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Rhodes聴き比べ おさらい [スティーリー・ダン]

先のRhodes聴き比べにおいてのコード進行のおさらいです。

Fm9(13) --> AbmM9 (#11,13) --> EbM9 --> Eb9 (#11) --> BbmM9 --> GmM9

先の記事で取り上げた上記のコード進行。実は発想を変えればドミナント・モーションに置換できるコード進行だったというのはおそらく多くの方がお気付きになっていたのではないかと思いますが、あらためて述べてみることに。

上記のコード進行を見ることなくパッと聴きなら大抵の人はドミナント・モーション的な響きを想起すると思うんですね。ドミナント・モーションにした場合のコード進行はどうなるのか!?というと・・・

Fm9 (13) --> G7/Ab --> EbM9 --> Eb9 (#11) --> BbmM9 --> GmM9


とまあ、こういう解釈にすることもできます。今回のコード進行はドミナント・モーションを「やや」強調している解釈というわけですが、マイナー・メジャーのコードが出現することでその手のモードスケールの当てはめのアプローチが下手な人には、今回の提示した解釈の方が判りやすいかもしれませんが、7thコードを安易に提示させてしまうと、弾き手によっては大抵の場合予想通り「安直な」アプローチをしてしまいかねないので、わざと前回のように記載していた、という狙いもあるんですね(笑)。

もっというと、バップ・フレーズに「逃げられない」ように封じ込めて(笑)、より変わった雰囲気の調性感を演出するにはドミナント・モーションを避けさせられる、という弾き手にとっては大抵の人は落ち着けないかと思いますが、こういう狙いで曲を作ると、ベッカー・サウンドやSDサウンドに近づくことができます(笑)。

とはいえSDに近づいた程度で、とてもじゃないですが「Door Number Two」のようなフレーズやコード・プログレッションを思い付ける感性には、左近治まだまだ遠いものであります(笑)。

なかなか使いこなすことのできないマイナー・メジャーやメロディック・マイナー・モードなど、その手の持て余しやすい音をきちんと耳で理解するには、判りやすいアプローチから理解することが大切だと思うんですな。今左近治がこのように述べなくとも今回のウォルター・ベッカーの「Circus Money」は非常に理解しやすい優しさを備えていると思うんですけどね(笑)。

スティーリー・ダンやらR&Bとまでは言わないまでも、コード・プログレッションとして少々彩りを添えてくれる程度で満足できるリスナーもいるのが実際で、例えばキリンジ聴いてそれで満足な人とか。そんな人にももう少し本質を理解できるためにもこういうコード・プログレッションのアプローチがあるんだぞ、という事を「ついでに」理解できればよろしいのではないかな、と思うわけですね(笑)。だからこそ左近治がこういう例題みたいなのを出す時もわざと判りやすいコード進行にしているということをご理解いただければな、と。まあ、底意地の悪さと優しさを兼備しておりますが(笑)。

冗談はさておき、ベッカーの「Circus Money」。アルバム全編聴いてある程度耳の慣れた方には一度お試しいただきたい。今こそベッカーの前作「11の心象」をあらためて聴いてほしい、という事。

「こんな深みがあったのか」とか「すんげえアプローチしてたんだなあ」ということをお判りいただけるかと思います。