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ドラム音源にMONO申す [ドラム]

近年のドラム音源はマルチ・マイクによる収音が一般的になっており、左近治はこれらの取り扱いに非常にアタマを痛める日々が続いて、身も心も疼痛抱えております(笑)。

まあ、闇雲にステレオ感強調するためにマイク置いているのではないのだし(笑)、この辺の位相合わせというのは苦労がつきまとうモンでもありますが、モノ音源からステレオ・イメージを構築するよりかはきちんと揃えればそれなりのステレオ感が得られるというワケで、利用者への訴求力も高まるであろう、ステレオ・イメージのために注力されているのでありましょう。

私の打ち込みのメイン環境はLogic Proですが、ユニバーサル・トラック・モードとか色々設定すべきところは沢山あります。まあ、何と言っても譲れないのはステレオで用意されたファイルもスプリットで扱わないとダメなんですな。

私の周囲の知人からもDAWアプリ関連について訊かれることは度々ありまして、中にはTDM環境とWaves手に入れるんだ!と躍起になってヘソクリ貯め込んでいたのがウィッグに消えてしまったという(笑)方もいるんですが、私なら間違いなく前者を手に入れたであろうと思うのであります(笑)。まあレシオ1:9のバーコード・アシメトリーを引っさげて街を歩きたくない気持ちも理解はできるんですが、私ならアタマにタトゥー入れるかもしれませんね(笑)。フサフサの(笑)。

そんなハナシはさておき、そういう知人達が最初にブチ当たる壁の多くが、ステレオファイルをそのまま使ってステレオトラックにアサインしてミックスしてしまうという作業。問題が生じなければ別に構わないのですが、左近治なら間違いなく問題がおこるので、可能ならスプリットファイルにして各チャンネルモノラルにて編集することをお勧めしているというワケですが、実際に楽器店でのデモもほぼ間違いなくスプリットではデモしていなかったりするのだから、そういう風潮になってしまってもおかしくはないかと思うワケであります。

というのも、私はコンプはもとよりゲートを多用するというか、ミックスはやはりゲートありきだと思っておりましてですね、例えばステレオファイルをステレオ・トラックにアサインした場合、大概のプラグインはステレオ対応でロードされるワケですが、LとRチャンネル別に設定できるものは少なく(左右独立)、ステレオリンクしているプラグインが殆どであります。

コンプではかなり強烈にかけない限りはステレオリンクさせただけの設定で、ステレオイメージが大幅に崩れることはなく馴染むモノですが、ゲートの場合だとかなり違います。

ステレオイメージの場合、かなりパンを降られたソースだと片チャンネルのレベルは相当低いので、ステレオイメージを残したままプラグイン側のステレオリンクで補おうとしても無理なケースが多発するワケです(笑)。例えばゲートのスレッショルドの取り方だってそうです。

ステレオリンクさせただけの設定だとそういう時に、低い音の方のチャンネルが消えていくので音のイメージは消失して、素早く音のイメージがどちらかの生きているチャンネルに移動してパンニングのような効果が作られてしまいます。

まあもっとも、こういう音って市場でリリースされているCDやレコードでも遭遇する曲があったりするんですが、たいていはそれを効果をポジティヴに捕らえたものとして構築されているんですね。ビットレートがかなり低いMP3など昔のコーデックなどは、左右のチャンネルにおいてこういう現象が起きてしまうようなコトに遭遇するのもしばしばでした。

というわけで、ドラム音源を始め、ハナからステレオイメージを安直に手に入れられるからといって、ステレオの扱いに無頓着になってしまってはいけないんですな。ココが大きな落とし穴となるわけであります。

ゲートを多用することで得られる相乗効果はアンサンブルがスッキリする、ということ。日が落ちて闇に隠れそうな太陽だって光を届けるのは波長が低い赤の方が目につきやすいから。音もそうで低音のエネルギーというのは大きいワケですね。

多くの楽器によるアンサンブルの不要な低音のうごめきや残響がスッキリすることで、アンサンブルにおける各楽器の分離がよくなるというワケですね。だからといってゲートで切りすぎちゃダメですけどね。


そこで今回用意したサンプルファイルは、Native Instruments Battery 3に収録されている「Acostic Kit」の中から「Vintage Kit」を選択して作ってみました。正直、このキットのベードラや4つあるタムの内、低い方の2つの音はかなりキライです(笑)。

それをどうにかほどこして、スプリットステレオとして扱いながら各チャンネルをトリートしつつ作ったというワケです。

最初に現れる2小節が何も施していないデフォルトの音。2ミックスとしてのリミッターは施しておりますけどね(笑)。後半の2小節が左近治がエディットしたもの。

後半にて使ったものは、高い方の2つのタムにMetric HaloのDSPでサイドチェイン・ゲート、サイド・チェイン・コンプとEQ、低い方のタム2つがURSのチャンネルストリップ。ベードラはLogicのゲートとコンプです。

そこでApple Loopのシンセ音付加させておりますが、後半の方がアンサンブル的にもスッキリ明確に聴こえると思います。この辺の好みについては各人十人十色という部分でもありますが、スッキリ感は判っていただけるかな、と(笑)。

スプリット・ステレオの扱いと安易にステレオ・イメージを構築できてしまう誘惑。これに誤摩化されずに音作ってナンボ、というワケですな。


今回のデモは、後半での音を作った上でMIDI編集しているので、そうして出来上がったMIDIファイルを、デフォルト設定の音で適用しているだけで、MIDIデータ自体は同一です。しかし、そうして意識したMIDIではロール部で全く質感が変わって、デフォルトではヴェロシティが揃ってしまっているのではないかと疑われてしまうくらい音がノッペリしております(笑)。これは各ゲートやコンプなどのダイナミクス系プラグインの副産物でもあり、それが前提となっている音で打ち込むと功を奏するという、当たり前田のクラッカーというワケですな。

基はモノラル音源でステレオ・イメージ作る気運が薄れているような感も否めない最近の音に左近治はモノ申したくなってしまった、と(笑)。すなわち「MONO」申すというワケでした。

お後がよろしいようで。それではまた。