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Fender Jazz Bass [ベース]

ジャズベというのは大別して2種類ありますね。いわゆる60年代モノとマーカス・ミラーに代表される70年代後期タイプ。プリCBSのブロック・インレイで4点止めネックジョイントという68〜73年くらいのものもあったりしますが、こちらは70年タイプと形容して差し支えないでしょう。

というのもリア・ピックアップのマウント位置が違うという所がポイント。いわゆるマーカス・ミラー・サウンドを得たい場合は、リア・ピックアップ位置はよりブリッジ側の70年タイプでしか出せませんし、60年代モノで同じEQセッティングをしても細くなってしまうんですな。

でもウィル・リーがジャズベを使っている時など、60年代モノであっても結構コシがあって70年代モノに近いサウンドにしていたりと色んな妙味があるんですが、そもそもウィル・リーはレギュラー・ゲージ(=.045〜.105)は使わず、ディーン・マークレイのMediumゲージを使っていたと思います(今は違うでしょうが)。確かG弦は.048だったと思います。

奇しくも80年代前期のマーカス・ミラーもディーン・マークレイのHALF&HALFのMedium Heavyゲージを使っていて、このハーフ&ハーフの特徴は、12フレットよりローポジ側がハーフ・ワウンドという、フレットの当たりの粘りを出しつつ、フィンガリング・ノイズを低減させる狙いのある弦だったワケですね。

このミディアム・ヘヴィというゲージも実はレギュラー・ゲージよりかは幾分1弦は太く、.046なんですね。確か3弦が僅かに細かったような記憶があるんですがそこまでは覚えておりません(笑)。

60年代モノで太いゲージを張ると、粘りが出てきて、後にEQでカットしても有り余るくらいの中音域成分が出てくるんですね。これを逆手に取って、少々レギュラー・ゲージでツヤやかでややドンシャリな音になってしまう音を、コシのあるスラップに変えてくれるというワケですね。

まあ1弦プルの音はややファットな感じにもなりますが、レギュラー・ゲージの1弦プル音だとダイナミクスに応じた音ではなく、ほぼ一定の音質を保つワケですが、太い弦を張ってくると、ダイナミクスに応じた音質変化がワイドになってやや弱めに弾いてもコシとツヤが出てくれるんですね。

あまりに太いゲージだと低音弦が飽和した感じになってくるでしょうから、当時のウィル・リーはそういう所も考慮して、丁度中間的なゲージを選択して活用していたのかもしれません。

とはいえ、最近の音楽だとレコーディング環境の変化や音のクオリティもアップして方法論の変化が浸透してそれまでのアナログ時代とは違う方向性が出てきたお陰なのか、それまでの旧時代にもてはやされたようなジャズベの音よりもプレベのいやらしいくらいの粘りのある音の方がアンサンブルの中で生きてくるように感じるんですね。こういう風に感じているのは私だけではないからこそジャズベ一辺倒の時代からスティングレイへと変遷を経て、プレベがにわかに注目されつつあるのではないかと思っております。

ちょっと前くらいなら、プレベ1本売れるのに対してジャズベは50本売れるような、楽器店レベルで見ればそのくらいプレベというのは当時は売れなかったと思いますが、スラップがポピュラーシーンで姿を消してからはジャズベだとリアのワンピックアップで音を得たとしても相殺されてしまう音成分が多いのか、徐々にスティングレイなどがもてはやされるようになり、ジャズベよりもスティングレイが売れる時代に移行して、それが今ではプレベが注目される時代になったワケですから時代は変わるモノであります。

いわゆるサチュレーションを得る程度の歪みを付加させても、ジャズベだと低音が「死ぬ」んですが、プレベだと残ってくれる音があるんですな。もちろんジャズベでも太いゲージ張ってなら多少残ってくれますけどね(笑)。ただジャズベというのは高域成分に音が伸びていくような特徴があるのか、なかなかオイシイ中域に残ってくれないというのもあって実は使いづらいベースだったのだなあと今では思ってしまいます(笑)。

まあ、相殺する音がある分、フィンガリング・ノイズやタッチ・ノイズを軽減してくれるワケで初心者でもソツなく音を出せるような使いやすい音ではあるんですけどね。

とはいえ、ジョン・ポール・ジョーンズのような音にだけはしたくはありませんが(笑)。あの人はアンサンブル重視で音程重視のプレイヤーのためか、不必要とも思えるような他のベースが出すようなイヤラシイ低音弦のグリッサンドとか多用しないためか、低音弦のサステインが死んだような音になってしまっていて弦振動自体がどんなに新品の弦張っても鳴ってくれないような音になっちゃってるんですな(笑)。おそらくそれを克服するためにサステインを稼ごうとして弦高も高めにしているような感じだとは思うんですが、私はどうもジョン・ポール・ジョーンズの音だけは好きになれないんですなあ。

まあスティックも使ったりするし、参考になる人ではあるんですがベース・サウンドそのものは好きではありません(笑)。あと、もしかすると手の汗を非常にかくタイプなのかもしれませんね(笑)。弦すぐ死んじゃいますからね(笑)。「移民の歌」のベースなどポコポコしてるだけで聴いてるだけでもどかしくなってしまいます(笑)。あまりにサステインが死んでるんで。

サステインを極力活かせば音も気持ちよいものであります。