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スラップ・ベースを振り返る [ベース]

まあ、私なんぞ「チョッパー」世代のアラフォー&オバフォーなんですが、すっかり影を潜めた感のあるスラップ・ベースでありますが、要所要所で使うとやはり彩りを添えてくれるというか、フレージングこそがキモでもあるんですが、昔のそれはとにかく「ンペンペ」席巻していたワケですよ(笑)。

その代表格というと、スラップの音そのものが神格化されていたとも呼べるマーカス・ミラー。私自身ベース弾きなんで時折スラップ・ベースの音は音域こそ非常に低くケータイのスピーカーではフルに再生できないのではないかと思えるんですが、倍音構造が広く行き渡っているので意外にもきちんと鳴ってくれるコトが多いんですな。人間の結合音の能力によるものでしょうけどね。

ベースという楽器はライン録りが多いワケでして、アンプミックスをする人はもちろん存在するにしても、スラップに特化したようなベーシストでアンプミックスを施すタイプの人は非常に少ないのではないかと思います。少なくとも昔はそうでした(笑)。

では、その「神格化」されていた蚊トンボマーカス君の過去の作品をアレコレ追究してみるとですね、意外にもアンプミックスで録音しているだろうと思われる曲が多いんですね。コレはあくまでも左近治の推測でありまして、どこそこの伝聞や雑誌などのソースを元にしているという信頼ある情報ではないのですが(笑)。

マーカス・ミラーのプレイしていた時期、1978年〜1985年頃のマーカス・ミラーの音が私は好きでして、それ以降のマーカス君には正直興味ありません(笑)。まあ、時期的にもマーカス・ミラーといえば大体この辺りの年代になってくるのではないかと思うんですが、85年頃なんてぇのはニューロマンティックな音楽も徐々に衰退の度を強めて、DXサウンドやサンプリングサウンドで耳惹き付けるような時代で、「チョッパー」なんぞ鬱陶しく思われ始めたような時代でもあります(笑)。エレベ受難の時代到来という頃ですな。

例えば、私がマーカス・ミラーの音で好きな作品は、デヴィッド・サンボーンのソロ・アルバム「As We Speak」(邦題:ささやくシルエット)全般なんですが、このアルバムもおそらくアンプミックスの顕著な音なんですね。



他にもそれよりも顕著にアンプミックスを感じるマーカス・サウンドというのは、デイヴ・グルーシンのソロ・アルバム「Night Lines」収録の「Thankful 'N' Thoughful」とか、デイヴ・ヴァレンティンのソロ・アルバム「Land of the Third Eye」収録の「シドラの夢」とか。



特に「シドラの夢」なんぞは、今この手の音に仕上げるとすれば、UREI 1176SNとFocusriteのRed Channel辺りを使って深みのあるコンプとサチュレーションを得たくなるような音です(笑)。



ツヤのあるドンシャリな音を好むタイプの人だと、マーカス・ミラーにあって「シドラの夢」というのは、プルが気持ちよくても、サムがなんとなく歪んだような感じでイヤ!という人(←左近治の周囲でこーゆーヒト居ました)が居るんで、その気持ちも大いに理解できるんですが、歪みにかき消された音ではなく、巧い具合に指板の粘り具合のある音の帯域がサチュレーションした飽和感があって、私としては非常に好きなマーカス・ミラー・サウンドのひとつでもあるんですね。

以前にもベース関連の音について「ガラスをこすり合わせたような音」とか形容したと思うんですが、もっと判りやすく言えばビー玉こすり合わせたような「ギュッギュッ」した感じの音と言えば伝わるでしょうか。んなコト言っても今の人達じゃビー玉すら目にしないかなどと思ってはいるんですが、メイプル指板というのはこの粘り、特にファットな厚ぼったいネックの70年代モデルのジャズベというのは、この音が実にオイシイ(笑)。それと、リアPUの微妙なブリッジ寄りのマウント具合によって変わる音のクセ。

この粘り具合、いわゆるビー玉擦れ合ったような音というのは680Hz〜770Hz辺りにオイシイピークが出てくるんでお試しください。とはいえ、普通のベース音のこの辺りの周波数弄った所でマーカス・ミラーの音が得られるワケじゃないですよ(笑)。マーカス的な音にするには他の周波数帯を弄る必要がありますし、ベース本来が持っている音のクセの粘り具合がココにあるという意味ですので。広いQ幅ではなく非常に狭いQ幅でこの辺りを弄ってみると、粘り具合と形容する音が判ってもらえるのではないかと、この底意地の悪い性悪左近治、信じてやみません(笑)