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反町ジャパンに思ふ [クダ巻き]

負けるべくして負けた、という結論に達してしまう北京五輪。足下にボールが来れば決して米国にもナイジェリアにも劣っていたとは思わない左近治。

しかしそれは、足下に入ってボールに触れてみて、からの限定的な局面のみ。

確かに日本の絨毯のようなピッチと比較すれば、天津のそれは劣悪なものでこれが足枷になっていたのは確かですが、それは相手も同じ条件。劣悪な状況で対峙してこそ真価が問われるのではないか、と。思えばトルシエ時代のアウェーでのカザフ戦。

あの時はとにかく指示がシンプル。「ピッチコンディションが悪ければ空中を使えば良い」とトルシエはメディアにそう言い切ったものでした。結果的にグラウンダーを少なくしたパス運びが出来て勝利したワケでしたが、指揮官としてはこういう判りやすいテーマ、つまり租借された指示を選手に浸透させることが重要だと思うのですが、今回の反町ジャパンには地力で戦わせたいという親心と選手自身のそういう気持ちがマイナス要因として働いてしまったのではないかと思うんですな。

まず日本の選手はパスを受ける際、日本のピッチなら高速ピッチなのである程度パスを「待ち」に入っても足下に速く転がりこんで来てくれる。自分もラク。こういうプレー、実はオシムが病床に倒れて以降の岡田ジャパンにも顕著に見られるプレーで私は危惧しております。

「待ち」に入るにしても相手をケアしながら自分が動き出しをリセットするなり、多少なりとも自発的にケアしながら動けば相手のインターセプト(パスカット)される場面は少なかったはず。それでなくとも日本は相手のインターセプト率は以前よりも増えてきているのに、これをプラスに活かせない。これが勝てない原因のひとつ。

もうひとつ勝てない原因は、相手ゴール前に詰めても、一人の選手のボール保持時間が長い。これに尽きますな。岡田ジャパンは病床に倒れる直前の数試合のオシムジャパンと比較しても、相手PA付近に顔を出す時間は減り、ひとりのボール保持時間も増えているように見え、なかなかシュートに行かない(笑)。重要なことは、シュートやゴールマウス付近にボールを入れて相手をアタフタさせることが必要なのに、いつまで経ってもボールの出しどころを奇麗に狙おうとするばかりでいつしか相手に取られてカウンター受けたり(笑)。

フル代表がなぜバーレーンに負けたか?ということを思えば、いくら相手が強豪だとしても相手ゴール付近でアタフタ感を演出せよとまでは言わないけれども、押し込む時間を巧く使って相手にプレッシャーを与えることが得点の近道になるのに、ここが日本は非常に脆いのでありますな。

先の北京世代の豪州との壮行試合やアルゼンチンとの試合を見れば、相当食らい付くだろうなと予想していたのでワンサイド・スコアで負けるようなことはないだろうと期待していた左近治でしたが、攻撃においてあまりにも軽い。相手ディフェンスを翻弄できていた動きをしていたのはせいぜい出場時間の短い清水の岡崎選手くらいのものでした。岡崎を後半途中で相手DFの嫌がる時間帯で投入という腹づもりだったんでしょうが、暑いさなか相手もペース配分しながら対応していて、日本の選手のパスの出すタイミングやら慣れてきてからでは岡崎投入でいくら掻き回しても他で対応できてしまう慣れが相手に備わってしまっている状況では返って難しかったのではないかと。岡崎こそ先発で使っていれば相手が慣れる前に先制点を奪えていたのではないかという思いがありますね。まあ、私は監督ではないので四六時中選手を見てきた監督を信用せざるを得ないのでありますが、他にもっと策があったのではないかと悔やんでも悔やみきれない思いが一杯なんですが、指揮官自身が「悔いは無い」と言っているのだからやることはやったのでしょう。

とはいえ、この反町ジャパンは平山と訣別するのも結構遅かったんですね。豊田など今年のシーズン入ってからですし、水野にこだわりながらも最終的には水野を切って内田。ナイジェリア戦の2点目など、内田がケアしきれていないからこその失点でしょう。

なでしこのニュージーランド戦の初失点は、近賀の凡ミスから(自身のサイド、つまりボールサイドから流れてきたプレーであれば近賀の背後には味方の誰かがケアしてくれている、であろうサポートは大方予測がつくものでありますが、自分の逆のサイドからの流れで飛び込んできた相手のボールをワンタッチで処理せずに後ろに流すというのはまず有り得ないシーンだという事)なんですが、これらからも判るようにボールサイドに多くのブロックを配置せざるを得ないために起こりえる逆サイドの危険察知能力、つまりゲームを読む能力が必要と思うのですが、内田にしても近賀にしてもちょっと有り得ないようなミスだったのではないかと思うんですな。こういう所の「軽さ」が実に怖い。内田は確かに攻撃時にはいいプレーを見せますけれど。私なら右でもプレーできる長友を右のフルバックに置いて、内田を前のウイングにして本田圭をOUTにしていたかもしれません(笑)。

ボールをある程度持てる本田圭ですが、今大会通じて「持ち過ぎ」(笑)。王様プレーが許されるようなプレイヤーではなくとも、チーム力がそうさせてしまわざるを得ない。本人も決して身勝手なプレーをしようとは思ってはいないでしょうが、苦境を打開するには「華」を必要とする所で託されたり、絡んだりするもんなんですな。そこで「次」を出せずに右往左往してしまえば結局はそれまで。名古屋のルーキーイヤーでもボールサイドに中村直があって突破している時の、逆サイドでの本田の動きが早いことで中村からメンチ切られてたでしょ!(笑)。プレーのタイミング、だんだん良くなってきたかなーと思っていたんですが、チームが結局本田圭タイプを欲してしまう局面に陥ったこと、コンビプレーを熟成できなかったことも結果的に本田圭の、現状としての限界を晒す事となって、こういうプレッシャーは酷だなあーと思いますね。これが原因で使いづらい選手として融合が遅れれば、日本としては結果的に優秀な駒を使えない、ということに陥るわけですからね。そういう意味でもトルシエの登用は巧かったかな、と。

華の必要とされるエリアでプレーしようとする前のもうひとつふたつ前のプレーでの動きだしやら味方の使い方。これが全く機能しておらず、結果的に自滅した、と。

ここまで足元に要求してしまうようなコンビ構築しか出来なかったことも、結局は指揮官の最後まで苦悩していたような選手選考にも影響があるのでしょうし、日本でできるだけ事前準備するならせめて2002W杯直前の芝の悪かった大分、神戸、豊田、埼玉、もしくは芝の深い鹿島を想定して練習(実際には千葉・名古屋で練習)もあったでしょうが、あそこまでピッチが劣悪状態なのは関係者は知らなかったのでしょうか?今の神戸や豊田スタジアムだってピッチコンディションは天津ほどではありませんからね(笑)。西が丘とか駒沢でやらせるくらいの事前準備は必要だったんじゃないでしょうか(笑)。

とはいえ代表手当と併せて、招集中の怪我は協会がクラブに補償しなくてはなりませんし、保険とて結構カネ掛かっているかもしれませんし、わざわざ怪我を誘発するような環境で練習させたくないという思いも判らなくもないんですが(笑)。

昨年のワールドユースでの日本の戦い方こそが「日本」らしいプレーであったように思うんですなあ。サイドを執拗なまでに突いて相手PA付近まで圧倒させて、ボールを奪われそうでも誰かが必ずサポートして、バックラインも高めにする、と。意思統一と共に、チーム全体が本当にひとつとなっていたように思えていたんですが、反町ジャパンではそういう姿を見る事はできなかったですねー、残念ながら。

平山など相手ディフェンスのプレッシャーをことごとく嫌がり、さもロベルト・バッジオのように左に開いて(笑)、肝心なポストにならない(笑)。クロス送っても合わせられない(笑)。訣別を早めることのできなかった指揮官の迷いと、やろうとするサッカーが選手に浸透しない、結局は苦境の場面でその壁を越えられるような華のあるプレーができずに自ずと埋没してしまうのは、経験が足りないからでありましょう。だからこそ相手をケアしながら味方のパスを受けることもせず、ボールが転がってきてくれるのを待つかのようなポジショニングをしているようでは先は無いですな(笑)。今Jでこの動きを許されるとしたら、柏の逆輸入選手「沢」ですな。

まあ、YouTubeでのペルーでの映像しか知らない左近治ですが、彼はボールを受ける際の挙動が実に丁寧。自分が「静」としても、相手がそれにつられて次を読もうとしている時の駆け引きのタイミングが絶妙で、相手との距離(間合い)も絶妙です。しかも「2歩目」が実に速い。プルアウェイの権化が鹿島の柳沢だとするならば、静から動への動き出し(駆け引き)においては沢という選手は深井タイプかもしれません。駆け引きは沢の方が深井よりも巧みっぽい感じがありますな。

まあ、今年の秋のAFCユース選手権に期待するとしましょうか。この世代でも似たようなサッカー見せたとするなら私は正直将来不安ですな(笑)。その都度サッカーにおいては語ると思いますが(笑)。

いずれにせよフル代表次第ですね。何はともあれ。

そのフル代表というのは、やはり黄金世代の呪縛からの訣別ができていない所にも、今の日本サッカーの問題があるように思えるんですけどね(笑)。

その理由は、トルシエ政権が決して良かったわけではないでしょうがポジティブな面で言えば、トルシエは多くの選手を選考して広く選手のやる気を生み出しチャンスを与えていたと思います。それでいて誰が入ってもそれほど大きく戦力低下することのないようなチームを構築していったという面がありますが、ジーコ政権になってからはほぼ固定化されました。

確かに黄金世代はテクニシャン揃い。素人目にも実に判りやすい(笑)。だからこそ多くのにわかファンをも釘付けにできた。ただ、その固定化が災いして結構な技巧派揃いであったにもかかわらず「谷間世代」と揶揄された選手達の融合はオシム政権を待たねばならないほど。オシムが病床に倒れる前の2試合など、相手ゴール前まで効率良く運んで相手PA付近で圧倒する時間を増やしていたのにも関わらず、北京世代の本田圭のようなコネくり回しをオシム政権において見せていたのは誰なのか?というと、これは素人目にも明らかですよね(笑)。

最後の最後の場面で黄金世代のようなボールキープの出来る、王様プレーが許されるような選手を欲するのではなくして、昨年のワールドユース(FIFA U-20 W杯)のような「圧倒感」を構築する方が先だと思うのでありますな。

直前になって神戸の大久保を必要としたり(結果としてはクラブ側との不調)、遠藤を欲してしまう(病気で断念)、こういう指揮官の「移ろい」こそがチームを盤石にできなかった部分なのではないかと思うのですな。誰が入っても同じようなサッカーができるようでも無かったでしょうに、トゥーロンで活躍していた選手をも落として今回のチームにしてしまったのですからね。

岡田ジャパンは若年層の融合をさせながらという様子見を行っているようですが、視聴率稼ぎやにわかファンを再度リピーターにするだけのような客寄せパンダとして黄金世代に固執はしてほしくはないんですな(笑)。

北京世代の選手達や昨年のユース組を見れば、京都在籍時の朴智星よりも可能性を感じる選手など沢山居るんですけどね。トゥーロンで活躍していた梅崎やら青山をもバックアップに回していた、最後の最後で黄金世代や谷間世代に触手をのばさざるを得ないチーム作り、一方で黄金世代が再び必要か!?と思われるような選考を今も必要とせざるを得ない苦境は、他でもない指揮官の能力の欠如なのかもしれませんな。

まあ、フル代表と2009年U-20 W杯世代も目が離せないのですから、今回の北京五輪の結果がこうだからと言ってサッカー見捨てるようなエセなファンではありませんのでサッカーファンの方々、ご安心ください(笑)。こちとら、日本が滅法弱い時代から応援してるんですぜ(笑)。この程度で見捨てるはずがありません。