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しきたりの落とし穴 (2) [クダ巻き]




「んなコトねぇ! FをルートにしてFM7母体にすれば表記できるぜ!」


おっと、コレは私としたことが(杉下右京風)。そうですねー。サブドミナントの方角からだと「F△7 (9、#11、13)」と表記ですますね。おっしゃる通りです!(まだ杉下右京風)


でまあ、サブドミナントというのはドミナント的な指向性からゆえ許容されるのでありましょうか!?いずれにしても「ダイアトニック」な音列を全て包含する和声として表現するコトが便宜的には可能ですが、前回から声高に語っているコード表記の件において今一度あらためて語るコトにしましょうか。


コード表記において色々な「制約」を与えている理由は、無秩序に三度を累積させていった場合ゆくゆくは属和音を包含してしまうからなのでありまして、これを避けるために制約を与えている。


というのが真相です。つまるところ「トライトーンを形成するから」という理由は確かにそうではあるんですが、理由としては全てを語りきれていないザックリとしたモノに過ぎないんですよ。だからこそ、トライトーンと見かけ上は同じ音程差であるC音とFis音を「トライトーン」と同じだから避けるって!?ホントにコレでイイの!?って悩む人が出てくるワケですよ。

例えばハ長調を表す「C D E F G A B」でDm7においてナチュラル13thを回避する理由はF音とB音から生じるトライトーンを形成するから、で合っています。こう説明すればもっと判りやすいでしょう。この場合Dm7を母体とした時「対となる属和音」を想起し得るのは「G7」であり、G7というコードのトライトーンは「B、F」。これと同じ属性の中にあるDm7が同じトライトーンを持ってしまうと進行する意味が無くなってしまう。

というのがより良い説明であるでしょう。ハ長調の中のEm7かどうかも判らず(ただ単に和声だけを与えたハーモニーの場合)、Em7を示唆するのはIIm7なのかIIIm7なのか!?この時点だけでは確定しておりませんね。ただ、調的な「属性」を早いトコ明確にして進行してやった方が物事スムーズに捗るワケでして、コード進行というのはそーゆーモノなのだと理解していただければ宜しいかと。


今回の「重要な部分は」先述の、「三度の重畳はいずれ属和音を包含する」というコトです。


で、こうした「制約」を与えてコード表記をしているワケなんですが、これは倍音列の7次倍音を「7th」と解釈して収めた見方でありまして、殆どのコード表記だろうが音楽理論だろうが、これを基本としているワケですが、ここから超越する世界はそれらの「制約の範疇」では語りきれないのであります。

そこで、こうした倍音列の7次倍音をきちんと行儀よく遵守しているのが通常の音楽感でもあり、「低次な」見方をする方のいわゆる一般的な方の世界観なワケです。「低次」が悪いとか劣っている、という意味では決して捉えないで下さいね(笑)。


扨て、「高次な」方の見方ってぇのはどうなっているのか!?


結果的に三度の重畳はいずれどこから積み上げても確かに属和音を包含します。「so what!?」

別にイイじゃん!もっと積み上げようぜ!


ってのが「高次な」世界です。結果的に12音を全部3度で積み上げるコードをエドモン・コステールは構築することになりますが、これは机上の空論でも何でもなく、実はとても理にかなった音の累積なのです。


半音階という世界は確かに、転回こそして1オクターブ内に押し込めてしまえば全てが半音の12音で表現可能ではありますが、この半音の集合体をもう少しキレイに響かせようと試された方どれくらいいらっしゃいますでしょうか!?

確かに狭い音程内で収めれば「音塊」と呼ばれるいわゆる「トーン・クラスター」ですよ。二度の集合体ですね。ホワイトノイズだって微分音をも視野に入れた隙間無い二度の集合体ですが、少なくとも鍵盤楽器やら音律に則った十二音の抜粋ならホワイト・ノイズよりかは「器楽的な」音の塊かもしれません(笑)。


まあ手っ取り早く12音という半音階を全て累積させたコードというのは表現可能でして、三度を積み上げていくか、完全四度を累積させていくかいずれかがあります。

結果的にそれらが12音全てを満たしたとしても、ヴォイシングは丸っきりちがいますし、和声的な性格としても違って聴こえます。結果的に「同じ音」が12音鳴っているんですけどね。


で、エドモン・コステールという人は、三度をずーっと二十三度まで積み上げた和声を作ったんだぞ!というお話になるワケです(笑)。