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打ち込みドラムに彩りを与えよう (2) [ドラム]

さて、前回の記事の続きです。

前回のそれは、左近治のMIDI編集は、グルーヴ感出すためにチマチマとMIDI編集もイイけど、ベタでMIDI打ち込んでテンポチェンジを編集するのだってアリなんだよ!というコトでした。相武紗季ちゃんのドラムについても前回の記事と、コレを参考にしていただければな、と(笑)。相武紗季のドラムのMIDIイベント情報でも、今度ヒマがあったらアップしてみましょうかね(笑)。あのグルーヴというのがどういう風に活用できるのか、というのは06年暮れの記事の方に載せています。

「だけど、MIDIベタ打ちでテンポ弄っただけだと、MIDIにおけるグリッド上の細かなtickのタイミングを他に受け渡しする時が面倒」とかそういう側面もありますね。

DPがMA編集の現場で重宝されるのは、いわゆるシーケンサーの小節や拍という概念ではなくて、絶対的な時間で管理されている上で、マーカーを沢山使って、マーカー間を抽出した上で新たな小節や拍にスケーリングする、と。また、その逆も然り。そういうやり取りにおいて巧いこと編集できるからこそなんですね。

DAWアプリケーション導入していれば、SMPTEタイムコードで管理していなくとも少なくとも「同期」という、今や空気のような存在になってしまった同期。それに支配されて作業しているワケですよ。

シーケンサー単体としての用途なら小節や拍という概念で、オーディオとMIDIを管理すれば少なくともサンプルレート周波数との同期は、意識しないレベルで作業を実行できるようになっていますが、これらの同期に加え、音楽制作ではSMPTEなどの同期もあるワケです。

人によってはDAWアプリケーションが備える小節や拍の概念こそが億劫な人だって要るかもしれません。

ただ、現在ではDPならアジャスト・ビートやらLogicならビート検出によって、よっぽど古いマシンじゃない限り、Logicはビート検出もスンナリ出来ます。

ベタで打ち込んだMIDIにテンポ情報でグルーヴ感を出すメリットは、例えばCDからある曲に併せてタップ情報をMIDI変換してテンポイベントにしてあげる方が結構自然な感じになるからですね。このタップ情報は、聴きながら手作業で行ったり、或いはターゲットとする音に対して自動的にトリガーさせたり、と色々な方法があるワケです。

ただ、ベロシティーやデュレーション(ゲートタイム)におけるノリはどうするんだ!?と。それらはもうMIDI編集においては色々なモノを研究して自身に知識や経験として蓄積していかなければならない部分で、「コレこそが答だ!」という絶対的なモノはございやせん(笑)。

ただ、概ね、ドラムで言うならダブル・ストロークの扱いがやたらと一定の編集にとどまってしまっている人が多いのも事実。

ラフなダブルストロークを演出したいのなら、プライマリな打点部の方がベロシティは強く、セカンダリの打点部は弱いワケですが、「こなれた」ダブルストロークというのはそれと全く逆なんですね。これはドラムにおいてはキックにも当てはまりますし、ベースならスラップやピックベースのアップダウンでも概ね当てはまります。

キング・クリムゾンの「Sleepless」考察の記事では、「左近治のディレイ音は元音よりも小さくしてるじゃん!」と思われる方もいらっしゃるでしょうが(笑)、実はコレは他の理由があって、ディレイ音を小さくして、16分のウラとして聴こえる部分がラフな演奏のソレとは全く違う意図でこのようにしているんですね。

トニー・レヴィン本人が「Sleepless」でディレイ音のかかった音をモニターしているのか、またはディレイ音のかかっていない「8分」の演奏でモニターしているのかどうかは判りませんが(笑)、左近治はおそらく前者だと思っております。

ディレイ音を巧みに使ったギミックフレーズをモニタリングして演奏しているプレイヤーはですね、ディレイ音の大きさを嫌います。その音欲しさにそういうギミック使っているのにね(笑)。

というのも、ディレイ音が大きいと自分自身のテンポ感にヨレが生じかねないという悪影響の要素が強くなるんで、ディレイ音を弱めようとするんです。

「それでもオレのテンポは揺れないぜ!」という絶対的な自信を持つ人でも、自分の音よりもデカイ音で16分遅れの音モニタリングさせられてテンポが全く揺れなかったら世界のどこでも食っていけると思います(笑)。名うてのプロでもこういう方は相当少ないんじゃないでしょうか。音を聴く、というより、テンポ感を視覚に委ねている場合ならその限りじゃありませんけどね。

例えば、ボーカルにモニター音を16分のディレイかけて返したらすぐに文句言い出すと思うんですよ(笑)。ハウリング防止で10ミリ秒くらい遅らせてモニター返しました!っていう状況ならいざ知らず(笑)。

表と裏、または強と弱ならウラ部分を強く打ち込めばイイのか!?というと全てにおいてそうではありませんけど、大体はウラを強くする方が多いですね。アクセントを巧みに付けた1拍12連以上の細かいマーチング・ロールなど全ての要素が詰まっているんで、こういうフレーズを研究すれば、より高度なMIDI編集が出来るようになるでしょう。

ただ、殆どのケースでロールは32分音符という、ヘボな打ち込みが多い中で、そういう音楽に慣れてしまった耳は、実際の演奏ですらも32分音符で済まそうとする物理的な演奏が多くなってきてしまっている現在(笑)。勝手に解釈する前に、今一度音楽を深く掘り下げて研究すべきではないかと思うワケですよ。

で、左近治がなにゆえテンポを揺らす方でMIDIを編集を志向するのかというと、MIDIのみならずオーディオも一緒に編集するとなると、ドラムなどは特に位相合わせという部分において確認がしやすいワケです。波形レベルで確認するのでかなりズームアップしているワケですけどね。それに加えて、あるターゲットとする音をトリガーでタップさせてテンポを揺らすとですね、ドラムの場合、両手・両足の僅かなズレがどれくらいのズレなのかが巧いこと見えてくるんですよ。こういうコトは多くの楽曲や多くの異なるテンポの曲で経験として養わなければ、その後のMIDIイベント編集に昇華できない部分でありますね。

もちろん、こういうことを左近治自身は経験してきた上で、今ではテンポ情報がベタ(一定)であっても、どれくらいtickを前後にエディットすれば良いのか、という判断はすぐにつきますし、テンポエディット細かく行いながら、MIDI編集もベタで組まずに細かくエディットするという、双方の面で編集するというコトも普通に行います。

視点を変えてMIDIを弄ると、単一的な志向性で行う作業よりももっと彩りを添えることが可能になります(笑)。

今までの左近治の着メロや着うたってそこまで人間的な打ち込みあったか!?と思われるかもしれませんが(笑)、着うたにシフトしたからといって2年前の時点で完全にヒューマナイズなエディットを全てにおいてしていたというワケではありませんよ(笑)。着うたの整備具合や普及状況やら、それらを加味した上で少しずつ段階踏んで着うたエディットをしているワケであります(笑)。

今年に入ってからですね。従来よりもヒューマナイズ感を出して演奏させている曲が増えてきたのは(笑)。次週以降はその従来よりも増してドラムなどもより一層人間的な部分をMIDI編集レベルではなくて、出音の部分でもチョコチョコとエディットしているんで、時間があったら聴いてみて下さい(笑)。

では、次回はオーディオとしての側面の、打ち込みドラムの彩り編を語るとしましょうか(笑)。