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エビ投げハイジャンプは「エビ」を投げるんじゃないんだよ [ドラム]

最近、野球ネタが多い左近治でありましたが、明日4月27日のリリースの前フリってェのもありまして野球ネタをチョコチョコッと鏤めていたんですな。

とりあえず明日リリース予定の曲は悟生楽横町にて2曲。

● 侍ジャイアンツ OPテーマ
● フジTV プロ野球中継アイキャッチ


とまあ、こんな感じですかね(笑)。

従来も侍ジャイアンツは着メロにてリリースしておりましたが、焼き直し系としてとりあえず(笑)。

着信音として音の通りや抜けの良さを狙ってみたんですけどね、少々シンセチックでありながらも3拍子系リズムを2小節で大きくグルーヴするためのですね、ジェントル・ジャイアントのドラマー、ジョン・ウェザースのドラム・リフを採用しております(笑)。あと、さりげなくスティック使ってます(笑)。

今じゃすっかり特定層の娯楽となってしまった感のある野球でありますが、昔は熱かったんですよ(笑)。その迸る番場蛮のキャラクターを前面に押し出すのではなく、曲の「陰」の部分でコダワリを見せようか、と思いましてですね。

それともうひとつのフジテレビのアイキャッチはですね、80年代後半の新田一郎がフジテレビの曲を手がけた頃のプロ野球中継時におけるCMが入る時のアイキャッチですね。ショートジングルなんでパケ代にもやさしい親切設計となっております。視聴のそのまんまの尺がアナタのお手元にダウンロードされるコトでありましょう(笑)。

「ズンズンズンズンズズズンッ♪・・・・」ってゆーヤツです(笑)。その後の新田一郎の頭の血管ブチ切れそうなハイ・トーンのリップ・スラーが特徴的なアノ曲ですね(笑)。あのリップ・スラーはメイナード・ファーガソンもビックリ日本新記録ってなモンでしょう。

スナッピーの鳴りをふんだんに活かして、トリガーでシモンズサウンドをブレンドさせたドラム音となっておりますので、迫力あるドラムのオカズがケータイから聴こえてくるのではないかと(笑)。共鳴感を際立たせておりますので、その辺がチョットしたコダワリの部分でしょうかね、と(笑)。

ま、原曲の方もいわゆるガッド・サウンドと呼ばれた「ズシッ」としたスネアの音に迫力をさらに付加させて、シモンズ・サウンドをブレンドさせた、と。バブルを謳歌した世代の方なら必ずしや喜んで頂けるであろうと左近治、確信を持ってリリース致します(笑)。

ただ、現在20歳以下の方々は殆ど分からないのではないかと(笑)。世代の格差を思い知るというよりも、自発的に隔絶して自分の道突っ走って欲しいと思うばかりでして(笑)、ガンコで骨太な貴兄に是非味わってもらいたいものであります。

タラの芽つまみながらビール片手に野球中継を観る、と。

現代じゃ、タラの芽つまみながらビール片手にネットやってるのが未成年の時代ですよ(笑)。

左近治のドラム考察パート3 [ドラム]

バスドラをミックスするに当たって、色々と弄くるワケでありますが、今回視聴用に用意したMP3で色々とどういう変化があるのかを探ってみようかと思うワケであります。

ちなみに24bit/96kHzのオーディオファイルからダウン・コンバージョンをして、16bit/48kHzのオーディオファイルを生成した後、MP3にコンバートしたんですけどね、サンプルレート周波数が48kHzということもあって、このブログ上のプレイヤーで聴くと44.1kHzで再生してしまうためか、ピッチが低く再生されてしまうので、一旦ダウンロードしてから聴いてみてくださいね、と(笑)。



※現在ではサンプルレートの違いによる再生速度の問題は解決済みです

BIGLOBEさんの仕様に合わせなければならないのか、それとも左近治が44.1kHzまで気を利かせれば良かったのかはさておき(笑)、とりあえず用意したMP3ファイルの特徴はですね、ベードラとベースオンリーのアンサンブルです。

しかも、ベードラはメチャクチャWETな音(笑)。コレ、普通にそのまま渡されても使う気にならないような、とってもお湿りの効いた音です(笑)。

でもですね、こういうウェットな音は、アンサンブルが多くてオケが結構詰まったりしてるような楽曲の場合だとあまり気にならなくなるモンでもあるんですよ、実は。単体で聴くと残響がとってもウザく聴こえるかもしれませんけど(笑)。

ただ、今回の場合はベースとドラムだけの場合において、ベードラの音作りに主眼を置いているため、ハナシはそっちの方で進めてみようかと思います(笑)。


ベードラトラックについて
1小節目のベードラの音が元音です。概ね各小節ずつ音に変化を与えていきます。オートメーションで各小節色々プラグインの設定がガラリと変わるようにしちゃって(笑)、さらには4拍目ケツ辺りで変わったりもするんですが、その辺はご愛嬌ってコトで(笑)。


●1小節目・・・ウェットですねぇ(汗)。このベードラ。残響切りたくなってウズウズしてきますな(笑)。


●2小節目・・・ゲートでスパッ!と残響切っちゃいましたよ、と(笑)。ベードラ音のセルフトリガーでサイドチェインを使って切ってます。全帯域でゲートがかからないようにするのがポイントなんですが、もちろんアタックタイムやらリリースタイム、スレッショルドの設定は安直にやっているのではなく、これらが一瞬に変わるようにオートメーションを設定しちゃいました(笑)。

ま、とりあえずは締まった音になったかな、と♪


●3小節目・・・EQで音を弄ります。キャラクター変えたいんで。


●4小節目・・・ベードラの音そのものがレベルが低目だったのはココで音圧を稼ぐため。音色変化がかなり少ない透明感のあるキャラクターのある某プラグインによるコンプサウンドに加えて音圧稼いでますよ、と。


●5小節目・・・6小節目までジワジワとアーリー・リフレクションを足していっています。2小節に渡ってジワジワ効かせてるんで(かなり微妙に)、かなり耳を澄ませば分かるでしょう。


●7小節目・・・さらにほんの少しだけリバーブを足していきますよ、と。


リバーブを足していった時点で、少々中高域辺りに増強された音が耳に付いてくるんですが、コレをカットすると、他のオケが混ざった時に引っ込んじゃったりするんで、単体で聴くとこんな感じで止めておきます(笑)。


まあ、正直なところですね、普通のバンドアンサンブル的なオケを作る際にこの手の音だと、結構引っ込みます、この手の音は(笑)。もっとリバーブ深くてもイイくらいです。実際は。

ただ、今回のポイントは「ゲート」と「コンプ」による大きな音色変化を得るコトに主眼を置いたので、元の音がどうあれ、一応コレくらい弄ってキャラ変えるんだぞ、と。そういう側面を知ってもらえたらと思うワケですね。

ドラマーの場合、普段いつも主観的な音しか聴いていないワケで、それをCDやライヴやらの「編集された音」を理想として、いつも自分の座る所の耳でそれを近付けようとします。しかし、それはある程度でとどめておいて、ダブルスタンダードな耳(基準)を構築しないとダメなんですな。

ミックスすることを優先して、プレイヤードメインによる音(生音)をアレコレいじらずに卓の方に頼るような身の引き方とかですね、ハナからデッドにしないでチューニングの妙味を会得して本当の良い響きを得るコトが大事なんですね、ハイ。

ベースなんかでもよく初心者にはあるんですが、ベースアンプにも通さないで押弦の下手さに気付かないまま、フレットのビビリ音だけをやたらと気にしてしまって、ベースアンプに通した時などやDI通した時にもやたらと神経質になってしまって、弦高をやたらと高くして倍音の少ない音にしてしまったりする人が実に多いです(笑)。

確かにプレイヤー・ドメイン・レベルでは気になるんでしょうが(笑)、それが音色にどれだけ一役買っているのか、というコトを知らずにやたらと弄くり回すのは悲しいモノです(笑)。

ま、引き際が肝心ってェコトですよ。

Virtual左近治Band [ドラム]

我侭放題の左近治は、音楽以外の時でも私が5人、いや10人居ればいいのになどと常々思っておるのですな。意思疎通とは難しいもので他人には厳しく見てしまう。ゆえに自分が何人も居ればいいなどと思ってしまうのでありますが、実際のところは黒いモノも白だ!と言われればそれに従い和を損なわぬようにしていたコトもありました(笑)。想像力だけは大きく、心はチキン。そんな左近治なのであります。

さてさて2月16日のリリース曲は、あなくろ本舗では『Use Me』、悟生楽横町では『Inner Wind』という曲たちについてチト語りまひょか。

Use Me / Bill Withers
これは現在、日産ティーダのCMに使われているアレですな。近年で言えば(かれこれ10年以上前ですが)Raw Stylusがカヴァーしておりました。アシッド系の音楽が蔓延していたあの頃のカヴァーのセンスもさることながら、Bill Withersの方もやはり時代を感じさせるイナタい音が実によろしいですな。

左近治がBill Withersを最初に聞いたのは82年の冬。遅ればせながらグローヴァー・ワシントンJrのアルバム『Winelight』に収録の『Just the Two of Us』。名曲ですな。私が現在所有しているCDの最も古いアルバムがコレなんです、実は。

着うたの方は、クラビネットとイナタいベースによるメイン・リフのみのループ。ヴィンテージ風な音に仕上げておりますが、ステレオ感には少々こだわりました。ただ、携帯端末によってはステレオ再生できないものもあるのでご容赦を。モノラル再生においても雰囲気が出るようにモノラル用のミックスも通常よりこだわりました。

このループによって後から色々ハーモニーを付けたバージョンもリリース予定ですが、このシンプルさがある方が返ってカッコイイんではないかと私は思っております。ベースラインと音はかなり力入れてます。携帯電話でも空気感はかなり演出されているのではないかと。


Inner Wind / KYLYN
初期渡辺香津美作品の名曲ですな、コレは。KYLYN LIVEでもA面ド頭の曲です。左近治が今回アレンジを施すのにイメージしたのは、クロスオーバー感はそのままにアシッド系のような感じを演出したかったという。Swing Out Sisterのライヴ・アルバム『Live at the Jazz Cafe』のような空気感をかなり強くイメージしました。で、左近治は、なんちゃって左近治バンドになりきって、ヴァーチャル左近治バンドを以下のように想起して作ってみたというワケです。


ヴァーチャル左近治バンド

E.Guitar:なんちゃって芳野藤丸
GR Synth Guitar:なんちゃって鳥山雄司
E. Bass:なんちゃって高水健司
Rhodes:なんちゃって益田幹夫、なんちゃってドナルド・フェイゲン
Oberheim、minimoog:なんちゃってジェレミー・ウォール
Drums:なんちゃってヴィニー・カリウタ


左近治が最も好きなInner Windは、1985年のMobo IIIの頃にNHK-FMにて収録されたサックスに峰厚介がゲストの時のテイク。ベースがグレッグ・リー、ドラムが村上ポンタ秀一というメンバー。Olive’s StepやKYLYN LIVEなど色々聴いてきましたが、数あるInner Windの中でのベストテイクは、この時のテイクが左近治は一番好きです。あの時の香津美さんのTX7とS612を混ぜた音のギターソロ、その後のギター・ソロと大大大好きなんです。

余談ですが、一度楽屋にて、超をグーゴルプレックスのグーゴルプレックス乗個ほど累乗させても足りないほど大大大好き渡辺香津美さんに、東原力哉さんの有り難きお計らいによりご本人にお会いできたんですけど、私は完全に固まってしまい、こともあろうに香津美さんなどそ知らぬそぶりをして、そのまま挨拶もできずに自分でも何がどうなったか分からないほど香津美さんに興味など無いみたいなその辺歩いてる人のような行動をしてしまいまして、ご挨拶すら出来なかった経験がありました。物凄く崇拝しているにもかかわらず。あの時は大変失礼致しました。この場を借りてお詫び致します(レゾナンス・ヴォックス時代の横浜CLUB24にて)。王貞治氏とお会いできた時もこんな感じだったんだよなー(笑)。

クリーンなギターのアルペジオは、渡辺香津美のそれも美しいんですが、今回の着うたの方では今剛や松原正樹でもなく、芳野藤丸をイメージしました(笑)。AB’sもリリースしたくなってきたなあ(笑)。

GRギター・シンセによるメロディ・パート音は、こうやるとモロに鳥山雄司風ですな(笑)。

ベースは色々考えたんですが、モード・スケールにおいて3rd音をルートから3度上昇させてフレージングするのではなく、6度下を使うフレージングすることによって高水健司っぽくなったのではないかな、と。黒ボディのメイプル指板、ホワイトバインディングの77年JBをイメージしております(笑)。グレッグ・リーも使っていましたっけ。

RhodesのAパターン部はKYLYN LIVEでの坂本龍一のリフを採用させていただきました。ただ、この曲のコード進行の妙味はBパターンにあるので、Bパターンのヴォイシングはドナルド・フェイゲン風にしております。

Bパターンから入るオーバーハイムのブラス音は、このコード進行にはコレでしょやっぱり、みたいな展開で、ここにはどうしてもOBサウンドが欲しかったんですね。どっちかというとドン・グルーシンっぽいかなあ(笑)。GRP系の音っぽくなっちゃったかも。

で、最終パターン部のブリッジは、高速アルペジエート・フレーズの味付けで、お待ちしておりました!ご主人様!みたいな展開、と(笑)。

ドラムは、カリウタ師匠になりきったつもりで打ち込み、と(笑)。さりげなくサラリとこなすバズ・ロール。グラウンド・ビート叩かせて(笑)、ブリッジ部の最初の1小節は1拍5連がベースとなった、ダブル・ストロークによるパーミュテーションの鬼のパラディドル1拍10連です。これは1拍5連ベースで前にも語った「そこんとこ」フレーズです(笑)。各拍ごとに右手と左手が入れ替わるのが奇数連符のイイ所(笑)。

全体的にはベースとドラムにはサイド・チェインによる隠し味的なコンプの味付けを施しております。

何と言ってもこの曲の良さはBパターンのコード進行の妙味!
CM7(onD)→FM7(onG)→A7(11)→A7(11,13)→B7(-13)→B7(9,13)→CM9(+11)→
A♭M7→C7/D♭

A7ではAのミクソリディアンのセンター・トーナル。つまりAのメジャー感のある響きを演出しないといけません。これがキモ。掛留音11thと3rdの音をを使いつつ、13thをさりげなく使って巧みなクリシェはまだ続く!そこで次はB7系のオルタード・テンションで遊ぶワケですが、最初のB7(-13)はオーギュメント感を強く意識した方がイイんでB7(+5)の表記でもアリなんですけど、やっぱり完全5度音も使いたいんですよ、ココは。そうしてB7(9.13)とナチュラルな13th音に行かなくてはならない。このオルタード・テンションを使ったさりげないクリシェは、この曲においてはマストな響きなんですな。最後のC7/D♭は♭9thベースの7thコードという表記ですが、ドミナント7th感を演出しちゃいけません(笑)。♭9thじゃなくて9th音だといわゆる2ndベース音となるセカンドベースによるアッパー・ストラクチャーの代名詞ですが、この響きは本当はディミニッシュ・メジャー7th系の響きなんですな。ジャズの常套というかスティーリー・ダンでも結構よく出てきます。

通常のマイナー・キーによる曲体系のダイアトニック・コード列で見ればⅤ7/Ⅵ♭という風にも使えますが、ドミナント感やハーモニック・マイナー完全5度下(いわゆるハーモニック・マイナー・トーナリティー)で逃げちゃあイカンのです。それで逃げるとまだまだダメ(笑)。

アッパー部の7th音を省略すれば立派なD♭ディミニッシュ・メジャー7thなんですね。分かりやすい例を挙げると、スティーリー・ダンの『Two Against Nature』に収録の『Almost Gothic』。こちらはD7/E♭ですが、Aメロ「The sloe eyed~」の先の「A wise child~」の部分の響きですね。こちらの方がよりディミニッシュ・メジャー7th系の響きが伝わりやすいかもしれませんね。

まあ、こういう響きにもっと親しみを覚えてもらうためにも、近々オルタード・テンションをもっと身近にふれあおう!みたいな題材で、ポピュラーな11PMの曲使って語るとしますか(笑)。ジャジーな響きをもっとソフィストケイトされた形で使ってみようよ!みたいな(笑)。オルタード・テンションにもっと馴染んでほしいんですな。

好きな曲にはとことん熱く語る左近治(笑)。ま、とりあえず興味のある方は聴いてみてくださいな、と。2DKと来ちゃうんダ♪(カトちゃん風)

意味は全く関係ありません、念のため。

ドラムのカブり音とサイド・チェインの妙味 [ドラム]

2007年を迎え、なぜか左近治はジェフ・ベック・グループのHighwaysを聴いていたのでした。

着メロでは32/40和音として、この曲の後半に聴くことが出来るマックス・ミドルトンのローズ・ソロをリリースしているワケでございますが、あらためてこの曲におけるコージー・パウエルのドラムに舌鼓を・・・いえいえ悦に浸りながら聴いていたというワケであります。

お手々が8本あるコージー先生のソロ・アルバムのジャケットはさておき(笑)、この曲のコージー先生の繊細なドラミングはイイですね。ミックスも結構お手本になるんですね、コレが。

スネアの深めで緩いスレッショルドのコンプは、ハットの音をトリガーにしているという、ダイナミズムを出したい時の王道パターンなんですが、ハットのサイドチェインにしている周波数選びとスネアの高域が引き立たせるこの音はまさに教科書なのであります。

タムを回している時もコージー先生はハットのフットペダルでリズムキープするのですが、その途中々々でスネアを使うオカズでハットをトリガーにしたサイドチェインによる音が違いとなって現れますので機会があれば聴いてみてくださいな、と。

ドラムミックスはサンプル音源と違って物理的なドラムミックスにおいてはマイキングは非常に神経を使うワケでありますが、そこでぶつかるのがカブり(被る)音の扱い。

位相が変わって音質が変化するのは勿論ですが、決して悪影響ばかりではなく正相と逆相の設定さえ間違わなければ音質をいじる上でも重要なファクターとなるワケであります。オーバーヘッドのマイクなど最たるものですが、カブり音の醍醐味を前面に押し出しているのは我らがボンゾ先生を挙げなければならないでしょうか。

ボンゾ先生の場合はドラムキットの傍らにモニタースピーカー(自分自身の音)が置いてあって、それがカブります(笑)。DX7で言うところのセルフ・フィードバックですな(笑)。これが独特のダイナミズムとローファイ感が混ざった音となるワケですな。

話を戻してコージー先生の音。

このドラムミックスの音が、意図して各楽器(ハットとスネア)の双方のトラックを別々に音作りをしながら、サイドチェインとコンプを巧みに使って作られていようが、ミキシング・コンソールの領域でチマチマ弄くり倒すのではなく、ただ単にハットとスネアのマイキング位置を厳密にセッティングした上で出音を作ったものであろうとも、それらの音は確かに方向性としては似てくるものであります。

もっと分かり易く言えば、ハットの音がスネアにカブった音をそれぞれ緻密に音作りをした結果でも、サイドチェインを巧みに使ったそれと似たようなものにはなるという意味です。

無論、これら2つの例として挙げた音作りの例を両方試すことが重要でありますが、最終目標とする「狙い通りの音」とする方向性は結構似たフェーズにあるとはいえ、それを年頭に置いて制作する状況がチト違う場面もあります。

例えば・・・!?

現在では打ち込みによる編集で、ドラム音源も実際の物理的なドラムキットとは違って、カブりに遭遇することなくミックスをしているケースも考えられるワケですが、そういうシーンを想定して仮想的なカブりなどを演出したりして音作りすることも必要なのですな。

マイクの場合は、指向特性による周波数特性の違いでほんの少し向きを変えただけで音質が変化するのはもちろん、マイクの物理的な筐体(収音部の開口面積やら)による空気の流れによる回折効果で生まれたりするブーミーな音、いわゆる「フカれ(吹かれ)」と呼ばれる現象などありますね。

室内のドラムキットのミックスであればフカれはなかなか遭遇しないものですが、実際にフカれに遭遇してそれに伴う音質変化というものは如実にマイクというものはやはり人間の耳とは違って、マイクの姿形を想像できてしまうくらい自然に聴こえる音とはやはり違うと認識させられるものであります。

左近治の場合、着うたを語る上ではやはりDAW環境は切っても切り離せないので、そのような環境において仮想的なドラムキットを演出させたミックスを追及したくなるんですな。まあ実際にはかなり安直に作る曲もあるんですが(笑)。

Q-CloneやMatchEQ(Logic Pro)などコンボリューション技術によるイコライザーのプラグインは色々ありますが、様々なマイクの種類や少なくとも0~180°の間で10°ステップくらいでの周波数特性による違いのプリセットがありとあらゆるマイクで用意されていたら理想かもしれませんが(笑)、それらを用意したところで狙い通りの音にすぐ近付けるかというとそうでもないのがミックスの深いところでしょうか。

サッカーのアルゼンチン代表でリケルメという人がいますよね。王貞治になんとなく似ている顔立ちの(笑)。

リケルメがゴールした後のポーズは、両耳の後ろに手のひらをかざして観客の声を集めて、「もっと喜んでくれ!」と声援を要求しますよね。

たかだか耳の後ろに手をかざして収音するだけでも音の聞こえ方は如実に違います。マイクでも角度がほんの少し違っただけでも変わるのは当然ですな。

ところで、耳の軟骨部すなわち耳介の裏側に手のひらをかざせばまさにリケルメなんですが、耳介の後ろを手でこすると「クシャクシャ」と音を立てます。でも、これは自分にしか聴こえないんですよね。

一人称ドメインだけではなくこれをみんなに聴こえさせようと、この効果的な音をどうにか似せるようなものはないかと模索した挙句、自然界で最も近い表現になったのがターンテーブルによるスクラッチと言われています。

耳に聴こえるわずかな音の違いや音作りの追求。一方では耳に聴こえることを阻害してしまうようなことで生じる音も「音」の素材として取り込んでしまう発想。これらは双方必要な要素なのだとあらためて痛感するのでありますな。聞かず嫌いはいけません(笑)。

左近治のドラム考察 パート2 [ドラム]

打ち込みによる音楽が浸透している昨今、生ドラムも含めて生楽器に精を出すのは実に良い経験が得られることではないかと。

ドラムの場合は叩く事が前提となってアピールされるものの、チューニングの確かさによる音の美しさの重要性は大きく取り上げられることが少なく残念であります。演奏という物理的な技量面ばかりがクローズアップされがちなのですな。もちろん専門的な考察においてはチューニングの重要性は語られているものの、ドラムを何年も経験してきた人でもチューニングが疎かになっている人は結構多いものです。

特に、チューニングボルトを同じ回数分回してチューニングしてしまったりなど(笑)。これ、実はかなり致命的でリムは傷めるわ、ラグに余計な負担が掛かってネジがスムーズに回らなかったりなどと実に様々な弊害があるんですな。

例えばスネア。まず新品を買ってきたら一旦ヘッドは表も裏も外します(スナッピーも)。その後、チューニングボルトを受けるネジというネジ穴の全てを掃除します。ネジ受けの方だけではなくネジ本体も「バリ」を取るように掃除します。

ラグの方は筒状になっているため、細い筆を使っても取れない時があるので、なるべくラグからバリが出るように逆さに置いて、エアスプレーを放射したり、不要なマスカラの柄先を掃除しておいてそれを使ったりなど、とにかくネジ穴やネジ周りのバリの除去から始めます。

ヘッドをはめずに、チューニングボルトを何度も付け直したりして、こういう作業をバリが確認できなくなるまで続けます。場合によっては数日費やすことになるかもしれません。

バリが全く出なくなった時に、ネジ本体側に薄くグリスを塗ります。グリスも経年変化で硬化することがあるのでこれまた注意なんですが、上手く調整が行き届いたヤツというのは本当に僅かな力だけでチューニングボルトがクルクル回るものなのです。バリが残ってしまったままグリスを塗ってしまうとラグの方のネジ受け部分に未来永劫バリを残すことになるのでご注意を(笑)。

さて、次はヘッドの装着。チューニングボルトを対角に締めていくわけですが、チューニングボルトは常に遠い方を次に締めていくようにして対角でやっていくといいかと。時計を例に挙げると、12時からスタートしたら次は6時。じゃあ、6時の次は?1時?11時?

1時や11時だと、スタート時の12時に極端に近くなるんで、正解は3時or9時です。こうして後は対角にやりながら、既に締めた位置の最遠部を見つけながらやっていくというワケなんですな。故に遠い方と。実際には時計のように12等分じゃなかったりするんでイメージだけ掴んでみていただければ、と。

で、ある程度締めていったらチューニングを合わせる前にヘッドを両手で強めに押さえ込みながら、ヘッドの個体差が持つ「たわみ」を取るようにして馴染ませます。シワやたるんだ状態ではなくある程度ヘッドを張ったら実際にシワやたるんでいなくてもそれを伸ばすようなイメージで手で押さえつけながら馴染ませていきます。

スナッピー側の裏ヘッドは薄いヘッドを使いますが、打面よりも高いピッチで張った方が良いです。スナッピーの響線がムラなく接触しないことはもちろん、バンドアンサンブルにおいて特にベースの音に共鳴しやすくなりますが、うまく均等に張ると共鳴が無くすことにも繋がるのである意味では打面よりも神経を使います。

こういう例に限らずドラムの場合は変な不協和な音にさせないチューニングのツボが必ずあるのでそれがドラムの奥深さでもあるわけですが、ドラム個体の持つ共鳴特性はもとより、バンドアンサンブルにおける外部楽器による共鳴は、ある程度のピッチになると押さえ込むことが可能なので、特にベースの音の共鳴がある時は概ねスナッピー側を低く張ってしまっていることが多いと思われます。

スナッピー側の裏面、すなわちボトムヘッドを高くするにはどれくらいのチューニングにすれば良いのか?これは打面のチューニングを施してから決めることに。

では、打面側のチューニング。ある程度ヘッドを馴染ませてチューニングボルトをそれぞれ同じ回数分くらい回して調整したとしても、見た目にはヘッドのたわみやシワが取れていても実際には不均一に張られています、よほどの偶然が無い限り(笑)。

ここで、均一なチューニングをするために打面ヘッドの中心を指1本で印鑑を押すような感じでミュートさせます(ずっと)。

ミュートさせたままの状態で、各チューニングボルトから2~3センチほど内側の打面をチューニングボルトの位置に沿った形でそれぞれ軽~くスティックのチップでコツコツ叩いてみると・・・!?

各チューニングボルトのへりでそれぞれ音程が違うことに気付くはず!コレが重要なポイント!

こうして音程差を聴きながらチューニングを合わせていくと、均一にヘッドが張られているという結果を導くワケです。あまりにバラバラだと、打面の叩く位置が僅かに違うだけで音程差がかなり生じてしまったり、ひどい場合は、強度があまり無いリムだと横から見ると湾曲してしまうことも!これがラグなどボルト類を傷める原因の最たるモノ!

チューニングを均一にした上で、ある一本のボルトだけ少し緩めて長2度音程差くらいにして音の変化を楽しむということもできるんですが、音程の高めの打楽器類ではオススメしたくない(笑)。バスドラだったらある意味オススメですが。

ま、こうしてチューニングを均一にしていったらボトムヘッドも同じ要領で均一にする、と。そうするとスナッピーもムラなく当たって豊かな音を発生させるんですな。スナッピー側のチューニングは私なら打面より長6度高い音に合わせますが、短7度だったり、これは好みによりけり。

このように、プレイヤー・ドメインでキッチリとチューニングを合わせても、実際にCDやレコードなどで耳にする音と実際のドラムの音が違うのは、レコーディングで録音された音のそれは、ゲート、コンプ/リミッター、EQさらにはリバーブなどが付加された音という現実。特にリバーブ以外の前述のエフェクト類はドラムサウンドを作る必要不可欠なエフェクトなので、今度はドラムにおけるエフェクトについて語ろうかと準備中。

スナッピーの鳴りが心地よい(左近治の思う)音をアップしてみたので試しにどうぞ。

太い音


アンビエンスを効かせた明るい音

Cogs in Cogs / Gentle Giantの魅力 [ドラム]

左近治がこのバンドを語るには72時間では足りぬ位に愛するジェントル・ジャイアント。このバンドの特徴は

1.変拍子が実に自然
2.倍テンポ&半テンポ化を巧みに使う
3.フェイクビートが巧み

3などは最たるもので、16分音符3つ分を延々シャッフルに聞かせたりしたり、はたまた1拍6連の4つ分を8分音符に聞かせたりと(笑)、とにかく尋常ではないのです。普通のリズム感では演奏を真似るなど恐れ多くて出来ないくらい素晴らしいアンサンブルアレンジを繰り広げてくれるバンドなのです。

シャッフルのビートで8分3連4つ分のいわゆる「4拍3連フレーズ」がありますよね。フェイクな感じがたまらない4連感。それを延々通常のシャッフルにウワモノを弾き続けて、しかも大半の聴衆にはシャッフルのそれが実は16分音符3つ分のタイムなど判らないという(笑)、とにかく凄いアンサンブルなんですな。

ドラッグ・アルバムとしても名高い彼等のアルバム「In A Glass House(ガラスの家)」に収録されている「Experience」がそれですね。シラフじゃ判らないかもしれません(笑)。いずれは左近治オススメのドラッグ・アルバム集なんてえのもやってみましょうかねえ(笑)。ケミカルなドラッグでエセな音で酔うだけではなく、クリーンでいながらもドープ感覚を養えるアルバムとでも言いましょうか(笑)。ちなみに薬物を推進しているわけではないのでその辺りはご理解願いたいと思います(笑)。

まあ近年ではケミカル・ブラザーズのように(別にケミブラに始まったことじゃないですが)テクノ界でも16分音符3つ分のタイムをリフに使ってフェイク・ビートを演出するのは王道パターンだったりしますが、トランス肌、あるいはドラッグ臭にはチト五月蝿いタイプの方でしたらGGのリフはおそらくすぐに気に入ってしまうのではないかと(笑)。オススメアルバムは「ガラスの家」と「Three Friends」の2枚ですか。一般受けしやすい王道ロック系の他のアルバムでもGGらしさはあるものの、この2枚ほど凄いのはそうそうないかと(笑)。強いて言えば「the Power and the Glory」に収録の「So Sincere」(6連4つ分の音価で8分の裏から2拍3連フレーズで歌うので6連のタイム感がないと理解不能)、「Free Hand」収録の「Free Hand」でしょうか。

プログレッシヴ・ロックにカテゴライズされる彼等ではありますが、ツェッペリン好きな方ならスムーズに聴けるのではないかと(まあ、コアなツェッペリン・ファンならGGくらい知っていると思いますが)。

とはいえ左近治にとってのツェッペリンは、アルバム「聖なる館」以外思い入れはあんまりないんですが(笑)。

ちなみに、今度ジェントル・ジャイアントの「Cogs in Cogs」という、とても素晴らしい曲をドラムン・ベース風にしてリリースするので、そちらの曲の解説をば。

ロック好きなら、この曲のリフはダウン・ピッキングのみで弾いてもらいたい。bpmは「209」。

GGの日本語ライナーノーツとか見ると、半テンポ時の拍を基準に拍子を語ったりするんで7/16拍子とか見かけるんですけど、先にも語ったように、GGの特徴は倍テン、半テンの使い分けが巧みな連中なので、私の場合は下記のような拍の捕らえ方をしております(曲構造としてはこちらの方が自然だと思います)。

冒頭の15/4拍子×2小節。聴く人によっては8分音符による15/8拍子(3×5のフレーズなんですね、コレが)に聞こえるかもしれません。確かにこの部分だけを考えれば15/4拍子よりも15/8拍子の方が読譜しやすいのかもしれませんが、このタイムが8分音符に聞こえるのはマズイだろー、と思うのでこうしたワケであります。
CogsinCogs.jpg


ま、何はともあれリリースされたら聴いてみてください。

左近治のドラム考察 [ドラム]

 実は左近治、ベースをやる前はドラムをほんの少しかじっていたのです(笑)。中学生の頃は、中でも村上“ポン太”秀一が大好きだったのです。後はよく聴いていたのはスティーヴ・ガッド。


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