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ポリトナリテ [楽理]

扨て、スティーヴ・ジョブズの初七日を終えたのでまたまた楽理的方面の話題へ邁進していきたいと思います。


まあ10月に入ってからiPhoneはKDDIも取り扱うようになったり、ジョブズ氏の死去、プログレ三昧の話題やら色々とあったようですが、とりあえず左近治周辺(身辺ではないですよ)を語るには、やはり音楽の楽理的側面があってナンボだろうと思うワケでして、そういうトコロをきちんと語っておかなくては気が済まない左近治はまだまだネタは尽きることなく戯れ言を発するワケであります(笑)。


まあしかし、ココ数ヶ月でバイトーナル・コードの由来みたいなモノをきちんと語っていったので、いたずらに通常の音世界では得られないようなモノに対してペテンのように嘘を織り交ぜて語っていたのとはワケが違います。そういう意味でハイパーな音世界とやらに確信を持てる材料を引き合いに出すには左近治のたわごとでは信憑性が低いため(笑)、どうしても希代の名著を引き合いに出さねばならなかったワケですが、こうでもしない限り知らない人が大部分であるという現実の方が実際には物悲しかったりするんですけどね(笑)。


まあ、ハナ垂らしながらも覚えられる程度のポピュラーな類のなんちゃって理論を多くの人が知っている現状の方が実は悲哀な側面があったりするもんですが、そんな彼奴等が市民権を得てしまうとマイノリティーな世界というのはいつしか迫害されてしまいかねない向きもあったりするもんでして、嘗てはアップルだってそういう認知だったのに、今や勝ち馬に乗っかろうと必死な世の中ですわ(笑)。溺れるモンは藁をもつかみますが、藁持ってる人が善良だろうが悪人だろうがカンケイ無ぇ!とか、目の前イッパイイッパイでテンパちゃってると善悪カンケイなく助かったモン勝ち!みたいに首尾よく済まそうとする人、今かなり多いじゃないですか!?ワタシ、こーゆーのキライなんですよ。皮相的&近視眼的で。


別にアップル昔から使ってたからそれを誇示しようとは微塵も思っておりませんし、楽理ネタ昔から扱ってるトコロにはそれなりの信憑性があると言いたいワケでもないのでありますが、デタラメばかり何年もブログで述べているワケではないということはご理解いただきたいワケですな。


扨て、単一的な調性ばかりではない複数の調性によって得られる世界観というモノが存在するのはお解かりになったと思うのですが、ひとまずそういう世界観を和声的な方向から今一度確認してみるとしましょうか。
手前味噌ではありますが、今回のデモの4小節の各小節のコードは次の譜例のようになっております。polytonalchords.jpg
※当初掲載した譜例には誤りがありましたので変更しております。4小節目の上声部の一部正しくはCisis音と当初はダブルシャープ表記ではなくシャープのままでCis音と表記されていたので訂正します。

1小節目はドナルド・フェイゲンの「Tomorrow's Girls」の時の謎の音階を示唆する旋法から生じるトコロのハイブリッド・コードですな。

2小節目は一見するとFをルートとするFマイナー・メジャー7th系の音に短七も入っちゃってるような不思議なコード(笑)。コレは実は上声部&下声部共に「等和音」によるハイブリッドです。下声部はトライアドの各音程が5半音(完全四度)による等音程、上声部がトライアドの各音程が4半音の増三和音(Eaug)という構造です。

等音程がどこに「ぶら下がる」のかというコトについては過去にも属音+ナンチャラとか、属音の上下長三度のトコロとかやったと思いますが、ぶら下がる方法については他にも色んな可能性があるワケですが、今回の譜例でわざわざ想起しうる属音の位置を探る必要はありません(笑)。


3小節目は過去に「Bb△/Eb/Db」という分数の分数コードを例に出したコト覚えておられるでしょうかね!?今回のとは音は違うものの音は一緒です。構造的にはエレクトラ・コードに減10度の音を加えるハイブリッド和声なんです(※エレクトラ・コードは構造的に短九度を包含しているのがミソ)。


で、4小節目がペレアスの体となるワケですな。


ま、今回重要なのは等音程の使い方とバイトーナル・コードにさらに別の方角からの音を加えたという、エレクトラ・コードに減10度を与える体のポリトーナルの扱いがミソになってきます。

響きとしては普段耳にしにくい音ではあると思いますが耳には馴染むと思います。よ~く聴いていると毒っぽさがあるコトに気付くと思うんですけどね(笑)。この毒っぽさが判ることが重要なんですが、それ以前にこういう和声に対して受け入れにくい耳になっちゃっている場合、まだまだ単一方面の調性で耳を磨くコトが先だと思われますのでご容赦を(笑)。


追記 等音程の和音を構成する場合、二通りの構成があることを念頭に置かなければならないことがあります。ひとつは長短三度音程によって「12半音」というオクターヴ内に三和音という「原器」を集約させる見方。もうひとつは長短三度という物理的な音程幅である2全音を超える音程幅による累積で構成する際(つまり5半音以上)、完全四度累積の場合は5オクターヴ内で半音階を満たすという、1オクターヴ内に集約させない見方もあります。等音程&対称性累積で得られる和音は大きな可能性が詰まっています。