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左近治のドラム考察 [ドラム]

 実は左近治、ベースをやる前はドラムをほんの少しかじっていたのです(笑)。中学生の頃は、中でも村上“ポン太”秀一が大好きだったのです。後はよく聴いていたのはスティーヴ・ガッド。


 私がハタチくらいの頃、時は「東京ラブストーリー」「男女7人夏物語」の驚異的な視聴率をはじき出していた後くらい。YAMAHAさんの御好意により、某楽器店で行われるヴィニー・カリウタのドラム・クリニックをステージ袖から見物できることに。

 その頃の私はすっかりベース弾き。とはいえジノ・ヴァネリでの名演、ベイクド・ポテトのレコードの数々、ジョン・パティトゥッチの1stソロアルバムでの演奏、ネルソン・コールのアルバム参加などが当時の愛聴盤。直にこの目で拝めるということで喜び勇んで足を運びました。

 さて、ドラムクリニック本番中、カリウタ本人が幾つかの解説を交えながら、客席最前列にいたスネアドラム持参のお客さんに、片手でbpm110前後で16分音符を叩き続けるように指示。

 来場するドラム少年もなかなかの腕前です。粒を揃えながら片手できっちり16分音符を延々と叩き続けています。

 カリウタ師匠はそこで何をするのだろうと思っていると、突然彼のスネアドラムに片手で同じように叩き始めました。

 音はというと・・・!?

 「あれ!?ロール!?32分音符!!!」

 そうです。カリウタ師匠も同じように16分音符を叩き続けているものの、32分の裏から叩き始めているのです!!!!!!!!!!!!

Colaiuta_clinic.jpg いやあ、これは驚愕ものでした。32の裏を、しかもあのbpmできっちり認識して、寸分の狂いもなく裏を取ったままロールに聴こえさせるとは・・・。タダ者じゃないです。もちろん、それに惑わされることなく16分音符を叩き続けたそのお客さんも大した者ですが。

 さらにクリニックを続けると、1拍12連符、バズロールと称する1拍6連と32分音符が入り混じったような素晴らしいテクニックを披露。

 12連符はダブルストロークを会得した人が目標とすべき細かなリズム。粒を揃えながら(実際のダブルストロークは大半のケースで2ndストロークが強い)延々と叩いている・・・。

 ここでいう粒の揃ったロールとは、ダブルストロークが甘く、粒にムラが出来て、長く叩けば叩くほどムラが生じてしまう、初心者のよくあるロールとは違う、スムーズな強弱変化のあるロールのことです。バラけていないロールですね。

 ドラム打ち込みでよくありがちな誤解は、とかくロールは32分音符だと思って入力してしまっているケースです。まあ、細分化された音というのはパラディドルも含めてかなり曖昧に認識してしまうのが人間の特徴でもありますが、実はこの認識度は楽器演奏の経験度にかなり左右されるものでもあり、例えば自身がbpm120前後で1拍12連符という細かく速い音符を演奏あるいは強く意識して自分のリズムとして物にしない限り、曖昧になってしまいがちなのです。
 1拍12連符に限らず細かな音符というのは、その人に根差すテンポ感覚や音符に追従できる能力によるので個人差はありますが、簡単に言えば経験したことのない音の符割や音程の跳躍については非常に曖昧になりがちなのです。

 曲はシャッフルなのに、ロールの場面が出てくるとなぜか32分音符で済ませてしまったり、フラムを交えた演奏となるとbpmにより変動するもののどれくらいずらせばよいのかというのは打ち込みにおいてかなり重要になってきます。
 マーチングなどはシャッフルにおける4連符に代表されるように、それらを巧みに使い分けてスピード感を演出したりメリハリを与えているわけですが、ヴィニー・カリウタはマーチング出身の人なので、チューニングや技術においても極めて高いレベルにあるのをあらためて認識させたれたドラム・クリニックでした。少し太っていた時期のヴィニー・カリウタとツーショットでポラ写真に収まった写真はいまだに私の家法であります(笑)。