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参連符ト伍連符之良好ナ相性ニ氣付ク [ドラム]

 最近の左近治の文章、慶應や明治生まれの人の様な字使い始めて読み辛ェ!とお思いの方もいらっしゃるとは思いますが、近代文化へのリスペクトを込めて態とこうした表現を用いております(笑)。

 それはそうと、3のリズムに5を乗っけたり、逆に5を3でノる!というのは非常に多くあるモノでして、少し前も5連符について語ったモノでしたが、今回は更にその続編とも言うべき内容とする事に。


 3と5の相性の良さというのは例えば1拍3連を5連符に細分化するというのが最も判りやすい例だと思いますが、シャッフルの曲に於いて5連符を使うというリズムの方がより強固に拍節感を拏攫できると思うのですが、まあリズムの上でのスーパー・インポーズとでも呼べる相性の良さは、異なるリズム同士の「披對」というシーンを垣間みる事が出来るかの様にも思えて来る程です。

 そうした3と5というリズムの相性の良さを獲得出来ない人はリズム感を獲得する上ではまだまだ未熟であり、それを自覚せぬまま唯単にやり過ごしちゃってる感を貫いてしまうと、憫然たる姿を周囲は皮肉にも「瞠目」する事になるのですからこうした恥曬しは堪ったモノではありません。勿論私とて人のフリ見て我がフリ直して来たモノでもあるのですが(笑)。

 その様な例だと1拍がキチンと3分割されている拍を今度は5つに細分化するという、或る意味単純な作業なのでこの辺で混乱してしまうのはマズイでしょ!と正直思ってしまいますが、ある音符の3つ&5つの音価に対して5や3でノる!というやり方は少々特殊な例になってきます。


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 以前にも語った事がありますが、ジェントル・ジャイアント(=GG)の3rdアルバム「Three Friends」収録の「Schooldays」の曲中盤のテンポがガラリと変わる様に聴こえる部分は、實際は先に現れるテンポの速いパターンの8分音符×5つ分の音価=1拍(次のテンポがルバートと成る様に聴こえるパターン部)としてリズムを刻むワケですね(メトリック・モジュレーション≒ポリテンポ)。



 ※因みに次の画像は同じくGGの3rdアルバム「Three Friends」の米国版のジャケットで、おそらく中古市場や輸入盤の多くの流通ではコチラの方を見かけるコトがまだまだ多いのではないかと思いますが、コチラのUS版ジャケは1stアルバムの色違い程度で小さくアルバムタイトルが載せられているだけの差異感しか与えられていないため、ただでさえプログレ界隈の音楽に食指が動くことなど一般的には少ないケースの中で、情報も少ない中で做品として非常に高いクオリティを誇る3rdアルバムを手にする事に尻込みしてしまいかねなかったりもするので「1stは手に入れたし、ただの色違いじゃ無駄銭になりかねないという心理」が働きかねないので、そういう点に態と対峙しているのがGGというのも面白い所です。
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 元のテンポに戻る時は1拍5連を感じ乍ら、其の5連符が次のパターンの8分音符×5に成る様に刻むのですから少々厄介で、ケリー・ミネアーのピアノが元に戻る世界観を簡単には把握させぬかの様に次の展開のテンポを想起した上での付点8分フレーズを刻んでいるのがオシャレであります。つまり、3と5の相性の良さを今度は別の尺度から斫伐するかの様に世界観を叩っ切るかのように見せてくれるのですから、こうしたポリリズムが齎す組んず解れつという形容ではまだ足りぬ、厳かな秋霜感に依ってまるで疼痛すら伴うかの様な厳しさと目の覚める様な切れ味を確認する事が出来ると思います。  そんなGGの件については当該ブログ記事を読んでいただく事として、今度は3つの音形に5をインポーズするという類の方では是亦プログレ方面の話題となり恐縮ですが(笑)、UKの1stアルバム収録の「Presto Vivace and Reprise」での16分音符×3つに対しての5連符(=5:3連符)という物も、先日リズム譜にしていたので記憶に新しいかと思うのでありますが、あの表記での「5:3連符」では、4/4拍子での1拍3連を5分割したモノではなく、付点8分音符1つ分の音価に対して(=16分音符×3)の5連符ですので、その辺もあらためて注意していただければな、と思います。
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 確かに4拍子系の通常の連符の表記でレシオ表記の連符だと「5:3」と表記されれば「3拍」を5分割するという意味です。但し「拍」というのは拍子記号の分母に対して通常は等価であるため、4/4拍子という拍子記号に於いての「5:3」の「3」の部分は確かに「3拍」を示すものの、あからさまに「混合拍子」にて表記している場合は、その拍節に対してが1拍であるため、付点8分音符の音価1つに対して1拍とカウントする表記が先の「Presto Vivace and Reprise」の「5:3連符」の表記なのですね。物理的な速度は16分3連よりも速く32分音符より僅かに遅いスピードとなります(笑)。  細部まで気の利いていない楽譜の場合、付点8分音符or休符を4拍ある混合拍子として表記すれば親切なものを、拍子記号は単純に數だけ合っている「3/4拍子」とか(實際は4拍ある拍節感すら無視して3拍子系にするのは誤り)、拍節感をどう与えていいのか判らず取り敢えず「6/8拍子」にしてしまったりとか、この辺の矛盾になんとなく気付いて「12/16拍子」と与えるまでは正解なのですが、その後の曲が持っている拍節感を捉えきれなかったりして帳尻だけ合わしている譜面というのは實際にはとても多いものです。
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 譜例ex.1の例にある様に本来6/8拍子は「二拍子系」に分類されるので休符を与えた場合このような拍節感が背景に潜んでいるのが判ります。つまり、音価からすれば数学の様に考えればex.2の先頭小節の様に四分休符×3拍であっても音価レベルでは等価ではあるものの、背景に備わっている拍節としては全く違うものです。  ex.1〜2での夫々の後半の小節の端切れ部分の休符は、同一であってもこれらの16分音符×3という音形に対して「5で割る」という感覚は、音符を愚直に分割するだけではなく、拍節感が齎す「呼吸感」を感じつつ音符が現實に横たわっていると考えてほしいモノで、ex.2での3/4拍子においては1拍と2拍をも途中で「跨いだ」尺度で、3拍子のスケール感(=音階ではなく大きさの意味でのスケール)ではそれほど細かく感じる事の少ない付点8分の音価を更に5つに砕いている、基の拍節感からは非常に縁遠い符割の砕き方となっているのです。  ところがex.3の様に、基の拍子記号を12/16拍子と与えてやって、付点8分休符が4「拍」あるという拍節感を背景に与えた上で付点8分の音価(=16分音符×3)を5つで割る、という砕き方はコレにてとても判りやすい砕き方に見える筈です。故に連桁を態と分斷している譯ですね(笑)。こういう表記の理解に依って、あらためてUKの「Presto Vivace and Reprise」での私が以前披露したリズム表記の「5:3連符」の真意をお判りいただけるかと思います。こうする事で異端な表記の前に拙誠は感ずるも当てずっぽうで身勝手な議論が生じてしまうという、よもや何処かの知恵袋の様な事にはならず静謐を目にする事ができるのではないかと信じてやみません。  この際なので序でに語っておきますが、次の譜例ex.4の様に、テンポが同一であっても前後の拍子記号と符割の与え方では物理的には若干のテンポ変更があるかのように振る舞うワケですが、これらは實際には「ほぼ」同一であると言えますし、ヒンデミットも著書「音楽家の基礎練習」に於いてはこの類の事をかなり重きを置いて語っております。とはいえ、こうした表記の差異感も演出できてこそ秀でた演奏になるのは間違いありません。自分自身が曲を作ってみて、その曲にシャッフル表記を前提とした表記にするのか、それとも付点音符系の符割にするのかという選択の自由が出て来ます。解釈にも幅が与えられますが、そうした解釈に幅が出て来るのはジャズのワルツでの4連符が多発してくるビル・エヴァンスの演奏の類などは一度譜面に起こそうとすればより一層深みを理解できると思います。
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 更にこの際語っておく可き事がアラ・ブレーヴェ表記でして、譜例ex.5の様に先頭の4/4拍子で与えられている4拍のフレーズは、その後のアラ・ブレーヴェでの2小節と物理的な速度は全く同一です。但し、曲中でこの様な表記変更のある做品に遭遇するのは極めて稀でしょうし、アラ・ブレーヴェ表記を目にするのは近年少なくなってしまっているのも事実です。
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 アラ・ブレーヴェ表記は楽曲の終始拍子変更が無い様な曲で与えられている事が多いのですが、実は同一の音価での4拍子の記号よりも倍加するのであるものの、「倍加」という概念が人間の脈拍や血圧や緊張亦はリラックス状態が左右して反映されるモノなので、實際には完全に倍加されていないにも拘らず、アラ・ブレーヴェでの表現として受容される曲もあったりします。ですので、そうした「曖昧」な表現の多さの現實に對して本来の理解が歪曲されてしまってはいけないのです。  12/16拍子だって曲に依っては4でノっている曲ばかりでもなく(4でノれば通常は1拍3連表記で4/4拍子を選択するのが通常)、なかなか付点8分音符やらの音価に配慮したりしないモノですが、この手の表記を欲する場面としては16分音符よりも細かい(32分音符)音符を漠然としたリズムではなく的確にこなす必要があるリズムを要求される場面だったり、付点8分の音価を4でノる様な場面(=4:3連符)やらいくつも遭遇したりするモノです。  GGのオフィシャル・サイトで配布されているGGのアルバム「Interview」収録の「Design」なんかは結構その辺が配慮された拍節感の与え方になっておりますね。
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 取り敢えず強く念頭に置いていただきたいのは、「1拍」という概念は常に2or4の音のためのモノではない!という所が重要な点なのでありますね。ですので、付点8分音符の音価を5分割する類の連符は自ずと「5:3」という風に表記するワケですので、この辺揚げ足取られても困りますのであらためてご理解のほどを。  とまあ、そんなワケで付点8分音符を5つで割る連符という實際を今度はプログレ方面ではなく、オマー・ハキムのドラムの例から挙げるのもイイのではないかと思うので、先は「Constructive Criticism」の和声的側面の話題だったので、同じ曲の冒頭のフィル・インに「5:3」連符のオカズを聴く事が出来るではないか!という事で今一度あらためて語る事に。
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 原曲は16分音符のケツひとつ分「食って」入る弱起の曲の為、曲はシンコペーションで譜例の4拍目16分音符ケツで始まる事になります。その前の音がオマー・ハキムのフィル・インで、譜例冒頭の複付点四分休符は實際にこの休符部分も無音で録音されているかどうかは別として、拍子記号を弱起に併せて16分音符系の変拍子にならない様に敢えて4拍子系の休符付きで表記しております。
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 この譜例から判るように、一番始めの音は2拍目の16分音符ケツからフィルが開始されているという事が判ります。直後に付点8分音符(=16分音符×3の音価)の「5:3」連符が生じて、連符の括りが終わっても連桁が連結している最後の16分音符は、3拍目の16分音符ケツに現れる音だという事が判ります。このフィルは決して32分音符ではない所を聴き取るのもミソなのでして、これは32分音符に聴こえるようで実は違うのです。5連符のタイム感に慣れるとこうした差異感は身に付きますが、不慣れだと大概の人は32分音符系のフィルという事に均された理解になってしまい、結果的にそれだと4拍子内での辻褄が合わなくなるので、どこかに實際には有り得ないタイムで音符を表記したり休符を与えたり表紙構造そのものを変えてしまったりする可能性が高くなるので、この辺りは神経質な位5連符の感覚を身に付けて感じて欲しい部分ではあります。  例えばこうした譜例を實際に練習材料とする場合、どのようにしてタイミングを計れば掴みやすいのか!?というと、私の場合は譜例下段に用意した連桁下向きのグレーで記した「陰」のリズム譜部分を意識しています。  その例として譜例のグレー部分の様に16分音符を頭に刻み、最初は4+4でノリつつ8個目(2拍目のケツ)で最初の音が入って、残りを「3+3+2」でノッて、最後の「2」は「1+1」でもあるため、シンコペーションを忘れないリズム感を意識する事が可能という事ですね。  つまる所、5連符というモノを意識し過ぎて16分音符3つ分に収まりきらないノリ方をしてしまう人が多いのでそうした音の「詰め込み」感を伴う様な急いた演奏は避ける可きで、そこに細心の注意を払わなくてはならないというコトを述べているのですね。  多くは32分音符のタイム感に吸着されてしまうからです。32分音符へのタイム感に吸い込まれない為に付点8分のタイム感を強く意識して、「3つを5でノる」という親和性をココで発揮する事に依ってプレイしやすくするのです。愚直なまでに4拍子という「4」というタイムスケールを維持した考えだと返ってマスターしづらくなりがちな例でもあるのです。  或る意味ではこうした単純な四拍子でも混合拍子として「砕く」発想をすると、複雑な変拍子のタイム感にも強くなります。まあ、UKのプレスト・ヴィヴァーチェ辺りをスンナリ聴く事が出来る人はストラヴィンスキーの春の祭典でもフツーに對應可能でありましょうし、曲の拍子構造をも自分用の拍節感を幾つも用意するのは面白い事だと思います。自分だけ15/16拍子でノッたりして後で辻褄を合わせたり(ヴィニー・カリウタが顕著)、そういう難しい對應もいずれは容易にこなす事ができるのではないかと思います。