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ドラムのチューニング大丈夫!? [ドラム]

以前にもドラムのチューニングの音程の合わせ方は詳しく解説しましたが、図解での説明はなかったので文章だけだと判りづらかったかもしれません。

ま、つまるところ下図のように、中心を片方の手の人差し指で印鑑を押印する位の力で押さえながら、リムのチューニングボルトから1インチほど内側を、もう片方の手にスティック持ってコンコンと軽く叩いてみる、ということですね。図で言えば赤いバツ印の辺りを、スティックを使ってスティックが重力に任せて落ちる程度の弱い力で隣同士のバツ印を叩いてみるとすぐに音程差が判るでしょう。

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さも車のホイールのボルト締め付けるかのように、いずれのチューニングボルトを回した回数でしか合わせないドラムやってる人、たま〜に居ますよね(笑)。

そういう人には是非試してもらいたいんですな。どれだけ音程狂ってるかってぇのを。

ドラムのヘッドなんてえのは、均一に張力が掛かっているわけではなく、最初にハメ込むだけでもあれだけシワ寄ってれば同じ回数回した所で均一に張られているワケないのはお判りだと思うんですが、チューニングを知らない人はそこからの作業で偶発的な「出会い」を求めて、自身の誤った職人魂に寄っているというワケでありますな。

打面は判ったけど、ボトムはどーすんねん?

まあ、タム類などは残響が下降するかのようにボトムをトップ側よりも音程落とす人もいるとは思うんですが、私の場合はドラムはあくまでノーミュートで合わせるというのが基本にあるので、ノーミュートでどれだけタイトにチューニングできるかがキモなのであります。

ボトム側を高く張ることで自発的な「抑え込み」という妙味もありまして、正直タム類よりもスネアの方が効果をより大きく感じるかもしれません。一番叩くことが多いですし(笑)。

また、タム類だけは二度音程で打面とボトムに音程差を付けたり(この場合例えば、ボトム側が長2度高く張られている)します。これに関しては色々好みがあるでしょうし、やっぱりある程度沈んでいくような音程感の下降を欲しがる人だっているとは思うんですが、本当に下降させたいなら完全4度くらい差を付けてもイイとは思うんですが、チューニングの合わせ方を知らない人だと、顕著な部分音だけで音程合わせているんで、均一に張られていないヘッドの振動が不必要な部分音までを生じているので、残響が汚く鳴るのが関の山。だからこそきちんと合わせなくてはいけないんですな。

ミュートを多用する人というのは概ね残響にこだわりつつも不要な部分音が不快であるために、本来必要な残響成分すらも消して結局はミュート頼りのチューニングになってしまっているというのが現実ではないでしょうか。

まあ、小難しいことを実行するシーンだって少ない、昨今のドラム音源だけで音作りを済ませてしまうDAW環境の普及というのもあって、本物の「裏側」という部分を知らずとも音は得られるからこそサンプル音として用いられている音「そのもの」がどういうチューニングやらマイキングを施されたような音なのか!?ということを見抜くことが音作りにおいても役立つと思うのであります。

そもそも打楽器というのは音程感を得る部分音(倍音)はもとより、不協和な非整数次の部分音も多く含むソースであるが故に、アンサンブル内においては自然倍音列の中を「埋めてくれる」素材でもあるワケですな。

とはいえソコソコの音程感というものを得ながら、あまりに音程感がキツすぎると場合によっては嫌悪されるというモノでもあります。アンサンブル内で周波数帯域においても幅広い存在感として君臨するため、ドラムという素材は「部分音探り」という意味でも非常に良好なソースなのでもあります。

部分音の抽出=耳コピの最たる部分でもあるので、これを疎かにしていれば結局のところ耳コピすら鍛えられることが無くなってしまうという風にも言えるワケです。

「トライアド」の耳コピですらままならず、音そのものを耳コピしたのがやっとなのにヴォイシングなど健忘の彼方(笑)。そこで部分音抽出などやってられねえ!と仰る方も居るとは思うんですが、器楽的な「音感」という能力が劣る人(または無いと言えるような人)であっても、EQなど、特定のシーンにおいて普段から慣れ親しんでいれば、突発的にハウリングやある「気になる」周波数帯というのは覚えていきますし、概ね何ヘルツ近辺というのを感覚的に備えていきます。これもまた広い意味での「絶対音感」を実は無意識の内に用いている例なのであります。

「キーン!」と耳をつんざくハウリングをカットするのに、100Hz辺りの帯域をEQで下げようとする人は居ないと思うんですな(笑)。つまり、音感と呼ばれる能力が劣るような人だってこういう「音感」を備えているのであるので、慣れさえすれば部分音抽出だって可能なワケです。耳に何らかの障害を抱えているというのは別にして。和声の聴音についても結局は同じことで、慣れることをしないから耳コピ能力が上がらないという人は、普段聴いている音楽に偏向度が強いために不慣れな和声を耳コピができないという風にも言えるワケですね。

打楽器を軽視してはいけないのであります(笑)。