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スネアで奏でる音楽 [ドラム]

先日、ジョン・パティトゥッチの1stソロアルバム収録の「Baja Bajo」の制作をしていたことについてチラッと語りましたっけ。この曲のドラムはヴィニー・カリウタでありまして、曲冒頭の付点16分音符を交えたフィルが実に素晴らしいのでありますが、それだけではなくスネアの叩く打面や強弱でピッチをコントロールしているのが凄い部分なんですな。

強く聴こえる部分音を抽出してみると下記の通り(原曲の調はCマイナー、ときどきCスパニッシュ・モード)

胴鳴りD、F#、E♭
トップG、D、F
ボトム:G
ロール部:スナッピーB♭、B
リム:B♭(長三度高いD音も響く)

アクセントを付けて叩いている部分は概ねG音とF音を叩き分けているんですが、リムショットのB♭音を強調させています。出だしの5つのアクセントはF音を強調し、弱めに叩いているのでありますね。

実はスナッピー部や胴鳴りの部分はEQでどうにかこうにか倍音をコントロールして「あたかも」そのピッチで鳴っているかのように調整することは可能です。非常に多くの部分音の特定の部分を削ったり、或いは強調することで音色を「ある程度」調整するという意味ですね。

原曲の音から感じるのは、EQを一番活用している部分は裏ヘッド部のようですが、チューニング自体は非常に整っている部類だと思います。デイヴ・ウェックルとは大違い(笑)。ただ、先日の東京JAZZ2007を見る限りだと80~90年代のウェックルよりかはチューニングに磨きがかかっているようなのでその辺りはちゃんと語っておかないといけませんな(笑)。

こうした部分音に全く無頓着な人もいるワケでして、漠然とEQ弄っているだけの人も多いワケです。でも、部分音には限りなく注意を払ってほしいと思うのでありますな。この点を無視したらとてもじゃないですがマーチングはできません(笑)。それと、巧いチューニングを身に付けてほしいんですな。CDになったような音を作りたいからミュート貼るんじゃなくて(笑)、整ったチューニングならミュートは要らないんです(笑)。

私がバンドとかやる場合は私が必ずチューニングしています。また、それがライヴだとしたら楽曲の調の関係がどういう関係にあるのかも分析します。

関係調、すなわち平行調、同主調、属調、下属調と追っていくと、下属調の平行調の属調とか、まあそういう風に分類していくと、ベードラやスネアの音はどの音がもっともマッチするのかが判るんですな。もちろん調性が希薄で調号に表せない曲も数多くありますが、そういう場合は「聴かせる」部分でどんな部分音が強調されるのかを知った上で、ようやくチューニングが決まるというワケです。

バスドラやスネア、タム類で大体30分くらい費やします。ドラマーが自分である程度は好みで張ってきているからスンナリ事が運ぶんですが、新品ヘッドだったりすると結構厄介なんですね、これがまた(笑)。バスドラのビーターの部分音の抽出も結構重要です。

で、こうしてチューニングを整えると、ベーアンと共鳴する帯域がどこにあるのか、ということも判った上で整えているので非常にスッキリと音がまとまるワケであります。練習スタジオのせいにしたりする人居ませんか?(笑)

まあ、実際ひどい劣悪な音響になってしまっている練習スタジオも数多く存在しますが(笑)。部屋鳴りなんて絶対音感がヘッポコの人だって、部屋の音をマイクで録ってヘッドフォンでモニターすればどの辺りの帯域が強調されているかくらいは判別可能なので、そういう所に細心の注意を払うと良い音になるぞ、と言いたいんですな。

ドラムだって音階を奏でているワケですからね。ハイタムとロータムの音の高低が判れば音感は一応備えているんですから、その辺りをもっと注意を払うべきだろうと老婆心ながら語ってみましたよ、と。

ま、実際には打ち込みでどれだけ部分音を抽出しようにも、数十GBの容量を誇るどこぞのサンプル音源使おうがこの辺りのピッチ調整なんて結局巧くいかないのが現実でして(笑)、ドラムサンプルというのはこの辺りが課題かな、と。もはや数百GBの容量が必要かもしれませんね(笑)。打ち込みとは、こういう点で妥協せねばならないシーンがあるんですなあ。