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ダブル・クロマチックの真髄 [たわごと♪]

7月20日に公開した「Santa Rosa」と「夏のお嬢さん」(笑)。Santa Rosaはとりあえず後で語るとして、「夏のお嬢さん」について語りましょうか(笑)。

この曲、左近治は着メロ3&4和音時代からこの季節になると取り上げてきました(笑)。ええ。アレンジの大枠もその時とそれほど変化はありません。

なにゆえ左近治がこの曲を選ぶかというとですね、ダブル・クロマチックの旋法で遊びやすいからなんですよ(笑)。

ダブル・クロマチックってぇのは、つまりターゲットとなる音階上の音に対して半音ふたつ分の隔たり(上下問わず)から変化記号使って装飾的な旋律にして彩りを添える、と。判りやすく言えば「コブシ」と似たようなモンですわ(笑)。

で、夏のお嬢さんはセカンダリー・ドミナントを多用しているので余計に遊びやすくなるんですね。とはいえ、チャーチ・モードには当てはまらないオルタード音タップリのスケール選んで、その音をただ単に羅列しただけではつまらない。その音階を選択するにしても音の選び方が重要であり、セカンダリー・ドミナントが出現しているということは、本来の調性から少し外れるにしても、実際には転調をしているわけではないのだから元の調の音との「ズレ」をうまいことフレーズ組み立てなければならないワケでありますな。

楽理的なことはどうにか紙の上では学んだけれども、結局咀嚼できずに宝の持ち腐れになる人も多い中、半音階のフレーズを巧みにフレージングできないようではいかんのです。

簡単に言えば、


ショパンのアプローチ

ハチャトゥリアンのアプローチ

ヒンデミットのアプローチ

ハービー・ハンコックのアプローチ

パット・メセニーのアプローチ


左近治にとって、これらの人達の半音階のアプローチは同じフェーズに位置します(笑)。


つまり、「夏のお嬢さん」のアプローチには、こういうアプローチを織り交ぜてアレンジしているわけでして(笑)、このフレージングそのものは3&4和音の着メロ時代から変えていないのであるんですな。音色は変えてますけどね(笑)。

こういうアプローチを器楽的に半音階を使うのは少々の勇気も必要ですが(笑)、如何にして半音階のアプローチを使って彩りを添えるかが重要であります。

ダブル・クロマチックということは、モードスケール上に半音の隔たりがある音に対しては短三度の隔たりを用いてやらなければダブル・クロマチック使う前にたったひとつの半音でスケール・ノートにアプローチできてしまうワケなので、場合によっては短三度のアプローチも使うことになります。

短三度の隔たりを元々多く内包する和声はドミナントもしくはセカンダリー・ドミナントの「セブンス・コード」。つまり、ジャズが遊びやすいのはこういうコード進行が多いからなのであります。


例えば、「森のくまさん」。


この曲もセカンダリー・ドミナントが多く現れる曲ですが、元の調性をハッキリさせながら彩りを添えている最たる曲でして、森のくまさんの場合は、セカンダリー・ドミナントの♭9thまで和声の重畳を施しながらも、ルート音は省略して、ディミニッシュ・セブンスの和声。つまり四声からなる各音程が短三度となる「減七」の和音を多く使うのが特徴ですね。

ディミニッシュ・セブンスのセブンスは実際は長六度の異名同音です。混同しないようにお願いします。

三声のディミニッシュは、通常、「ディミニッシュ」または「ディミニッシュ・トライアド」として区別します。「ハーフ・ディミニッシュ」ってぇのは、ディミニッシュ・トライアドに短七度の音を足した音、つまり「m7(♭5)」として表記されるアレですな。


Santa Rosaのローズをトレモロさせてる所、判りますかね。Bパターン(リリースしている着うたでは1曲目の方)。

この部分、ジノは#9th音を唄っていまして、エレピが7th(♭9)で、フラット9thを低い方に持っていってルートと半音でぶつけてるんです。ジェフ・ベックのアルバム「Blow by Blow」収録の「Air Blower」のマックス・ミドルトンのソロの出だしも、♭9th(あっちはF音をぶつけてきます)。Em一発系ですけどね。Eマイナー一発だからこそオルタード音で遊ぶ、と。

オルタード音を「いかにもジャズ!」という使い方をしないのがオシャレなワケでして、スティーリー・ダンのアルバム「Katy Lied(うそつきケイティ)」に収録の「Black Friday」のサビの遊び方にも通じていくワケですな。

オルタード音の組み合わせから生まれるアッパー・ストラクチャーが、全く違った調性すら構築することもあるワケで、ツー・ファイヴさせない時の解釈はオルタード音の領域で構築した和声のアプローチで決まると言っても過言ではありません。

シンプルながらも、そういうアプローチで調性を拡大する、と。こうすることで、


見えないモンが見えちゃってる


という、高度な和声の世界へ導かれていくのでありますよ(笑)。


そういや左近治は、スティーリー・ダンと言えばドナルド・フェイゲンさせ信奉していればイイのだと思っていた時代が長らくありました(笑)。ウォルター・ベッカーが「11の心象」というソロ・アルバムをリリースするまでは。

でも、ウォルター・ベッカーのソロ・アルバムを聴いて、「この人こそが、スティーリー・ダンたる音の重要なアプローチを持っていた人」なんだと感じましてですね、それ以来、「あの響きはベッカーなんだなあ」と色々感じるようになったワケですよ(笑)。


ハナシを少し戻して、ジノ・ヴァネリの音楽はドミナント7thの使い方が時にはツー・ファイブさせないというやり方があってアプローチに面白さがあったりするワケですが、ロックの香りを感じさせつつ、これほど多様な和声の響きを成立させるというのは、アレンジ力が光っているなあと感心してしまうワケです。


こういう半音階のアプローチ。ただ、半音階使えばイイってぇもんじゃないんです。

ショパンのノクターン(変ホ長調2番でしたか。昔PerformedのデモMIDIになってたのは)だって、あれだけテンポがゆっくりなのに、一般的には「スケール外」とされる音を使っているのは、クロマチックのアプローチとともに、ほんの一瞬だけ調性のジャイロを揺り動かして彩りを添えた時の音の選別の仕方が巧いからなんですな。

パット・メセニーのインプロヴィゼーションが美しいのも、そういうショパンのようなフェーズにあるからなんだと思うワケですな。


セカンダリー・ドミナントが現れたら、まずは♭9th音まで拡大させて遊んでみましょう!(笑)。普通に減三フレーズ使うだけでもイイんですけどね。ベースでそれやるとピノ・パラディーノっぽくなっちゃうか(笑)。

肝心なのは、セカンダリー・ドミナントとして変化させた方がアプローチが簡単なワケですが、メジャー・コード上のアプローチの方が腕の見せ所なワケですよ。


メジャー・コードになると、途端にバップ・フレーズに分解できずに普通の音使っちゃうヒト、真砂の数ほど居るでしょ!?(笑)。

それらの面白さを凝縮させたのが、私のアレンジした「夏のお嬢さん」なのでして、アレンジとして一番のヒントになっているのは実はヒンデミットです(笑)。

そういうワケで、闇雲に別次元の曲を取り上げているのではなく、先週ヒンデミットをアレンジした着うたをリリースして、ジノ・ヴァネリのSanta Rosaのアレンジ、夏のお嬢さんのアプローチは、私の頭の中では全く同一のフェーズにある曲なので(笑)、その辺りをお分かりになっていただければなーと思うワケです(笑)。


ただ、この共通点を見出すというのは、一般の人にはかなり酷なことかと思いますので、こうして述べているんですけどね(笑)。


簡単に言えば、見えないモンが見えるような感覚でしょうか(笑)。

紫外線やらガンマ線見えるようになっちゃった!てワケじゃないですからね(笑)。音を楽しんでもらいたいですなあ。