみたり、ハース効果を強めるためのパラメータに用いたりしているのが左近治の「歌心」に使うセッティングです。私の場合は要Reaktorですが。

研究室レベルで見ればまだまだ足りないパラメータがあるかもしれない。しかし、こちとらその手の文献や本は20年ほど経過してから役立つようになったのは思いもよらない新たな発見。いかに当時勉学に励まず楽器ばかり弾いていたかが窺い知れます(笑)。

そんなパラメータを与えながらエフェクティヴに声を操ってみたりして着うた制作に活かしたりするんですが、なんだかんだ言って生の声にはかなわねぇってワケですよ。ただ、コンピュータを発端とするこういう技術が今や広く浸透して楽しまれているというのは実に興味深いものであります。

ヴォコーダーの歴史なんてLogicのマニュアル読むまではそこまで詳しく知らなかったですし(笑)、過去のサンレコでもああいう風に載せていたことはなかったのではないかな、と。ホーキング博士の手元のヴォイス・シンセサイザーとか。それを経てMac OS 7.5にてスピーチ搭載、と。Digital Performerは1.7辺りでフォルマント周りに手を付けて来たと思います。

生の声という点で探ってみたいのは、私の場合は女性で言えばシェリル・クロウと木下優樹菜の声。特に鼻腔と軟蓋骨的に興味深い官能的な声です。両者とも。左近治、ホントにこういう興味深い音(声)を聴くとスペクトラム分析したりしていたりします(笑)。本能的に好む周波数帯とか、スペクトラム分布というのには興味がありますね。ふたりのフォルマントはどういう分布なのだとか。

特定のタイプの声を好む人に向けて作ってみたりしたくもなりますしね。あと、女性の声で個人的に興味深いのは仲間由紀恵と紺野美沙子と新垣結衣の声。こちらは細くてやんわりタイプの声ですな。

おそらくこちら3人の声は腹腔があまり鳴らない(笑)。新垣結衣は若さのためか声帯にツヤがあるのが判ります。別な方面で興味深いのは磯野貴理の声。この人の声はたぶんストレスを受けやすいのか結構声質の変化が顕著に現れるタイプの人だと思います。

理想的な声は私にとっては中尾ミエ。声関係無く可愛いと思うのは鳥居みゆき。そんなのはどうでもいいですか(笑)。

ただ、色々音(声)を探ると、本能的な部分で、例えば乳幼児期の親御さんの声のスペクトル構造に似ている人に親しみを覚えたり(トラウマある人はまた別)、その時得た感情を思い出させる香り(嗅覚)が関与することもあるのでは!?と色々考えたりするものであります。

そういう方向を考えると、着うたリリースするのにお客さんのひとりひとりの親御さんの声など知るよしもない(笑)。男が親しみを覚えるスペクトル構造や、女性が親しみを覚える(低い渋い声etc)声のスペクトルはどうなっているのか、そういう部分に興味はありますね。脳幹ブッ直撃な音の秘密はどこにあるのか。高い方のフォルマントやら赤子の鳴き声の周波数帯は概ね人間が一番敏感な周波数帯であることはよく知られたことですけどね。ただ、親になってから判る、子供の泣き声のいとおしさとか、独身時代はただ耳障りとか、そういう心理面においても興味は尽きないものです、ホントに。

制作意欲が沸々と・・・ [ネタバレ]

扨て扨て、たまにはYMO関連とはいえ坂本龍一づいていた左近治が高橋幸宏コンテンツを作ったワケですが、どうでしたでしょうか?一応アナウンス通りの感じを演出したつもりですが、制作側の意図とそれとなく汲み取っていただけたら幸いです。

来週も高橋幸宏コンテンツですので(笑)。まぁ、坂本龍一が深く関わっているというか、加藤和彦と言えばよいのか(笑)。ココまで言えば鋭い方ならもうピンと来るのではないかと(笑)。

テレビコンテンツに目を向けると、新ドラマ辺りはやはり注目せざるを得ません。ビッグヒットを予測するならやはり「ごくせん」なのでありましょうが、ごくせん関連のBGMは左近治は作らないと思います(笑)。定着しすぎていると私の出番ではないような(笑)。

フジテレビは最も観なくなった左近治ではありますが、録画しておいてよかった「ラスト・フレンズ」。原作は知らず、ネットの評価なども見ていないので左近治が勝手にコメントしちゃいますが、ごくせんは定番化しているのである程度読めるものの、「ラスト・フレンズ」は音楽抜きにして面白かったです。私が期待する構想は、男との恋愛に疲弊してレズビアンに目覚めていき、レズビアンでもあり両刀として目覚めつつ葛藤させながら、周囲の友人関係が異性によってどんどん壊されていくような、「ディア・ハンター」的な展開だったらイイなあと感じております(笑)。上野樹里のモッズな容姿があまりに似合っていて驚きでしたが、1話目、自室の机で佇んでいるシーンで背中が丸くなっていたのが少々気になった点。寂しげな感じが出てはいるもののギャップありすぎで背中張ってほしかったな、と。トンガリ感がなくなっていつものホンワカ上野樹里系が垣間見えてしまったように見えた点がチョット残念。倍賞美津子にはアントン・リブもとい骨付きカルビをむさぼるような演出を期待しちゃいます(笑)。舞台が吉祥寺というのも、やさぐれプログレな左近治にはツボでした(笑)。

吉祥寺方面に北上すると、吉祥寺の駅前の一方通行の交差点。その昔左近治、あそこを直進してしまいました(笑)。即、おまわりさん2人出てきて停められたんですが、見逃して貰ったかどうかはココだけのハナシ(笑)。あの時のおまわりさん達は一生忘れることはできません(笑)。横浜で例えるなら、新横浜通りを関内方面に進んで岡野の交差点を背に、高島町の交差点をY-CAT方面に「左折」するような暴挙ですからね(笑)。交番目の前にあるってのに(笑)。ボストンにも似た井の頭公園の佇まい、深大寺やら三鷹付近はよく通ったモンだなあとついつい郷愁の念に浸る左近治でありました。

次に面白かったのが「キミ、犯人じゃないよね!?」テレ朝の金曜ナイトドラマですな。着うた制作している左近治はもちろん音楽を真っ先に意識するんですが、予想していた蓜島ワールドとは違っていたので、音楽のインパクトとしては前作の「未来講師めぐる」の方が脳幹直撃してくれましたでしょうか(笑)。それにしても貫地谷しほりの演技は本当に凄いですね。ベテランと呼べる人でもこれくらいの演技力のある人ってかなり少ないのではないかと。対峙している役者との「間」のつかみを巧みに使い分けている「感じや」、台詞のテンポや、監督が思い描いているであろう編集後の雰囲気すらも掴んでメリハリを出しているという演技力がビシビシと伝わってきます。一体いくつの顔を持っているのかと思うばかり。それでいて自然と引き込まれてしまう。彼女、天才ですな。初めて観たんですが、かなり驚きでした。知っている方からすれば「何をいまさら」と思われるかもしれませんが、テレビコンテンツは録画主体の左近治、テレビネタは実は弱いんです(笑)。

とまあ、2つのドラマが左近治は今期逃さず観るようになるとは思うんですが、どちらも音楽においてはたぶん制作することはないかもしれません(笑)。

で、最後に仲間内の間で話題になっていた「ゴルゴ13」。その昔、高倉健主演のビデオを連れと一緒にラブホで観た経験があるぞ、と(笑)。マンガの方ではベリーダンスの「いざない」を感じさせてくれる実にエロ心に火をつけてくれそうな話題ですが、アニメのゴルゴ、アイキャッチやラストのBGM、かなりイイです。これは決まりですな(笑)。曲の感じも「up to me」と言わんばかりの左近治が得意とするような系。これはいずれリリースすることになると思います。よもやゴルゴ13が観られるとは思いもよらなかった左近治でありますが、「すべて人民のもの」や「芹沢家」は是非スペシャルでやってもらいたいものです。制作意欲に新たな刺激を与えてくれる久々のコンテンツでありました。

吉祥寺→シルバー・エレファント→プログレとなると、今回は速弾きキーボード系に話題を持って行きたくなる左近治なんですが、ま、高橋幸宏の某曲(←「La Rosa」)における坂本龍一のハモンド・オルガンのソロをピックアップしている時あらためて感じたのでありますが、離鍵が綺麗な鍵盤のフレーズは耳コピがしやすいのであります。

その昔左近治の師匠からは、

「単旋律のフレーズの耳コピは、トリルが聞こえるならその符割を聴き取れ!」

と教わったモンでした。つまるところ、非常に速いトリルを「トリル」として聴こえたのなら、その符割(←スピード)はトリルではない旋律の高速フレーズで聴き取れて当然!

ということを意味するもので、速いからと言って慌てふためくな、と。そういう意味だったんですな。高速フレーズ系でなくとも単旋律の耳コピというのは、意外に再現性が不確かだったりするもので、これはおそらく自身が「唄い易い」(実際に唄わなくとも)フレーズに置換したりすることもあるので、再現性が乏しかったりするシーンもよくあることでしょう。人間ってぇのは口腔や咽頭を備えているワケでして、オクターブ、完全4&5度、長短6度、長短3度という音程は、感覚として誰もが備えております。耳コピが弱い人だとこれらの音程を仮想的に意識しながら音を探ったりするもんですが、ベースがアッパーと違う分数コードの類となると途端に能力をさらに低めたりするものです。

要は不協和音程に対する習熟度が浅いからそうなるワケですが、特にボーカルというのは短6度音程というのは結構鬼門だと思うのです。協和音程にも関わらず。さらにいえば短6度音程の下降フレーズは、意外と行き着いた先の音(ある音から短6度降りてきた音)の発声が曖昧になっていたり、音価がある程度長くないと音程感があやふやだったりする人は多いと思います。トレーニングされていたり音感の鋭い人なら、短6でもへっちゃらだったりする人だって勿論います。短6度と長七、短九は結構難しいのではないかと思いますな。ハモネプを観ても各声部のアレンジの妙味と勢いで成立させてしまっているような向きもありますが、この辺りはやはりジェントル・ジャイアントは凄いな、と思います。「On Reflection」やら「Knots」などはこういうアカペラ好きな人ならマスト・アイテムでありましょう。

短6度音程の跳躍でも、その音がコードトーンにおいてどういう位置にある音なのかということでも差が出てくるワケですが、いわゆるルート、3rd、5thのトライアドの転回形から生じる短六なら殆どの人はクリアしてしまうでしょう(笑)。それよりもアッパーの方で用いられているような旋律の短6度のことを述べているので誤解のないようにお願いいたします。

ちなみに声楽における3度のハーモニーは純正律で取ろうとするもんですが、実際には純正律よりもピタゴラス音律に近い音でハモろうとするのが人間のクセというのも広く知られた部分ですね。ピタゴリアンで音取ろうとすると、声部によってはトータルなアンサンブルにおいて音痴に聞こえちゃうんです。これはうなりにばかり耳が行ってしまうと起こりやすかったり、ハーモニクスだけでチューニングする時にうなりをかき消そうとするだけのチューニングしたりする人が陥りやすいシーンです。オクターブでうなりがグルングルンじゃどんな時でもマズイですけどね(笑)。

純正律もピタゴリアンやらというのは完全5度を転回して完全4度にしても幅が違うのです。ですからそれらを志向しすぎて比類なき「うなりのない音」を出してしまうと、和声や楽曲の調性によってはそれがヘンテコになっちゃうんです。「うなりを消そう!」という風にしか耳行ってないグループだと、客観的に聴いていると「チョットフラット気味じゃない?」とか感じたコトありませんでしょうか。それをクリアするのが次のフェーズだぞ、と。ハモネプを観ているとそういうのが多いかなと思います。ただ、律するということは素晴らしいですよ。声楽だけに限らずレクレーションにもおいてもいえることで(笑)。マーチングなんてかなり感動しますし。まあ、声楽的な面においてもジェントル・ジャイアントなんてイイお手本です、実に。

とまあ、ドラマのネタからプログレ、果ては耳コピやら人間の持つ器官やら音律など、実に多岐に渡る展開ができ、感慨無量であります(笑)。

「A Fear in Woods」 森のくまさんホラーMixアナリーゼ [ネタバレ]

常軌を逸した感じの「森のくまさん」のホラーMixをリリースしたワケでありますが、お聴きになられた方もいらっしゃることでありましょう。

A_Fear_in_Woods.jpg


原曲の森のくまさんのキーはハ長調でありますが、今回のアレンジの楽譜表記では便宜上ニ短調で記譜しております(笑)。

ト短調での旋律的短音階のモードを念頭に置いてもいいかもしれませんが、まあ調性は無いです(笑)。

弱起の小節をカウントした4小節目のフォルテピアノのA音。下声部の姉の右手パートでも1オクターブ下でA音が鳴ってますね。これが呪いのスイッチです(笑)。

2小節目頭の姉のパートの七度ずつのヴォイシングが実に姉のトチ狂って悦に浸っている感じが演出できているかな、と(笑)。嬰ハ音と変ハ音という表記もミソですね(笑)。

現代曲らしく表現してみたかったのもあるんですが、ハーモニクス音(菱形)やらピアノ線ブチ切ったりするような微分音の表記までしなくともいいかな、と思いまして最小限にとどめてみました。

ちなみにこの楽譜はFinaleを用いて作成しております。

故武満徹のように立体楽譜やらも作ってみたいモンですが、あらためて楽譜の面白さを味わった左近治であります。

なんだかんだ言いつつ、姉のパートはジャズの心得があるヴォイシングをしておりますが、原曲の「森のくまさん」とは全く違うコード・プログレッションなので曲の印象はジャズとかそんなの関係なく、実にホラーな感じにはなっているのではないかと思っております。

姉(下声部)の最終小節は全くの空欄ですが、ここで鍵盤に片足乗せて首ハネられないように注意しながら低音弦であるピアノ線をブチ切るのもよし、アルコでピアノ線ボウイングしてもよし、バールのような物でピアノを物理的に叩いてもよしetc。

妹の怯えた感じとは裏腹に、悪魔に魂を売った感じを演出できればベターですな。

まあ、今回Finaleを弄っていて少々戸惑った所は、

「複付点、どないして入力すんねんな?」

というコト。Finaleはほぼ全てがフォントとして用意されているためフォントを使えば勿論すぐに解決するワケなんですが、私が欲していたのは一発コマンドで、マニュアル見る限りだと複付点について述べられている部分を見つけられなかったので、安直に記載したというワケです。上声部の二分休符になっている部分で本当は頭の音を16分音符にして記載したかったんですね。複付点四分休符の後に16分休符をひとつ置く、という風に。

もちろんこの部分は姉が長音ペダルを使っているため、スタッカートにしようとも音は伸びるワケですが(笑)、奏法的な部分でコダワリを表現したかったんですが、まあ、これでもいっかってな感じで譜例のようにしました(笑)。

Finaleは非常に多くのコマンドが用意されているため、昔からMacのOSの持つUIに染まらないようなメニューになっていたりして(笑)、コマンド探しだけでも骨が折れることもしばしば。Windows版に対応してからどちらかというとWindowsユーザーが増えた理由も判るような気がします。ウインドウ内で多くのコマンドを選択させるという手法が多いですからね。私の持っているアプリじゃPerformerよりも長く使用しているアプリであるものの、未だに全貌を使いこなしている気にならないのもFinaleの深さですか。バージョン2.61の頃からのユーザーが左近治です、ハイ。

話を戻して譜例の方ですが、発想記号をお判りになる方はもうお気付きでしょうが、上声部と下声部では矛盾を抱えたようになっておりますが、これは意図したものでして、上声部はピアノがまともに弾けない妹が無理強いさせられて弾いているのと、下声部の方では姉が楽しそうにトチ狂って弾いているという様を演出したものです(笑)。

この辺りが何なのかを知るには楽器を全く弾けない人には無縁のモノかもしれませんが、音楽の深みと楽しみというのはそういう所に含まれているので、発想記号ひとつにしても意味のあるものなのだと思って理解していただければよろしいかな、と。判らないにしてもググれば判るでしょうし(笑)。

こんな楽譜を作りながらとりあえず裏舞台ではマジ曲も作っているワケで、すっかり頓挫していた高橋幸宏(ユキヒロ時代)の「La Rosa」を作っておりました。勿論、坂本龍一のハモンド・ソロもやってます(笑)。我らが日本のエリック・ゲイル!松木恒秀のギターソロ(おそらくL-5?)を作るかどうかは迷っておりますが、作りたくなるんですよねえ(笑)。最近はフルアコが滅茶苦茶欲しい左近治なので、ついついそちらの方まで耳が傾倒していってしまいます。「La Rosa」についてはまた別の機会にでも。

風来坊 [ネタバレ]


「坂本龍一に振り過ぎじゃない?」

とまあ、私の周りからそんな声もあり、「確かにそうだな」と実感している左近治(笑)。身も心もデスペラードなパンクスな私ですが、ただ単にキンキーなパンクスでは後ろ指さされるだけ(笑)。そんな声に武装するかのように楽理的になったりしたモンでしたが、YMO関連だと特に細野晴臣と高橋幸宏の楽曲を扱う際は、少々普段との制作スタンスを変えないと形成しづらいところがあって、最近はそちらのスタンスも採り入れながら制作している所であります。

そのスタンスの違いとは、例えば原曲をアレンジする際に細野・高橋両氏の曲はエレクトロニカな風合いが似合う曲調が多いのですが、坂本龍一の場合は「ニカ」になりきれない部分がありまして、ミニマルな風合いならすぐにでもそうなるようなところがあるんですが、そのスタンスの違いというのが私にとっては両極端なので、アイデアに煮詰まってしまうというワケです。

とはいえエレクトロニカ風味はZero7やらSavath & Savalathに触発されたような感じで、「風来坊」「風をあつめて」「いらいら」「ろっかまいばいべいびい」とかやってみようかな、と企てている(実際にはもう着手しておりますが)左近治の現況です。

勿論、高橋幸宏の楽曲もやっておりますが、エレクトロニカもあればハードなエレクトロ路線もあるという感じで色々手がけております。

とはいえ坂本龍一関連もまだまだネタは尽きずに制作しておりまして、先週はなにゆえ「Kiska」を作ったのか?という、ある共通点を近い内にクダ巻きながら解説していこうかな、と思っております。

ただ単に坂本龍一が参加しているだけの「Kiska」ではない、という部分を詳細に語らないとウチらしくないかな、と思いまして(笑)。

思えば、YMOが一旦解散(散開)した直後の細野晴臣の名アルバム「S-F-X」収録の「Alternative3」という曲など聴くと、あの時代からこれほどの「エレクトロニカ」風味を演出できている所に御大の素晴らしいセンスをあらためて思い知るワケですが、異質なジャンルであろうとどこか一本の筋が通っているといいますか、ビル・ラズウェルやら細野御大の感性というのはもはや凄まじいというか、時間の概念もジャンルの概念もなくリンクしていると言いましょうか、常人では見えないモノが見えていると形容すればよいのか。そんな素晴らしい感性をあらためて痛感せざるを得ないのでありますな。

夜桜お七インダストリアル [ネタバレ]

寒いのは得意な左近治。まだまだ寒い時があるとはいえ、左近治にとってはすっかり春の訪れを感じておりまして、花粉症さえなければ青ッ鼻垂らしてルンルン気分♪で頭のてっぺんにはチューリップ根差した気分なのでありますが、なんだかんだ言いつつココんところ冬は短くなったものだねぇ、と痛感するのであります。

春の訪れを俄に覚えるようになったので、久しぶりに「夜桜お七」をリリースしようかな、と(笑)。

この曲の前奏は本当に素晴らしく、本編は宴の勢いや余興に任せたポップなノリではあるものの、この曲は前奏に曲の良さと坂本冬美の歌唱力の良さが凝縮されていると思うんですな。

妖艶漂う前奏の曲調はまさにソナタに発展しても良さそうな雰囲気すら醸し出していて、着メロ時代は「Sehr Langsam」(ゼール・ランクザム)として可能な表現を和洋折衷な雰囲気を醸し出してエレクトロ感を演出していたのでありますが、今回は着うたなのでトコトン音像を凝ったモノにしてみようかな、と発奮(笑)。

制作時は雪もチラつくくらいの寒い時ではありましたが(笑)、3月7日リリースは全部で7曲というラインナップです。

まずは、先週もリリースしたジョン・パティトゥッチの「Baja Bajo」のマットなスネアバージョン。前回リリースとドラムのMIDIデータは微妙に違います。なにせ両者ともスネアの音にはかなり拘ったので、それに伴うスネアの音色はサンプルのレイヤーの組み方も全く違うので、同一のMIDIデータを流用した程度ではきちんと鳴らないのは当たり前。今回のマットな音のスネアの方がマーチングっぽくもあり、カリウタっぽいかなとも思うんですが、前回のジャジーなアンビエンスの利いた音の方が実際には細かいダイナミクスやロールのバラけた感じやシズル感やスナッピーの鳴りは感じられるんですが、まあ好みは各人色々あると思うんで2つのバリエーションにしてみたぞ、というワケです(笑)。


EFXシリーズはとりあえず3曲。

1曲目はケミブラ風のジングルですな(笑)。ムーグの音でベースのシーケンス組んでます。ムーグの音にさらにフィルター噛ませてるんですけどね。フィルターはMIDIやCVのトリガー物ではなく、スタティックです。ココが実は肝なんです(笑)。

2曲目は、今後もリリースし続けるであろう、新たな企画で「おみくじシリーズ」と題した第1弾。

何がおみくじなのかってぇとですね、曲(ジングル)の出だし部分は変わらず、曲が少し進行していかないと区別が付かないジングルとなっております。まあ、10秒前後の短いジングルなんですが、後半の数秒にさしかかるまで、着信音設定してもほんの少しヤキモキ&ドギマギ&ハラハラ感を募らせてもらおうと思いましてですね。

で、今回はフレンドリーな感じの「当たり」バージョン(笑)。すなわち、仲のいい人とか設定してあげるとイイかもしれません。翌週には「ハズレ」バージョンや「ガッカリ」バージョンも用意しております(笑)。「なんだよ、コイツからかよ!」みたいなね(笑)。


そんなドギマギ演出に追い討ちをかけるように、EFXシリーズの3曲目はチョットしたアイキャッチ風のショート・ジングル。

「Got laid?」と言っておりますが、文法的に正しくは「Did you get laid?」です。しかし口語なのでこのように。意味はというと、これまた解説するのもアレかと思うので、みなさんとってもよくご存知のHな感じのコトバですね(笑)。EW&Fの「Boogie Wonder Land」でも言ってますね。

演出のシチュエーションとしては、半ばストーカー気味に発狂した男に女の人が追い掛けられ悲鳴をあげている、と(笑)。逃げ延びたと思ったら、マンホールのフタを開けて登場(←マンホールのフタを片手で押さえながら舌出してニョキッ!と現れるような感じ)みたいなシチュエーションです。

なにゆえ曲解説で「浮気疑惑」なのかというと、「ヤッたのか?」と訊ねているからですね(笑)。そういやスティーリー・ダンの曲に「Everything You Did」という曲がありますね。

「この売女野郎!お前の浮気なんかツルッとマルッとお見通しだ!ご近所に聴こえるから掛かってるイーグルスの曲消せ!」みたいな詞の内容ですね(笑)。寓喩タップリのスティーリー・ダンですから、痴話ゲンカの歌詞と思わせて他の意味が込められていたりするんですがダイレクトな意味だとこんな感じですか。まあ、この詞の男女の立場が全く逆のパターンはこれまで目の当たりにしたことがありますが(笑)。

それをコミカルに表現したと言いますか(笑)。女性が逆に、半ばストーカーっぽい、常に豪速球勝負&テンパったタイプの男に設定するもよし(笑)、男の方が自分の恋人や妻にヤキモキして浮気疑惑のある人に設定してみたりと、用途は様々です(笑)。イヤミ言わせると変化球グイグイなのに、女性との付き合いとなると豪速球、というそんなハードな人に設定してあげたりとか(笑)。男がマウンドでひざまずく時というのは、やはりコンプレックスを指摘されるような時でしょうな(笑)。

さらにはルパンのタイプライターSEのダンスMixバージョンのショートジングル(笑)。

そして坂本龍一ファンの方々に、「Mother Terra」のオリジナル・アレンジの続編でAパターン部、と。そして本ブログタイトルの「夜桜お七」のインダストリアルMixというワケです(笑)。


今回、「夜桜お七」はDAWの視点で見ても非常に多くのソフト音源を使ったので、そういった話題もかねてブログタイトルにしたというワケですね。

ところで「DAW」って「ドウ」なの?と思われるかもしれませんが、普通に本国Metric Haloでも言ってますし、ネットでもムービー公開してます(笑)。律儀な毛唐の人達でしたら「でぃーえーだぶりゅー」と言っていると思いますが、普通に「どう」って読んでます。

まあ、日本のメーカーとか代理店の類は広告費削減のためにネットを活用しているためか、わざと変な呼称を用いて検索ヒットの向上を試みるような卑しい部分がありましてですね(笑)、楽器店には足すら運ばない人なんて見慣れない言葉など「どう」読んでイイのか判らない人も多いと思うんですね。でも、「width」を「わいず」はチョットなぁ、と思うことしきり(笑)。

とりあえずハナシを戻すとですね、今回「夜桜お七」のソフト音源は33個使いました。全部ステレオ出しでサラウンドミックスで構築して、それを2ミックスに変換したんですね。バイノーラルももちろん使っています。但し、細かなパンニングやらオートメーションたっぷり、という演出はしておりません(笑)。それでも結構音像はリアルタイムに可変しているのがお判りかと思うんで、かなり臨場感が出るのではないかと思っております。

それに3種類のIRリバーブとBusやAuxアサインでかなりのチャンネルを使いました。意外にスッキリした感じなのでそこまで数を感じないかもしれませんけどね、結構負荷は高かったですね。久々に重量級アレンジを施して「フリーズさせないとまずいかな」とヤキモキしてしまいました(笑)。サンプルレートが半分やら44.1kHzなら全然問題ないんですけどね(笑)。とはいえG5 Quadでもまだまだ大丈夫です。メモリとHDDをさらにマージン増やせばもっとイケるんでしょうが、アレコレやる前に結局はMac Pro買ってしまうのではないかと思う左近治です(笑)。

こういう制作環境なのはやはり音質をより良くしようという思いからでして、極力エイリアスノイズを排除させたいという思いもあるからなのは先刻ご承知です(笑)。

BTW、エイリアス・ノイズの実態はどうなっているのかと言うと、ナイクイスト周波数より突き出ようとした周波数は、ナイクイスト周波数を中心に折り返して「ミラーリング」しているんですね。

判りやすく言うと、例えばナイクイスト周波数(折り返し地点)を突き抜けた周波数が「ドミソ」、という風に「C、E、G」となっていると仮定します。

そうすると、実際には折り返し地点からその音程差が「ミラーリング」されて跳ね返って実際の可聴帯域に影響を及ぼします。折り返し地点が丁度「C」の音だった場合、跳ね返りが「A♭、F」という音になってしまうというワケですね(笑)。

ジャズの世界で言えば「ミラー・コード」や「ミラー・モード」という楽理の概念でもありますが(笑)、こんな高域でジャズやるのはあまりに無理がありますし、そもそもジャズの世界でもミラー・モードは多用されているワケではない(笑)。Cメジャー7thのルートからミラーリングすれば下に「D♭」を形成して「C△/D♭△」となるような(笑)。しかも重要なのは倍音構造だって等しくミラーリングされているワケですから、音色をキープしたままミラーリングされてしまっているワケではなく、仮に和声的に調和する跳ね返りだったとしても、音色は全く別物なんですな(笑)。

これがエイリアス・ノイズの実態なワケです。

先のブログでサンプルを用意して、44.1kHzで制作したデモでハットの音がより大きく聴こえるのは、エイリアス・ノイズの影響を受けやすい帯域とハットが重なっているからでありましょう。ハットである意味功を奏しているのはハットの類が非整数次の倍音も多く含んだ音程感が希薄な音だからですね。これを(=そうおん)と言います。功を奏すと形容しましたが、私にしてみれば予期せぬ音に変容させられてしまっているワケでして(笑)、まあこういうのをポジティヴに捕らえるかネガティヴ要素として捕らえるかは人それぞれでしょう。しかも、たまたまこの場合はハットに影響を及ぼしただけであり、エイリアス・ノイズの影響以前に超高域をEQで弄っているソースがあって、素材がかなり上まで(それこそナイクイスト周波数を遥かに付き抜けたような)伸びている音ならもっと低い可聴域の周波数まで影響を及ぼします。ミラーコードを思い出してくださいね(笑)。

ヒップホップやDJなどのフロア系クラブシーンでは、エイリアスノイズの影響をポジティヴに捕らえた音作りも普通にあります。わざと非常に低いサンプルレートに落とす前に結果を逆算して高域をフィルターで強調しておいて、影響を及ぼさせるという類の。それで汚し系と言われるエフェクトやらも多用したり。こういうワザは15年くらい前からポピュラーです。

シチュエーションによってはアリだけれども、そうなってほしくない時はやはりエイリアス・ノイズの影響を極力無くしたいというのが人情でありまして、これがサンプルレート周波数の使い分けの必要性が伴うシーンの一例でしょうか。

コピー・プロテクト施されてなければトコトン扱いやすいのがデジタルとはいえ、手軽さだけに盲目になってしまって本当の音の良さを追求しない人が実際には多いのがデジタル社会の齎したモノですね(笑)。そこでTips与えてどうすんの?と思うかもしれませんが、ある程度の品質を満たして音質へ飽くなき追求をする層は今も昔もそんなに変化してないんですよ(笑)。寧ろ昔の方が多かったかもしれません(笑)。術も知らずに環境も有していないのなら一所懸命DAW制作に励む人達と同列に語るのは失礼極まりないってぇモンですよ(笑)。

ほんの少し深くググれば違法なMIDIなど落ちているようなネット社会。そこに手を出してインスタントに自分で音楽作ったり(←違法です)、なんちゃってDAW気分味わえる現在でもありますが、だからといって私がそんなオコボレMIDI利用していると思われるようでは心外でありまして(笑)、誰もが手にして作れるような曲やっても面白くないから、こうしてアレコレとクダ巻きながら「こっちの世界」の楽しみを披露しているのでありますね(笑)。

次世代光メディアの明と暗 [ネタバレ]

東芝のHD-DVD撤退というニュースが飛び交っておりますが、VHS vs ベータ戦争やらLD vs VHDなんていうのも過去にはありましてですね(笑)、あらゆるメディアに手を出して泣きを見るのは先行投資型の消費者。まあ先行投資をプラス志向に考えればあながち「泣きを見る」というペシミスティックな側面でもなく、優越感という形容も有り得るかもしれません。

市場ではHD-DVD機がダブ付くでしょうから投げ売りが始まる(もう始まっている)のでしょうが、こういう時のメーカーが販売店側に対処する方法が概ね「拡売費」と言われる取引。

判りやすく言うと、販売店は必ずメーカーと取引するための担当者とお付き合いがあるんですね。店側の売り上げやらメーカー担当者の個人成績が噛み合って、店に応じた契約をするというのも有り得ることです。

例えばA店とB店。どちらも全く赤の他人でいわばライバル会社。メーカーから見れば年間取引額がAは50億円、Bは5億円、だったとしたら上得意に加えて原価やリベート面でもA店を優遇してもよいだろうということで、B店よりも原価は安いかもしれない。但し、消費者に売る小売価格は「できるだけこの辺で」というラインがあるわけです(圧力かけると違反)。仮に小売り価格が統制されていればA店の方が販売店としての利幅が大きいワケですな。

メーカー営業マンが今度はB店を訪れると、A店よりも物理的に取引額が少ないことに加えて、A店では売れているものが売れていない。こういう時営業担当者の成績が芳しい人だと概ね拡売費というのを出してB店を後押しする、というのが業界の常であります。

例えば定価12万8千円、卸価格7万5千円、販売価格、9万8千円という商品があったとすると、1台辺りの原価を数千円だとか、場合によっては数万円、展示機はもっと安く、という色んな「配慮」があるわけです。

音楽ではCDだって同じことが言えるかもしれません。原則返品受け付けないけど、取引量によっては応じますよ、みたいな事が音楽業界に限らず普通に有り得ることなんですな。

楽器となると、後によほどのステイタスを手に入れない限り、初物の時こそが全てなんですな。すなわち新製品としての最初の1年(場合によっては2四半期くらい)が勝負の分かれ目なんですな。

新製品の時はやたらとヨイショされた記事を見かけていたのに、月日が経つとともにそんな美辞麗句はおろか市場でもお目にかかれなくなるような製品、数多く目にした経験ありませんか?(笑)。これが楽器の世界なんですな(笑)。

現在の楽器業界では、「打ち込みまでしようとは思わないけれどマルチトラックレコーディングに金かけたい」という人に狙いを定めているんですね。まあ多くの製品リリースを見れば素人目にも理解できるんですが(笑)、鍵盤弾きとは違う層を如何に取り込めるか、にかかっているわけなんですな。

それなのに多くのDAWアプリケーションのUIのほとんどは鍵盤ベースを前提にしたものとなっております。慣れてもらうしかない、というスタンスもある程度は理解できるんですが(笑)。

違法なコンテンツなのに、流行りモノの音楽データなどネット上のどこかに落ちていたりする。ユニークユーザがそれらに触手を伸ばして自分でMIDIを編集して音色編集したりして、従来よりも高いクオリティでコンシューマレベルで簡単に着メロ&着うた作れるようになったり、或いは個人使用範囲内での原盤切り出しとか、または映像からのキャプチャなどもうすぐ実現しそうなものばかり。

そんな中、ちったあまともでマジな耳コピして曲を作るようじゃなければダメだろ、というスタンスで左近治は着うたせっせと作っているワケであります。

誰もが高品位な環境を手に入れて楽譜やMIDIがあれば幼児でも作れそうなモノと同じことやっていても面白くともなんともないんですな(笑)。やはりそういう面で差異感を演出できなければダメだろ、と思うワケであります。みんな負け組みになりたくないものだから、手を引くのも実に素早い(笑)。勝ち負けなどないんだけど(笑)。

ただ、消費者に優越感を与えたり、安心感を与えるという点では考えさせられることは多くてですね、例えばMP3やWMAが主体だったのに、なぜiPodのAACがこれだけ普及したのか!?という事を考えれば自ずと判ることですね。

AACを選択したのも最終的には消費者。そこに誘導して結局MP3に再び逃げるユーザーが極端に少なかった理由は、当初はMacのハードディスク内の楽曲ファイル管理とCD-Rを焼く為のソフトだったiTunesはアップル流のUIと機能を引っさげて現在に至る、というワケです。

利便性に裏打ちされた確かなモノがあれば結局はユーザーはそれを選択してくれる、という証左。PCの世界から見ればアップル製品などシェアの非常に少ない製品。それがこうして受け入れられてきているということと、「確かなモノ」を作るということは決して疎かにしてはいけないんだな、とあらためて感じさせられるワケであります。

5歳の子供にGarageBand与えてそれに劣るような曲を曲を作ってはマズイだろ、と思いまして(笑)。でも、ごくたまにこの手の脳幹直撃系のコンテンツはやっちゃいますけどね、左近治は(笑)。

寓喩に長けた人物 [ネタバレ]

が少なくなったモンですなあ。新聞読もうがニュースを見ようが。

言葉の羅列なら覚えた言葉を手当たり次第使えば誰でもできる。しかしそれを語彙とは呼ばないでしょうな。美辞麗句にあるような形容詞の羅列、まだ人様の垂れる愚痴の方が、怒りというものが根幹にあるためまだ本質を捕らえているという(笑)。

映画だって寓喩をちりばめてナンボ。場合によっては言葉も要らない世界がありますが、今はRPGのような双六のような手順を踏んでいかないと理解できなくなってしまったのか!?もはやこう感じることしきり。

バズワードなんたら言われていたのがここ数年くらいでしょうか。あたかも価値あるように見せかけて聴き慣れぬ言葉やもっともらしいクダリを用意して、さも凄そうに見せかける、という手法。

田中康夫のなんとなくクリスタルのような表現を用いて、時を超越してエセな世界をデコレーション、というワケですな。

ブロードバンド時代!などと謳われ、家庭にはパソコンが次々と導入されていき、ネットを見れば「もはや紙媒体は疲弊する」とまで言われましたが、フタを開ければ何て事ない。ネットがドブ下してしまったという有様(笑)。多少臭くても人の集まる所を求めて群がる様は、どこかの街のような光景すら目に浮かんでしまうワケで(笑)。

何が言いたいのかというとですね、企画を練ってありとあらゆる手段でプロデュースして宣伝してトレンドを作ろうとしても本当の潮流は生まれないのでありまして、サブリミナルとは言いませんが、全く異なる事象の寓喩を鏤めていくことの方が人の心をくすぐる筈なんですが、幼児にでも判る程度の寓喩なので、魅力が希薄になってしまうんですな。特にそういう意図がミエミエなのが最近の民放には特に多いんですな。誘導したい狙いがあってもそれが浅はかすぎるというか。

新ネタ披露する芸人が、客にも先読まれるようでは終いです(笑)。落語だって寓喩こそがキモの世界でしょう。

音楽も実はそういう表現などインストゥルメンタルだって可能でして、多くの人が飛びつくのは、判りやすい「歌詞」の方に飛びついて感情移入させたり投影したりして、フィクションの世界であろうがその表現の寓喩を見いだそうとするワケですな。だから感受性の高い年齢層は影響されやすいというワケであります。

判りやすいモノに飛びついてくれるからソコに餌撒くんじゃなくて、もっとヒネリの深い、誰もが滝壺に飲まれてしまいそうなことを咀嚼した表現で判りやすく構築していかないといけないんでしょうが、どうしても難しくなってしまうんでしょうなあ。

限られた文字数で表現するジャーナリストというのはやはり凄い世界なワケですが、日本語印刷物の基本は「ベタ組み」。つまり、文字のひとつひとつが原稿用紙に当てはめたように縦横揃っているんですね。

ただ、実際には英数字が混入したり、文字数が多くて編集をやりくりしてもスペースに入りきらない時に、文末の方で字間を詰める。これがカーニング。一度表現した言葉はなるべく割愛したくない。MIDIだってそうです。

着メロ黎明期時代ならベロシティ127や64オンリーのベタ打ちとか強要されることもあったモンですが(笑)、着うたならMIDIオンリーで作る必要はないため、表現力はMIDIのそれとは雲泥の差。しかし場合によっては表現力の豊かさを求めているワケでもないのがこの世界(笑)。

誰もがプライベートユースで切り出し着うたが可能になるであろう、近未来のケータイ着うた。「よくもまあ昔は買ってたモンだね!」と言われるコトになるでしょう(笑)。だからこそオリジナルなコンテンツが重要なのですね。アレンジも含まれますが。

でも、そんなことは先刻ご承知で、いずれは着うたでの収入減るだろうからそうなる前に

iPodユーザやらケータイ持っている人達にもテラ銭払ってもらうようにしないとね♪

とお考えの方々もいらっしゃいます(笑)。


生産者が儲からない農家の現実やら色々問題山積でありますが(笑)、着信音を愛する利用者の中で、自分自身でとにかく作りたい!と思って作る人、どれだけ存在したでしょうか。作り方覚えて、配布方法も覚えたら自分も儲けたいという悪知恵を働かせた人の方が圧倒的に多いのではないかと(笑)。

楽器の世界でもとりあえず楽器屋に働いてみて社員販売で安く購入できたのはいいけれども、自分が使うのではなく某オークションに出品して小遣い稼ぎしていたりとかですね(笑)、姑息な人達が増えてしまったなあと感じるワケですね。


音楽の本質や共通点を呈示したりすることで見抜いてほしいなと思うばかりであります。それを知ってくれる人が私のショップのお客さんのでしょう。Kクリの。

結論は書かずに、簡単な「寓喩」で書いてみましたよ、と(笑)。

ボンゾでも打ち込もうと奮い立つ [ネタバレ]


そういやウチではツェッペリンの曲が非常に少ないことにあらためて気付くことに。着メロ時代の移民の歌だけではないか!?と自責の念に駆られ、思い立ったのが「The Crunge」。

これほどまでに自然に聴こえる9/8拍子があるだろうか!?と思わんばかりのリフ。あまりのグルーヴに変拍子の特異性をも飲み込んでしまうほどのノリ。だからといってヨタりまくりなのではなく、グルーヴがかき消してしまうんですな。

Logic Proで某ドラム音源のマルチアウトをアサイン。各トラックに某社の2種類のチャンネルストリップをアサインして、お気に入りのキットを呼び出す。しかしココからが鬼門で、ゲートのセッティングから始まってEQ設定、その後コンプのお出まし、と。

何よりもゲートの設定は時間がかかりまして、Logicのチャンネルストリップ設定を保存すればイイだけのことでは!?と思われるかもしれませんが、大局的なプラグイン設定として保存しているのはもちろんなのであります。そこから追い込むのが時間がかかるってぇワケなんですな。

そうやってようやく音を作り上げていこうとすると、道半ばで他の似た曲のドラムの音になってしまったりすると途端に回り道してしまう左近治。

曲折を経て並行して作ることが出来た今回の曲は「The Crunge」の他に、ジャン・ポール・ブレリーの某曲と、日野皓正のアルバム「New York Times」収録の某曲。この曲は左近治の大好きなドラマー、リッチー・モラレスが叩いております。それと、ジョン・スコフィールドのアルバム「Loud Jazz」収録の「Wabash」と。

「Wabash」は曲そのものがツェッペリン風でもありますが(笑)、デニチェンのドラムはボンゾに似ている時があるので、ついついイメージが重なってしまったというワケです。

概ね有名どころのアルバム達なので、この手のジャンルが好きな人なら必ず持ってそうなアルバムばかりですが、ドラムをピックアップしてみると全然違うと思われるかもしれませんが、私の用意したキットと某チャンネルストリップの設定でゲートとEQをチョコマカと変えると、これらの音に似た感じには持っていけるんですな。

「容量数十GB!!」というドラム音源は珍しくない時代ですが、そんなに容量必要なのか!?とも思ってしまう左近治であります。どのみち加工するのだから加工のための自由度を利用者に与えて生素材をトコトン用意してくれるのならまだしも(笑)、音色のバリエーションを増やしているようなのばかり。

ドラムの音作りというのは、前述の「道半ば」での発見が回り道が非常に重要で、これが講じて多くのチャンネルストリップ設定を保存していくことが可能となります。いわばバリエーションなんですな。

音源そのものは全く同じキットを使ったとしてもそのバリエーションは多岐に渡るものでして、近年のドラム音源は容量アップの目くらましで、音作りにおける重要度を利用者に伝えぬまま、音色バリエーションだけを増やす傾向にあるのは否めず、ユーザーがチョイとナメられているかもしれませんな(笑)。

今後リリースされるであろうそれらの曲のドラムについては逐次ブログにて語る予定です。

ルパン三世制作秘話 [ネタバレ]

本日リリースのルパン三世BGMについての制作裏話でも。放送話ごとに流れるタイプライターのSEに後に続くジングルで、もはやあまりにも有名なジングルであります。

これだけ曲の尺が短いにもかかわらず、耳コピには結構苦労したモノであります(笑)。何が最も苦労したかというと、タイプライターのSEが鳴り終わった直後のド頭のスネアとベードラの1発目。このジングルはココこそがキモと思い注力せざるを得なくなりました(笑)。

アニメ系のジングルを扱う比率はかなり低い左近治でありますが、手元に用意する制作用ネタ(原曲)が少ないのが扱う数の少ない理由(笑)。

最初のタイプライター部分は、原曲のタイプライター音からLogic ProのMatch EQにて周波数マッチング。それを全く別のタイプライターのSEにスペクトラムを適用。まあ、こういう風にスペクトラムをマッチングさせても全く同じ音になるワケではないのでありますが(笑)、マッチングさせることで「大局的な」EQカーブを確認できるということが重要で、まず作業はこうして始まりました。

余談ですが、タイプライターって言っても機種やら真砂の数ほどあるわけで、とてつもないアナクロなモノもあれば薄型でオリベッティを思わせるようなモノもありまして、機種ごとにタイプ音は全く異なります(笑)。特にルパンの「あの頃」の時代というのを考慮すれば、相当古いタイプのタイプライターが実際には必要になってしまうでしょう。左近治はその昔、brother製のタイプライターを使ったことがありましたが、「タイプライターで誤字脱字をしたらどうやって修正するんだ!?」とオツムの弱い左近治はその時点で首ひねったモンです(笑)。

まあ、なんてこたぁない。誤ってタイプされた刻印部にインクの付いていないものを重ねて刻印して紙を傷付けて消していたんですな(笑)。私、コレを知った時、いたく感動した覚えがあります(笑)。元々タイプライターは誤字脱字を極力少なくさせるために、わざわざタイプしづらい「QWERTY」という配列になったそうです。

とまあ、ハナシはさておき元の話題に戻るとして、次に現れるドラムの音がなにゆえキモなのかというと、ベードラの残響音に強調されている部分音とスネアの部分音がキモだったんですな。

ベードラとスネアそのものの部分音については割愛しますが、スネアは私が用意した最も近いキャラクターの音に、ある特定の帯域にG音の部分音を付加させています。これは「胴鳴り」部の部分音と判断して、その後奇数次倍音列に「ところどころ」当てはめてG音を強調しつつ奇数次倍音を付加させております。概ね13次倍音までを考慮して。もちろん、きっかり平均律に合致する音というワケでもありません(笑)。

ベードラの残響部は私の用意した最も似たキャラクターの音にC#音とE音の部分音を付加。もちろんこれらの部分音はすべて1オクターブ以内に収まっているというワケではなく、幅広いオクターブ関係になっておりますが、それらの音高を列挙するということは割愛させていただきます(笑)。

で、興味深いのはそれらの付加した部分音はC#ディミニッシュ・トライアドの関係になるという。

確かに自然倍音列には増四度の音(近似的な)やら高次倍音になれば出現しますが、まさかこれほど低次の範囲で減三和音の音が強調されていたとは想いにもよらなかったワケです。

ジングルの曲の調性を判断すれば確かにC#ディミニッシュはこの場合は関係調からはやや遠いものの、「ありえる」構造なんですね。だからこそ「キモ」だなあと痛感したワケであります。

原曲がここまでドラム類の部分音を活かしているということはこれはもはや偶然の産物とは考えづらく、ドラム類の部分音や残響部の部分音など、全てが「計算された」アンサンブルとなっていることがあらためて判ります。

いつだったか、暮れ近くにテレビ朝日の某深夜番組でカシオペアの向谷実氏が出演して、ルパン三世のテーマ曲のセカンダリー・ドミナントでのハーフ・ディミニッシュをポピュラーにした功績が大きいと仰っておりましたが、セカンダリー・ドミナントを使うシーンにおいて同じ構成音のハーフ・ディミニッシュを使うことでソフトにした感覚と形容すればいいでしょうか。これはショパンにも当てはまる部分があると思います。

ショパンのそれは、部分部分に用いる変格旋法による瞬間的な転調感がキモなんですが(※実際には移旋)、大局的には「半音階」のアプローチと片付けられますが、そのアプローチは概ね一瞬のセカンダリー・ドミナントの導入によるオルタード・テンションを用いたドミナント・モーションの動きを行っているんですね。

平均律が浸透したであろう、その頃には自由奔放な調性の重心を操りながら作曲していたんでしょうなあ。そうしてドビュッシーやらハチャトゥリアンなどと世に現れ、ジャズというのはそれらの楽曲の共通する部分で体系化されていったのでありましょう。というより、耳の鋭敏な人達はもはやクラシックやジャズなど関係なく「そういう音」に魅力を感じるようになっていくであろうことを予見した「時代の記録」なのかもしれません。

そのショパンのアプローチというのは、和声にてオルタード・テンションたっぷりの7thコードをジャジーに使っているワケではなく、その時代に勿論ジャズはありません(笑)。ハーフ・ディミニッシュの効果は、やたらとジャズ臭くせずに、ショパン的なアプローチになると思っていただければ、より理解しやすいでしょうし、フレーズそのものが受け入れられやすいかな、と。

それらが全て計算されているとあらためて痛感したのでありますね。大野雄二アレンジには。

たかだか数秒のジングルにもこのように鏤められているのが実にイイですね。

ドラムというのはどんなにミュートしようがゲートで削ぎ落とそうが、いいチューニングやアンサンブルのためにはトコトン配慮せねばならないものですな。

The late Tony William御大も本当に「奏でて」ましたっけ。

そういやMIDIって [ネタバレ]

2月8日のリリース曲についてですが、全般的にかなり「モンド」なラインナップになっております。

まずはEFXシリーズとしてのジングルは80年代中期のDXサウンドとOBシンセによるバタ臭さを感じるジングルに仕上げて、懐かしのシモンズの音を織り交ぜてみました。

一時期エレドラは脚光を浴びて、シモンズは高いからTAMAのテクスターでも・・・(笑)という風に物欲がかき立てられた方もいらっしゃるのではないかと。大体80年代中期だとOberheimのMatrix12やらChromaのPolarisとか、ensoniqのmirageとか、AKAIのS-612やらが多くの楽器店で陳列されていたように思えます。

それくらいの年代というのはまだまだエフェクト類にもシンセと同様に音の一部として重要視するような風潮は少なく、少なくともコンシューマ・レベルにおいてエフェクトによる音色変化のニーズが高まるのはSPXやらのマルチエフェクターの出現を待たなくてはいけなかったようにも感じます。上記のシンセ類の年代ではREV7が発売された辺りですけどね。やっとの思いでDX7手に入れて、シンセと同等の金をエフェクトに費やそうとする心意気はまだまだコンシューマ層には浸透していなかったような。

その時代において忘れてならないのはMIDI規格の出現と普及でありましょう。今でこそすっかりアナクロな規格と形容できる時代になりましたが、この規格が整備されていなければGM規格やら通信カラオケ、果ては着メロにも発展しなかったことでありましょう。まあ、MIDIについてはまた別の機会に語るとしますか(笑)。

そんな郷愁の念にかられるような音にしてみましたってコトで、次は「亀は意外と速く泳ぐ」のテーマ曲(笑)。ウクレレの音が実にほのぼのしております(笑)。魚など一匹も釣れなくとも「釣り」という時間に浸りたいというような、のんべんダラリンと時を過ごす感覚にマッチする曲でありまして、この曲がまた脳幹をくすぐってくれるワケなんですな。

他にも坂本龍一の「A Tribute to NJP」(笑)。もう3バージョン目だろ、コレ!と思われるでしょうが、このバージョンは従来とは違ってリズムレスで少々アンビエントな雰囲気を醸し出すパッド音を付加させて、Coda部まで作ってあるバージョンであります。尺はMedia Bahn Liveそのもの(笑)。来週も坂本龍一の曲をTaste of Honey系の音にした某曲をリリースするんですけどね(笑)。

さらにはルパン三世のBGMをひとつ(笑)。尺も短いのでパケット量を心配する必要はないと思います(笑)。もはやこれくらい短いと「アレしかないだろ!」とバレバレだと思うんですが、タイムリーなことに、最近パチンコのCMでも耳にしたことがある人も多いのではないかと思うので一度聴いていただければな、と。一時期はこの曲、iTunes Storeにて入手できたはずなんですが今はラインナップされておりません。なぜだろう!?(=理由は明白ですので割愛させていただきます)。


さて、そしてNite Flyteの某曲は、1stアルバム収録の「Sunshine」。デヴィッド・サンボーンが参加している曲のひとつで、抜粋部分は、サンボーンのソロが終わった直後のクラビネット・リフ部分のブリッジより。

このクラビネットの音はLogicの音ではありません。今回は別の音源使いました。最初の4小節だけ実はクラビネットの音に加えてチャップマン・スティックもクラビのリフ弾いてます(笑)。

原曲のスティーヴ・フェローンのドラムの音が実にオイシイ音で、当時のスティーヴ・ジョーダンもこんな感じの音だったよなあと思いにふける左近治。深胴タムかどうかは知りませんが、当時のフィル・コリンズのようにボトム・ヘッドの無いコンサート・タムの音というのは結構ドライで不協和成分が少なくなるんで引き締まった音を得られやすいのですが、このスティーヴ・フェローンやら当時のスティーヴ・ジョーダン系の音はボトム・ヘッドを高めにチューニングして、なおかつ卓の方でゲートで削ぎ落とす、と。

こうする事で叩いた瞬間に付加される初期反射の部分音が、いくらゲートで削ぎ落とされるとはいえ結構音色キャラクターの演出に役立てられるんですな。そこに1本のオーバーヘッドマイクで要所要所をフェーダーで上げ下げすることでちょっとした部屋鳴りのアンビエンスを拭かさせることができる、と。

ただ、今回の左近治はスッキリとリムショットでのシンプルなドラム・リフにアレンジ(笑)。イケイケにしてしまうとケータイでクラビのフレーズが立たないのではないかと思い、シンプルな構成にしてみたというワケであります。クラビ・フレーズまでもシンプルに改変しているワケではないですのでご安心を。着うたのベードラは結構抑え気味にしたのでありますがおそらく意外と立つ音になるんではないかと思っておりますが、こればかりはケータイの機種によりけりなので一概には言えないんですが、左近治自身楽しみな部分でもあります。
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