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クロスオーバー界隈に見る複調考察 [楽理]

 扨て、今回はあらためてフローラ・プリムのアルバム『Nothing Will Be As It Was... Tomorrow』収録の「I'm Coming For Your Love」を例に、本曲のあからさまに用いられる複調の実際を語ろうかと思います。以前のブログ記事でも語っていた事もありましたが、商用着信音制作時期は某ネット掲示板も勢いがあり結構な嫌がらせもあり、私自身本腰を入れずにハナシ半分程度の剽軽なキャラを装って書いていた時なので、あらためて触れておこうと企図した次第です。
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初期Casiopeaを代表する1曲「Black Joke」 [楽理]

 野呂一生作曲に依る「Black Joke」の高速フレーズは、1拍6連符で8つのパルスが刻まれる事で強拍を蹂躙するかの様にして叛く所にあるというのが複雑怪奇と為している部分であります。更には、8つのパルス構造になっているそのフレーズもギター&ベースの運指の側面から鑑みると、1本の弦あたり2・3音としてクロマティックを挟む部分で3音を奏する事となって「2と3」が8つのパルスの間に介在して来るので結構リズムを取りづらい難曲に数えられるひとつである事に疑いの余地は無いでしょう。


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キングパワー (4:最終解決) [楽理]

 懐かしのテレビCMのひとつに挙げられる東芝乾電池『キングパワー』。私が本CMを最後に観たのは1977年(昭和52年)の事ですから、本ブログ記事投稿時の2019年10月と比較すれば42年前の事となる訳です。プロ野球日本シリーズにてヤクルト・スワローズの大杉選手の疑惑のホームランが出た年でもあり、「最初のパンダは黒かった♪」というCMソングがヒットしていた頃でもあったという時代。「この時代を最後に」先のCMを観た覚えが無いというのですからこりゃまた相当古い記憶を辿る必要がある物でして、あらためて隔世の感を覚えるところであります。


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『シェーンベルク音楽論選 様式と思想』(ちくま学芸文庫)待望の発刊 [書評]

 2019年9月10日。筑摩書房から『シェーンベルク音楽論選 様式と思想』が文庫化として待望の発刊となった訳でありますが、文庫化が意味する様に過去の刊行物の復刻という事でもあります。

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 本書は嘗て三一書房から『音楽の様式と思想』というタイトルで刊行され、シェーンベルク自身が著す国内刊行物として十二音技法のそれが詳らかにされている物として筆頭に挙げられる物であり、古書でも市場価格として2万円を超えるのが珍しくなかった程(※2019年10月現在では文庫化もありだいぶ暴落している模様)で、なかなかの稀少本として扱われた物でした。私が入手したのは90年代にさしかかる頃でしたが、やはり1万円は優に超えていただろうと記憶しております。

 他にも私の記憶では、神奈川県下の公共図書館で本書を読む事が出来たのは川崎市立図書館だけではなかったではなかろうか!? と思わんばかりです。神奈川県立図書館にも無い程の希少価値があったという意味です。こうした状況を鑑みれば如何に高値で取引されていたのかもあらためてお解りいただけるかと思います。


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