SSブログ

制作事情 in Depth [制作裏舞台]

扨て、と。2月22日はリリース日でありますね。明日はスティーリー・ダンの「Your Gold Teeth II」のオールド・スクール系Mixアレンジを皮切りに、何曲かリリースします(笑)。

「Your Gold Teeth II」の印象的な和声のパラレル・モーション部を作っているワケですが、用いたRhodesはどことなく「Glamour Profession」を思わせるような感じにしてみました(笑)。まあ、あちらはフェイザーもかけておりますが、そこまでエグみは出さずに気持ちをグッとこらえてそういうアレンジにしてました。

初期のスティーリー・ダンのライヴでは「Your Gold Teeth II」のイントロ部だけを繰り返してメンバーのインプロヴィゼイションを繰り返すインスト曲がブートレグ音源では聴くことができますが、超イケイケでインプロヴァイズしまくる曲と、原曲の「Your Gold Teeth II」の落ち着いた感じはまるで別物(笑)。そうそう。私は当時のケータリングの運転手、ジェローム・アニトンのMCが大好きです(笑)。

スティーリー・ダンを人の名前だと勘違いしたまま「Mr. Steely Dan whatever」ですからね(笑)。芸人のくりぃむしちゅーを紹介する歳に「くりぃむナントカ」にミスターや「様」付けてるようなモンでしょう(笑)。ベッカーとフェイゲンのお二方もジェローム・アニトンはとてもお気に入りだったということはスティーリー・ダンの本にも書かれているんですが、車運転しても事故るわ、機材壊されかねなかったという多数の逸話が残るジェローム・アニトン。生き様はまさに天然パンクスだな~とあらためて感心してしまいます(笑)。

話を戻して、今回アレンジに用いたリード音は「フルート」。Silver Starレーベルから出ているジョージ・ベンソンの「Breezin’」の出だしのフルートのフレーズをサンプリングして使っている曲ありましたよね、確か。これを作る際に丁度その曲を聴いていたのでインスパイアされました(笑)。

で、右チャンネル(対応端末のみ)からはファンキーなクラビネット・フレーズが響き渡るという内容に。これは本来、ジョー・サンプルが弾く「Black Cow」のクラビネットの音色に似せたモノを引っ張ってきて今回使用した、というワケです。ただ、今後「Black Cow」をリリースするかどうかは未定です(笑)。ローズにこだわった曲は今後も目白押しの予定なので、ローズ・フリークの方には特に注目していただきたいと思う今日この頃です。


さらにはF.ショパンの「幻想即興曲 ギター協奏曲」なるものを(笑)。スパニッシュ・ギターとチャップマン・スティックのデュオとなっております(笑)。原曲16分フレーズ右手パートはギターで、3連の左手パートがスティック、と(笑)。メロディが実際とはオクターブ低くなるのは音域から考えても仕方ないんですが、違和感はそれほど無いと思います(笑)。まあ、イエペスじゃないんだからその音は普通のギターじゃ出ないだろ!というような音も出てきますけど、現実的に有り得る音でアレンジしておりますのでご心配なく。

パコ・デ・ルシアやらディメオラやらイエペスやら(笑)、なんかそーゆー人達を思わせるような感じで聴いていただければな、と(笑)。幻想即興曲の右手パートってアタマ抜きの16分フレーズなので、この辺りが難しかった所ですね。左手から拝借すればイイのかとか。最初は結構迷いました(笑)。

最初はハモンドで幻想即興曲やってみようかと思っていたんですけど、道半ばにしてこういうアレンジに変えたという裏事情でありました。


EFXシリーズの1曲目は、「コレ、ゲイブリエルだろ」と言われそうな感じがしますが(笑)、ジェリー・マロッタとトニー・レヴィンという風に意識した曲となっております(笑)。

左近治は比較的スティックの音を多用しますが、フェイザーを使った曲というのは意外に少なく、動的フィルターも使ってはおりません。スティック独特のエグみとコンプやEQで可能な限り音を弄って、ピアノならば最も低いハ音の音でもケータイで認識できる妙味を探ってもらえれば幸いです。

タムの音に用いた各ゲートのサイド・チェインの設定やトリガー用のソース選びは苦心しました。トリガーに用いる周波数帯、応答速度というのはかなりキモであるのは当然ですが、これにて音をどのように変化させるのか!?という使い方を日常的に行っている左近治ですが、普段やり慣れているとは結構苦労しました。単一ソースでも音をパラって弄っているというのがヒントです(笑)。


もうひとつのEFXシリーズはスペイシーなSEですね。うる星やつらのラムちゃん登場のような音が混ざっておりますが(笑)、アンビエントな音を付加させているんで、ショート着信で臨場感が出てくれればな、と思って作ってみました。


最後は坂本龍一ファンの方々のために、KYLYNから「Mother Terra」のオリジナル・バージョンのイントロ部を、と(笑)。

今回、コレに用いたカウベルの音はLogic ProのUltraBeatと某リング・モジュレータを使っております。UltraBeatにも内蔵していますし、Logicの他のモジュレーション系エフェクトでも用意されているリング・モジュレータですが、今回はそれらを使わずに他のプラグインでのリング・モジュレータを使ったという意味です。

この手のカウベルの音は2つの異なる音程のサイン波を用意して簡単に作れるのですが、その音をパラってリング・モジュレータに持っていくところがミソで、私は今回リング・モジュレーションには正弦波でのモジュレーションで薄くまぜて中心周波数を1340Hzにアサインしております。MOTUのDPでもリング・モジュレータはこういう設定はできるんですが、ちょっと強く出過ぎた感があったため、「某」プラグインにしたというワケです(笑)。とはいえ、原曲のカウベル(っぽいシンセ音)とは違いますけど、カウベルの音というのはある程度音程感を意識しながらも、曲の調性に溶け込むような非和声的な部分音の分布は必要で、その辺りの妙味となるのが某プラグインのキャラクターでの1340Hzというポイントでリング変調、というワケだったのです。

異なる音程での正弦波とリング変調による差分で生じる音で違う部分音も生成されるワケですが、パラっているという所もミソなんです(笑)。たかがカウベルなんですが、この手の音を作る発想はエレクトロなドラム音を作る時には結構多用する方法なので、カウベルが齎す発想は捨てたモノではないんですな。

カウベルと聴いて一番最初に思い浮かべてしまうのは、グランド・ファンク・レイルロードの「We’re an American Band」という左近治で、まあ、UKの「The Only Thing She Needs」とかアタマに思い浮かべながら作っていたというのが当初の制作裏舞台というワケですね(笑)。