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ベーシストのための分数コード [ベース]

ベース弾きがソロをやるような時、分数コード(onコード含)での遊び方は、「上声部を重視すればいいのか、下声部を基にしたモードで対処すればいいのか?」と質問を受けることがあります。ソロ以外の時に分母pest offされてアッパーだけ弾かれては堪ったモノではありませんけどね(笑)。

結論を言えばソロの時においては「どちらもアリ」なワケですが、概ねこういう質問をする人に顕著なのは、7度の響きやそれより上声部の9、11、13度のハーモニーを体得していない人に多い質問なんですね。

参照ブログ記事

別にベースがソロを取る機会だけに限ったことではなく、他の楽器にも言えることなんですけどね。肝心なのは分数コードを上下に隔てた考えを抱くのではなく、それらが構築しているハーモニーはモロにアッパー・ストラクチャーの響きなワケですから、和声全体としての響きを咀嚼しきれていない証拠なんですね。

というのも、この手の人達だと概ね体系的にスケールを覚えただけのような人が多いので、フレージングそのものが常にスケールライク。ハーモニー感が構築されていない人に多い。最たる例が、曲自体がセカンダリー・ドミナントを示唆するトライアドが出現しているのに、曲のキー自体を全体で捕らえてモードで処理できずに、「この曲はキーがAマイナーだから運指は常にAナチュラル・マイナー!」みたいなアマ・バンドの人、結構多いんです(笑)。

キーがAマイナーでモード奏法やりなさいと指示されれば、一所懸命白鍵だけを(音外さないように)羅列して弾くだけ(笑)。しかも速弾き指向になったら愚の骨頂(笑)。まるで小学校の教室のオルガンのように、「白鍵スピード競争」というような様相を呈してしまうワケでもあります(笑)。

体系的にスケールを覚えてしまっているだけの人はハーモニー感が希薄なために、通常のフレージングの各音の音程が実に狭い人が多く、「唄う」フレーズという人の特徴は六度の跳躍が巧みな人が多いワケです。ベースだってコードを構成する3rd音を弾く時、ルートから3度跳躍させるよりも六度を織りまぜるという人の方が少なく、高水健司はココが巧みなワケですね。

3度を選択するか、6度を選択するか。それらの音は同一でオクターブが違うだけなのに、音楽というのは性格をガラリと変えます。次の進行すらも変わるくらいの変化があります。作曲する人でメロディに行き詰まったらとりあえず転回してみるのもひとつの手です(笑)。

ロックの世界で代表的なのはジーン・シモンズでしょうなあ。この人のコンポージング能力はかなり好きです。フュージョン界隈で言えば私が好きなのはトム・バーニーとヴィクター・ベイリー辺りですな。あくまでもフレージングというかハーモニー感覚でのことですけどね。

7度の使い方が巧いとリフに彩りが増すんですね。ルートへの経過音的に長二度上のルート音へスライドさせたり、そういうフレージングでの使い方ではなく(笑)。

ロック系の音楽ではそれらの特徴的な音をボーカルパートやコーラスで彩る方が功を奏する場合もありますね。自分たちが弾いていないだけで実はメジャー7th構成してたという事もあるワケで(笑)、こういう所に逐一気付いてくれるメンバーでバンドを組むのが理想的とも言えるんですが、現実はそう甘くはない(笑)。

まあ、この辺のコードの捉え方みたいなモノは後日また詳しく楽理的なお話にしてみようかなと思います(笑)。