SSブログ

YT IS GONE [YMO関連]

 高橋幸宏逝く。70歳。2023年1月11日午前5時59分脳腫瘍による誤嚥性肺炎で死去。あらためて心よりご冥福をお祈りします。今を思えば、暮れに「Drip Dry Eyes」を題材に拙筆ブログおよび譜例動画を投稿しておいて良かったと思っています。ユキヒロよ、さらば。

YT.jpg




続きを読む



共通テーマ:音楽

高橋幸宏「Drip Dry Eyes」楽曲解説 [YMO関連]

 1981年6月に発売された高橋幸宏の3rdソロ・アルバム『ニウロマンティック -ロマン神経症-』に収録となる「Drip Dry Eyes」(以下ドリップ・ドライ・アイズ)というのは、YMOファンの間でも名曲のひとつとして知られているもので、メジャー7thの響きが際立った佳曲であろうかと思います。今回は、YouTubeの方で短尺乍ら譜例動画を制作したので、併せて楽曲解説を縷述して行こうと思います。



Neuromantic.jpg

続きを読む



共通テーマ:音楽

『シン・YMO』を読んで [YMO関連]

 2022年8月19日に発売となった田中雄二著『シン・YMO』(DU BOOKS)を読み終え、ノンブルは693ページまで振られ、20字・28行・3段(=1680字/頁)という事になり、序文・跋文・ディスコグラフィ・出典を除けば単純計算でも108万6960字となる大著であり、相当な労作である事が伝わって来る物です。

Shin-YMO.jpg

続きを読む



共通テーマ:音楽

大貫妙子を意識してみた「Curtains / 高橋幸宏」譜例動画解説 [YMO関連]

 扨て今回は、YouTubeの方で譜例動画としてアップロードしている「Curtains」という楽曲について詳密に語って行こうと思います。

続きを読む



共通テーマ:音楽

坂本龍一「thatness and thereness」のコード解説 [YMO関連]

 扨て今回は、坂本龍一のソロアルバム『B-2 UNIT』収録の「thatness and thereness」について語って行こうと思います。楽曲そのものは静謐でシンプルな伴奏であるので和声的にもシンプルに思われてしまいそうですが、実はかなり凝ったハーモニーを垣間見る事が出来るので、そうした特殊なコードを含めて詳述する必要があろうかと思い今回のブログ記事に到ったという事に。

B-2UNITbackRS.jpg




続きを読む



共通テーマ:音楽

坂本龍一の31等分平均律「A Wongga Dance Song」について [YMO関連]

 扨て今回は、坂本龍一のソロ・アルバム『esperanto』収録の「A Wongga Dance Song」に徹頭徹尾用いられている31等分平均律(以下31EDO)について語ろうかと思います。



Esperanto.jpg

続きを読む



共通テーマ:音楽

坂本龍一初期作品「フォト・ムジーク」楽曲冒頭の微分音 [YMO関連]

 2022年1月21日にEP盤としては珍しい再発の報せがありましたが、それが坂本龍一の『コンピューターおばあちゃん』の再発というものです。

ComputerGranma.jpg




続きを読む



共通テーマ:音楽

Simoon / YMOの32分12連符に依るSE [YMO関連]

 今回はYellow Magic Orchestra(以下YMO)の1stアルバムに収録される細野晴臣作品のひとつ「Simoon」の楽曲冒頭SE3小節の内の3小節目「のみ」の32分12連符が顕著なSEを採譜したので本動画について詳しく語って行こうと思います。

YMO_us.jpg






続きを読む



共通テーマ:音楽

Bridge Over Troubled Music / Yellow Magic Orchestra 楽曲解説 [YMO関連]

 扨て、今回はYouTubeにてイエロー・マジック・オーケストラ(以下YMO)の「Bridge Over Troubled Music」の譜例動画をアップした事もあり、楽曲解説をする事に。

続きを読む



共通テーマ:音楽

悲しきブルーカラーワーカーの歌詞の謎 [YMO関連]

 髙橋ユキヒロ(以下高橋幸宏)というカタカナ表記時代の2ndソロ・アルバム『Murdered By The Music(音楽殺人)』収録の「Blue Colour Worker(悲しきブルーカラーワーカー)」という曲は作詞がクリス・モスデルという初期YMO作品にも多く見る名前で、元々は高橋幸宏の姉の家庭教師というつながりであったと言われます。

BlueColourWorkerFront.jpg


続きを読む



共通テーマ:音楽

Stairs(階段)/ YMOピアノ・ソロ解説 [YMO関連]

 Yellow Magic Orchestra(以下YMO)のアルバム『テクノデリック』収録の「Stairs」の作曲者は高橋幸宏であるものの、本曲のアレンジは相当に坂本龍一の特徴が色濃く反映されている様に感じられる最大の要因は中盤の静謐かつ印象派を思わせる近代和声をふんだんに用いたピアノ・ソロに依るのは疑いのない所でありましょう。

Technodelic.jpg


続きを読む



共通テーマ:音楽

Limbo / YMO 楽曲解説 [YMO関連]

 今回はYellow Magic Orchestra(以下YMO)の初期オリジナル・スタジオ・アルバムとしては最終アルバムとなる『Service』収録の「Limbo」の譜例動画をYouTubeにアップした事もあり、楽曲解説をする事に。
Service.jpg


続きを読む



共通テーマ:音楽

1000 Knives / YMO 楽曲解説 [YMO関連]

 Yellow Magic Orchestra(以下YMO)のアルバム『BGM』がリリースされたのは1981年3月21日の事。私がこれほどまで記憶が定かである理由は、その日に初めて走行中の初代ソアラに遭遇したという事が重なっていたからであります。



BGM.jpg

続きを読む



共通テーマ:音楽

坂本龍一の微分音 ─「iconic storage」楽曲解説─ [YMO関連]

 イエロー・マジック・オーケストラ(以下YMO)が各メディアで挙って取り上げられる様になり爆発的な人気を博していた1980年。その年の初夏にアルバム『X∞Multiplies 増殖』を戸塚で購入したという事は先日も語った通り。音楽でもファッションでも最先端の存在という誉れ高き名声を恣(ほしいまま)にして来た坂本龍一が突如アルファ・レコードからソロ・アルバムを発表するのがその年の秋の事でありました。

続きを読む


「Jingle Y. M. O.」 楽曲解説 [YMO関連]

 イエロー・マジック・オーケストラ(以下YMO)のアルバム『X∞Multiplies 増殖』(以下『増殖』)収録の「Jingle Y. M. O.(以下「ジングルYMO」)の譜例動画デモを急遽作る事になったので、これを機会に楽曲について語る事に。

続きを読む


テクノポリスのヴォコーダー吟詠 [YMO関連]

image-0042a.jpeg

 先日はYMOのアルバム『Solid State Survivor』収録の「Castalia」にまで言及してみたりしていた物で、あらためて当時のYMOブームを追懐するのでありますが、YMOのブームというのは79年秋頃に始まってアルバム『×∞増殖』の発売辺りが最も巷間を賑わせていた頃だったと記憶している物です。


続きを読む


坂本龍一に見る基底部を背かぬ属十三の形体 [YMO関連]

 今回は先頃話題にしたKYLYNの「I'll Be There」の補足ともなるのですが、本記事タイトルにしている事からもお判りになる様に、坂本龍一の自筆譜から読み取る事と、私が以前載せていたコード譜のそれと整合性が取れないのではないか!? と疑問を抱く方が居られたのでその辺りを払拭してもらう為にもあらためて「コード表記」という物をきちんと説明しておいた方が良いだろうと思って述べる事にした訳です。
image-37a8a.jpeg



続きを読む


フォト・ムジーク/坂本龍一のCDとは!? [YMO関連]

 扨て、前回の記事にてチラッと出て来た坂本龍一の曲「フォト・ムジーク」について折角なので語っておこうかと思います。
RyuichiSakamoto1.jpg



続きを読む


5連符の実際 [YMO関連]

 少し前に当ブログにて、1拍5連符の応用例として他の符割との違いをベースのフレーズにて紹介した事がありましたが、その前にもヴィニー・カリウタを例に挙げたりして不定期乍ら左近治は5連符ネタを扱っておりますので、興味のある方は今一度ブログ内検索をかけてお読みいただけると助かるワケですが、5連符というものは実に奥深いからこそついついこうして注視してしまうワケなんですな。


続きを読む


梅はまだか!? ビートニクスはまだか!? [YMO関連]

 この春、梅の開花は遅く、やはり今年は例年より寒かったのだと痛感しますが、なにせ私は寒い時が好きなモノでして、過去を振り返るにしても冬の記憶は執拗なほどにこびりついております(笑)。
UME2012.jpg


 扨て此処の所、高橋幸宏と鈴木慶一のデュオ・ユニットであるザ・ビートニクスがNHKやBSフジで最新アルバムや嘗てのYMO並行期の1st時代のカヴァーも含めて演奏されていたライヴの模様が放送されていたコトもあってご存知の方も多いのではないかと思います。





mejiro.jpg









hiyodori.jpg

続きを読む


グレッグ・フィリンゲインズ [YMO関連]

gp_pulse84.jpg

扨て、今回は少々小難しい楽理的側面の話題は置いといて、グレッグ・フィリンゲインズというプレーヤーについて語ろうと思うんですが、何の脈絡も無しに語るのではなくて、ソコには一応左近治なりの理由があって語るワケでございます(笑)。

続きを読む


夏場にグッタリ [YMO関連]

私は「夏」という季節は好きなんですが、ヒューメディティーな空気にはトコトン弱いのでついついグッタリしてしまうワケでありまして、コレが音楽制作にはとっても芳しくない状況を生んでしまうというワケであります(笑)。

続きを読む


アブドゥーラ・ザ・ブッシャー [YMO関連]

扨て、「Sweet Illusion」の楽曲解説の続きを語ることにします。

前回のブログでは渡辺香津美のギター・ソロの38小節目に見られる特異な音列について語ったのでありますが、とりあえず今回は曲の一連の9小節単位のコード進行を大局的に見ることとなりますが、少々重要な点があるのでそれについて述べておこうかな、と。

続きを読む


YMOのテクノポリスについて [YMO関連]

チョット前にテクノポリスをリハーモナイズさせたコード進行を載せた時があったと思うんですが、コンディミをモードスケールとして用いたりする話題やら、特殊なモード導入など色んな側面で語っていたこともあって、あの時に表記したコード表記というのは実は、そういった特殊なモードを想起しやすいように「敢えて」一般的なコード表記を避けて表記していたこともあったので今一度ご確認いただければ幸いなんですが、いずれにしてもまたもやテクノポリスの話題を語っているのは、他ならぬKクリでテクノポリスのレゲエ・アレンジでリリースしているからという理由であります(笑)。

コード進行はとりあえず次のようにして今回アレンジしているのですが、前回のブログでド頭のコードは表記が違いますね。これはシンセ・リードが入ってきた時の最初のF音を和声的に用いることで、前回のコード表記と違ってくるワケです。というより、前回の時点で提示したコード表記上においてシンセ・リード音を各自お試しいただいたらその時点で気付いてほしかった部分なんですね。「なにゆえ敢えてGm△7と表記しているのか?」ということを。

F#△7(+5)/G
Abdim△7

Em7(b5)
Eb△7(+5)

Bm9(b5)/D
Bb△7(+5)

Dm7/Eb
D7(-9、+11)

「F#△7(+5)/G」というのは、Bハンガリアン・マイナーをモードとするコードなので、あの時はあくまでも「マイナー・メジャー7thとしての」情感を感じていただきたかったという配慮から用いた表記だったんですね。

※あくまでも先のコード進行は、原曲に対する私の「過剰な」粉飾でありますので原曲のコード進行とは大きく異なります。特に「Dm7/E♭」というコードを私は2ヶ所で用いており、1つ目は原曲の同主調主和音&下属和音同士の「Gm→G△」「Dm→D△」での「D△」で生ずる部分で用いた物。2つ目は、原曲での同主調下屬長和音に依る偽終止の前のブリッジにて生ずる「E♭△9 (♯11)」とする部分の♭Ⅵ度(フラット・サブメディアント)上のコードとする部分であります。私のアレンジでは、この箇所での和音は短調としての原調の姿を大きく予見させてしまうので、それを暈滃させる為に敢えて「Dm7/E♭」と充てたのであります。


ダブ臭漂わせたレゲエ・アレンジにしているのは、折からのベッカー御大のリスペクトもあります(笑)。とゆーか、私の周囲ではレゲエを拒絶するような人間が比較的多くてですね、なぜだかラップとレゲエは聴かない人が多いので、レゲエやダブのサウンドは、先のベッカー御大でもほんの僅かにエッセンス忍ばせているだけですから、あの後でそれらを聴いた気になるのは到底おこがましいのでありますが、少なくともあのエッセンスに慣れたことでレゲエやダブに親近感を持った者が周囲に居るので、ここはひとつレゲエ的なアレンジを導入してみようか、というコトになったワケであります。


とりあえず話を戻してコード表記の部分の注釈を語っていきますが、例えばディミニッシュ・メジャー7thの表記に関しては、ドミナント7thでのオルタード・テンションを用いた時の構成音と共通することが多いので、隠れたドミナント7thとやらを探っていただきたいという配慮と、想起できたドミナント7thとしての機能は使わない!という強固なキモチの表れでもあるんですな(笑)。

他に少々変わった表記はというと「Dm7/Eb」。

コレはEbから仮想的に3rd音と5th音を見立てることができますね。そうすると「Dm7」というアッパー部分はEbからみた7・9・11・13というコトを示唆しますが、仮想的にそれらの3rd音と5th音を確定することなく、ベッカー御大の場合は非常に多様なモード・チェンジを行う(音をわざと変えてくるので結果的にモード・チェンジとなる)アプローチがあるので、実際にはそういう多様なフレージングを忍ばせていないものの、ベッカー御大を語ってきたからには、コード表記においてもそういう自由度を忍ばせておきたいな、という気持ちが強く表れた表現なんですね(笑)。

以前のテクノポリスのリハーモナイズにおいては、今回例として挙げている「D7(-9、+11)」という部分をメジャー・トライアド同士の分数コードにしていた意図は、コンディミをモードとして導入してダイアトニック・コードを語った後だったので、「隠れたコンディミのモードを見抜いてほしい」という思いから以前は敢えてそうして表記していたのですな。

いずれにしても「隠れた世界」というのは、その時点でモード・スケールが確定しているワケではないから「複調的」可能性を幾つも有しているというワケでして、複調性を語る上で「こういう世界だと、意外にも耳に馴染みやすいでしょ!?」という実例を語りたいが故の左近治なりの配慮だったりするワケであります。

何はともあれ、「穿った見方」をするとイイことあるよ、みたいな(笑)ことを言いたいワケなんですが、小難しい話は扨置き、左近治がYMO関連曲を繰り広げるにあたって、「テクノポリス」のような、一般的には認知度の高いとも思われる代表的な曲を取り上げるのは珍しいコトだと自負しております(笑)。

「ライディーン」やら「テクノポリス」というのはこれまで左近治は全く手を付けていなかったYMO関連曲で、今回はとうとう「テクノポリス」をリリースしちまったぞ、と(笑)。

YMOを初めて耳にして30年が経とうとしている左近治でありますが、スティーリー・ダンやヒンデミットやらヘンリー・カウやらに没頭している私が、それらの楽曲と同じく「ライディーン」に精神を注力させて聴くというのは些か困難なコトであります(笑)。

YMOのそれらの「代表的」とも呼べる曲のみならず、いわゆるキャッチーな曲というのは、よっぽどヒネりを加えない限りは誰がどう手を加えても同じような味にしかならないのですな。その「味」というのも多少クオリティが下がろうとも原曲のキャッチーさが相殺させてしまうようなトコロがありまして、「ウチの娘がとりあえず着メロ作ってみました」程度のモノでも許容されかねない向きがあるんで私は回避してきたのであります。んなコト語らずとも私の繰り広げてきたYMOの関連曲だけでも見ていただければ自ずとご理解いただいているとは思うんですけどね(笑)。

「数捌けなきゃやってられねえんだよ!」とばかりにビジネス面ばかりに目が向いてしまっては本末転倒だと思っておりますので、私はその手の曲を避けてきていたのであります。しかしながら今回このようにリリースしているとはいえ、そこにはやはり違ったアプローチで表現したいという意図が込められているのでありますな。






technopolis_reharmonized.jpg


最後に、原曲でのイントロのケツは偽終止形としてクローズド・ヴォイシングの「C△7」でシメるのが印象的ですが、今回の左近治のアレンジではこの部分でハイブリッド・コードを導入しています。

それは、今回私が用いているヴォイシングというのは低い方から判りやすく階名で言うと(わざわざ今回私が階名で表記するのは、題材がとっても判りやすい「テクノポリス」のため、普段とは違う方もご覧になったり聴いたりするかな、という所からの配慮から)、「シ・ド・ミ・ソ」という風に弾いているワケですが、左近治は「シ」の部分、つまり「B音」を基準に、且つB音を共有するというミラー・コードを形成させているんですな。

ま、判りやすく言えば、B音に鏡を置いて下方に映す、と。ミラー・モードの場合はモード・スケールをそのままシンメトリックに対称形にするのでありますが、ミラー・コードの場合は必ずしも元のコードが基本形である必要はないので、このような転回形のヴォイシングから形成することもあるのでその辺りはご注意を。

すると、先のヴォイシングだと下方に、すぐ半音下に鏡映し状態となるため「A#、F#、D#」という音を下に形成することになります。

結果的にそのミラー・コードを導入したハイブリッド・コードは「C△7/D#m」というコードを形成することになるというワケであります。さらに左近治は飽き足らず(笑)、このハイブリッド・コード上でG#m△7とEm△7を想起できる特殊なモード・スケールを用いております(笑)。何でもアリかと思われるかもしれませんが、一応根拠はあります(笑)。

「C△7とD#m」というコードは、D#チェレプニン・スケールを想起することが可能なので、元の曲調をなるべく失わないように当てはめてみた、というワケであります(笑)。こともあろうにベース音はD#m側の3度ベース、すなわち「F#」なので、元のC△とはまるっきり裏の音(笑)。

見方を変えればこのコード、B音を共有していることで「C△7とB△7」のハイブリッドとも言えるでしょう。しかし、B音は低音域には持ってきていないので、わりとよくあるハイブリッド・コードで「B△7/C△」というのもありますがコチラとは混同しないようにご理解願いたいな、と。ある意味ではB△7が下にあってC△が上にある、みたいな(笑)。そうすると長七ではなく短九の重畳となるワケでもあるんですが、一応左近治は低音にB音を持ってきているのでないのでご注意くださいな、と。

さらに言えばベースはD#mの3度ベースなんで、「F#音」にしているので、アッパーの「C△7」とは真裏の関係であるのも注意ですな(笑)。ただ、こうすることで短九の強烈な不協和は中和されますし、ドミナント7thに近い(完全11度の音が入るので結果的に機能的にドミナント7th系ではなくなります)音だと思ってもらえればよろしいでしょうかね、と。

ま、F#から見れば「M3rd、P11th、aug11th、M13th、7th、b9th」という音で構成されている、と。完全11度が含まれればそれはドミナント7thではないのは今更語る必要はないと思いますが、あらためてこういう風に列挙すれば判りやすいかな、と。

左近治がこーゆーコトをするタイプの人間だということを知らない「一見さん」だと、もしかすると「一体何て音使ってんだよ!?耳コピもまともにできねーのか!?」なんて思われるかもしれません(笑)。ただ、視聴できる部分はこの部分は聴く事ができませんのであしからず(笑)。とはいえ購入されてもとりあえずはメリットとなるような音を添えておりますので(笑)、底意地の悪い左近治がごくたまに見せるマゴコロだと思っていただければ幸いです(笑)。

さらに、このポリ・コード上でFハーモニック・マイナーに+11音を加えた音を弾いているのはお判りいただけるかと思うんですが(笑)、なんでこーゆーアプローチをしているのかについては今更多くを語りません(笑)。詰め込むだけ詰め込んでますけどね。とりあえずは無闇やたらに音を詰め込んでいるのではないのだということをご理解いただきたいな、と。

「オイオイ、耳コピ不完全じゃん!」みたいなのは正直カンベンしていただきたいな、と(笑)。わざと拡張してやっているという所だけは見抜いていただきたいモンですが、曲がテクノポリス故、人のタイプを別な意味で選別しかねないのでその辺りはチョット戸惑う左近治なのでありますが(笑)、まぁ、このトライもわざとやっているコトなので(笑)。

「勝ち負け」という尺度が左近治は嫌いなんですけどね、この尺度、大半の人はなぜか好むんですな(笑)。強いて言うなら左近治の手法を見抜いていただけなければその方が負け組になってしまうんでしょうが、「売れなければ負け」と思われる方がいらっしゃればトコトン負け続けていたいドMの左近治であります(笑)。

極論すれば、私のブログに目ぇ通さないのが勝ち組なのかもしれませんよ、と。

「sonatine」/ 坂本龍一  アルバム「BTTB」より [YMO関連]

まず始めに語っておかなくてはなりませんが、数多くある坂本龍一関連の楽譜や本人の解説による著書など、私はそれらに目を通しておらずCDだけを頼りにして自分なりの考察となっているところは注意してもらいたい点であります。

それらの著書や楽譜の解説と比較して異なる解釈があるかもしれませんが、それはご容赦ください。

とりあえず今回は懐かしのレトロゲーム風な音によるアレンジにしてリリースすることにしました(笑)。TR-808系の音も混ぜつつ、少々キッズ向け風にしてみたというワケです。私がイメージしていたのは「New Rally-X」みたいな音と言いますか、欲を言えばNew Rally-Xのような排気音を模した音も入れようかと思ったんですが、原曲の旋律が非常に多様なので、せっかくの多調感を汚すのもアレなんで、排気音は入れずにこのようなアレンジに。

この曲の不思議な旋律は、要所要所でチェレプニン・モードにモード・チェンジを行っているからでありまして、それが不思議な旋律となっているものであります。これまでチェレプニン音階について色々語っていたので、この曲についても語ろうかな、と。ついでなので作ってしまったというワケです(笑)。


Bbメジャーから6th音に行って、その後Fチェレプニンのモードスケールへと移行させて6th音へ戻りBb6サウンドに戻る(1-2小節目)。

この時Bbメジャーに再び帰結するものの、VIbに行くような形でGbリディアンに移行。Bbに戻る直前にGbチェレプニンを示唆(3-6小節目)。

この後はBbメジャーからGミクソリディアンを示唆するようになるが、メロディがC音からGb音まで全音階で下降する所はGチェレプニン(7-10小節目)。

Bマイナーの雰囲気を醸し出しつつ、本当はココはBドリアン♭2(Aメロディック・マイナーの第2音のモード)で毒ッ気をまぶす(笑)。半音ぶつけをしているのは確信犯的要素プンプン漂います(11小節目)。

12小節目の1〜3拍目は、Dbリディアン♭7th(Abメロディック・マイナーの第4音のモード)で、和声的にはGb7の5th音オミットにより、上声部の#5th音を使うことで巧みにリディアン・オーギュメンテッドの旋律を活かすことになります。

12小節目の3〜4拍目は、Bbチェレプニンとなるわけですが、上声部だけを見ると12小節目全体は全音音階を弾いているような感覚に陥るワケですが、巧みなモード・チェンジが行われているというワケであります。

そうして5度進行させてFM7に行くわけですが、Fメジャー7thの響きをかき消すように短6度の響きを強固にさせてAマイナーの響きにして、半音下のG#マイナーに解決する、というような動きを見せます。

元々はBbメジャー(変ロ長調)を変奏した旋律であったことから、G#マイナーの平行調であるBメジャー(ロ長調)は半音の関係で関係調としては非常に遠いものでありますが、半音上からBbに解決させるようなIIb→Iを中和させたような音になっております。

YMOの「NEUE TANZ」(=新舞踊)にヒントがあったリバーブ設定 [YMO関連]

え〜、リチャード・アルダーソンのミックス関連の続きをば。

先のグローヴァー・ワシントンJrのソロ・アルバム「Come Morning」収録の「Making Love To You」を中心に語りたいと思いますが、私がこのアルバムに入れ込むのはその音もさることながら、ミックスにおいて非常に興味深いワザを確認することができたからなのであります。

例えば、リチャード・ティーの弾くローズのパートひとつ聴いても、ローズの実像ではなくリバーブ音が音場を包み込むようにして、ステレオ感のあるリバーブが施されております。これはコーラスやらでのステレオ感とは違います。

この手の「包み込むようなリバーブ音」というのは、EW&Fのアルバム「I Am」(邦題:黙示録)の歌パート類に使われているリバーブと似たようなイメージを当時抱いていたモノです。このアルバム「黙示録」も私自身はミックスを学ぶためのマスト・アイテムなんですが、特にドラムのタイトなゲートのセッティングは非常に勉強になったものであります。雄大な長岡秀星のイラストレーションをそのまんま音としてイメージできるような、包み込むようなリバーブ感、ここに共通点を見いだしていたのが当時の左近治。

とはいえミックスにおいてアレコレ覚えるようになるのはそれから4年経過してからのコトだったのでありますが、色々試行錯誤しながら、気が付けばレキシコンの480Lを弄れたりしたという時代になっていたんですな(笑)。

例えばリバーブをBUSにアサインして各トラックのセンド量で送り量を決めていきますね。リバーブの基本でもありますが。ただ、リバーブがフル帯域鳴っているというのもこれまたお風呂場エコーを具現化する程度にしかならず(笑)、ましてや「音のサステインを伸長させる」ようなプリディレイのつかみ方というのは、教えてもらわない限りなかなか身に付かないワザだと思います。

しかしながらリバーブの奥深さとはその先のフェーズにあるもので、例えば広めのBPFを噛まして低域と高域をロールオフさせます。で、リバーブの後段にEQをステレオで、例えばLchの1.7kHzを+0.2dBほどブーストしたらRchの同じ帯域を-0.2dB下げてステレオ感をより演出したりとかですね、「その先にある」フェーズでのエディットというのは色々な道が用意されているモノであります。

但し、こーゆーコト施しても現在はデジタル・ミックスの世界。音像のセンターがかち合うワケですな。実像の音とリバーブの間接音のセンターが。

アナログ・ミックスですらセンターが強く現れるのに、デジタルでやったらもっと厚ぼったくなってしまうというジレンマ。

それを解決してくれたのがYMOのアルバム「テクノデリック」収録の「NEUE TANZ」のリバーブだったんですなあ。左近治が20才頃というのは、この曲聴いて目から角膜が落ちたモンです(笑)。

例えば、「NEUE TANZ」のケチャを模したボイスSE、「ザッザザザッザ!」というサンプリング音。曲中盤ではわざとセンターをキャンセルさせたようにしてバストラックのみのリバーブ音だけでボイスSEを鳴らしている所ありますね。これが最大のヒントだったというワケです。

奇しくも今回取り上げた3枚のアルバムのリリース年代などほぼ同時期です。それでいて全く異端とも思えるYMOからまさかヒントを得ようとは思いもよらなかったというのが左近治の当時の心境でありました。YMOのこのアルバムに収録の「Light in Darkness」という曲などブランドXっぽくて興味深い曲ですが、飛び道具的な音に耳奪われて大事なところを聞き逃してしまっていたというところが当時はもどかしかったというのもありました。「今まで何聴いてたんだ!?」と自責の念にかられたことも(そこまではオーバーですが)。

楽理面に無我夢中になっていた時代に、ミックス面だけを探れと言われてもムリだったろうなぁとは思うんですが、楽理も知らないリスナー的視点での音楽を聴く心地よさという視点を忘れてしまうと、ミックスは疎かになるものなのだろうなあ、とこれに関しては今でも注意している部分でもあります。

小難しいネタばかり取り上げるような左近治でありますが(笑)、五感だけが頼りの、コトバも知らぬ生まれたままの姿でオムツしてるかのような純朴な姿勢というのは必要なのかもしれませんな。小難しい方向ばかりからモノ見てると見失っていたり聞き逃していたりすることがあるんだと。そこに気付くには両面を知らないといけないので結局は回り道をしているような「模索の時代」というのは必要なのかもしれませんけどね。

ベースから見た「La Rosa」 [YMO関連]

前回の続きで、今回は加藤ローサもとい「La Rosa」についてガッツリ語ろうかと。で、今回はベースから見た考察です。

原曲で弾いているのは御大細野晴臣。この方のグルーヴといい、音選びといい、モード・チェンジが激しい中でのそれらの裏打ちされたテクニックと音選びetc、細野氏のプレイはこの曲に限ったことではありませんが、本当に凄いです。アンティシペーションを用いて先取りするセンスもこれまた極上。

概ねベースプレイヤーというのは曲のシンコペやトゥッティに忠実で、アンティシペーションを用いるシーンは比較的少ないと思います。しかしながらこれを活かしてしまうんですねえ。このセンスというのは一朝一夕ではモノにできないというか、この辺りにも凄さを感じてしまうんです。

「いかりや弾き」とも云われる、親指の腹でピッキングしながら人差し指や中指で高音弦側を弾いたり、または同一弦においてそれらの指でトレモロしたりとか、オールドスタイルの指弾き奏法が主体の細野氏でありますが、この奏法のメリットは弦跳びフレーズにおいて実にスムーズなんですな。スラップに代表されるオクターブ奏法しかり、長短六度や長短七度、或いは九度など色々ありますが、そういう音程幅の広いフレージングにも功を奏します。とはいえツーフィンガーにおいてもこういう跳躍は身に付けたいモノでありますが。

今回取り上げる「La Rosa」のベースの音はおそらくFender Jazz Bass。たぶんヴィンテージ系のものでしょう。少なくともマーカス・ミラーのような70‘s系ではないと思います。

原曲のこのベースの音で私が一番好きなのは、ハモンド・ソロに入る直前の「グボォッ!」とさせるグリッサンド下降時の音。



この太さと明確なゴリ感、さらには指板側で非常に明確に鳴っているブレの無い感じの音(おそらく押弦の確かさと、グリッサンドを急がない余裕のあるプレイが加味されている)など、実に心地よく、加えて、これだけのゴリ感は私であればラウンド貼り指板のタイプじゃないと多分出せません(笑)。他だとラボリエル爺しか居ないかも(笑)。高水健司氏もこういう音出すんですけど、たぶん弦とピックアップの距離が比較的近いのか、パワーのあるピックアップのせいかもしれませんが、コンプの利きが高水氏の場合早くなるミックスが多いんですよね。それがイヤだというコトではないんですが。だから音質としての飽和感を得たりして音の差異感を認識できても、ダイナミクスが機械で歪曲されてしまうような音が昔は多かったような気がするんで、細野御大のダイレクト感が好きだなーと思うばかりです。グレッグ・リーの音のブッといブリブリな音しますけどね。グレッグ・リーのフォデラの音は普通のフォデラよりも太い音がすると思います。その昔ミュージック・フェアにて日野皓正のバックで「New York Times」をアンソニー・ジャクソン(2ホーンのボデー ←死語)なんて滅茶苦茶太かったです(スラップですけどね)。だいぶハナシが逸れちゃいましたね(笑)。


ハナシを戻しまして、え~と、この手の音を70s系のJBでやると、フレットが全然違うので粘りがやや少なくなるんですな。ゴリ感はあるんですけど(貼りメイプルだと出ません)。

細野氏のプレイをあまり知らない人なら、この手のプレイはジェームス・ジェマーソン風、或いはチャック・レイニーを想起するかもしれません。

しかしながら、チャック・レイニーには失礼ですが、グルーヴから音から全てにおいてチャック・レイニーは超越していると思います。ホントに。

チャック・レイニーはどちらかというとパーカッシブ感を強めて音価も短目の印象が強いんですが、私は好きなタイプのベーシストで一定のリスペクトは抱いているものの、細野御大のこのプレーの方が確実に凄いだろうと思うワケです。

チャック・レイニーのプレーで凄いと思ったのは、スティーリー・ダンの「Kid Charmagne」邦題だと「滅び行く英雄」でしたでしょうか。

曲中盤のカールトンの1回目のギター・ソロが終わりそうな、CDタイムの2分58秒から、ハーフ・ミュートでグリッサンドを使いながら、パーカッシヴな音でポコポコとギミックフレーズ奏でてますよね。コンガ風の。こういう「色気」が好きなんですな、左近治は。たまに指一本のアップダウンでトレモロしたりとか、マーカス・ミラーで云えばジャマイカ・ボーイズの1stの「Wait」でのSBのスラップソロの最後の部分みたいな、茶目っ気タップリのプレーを見せたりとか。

まあ、細野氏にそんな飛び道具など要らないといわんばかりのコシのある音。コレにはホントに脱帽です。

坂本龍一のハモンド・ソロが終わる最終小節の2拍目8分裏で半拍3連刻んで白玉、と。こういう茶目っ気も実は細野御大も見せている所がイイじゃあありませんか。色気ですね、色気。

最近の音楽だと低音はドンドン低音志向になっているため、比較的ハイ・ポジションというか音域の高いところでのフレージングにセンスを感じるプレーが少なくなっているのですが、4弦ベースにおけるスラップ全盛の頃の音域と比較すればそれよりも低いし、歌心のあるフレージングになっているでしょう(笑)。

実は今回、左近治が「La Rosa」の唄部分で唄メロにクラシック・ギターを用いたのは、細野御大の名曲「ろっかばいまいべいびい」を作っていて、それに触発されて、向こうがスティール弦なら、こちらはコンパウンドにしてみっか、と思ったからなんですね(笑)。

楽理面で語るにもオイシイ、さらにはベース面で語るにもまたまたオイシイ。さらには松木恒秀のイナタいギターも本当にツボを得ております。当時Stuffの音に酔っていた方には堪らない曲かもしれません。ま~だStuff聴くには耳が幼かった左近治に引っ切り無しにジェントル・ジャイアントの「So Sincere」聴け!だの、Stuff聴かされたりだの、ジェイ・グレイドンは気に入って、フューズ・ワン聴かされ、ナイトフライト聴かされていた時代が懐かしくもあります(笑)。その経験があるからこそ、この「La Rosa」も妙に親近感が湧くのでありましょう。

あらためて痛感しますが、30年前のこの曲から、あらためて勉強させられることって山ほどあるような気がします。ホントに。

当時のYMOファンの皆様も、お年はかなり召されているでありましょうし、加齢に伴う諸問題は抱えても、音楽面においてはそれまでの間に、かなりの数の曲との出会いもあったことでありましょう。お子様も既に成人されている方やお孫さんがいらっしゃる方も多いかと思います(笑)。ややもすると当時は聞き逃していたかもしれないような響きを今一度お聴きになって再発見するものもあるかもしれませんし、この曲独特の魅力はどこにあるのかという雑学ネタ程度にでも楽理面で知っていただければな、と思います。

何はともあれ、こういう速弾きフレーズが先行する部分に注力する時というのは、まずターゲットとなる旋律を1小節ずつ、ややもすると各拍ずつ打ち込んでいきます。同列に他のパートを「よっこらせ」とばかりに同じように打ち込んでいきます。

通常ならベースパートをある程度の小節部分を打ち込んだり、ドラムパートから打ち込んだりして構成していくのでありますが、こういう場合は一音一音が勝負!とばかりに入念に音拾いながら打ち込むのが左近治流です。その後で打ち込みっぽさを排除して音のバランスやミックスなど整えていくのが骨が折れる部分です。ですからかなり非効率的な打ち込みにならざるを得ないので、作りたくてもなかなか気が向かなくなってしまって頓挫することが多々あるという裏事情です(笑)。

思えば、この曲が収録されている「Saravah!」のアルバム番号8番違いで「コチンの月」はリリースされていたようですが、アナログ盤では私今まで一度も現物をみたことがありません。あちらのアルバムの場合、器楽的に聴こうとするより、ドラッグ要素の高いというか、テクノやトランスやら延々と続くリフや音像の変化を楽しめるような「変性意識的な耳」で聴かないと、器楽的に聴こうとしてしまうタイプの人だと「なんだこりゃ?」と思われる可能性の高いアルバムです。しかし、「コチンの月」こそがYMOでも具現化していなかったサイケなテクノを演出していることに驚きを禁じえません。

一方、ウーベ・シュミットの別名義「セニョール・ココナッツ」が提示する「Plays YMO」の世界は、pre YMOであるYELLOW MAGIC BAND期の細野御大そのものを感じ取ることができて、30年以上も前からそういう感性を備えていて、且つ「コチンの月」のようなアルバムをも作った方のベースのプレイは、誰もがひれ伏すような演奏ですからね。本当に驚かされることしきりです。

高橋幸宏 「La Rosa」を作ってみて [YMO関連]

扨て、明日4月18日はリリース日。とりあえず4曲の予定ですが、おそらく、ちょっとコア目なYMOファンの方々には楽しんでいただける日ではないかと思います。

まずはEFXシリーズではsus4を用いたクリシェを使った、ちょっぴり脳幹直撃系なエレクトロというかオルタナ感を演出しながらチープでkinkyなリフにしてみましたぞ、と。この手のクリシェならもう一回クリシェさせたところをドミナントとみなしてトニックマイナー!みたいな行き方をするのが普通だと思いますが、そうはイカのキ●タマ!ってワケで着信音に最適と思われる音をちりばめつつ、且つポップな演出を施しました。

このジングルを作った背景には、柴咲コウの「Kissして」を聴いてついつい浮かんだモノなんですが(笑)、パクりではありませんし全く違います(笑)。言わんとすることはお判りになるとは思うんですけどね。とりあえずエンディング部以外では全くイメージすら掴めないほど違うと思います(笑)。強いて言えばアルペジエータのフレーズくらいのもので(笑)。

で、他の曲はというと、今回のタイトル通り高橋幸宏の「La Rosa」を。

「ユキヒロ」時代のソロ・アルバムで、作曲は加藤和彦。それにしてもこの曲のコードも実はかなり好きな部類でして、30年も前にポピュラー音楽界でこれほどのコード進行を導入していたというのは非常に驚きであります。

今回リリースするのは坂本龍一が超高速ハモンド・オルガンのソロを聴かせる部分と、その続きにの移調した唄部分ですね。



遡れば、もう2年ほど前からこの曲の触りの部分は制作しておりました。坂本龍一のPremiata Forneria Marconiばり、はたまたエディ・ジョブソンもビックリ!くらいの速弾きの手前で制作は頓挫しておりました。この手のフレーズは音取るのは厄介。音取ること自体が難しいのではなく、この手のフレーズというのは私の場合は、一旦途中でやめてまた別の時に、という風に寸断してしまうとなぜか途中でやる気が起こらなくなるという悪癖がありまして(笑)、一旦集中したらそれを寸断することなく片付けないと耳の集中力が萎えてしまうんです。たった数小節にしても、音の数は結構ありますからね(笑)。中世の頃なんてリアルタイムに写譜していたワケですから、そういう人達の能力には遠く及ばないというワケですな(笑)。

しかし、ソロの部分の音を取ること自体は10分=1工数の場合で20前半くらい。要は4時間くらいなワケですが、4時間一気に集中することすらままならない左近治が情けないんですが(笑)、集中の度合いは傍から見たら多分病的かもしれません(笑)。難曲においてはいつもこんな感じです。

32分音符当たり前、一番速い符割で1拍12連。でも、勢いに任せた運指ではなく、しっかりそれらの符割を意識したソロ運びというのが音を取ってみてあらためて痛感した部分なんですが、おそらく坂本龍一本人は、この手の緩いテンポでは自身の中で倍テン刻んでると思うんですな。そうするとbpm200前後で16分音符や1拍6連を弾くような感じ。そうしないとここまでハッキリとしたフレージングはできないと思うんです。

一方で、同アルバム収録の「Elastic Dummy」のソロは結構勢いに任せた感じを出しておりますが、あれ自体フレーズの音並びがそうさせるだけで、ソロののっけから5つ刻みの1拍6連の羅列から入って来ているワケですからね(笑)。5連符じゃなくて。音並びがそう聴こえさせるだけのギミック感を演出しながら確固たるリズムが備わっている、と。坂本龍一というとテクニカルな部分ではあまり語られにくいかもしれませんが、あらためて技術面をも理解できた思いです。

唄部分に入る時に移調しますが、直前のコードはF△/A♭。

まあ、実体はA♭7(♭9、13)なワケですが、アンサンブル全体でも和声を欲張ってはいません。どちらかというとボサ・ノヴァ系でよく出現するようなomitを意識しているような気がします。

従来から楽理面やらウォルター・ベッカーやら語っている左近治は、このomitしてドミナント感を希薄にしたコードを積極的に使うとベッカー風になるということをあらためて強調したいのでありまして、「La Rosa」のここでは確かにドミナントの用法ですが、この響きを別のアタマで解釈するようにも聴いてもらいたい部分であります。左近治が勝手に弄っているワケじゃないですよ(笑)。

ベースのA♭と上声部のBダブルフラット(=A音)とが強烈な不協和になるのではないか?と勘ぐられる方がおられるかもしれませんが、そんなことはありません(笑)。オルタード・テンションの解体とでも言いましょうか、こういうオミットした音に慣れて別解釈をすると、ウォルター・ベッカーやら、スティーリー・ダンの「Negative Girl」や「Glamour Profession」、或いはフェイゲンの「Tomorrow‘s Girls」のイントロ部など、もっと深く理解することができると思います。

で、唄メロ部は今回クラシック・ギターを用いて上声部でオリジナル・メロディを語りつつ伴奏っぽくアルペジオを織り交ぜております。勿論1パートなので聞き取っていただければ幸いです。というか、ソロ演奏じゃないですからね(笑)。ただ単にクラシック・ギターで単旋律は愚直だなぁ、と思ったのでそれを回避したアレンジを施したというコトです(笑)。

ここでの唄メロの「いつか~見た・・・」の部分はF#m△9ということも聞き逃してほしくない部分です(笑)。その直前のコードで坂本龍一がクロマチック的なアプローチで遊んでいる部分は、メジャー7thにおける「あの」遊び方ですね。散々過去に述べたので今更語る必要はないと思いますが。

最後にトニック解決直前のコードは、アンサンブルにおいてはベースがD、キーボードがE△/F△、という風になっております。ハイブリッド・コードで見立てればE△/Dm7という風な見方ができますが、便宜上はここのコードはD7(#9、#11、13)となります。しかし3rd音(=F#音)をomitしている所がポイントですね。

便宜上コード表記でそのように記していても、実際には7th音を省略したりなどよくあることです。概ねこういうシーンではモードを提示するための策としての意図が感じられるわけで、アンサンブル全体で注釈を付けたい場合はそのような指示をする必要があると思います。で、「La Rosa」でのここは、明らかに3rd音を避けておりますので、そういう細かな意図にも耳を傾けていただければな、と。左近治の勝手アレンジではないですからね(笑)。


加えて、もう1曲が「Plastic Bamboo」のスムース・ジャズっぽいアレンジ。以前にもイントロのみリリースしたことがありましたが、この機会に続きみたいなものをリリースしておこっかな、と(笑)。

この曲はYMOの紀伊国屋ライヴのアレンジを参考にしておりますので、原曲の「Plastic Bamboo」よりも和声感が強く現れるため、曲のイメージを掴みやすいかもしれません。クロスオーバーな雰囲気はプンプン漂いますけどね(笑)。

で、この曲のヒミツというか、実は「Plastic Bamboo」のテーマ部の最初の2コードと、山下達郎の「Kiska」の2コードパターンは同一なんですね。キーというか、センター・トーナルこそFとGで長二度違いますが。

「Plastic Bamboo」では、その2コードをさらに偶数小節で少し手を加えているコードワークにしているんですね。

これに関しては左近治の推測ですが、おそらく山下達郎と坂本龍一の両者はこのコード進行を持ち合っていたのではないかと思うんですね。

山下達郎は後の坂本龍一の「千のナイフ」にて別の曲ではあるものの参加していますし、山下達郎の「Kiska」においても坂本龍一は参加どころか編曲しているので、もしかしたらそちら界隈でお気に入りのコード進行だったのかもしれません。両者全く違うメロディを生み出していますし、ただの偶然かもしれませんし、パクりかもしれません(笑)。ただ、パクりなら両者とも相互に参加しているからその可能性は低いかな、と(笑)。

ここ最近、「Kiska」も作って楽理面において講釈垂れてきたので、折角なら「Plastic Bamboo」まで引っ張らないとと思いまして作りました(笑)。

本来なら数年前にイントロ部だけをリリースした後にでもリリースすれば良かったんですが(事実、リリース当時は続編の声があれば作ります、と私はアナウンスしておりました)、お客様からの、その後のパートを作って欲しいというような声が少なかったので、今まで伸びてしまったワケです(笑)。

お客様からの声が多い少ないで判断するのではなく、折角頂いた声がどれだけ少ないとしてもそれに応えなくてはKクリでのスタンスがぼやけてしまうではないか!と左近治、今あらためて痛感しております。過去には某団体の曲リクエストされたりしたこともありまして(笑)、ちょっとそれに応えるわけには世論の動向からして許容されないだろうな、と当時は判断させていただきました。仮にゴリ押しで作ってもハネられてたかもしれませんし(笑)。勝手サイトならそういう無礼講的スタンスもアリかもしれませんが、一応Kクリは大手も絡んでおられる所ですし、関係各所に迷惑をかけてしまってはなりません。大手だろうが小規模だろうが関係なく公序良俗やら注意を払わねばならないこともあります(笑)。

まあ言いたいことは、お客様の声というのは多い少ないではなく、重みで考えろということですな。それを教訓にしたつもりでございます。

渡辺香津美の弾くカッティングのフレーズこそがキモだと思います。本パターンでは一部フェイザーを掛けておりますので、エグみが伝わるのではないかと思っております。とりあえず今回はこの辺で。

高橋幸宏 ~「ユキヒロ」時代の「Mirrormanic」~ [YMO関連]

4月11日リリース予定曲について。

ココ最近では少なめの4曲のリリースとなっておりまして、まず1つは先週ローファイな音でリリースしたジョンスコの「Wabash」の通常ミックスにてリリース、と。6連符と5連符の中抜き系のイナタいフレーズはお判りいただけたでしょうか?昔ヴィニー・カリウタの話題でも述べた5連符の「そこんトコ」フレーズの応用とでもいいましょうか(笑)。「そこんトコ」の「ん」が休符なワケですね(笑)。

老婆心ながら、5連符の「2、4」や「2,3」或いは「3,4」で、後は休符っていうリズムはレゲエ系にも結構使えますよ、と。それと同時に付点16分音符との違いを確実にマスターするとボキャブラリーが増えるのではないかと。5連符の「2,4中抜き」なら「祐天寺」、と。

この手の連符は全て連なる音のリズムを出すこと自体は簡単なんですが、休符を織り交ぜた感覚を養うことが重要でありまして、「秋葉原」や「池袋」などと言葉を羅列して全ての音だけ出してもマスターしたとは言えません(笑)。6連符においても少なくとも「西日暮里」と、「っ」を休符で感じ取るようなリズムとかが次なるフェーズかな、と(笑)。「鶯谷」の6連符じゃあチョット味気無いでしょ(笑)。その後、めざせ!「骨董通り」の7連符。先のKORNの「Ball Tongue」なら「骨董通りこんちきしょうめ」と早口で(笑)。

ま、今回の「Wabash」の一連のフレーズは「代官山そこんトコ♪」と銘々してみまひょ、と(笑)。でも、代官山とそこんトコの11音全て均してしまうと2拍11連符っぽくなるので、コトバ唱えるのにも注意が必要ってこってすな。

EFXシリーズはトリップホップ系のループをひとつ。ポーティスヘッドや当時のミシェル・ンデゲオチェロの音を参考にした陰鬱な感じの音に演出しました。

さらには以前からリリースしている坂本龍一の「iconic storage」のイントロから尺が許す所までのバージョンをリリース。こちらはフェードアウトするようになっております。45秒制限をもどかしいと感じるのはこの曲に限ったことではないんですが、もう少し長めの尺が許されれば多くの曲は結構収まってくれるモンですが、なかなかうまくいかないものです(笑)。

で、最後に高橋幸宏の「Mirrormanic」と。こちらはアコギを使ってソフトな風合いにしながら、ウーリッツァーとソリーナの音も混ぜて、やさしい感じのエレクトロな音にしてみました。女性受けするような感じというか。元々、高橋幸宏の持つオルタナな感覚というのは結構弄っても生かされるモノで、今回こういうアレンジで参考にしたのはPrefuse‘73が別名義で活動しているSavath & SavalasとかZero7の感触とでもいいましょうか。音は全然違いますけどね(笑)。

裏舞台を明かせばホントは「Une Femme N‘est Pas Un Homme」という、ビートニクスの「出口主義」に収録されている曲もリリースする予定ではあったんですが、私の作る音がどうしても軽くなってしまいまして、ヘヴィなインダストリアル感が演出できずに今回は見送ることに(笑)。また、作ってしまってからアイデアが湧かず、ダーティーで陰鬱な印象を出せずに一旦保留にしているという裏事情(笑)。まあ、このまま恥さらすかのようにリリースしてみるという暴挙に出る選択肢もありますが、やはりもう少し手を加えたいというのが人情でありまして、この先どうなることやら(笑)。私のような愚直なアイデアではなかなか辿り着けないのは当然といえば当然でありますが。

ま、しかしココ数ヶ月YMO関連で言えば相当坂本龍一づいていたので、たまには高橋幸宏の曲とかもリリースしないと、と思いまして手がけることになったんですが、春の季節にフィットするような曲を選んでソフトな感触を目指したぞ、というこってす。とまあ、今回はこの辺で。

いらいら [YMO関連]

iTunes Storeを何気なく眺めていたら、目に飛び込んできたのが新盤追加にて懐かしのアルバム

はっぴいえんどの1stアルバム、通称「ゆでめん」が!

着メロ時代に「春よ来い」をリリースしている左近治でありますが、本アルバムで左近治が最も好きな曲は「いらいら」。annoying

この曲は、御大細野晴臣の作曲。しかもアルバム中最もロックを感じさせる(しかも洋風な)。Little Featの「Cold、Cold、Cold」に似た味わいや雰囲気があるというか、パクリとかそういうモノではなく、当時の日本のロック魂がフォーク色の強い時代の中で根付いているというか(アルバム全体もフォークロックな感じが多い)、そんな時代でさりげなく「ロック」を感じさせる曲が「いらいら」なんですなあ。

エイプリル・フール時代は大瀧詠一が細野晴臣を呼んで、さりげなく部屋に置いたバッファロー・スプリングフィールドのアルバムにどういう反応を見せるか!?という探りをバンド結成の前に行ったというのは有名なハナシ。これにて意気投合し、はっぴいえんどに至った、と。


左近治ならジェスロ・タルやらキャラヴァンとか、ジェントル・ジャイアント、ジェネシス、ピンク・フロイド、ナショナル・ヘルス、ギルガメッシュ辺りで談義するようなモノなのかも(笑)。語り尽くすには三日三晩じゃ収まりそうもありません(笑)。

ロックとはあまりに多様であるがゆえに、そこには色々な実験的な要素も時代背景もあって非常に影響を受けているのでありますが、やたらとバロック風な曲調ではないとプログレとして認めない「偏狭的」なプログレ・ファンも多い中で、平たくロックを聴くことができる耳ってえのを養わないとならんと思うワケでありますな。

ジャズだろうがロックだろうが、ひとりのメンバー追っかけて色んなアルバム集めるとそりゃもう膨大な数になるワケですが、躍起になるのはやはりその人の個性があるからですな。「バンド」としての形が他に形容できない個性を作っている類のバンドはそれこそが理想なんでしょうが、私は実はこういう「バンドでしかあり得ない」個性というのはあんまり好きじゃないみたいです(笑)。どんなジャンルでも。

スティーリー・ダンでも結局はあのお二人があってこそ。デニー・ダイアスもジェフ・バクスターも好きだけれど、何故かバンドっぽさを感じるのはジェフ・ポーカロやマイケル・マクドナルドが居た時代。エリオット・ランドールがメンバーであればあのお二人はもっとスティーリー・ダンのバンドサウンドを構築していったのかもしれません。


ロックとは!?

「イイものもある、悪いモノもある」(笑)。YMOファンには懐かしい響きでしょうか。レアなアイテム用意してますんで、YMOファンの方々には。