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キングパワー [テレビ関連]

まあ、前回までに言いたかったコトというのは結局、通常の音世界でのトニック・コードで七声(十三の和声)の13thまでを最高の度数とする三度累積の和音を構築しようとしても、本来示唆すべき調性を向かないのは、倍音列基準と合致しないからというコトなんですね。


無論、サブドミナント基準でF△7 (9, +11, 13)と与えれば、それらのコードトーン全てはハ長調全ての音を網羅する「全音程」のコードではあるものの、ハ長調のトニックではありません。コード表記のルールに則って仮にトニックメジャーで7声与えてしまえば「C△7 (9, +11, 13)」となり、ハ長調とは異なる調性外の和音となり(この場合ト長調を示唆する)、トニックで全ての和声を表記し得るモノは結局のトコロ存在しないワケです。


コード表記の流儀の方が倍音列というシステムに厳格に則っている理に適ったモノなので、こちらをそうそう手ェ入れて変えるワケにもいかないモンです。ただひとつ重要なのは、コード表記のルールを無視しようが3度の重畳は結局属和音を包含してしまうよ、というコトなのです。


旋法的なフレーズから生じる曲の性格で、例えばト長調でありながら七度がフラットしている性格というのはいわゆるGミクソリディアンの性格です。Gミクソリディアンであるならハ長調のままの表記でイイのですが、Gの方の性格を重視しながらハ長調の並びになっているだけでこういう音使いになるというのは誰しもが経験するコトですし、特にブルースハープを吹く人なら密接に感じ取るコトですね。

ではこういう場合のトニックのコードというのはドミナント・モーションを伴わない属和音の類のコードを用いるワケですね。でまあ、こういう旋法的な方角から来た曲の性格ってぇのは結構コロコロ変えたりするモンでして、Cミクソリディアン的な性格を与えようとしたフレージング中で「ド レ ミ ファ ソ ラ♭ シ♭ ド」という旋法を弾いたりとかですね、色々ハーモニックな方角へ移ろうような時もあったりするんですね。

先の、ハ長調の「ドレミファソラシド」の「ラとシがフラット」した旋法というのは、どういうモードスケールかはお判りだと思いますが、非チャーチ・モードなのは間違いありません。このような非チャーチ・モードの世界というのは倍音列に似てくるんですね。不思議なコトに。


まあ、そういう世界観をチラホラ耳にしたり、少し違った感じというのはいつしか気付いていくモノです。でまあ、こういう曲調というのは推し進めると、興味深い事実が色々と浮かび上がってくるんで、そういう例を挙げながら語って行こうとしているワケです。そういう例を挙げつつ「3度を累積するコードはいずれ属和音を包含する」という前提を理解するのはとても重要なコトなので取り上げているワケであります。

というのも、通常属和音ってぇのはトニックに解決するために用いられる音程的に不協和でそれこそ不安要素を含むようなモノでして、ドミナント・モーションってぇのは差し詰めボウリングで形容すると、上手い事ブルックリンではないポケットに入ってストライクを取るような時のピンの倒れ方とでも言いますか(笑)。そういう風に例えちゃいたいんですね(笑)。球の回転が適度に8回転くらいしてポケットにズッポシ入ると、まるでピンが中央に向かってスクリューのように収斂して倒れて行くと言いますか、「クシャッ!」とキレイに音を立てて倒れるコトありますよね。まあ、私はドミナント・モーションのスキッ!とした解決というのをこういう風に形容しているだけなんですが、「解決しない」動き、つまりトニック的要素のある属和音の用い方も結果的には存在するモノでして、三度の重畳が結果的にはいずれ属和音を包含してしまうのであれば、トニックの在るべき姿っていうのは一体どういうモノなのだろうか、という興味を抱くコトがあります。


ドミナント・モーションを行うための属和音とトニック的要素のある属和音の姿。突き詰めていくと、後者のタイプに倍音列をさりげなく合致させる方へ人の耳は向いていくように思います。いずれにしても属和音としての振る舞いの「解放」を受ける時というのは、属和音上において短七と長七の音が混在するような響き、つまり倍音レベルで見れば第7次倍音と第15次倍音を同居させた時の響きを自分自身の音響的な習熟レベルにおいてそれを受け入れられるように育った時、初めて高次な和声感覚が生まれるモノだと私は信じてやまないワケですな。


で、三度の重畳が結果的に属和音を包含してしまうというのも興味深いものではあるんですが、半音下の調性を呼び込むような、本来なら縁遠い筈の調的カンケイが実は常に寄り添っているような例を取り上げてみようかな、と思うワケです。そこで今回のブログタイトルは「キングパワー」なワケですが、正直なところこれは大昔テレビで放映されていたCMのコトでありまして、私の記憶が正しければ東芝さんの乾電池のCMでありまして、そのCMで唄われていた「キングパワー♪」というフレーズに端を発しております(つづく)。