SSブログ

ヒンデミット クラリネットソナタ [ネタバレ]

Sonata in B Clarinet and Piano, III / HINDEMITH, Paul

さて、原曲は非常にゆっくりな曲ですが、今回左近治はクラリネット・パートをハモンド・オルガンにして、アコースティック・ピアノにドラムを加えた変則トリオ編成アレンジにしてリリースいたします。

この曲は以前のブログでも語ったことがありましたが、「私の葬式にはこの曲を流してほしい」と周囲にも常々告知しているという曲でして(笑)、それだけ思い入れの強い曲なんですな。この世で現在最も好きな曲とも言えます。

「左近治、死んじゃうの?」

と思われる方もいらっしゃるでしょうが、決してそうではありません(笑)。

「着うた制作との訣別!?」

まあ、自分自身のレクイエムとして流れていてほしい曲ではあるものの、全く他意はなく、ただ素直に好きだから作ったというワケであります。

ライトなユーザーだとヒンデミットを知る人はかなり少ないのではないかと思うのでありますが、比較的判りやすく形容するならジェントル・ジャイアントの2ndアルバム「Acquiring the Taste」のような陰鬱な雰囲気に似ているかなあ、と(笑)。ジェントル・ジャイアントすら知らない人の方が多いって!?

まあ、曲の「さわり」を知る程度なら視聴も可能ですし、色々と感じ取っていただきたいと思う次第です。

ヒンデミットの楽曲は中声部、或いは低音域の旋律が美しく、武満徹に形容される「タケミツ・トーン」とは対極に位置するものかもしれません。

ヒンデミットは「音程根音」(=interval tonic)という理論を導入して作曲をしているのでありますが、判りやすく言えば二声の音程差から生じる「調性の重心はどこにあるのか!?」みたいなモンでして、たった二声の音程差で仮想的なトニックを生じさせる(或いは示唆する)理論というワケであります。

例えば、自然倍音列を強く意識してヴォイシングをするとしましょうか。非和声音をなるべく避けてヴォイシングした和声でオーケストラの多くがそういうアンサンブルになっているのかとそうではないんですな。実際にはオーケストラのアンサンブルから生じる音の倍音列の非和声音が含まれていることなど日常茶飯事で、オーケストレーションと倍音列とは全く異なるワケであります。

この曲の場合、クラリネットという音に加えて、ピアノはこれでもか!とばかりに完全四度の重畳和声を聴くことができます。

完全四度も4音積み重ねればマイナー7thやマイナー7th(11)を示唆したりするものですが、この時点ならクロスオーバー系ならドリアンを導入する人も居るかもしれませんが、もっと積み重ねればミクソリディアンも示唆しますし、短三度上のドリアンとして成立させることも可能です。まあ色んな考え方がありますが。

四度の積み重ねは倍音列の隙間をくぐり抜けながら、時には合致したり、非常に興味深いモノがあります。

一本の指で鍵盤鳴らせばコードが鳴る!みたいな(笑)、意外にもその手の人達にも受けそうな曲かもしれません。

何はともあれ、この曲は私の好きな曲を全て聴いた気になるんですなあ(笑)。四歳の頃の水曜日夜8時某日もなぜか想起してしまいます。

で、悟生楽横町ではオリジナルな楽曲を用意しておりまして、ひとつはとっても「おバカ」サウンドに仕立ててあるので、実に能天気な気分に浸れることができるでしょう(笑)。


「年少さんになったら誰でもこういう曲作れるよ!」

みたいな、青ッ鼻垂らして黄色い帽子被って歩いてみたい(笑)、そんな気分に浸らせてくれるでありましょう。


この手の曲のアイデアの元は、実は古くはKORGさんのX5DRのROM内蔵デモ演奏にあります(笑)。ワザと児童のヘタな演奏っぽいお遊戯的なデモなんですが、それと併せて「モップガール」に出てきたリコーダーが鳴って北川景子がスモッグ着てるというシーン。

これを見てひらめいた!というワケであります(笑)。

作っていたのが大体どのくらいかというのがドラマを見ていた方なら予想が付くのではないかと。

とまあ、ヒンデミットを語っておきながら最後にはこうやってシメる、と。いかにも左近治らしいスタンスであります。