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「riot in Lagos」(坂本龍一)にみる微分音活用例 [楽理]

 坂本龍一の微分音活用に関する話題をあらためて語る事に。前回も「iconic storage」を取り上げたので記憶に新しい所だと思いますが、その時に「riot in Lagos」も一緒に取り上げなかった理由は微分音の取扱い方が異なるからであります。「微分音」を取扱っている楽曲ならば総じて何もかもが同じ所に収斂する訳ではありません。



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 12等分平均律(=12EDO)という半音階を用いる体系とて、多くの転調を辷り込ませつつも特定の調のトニックを強く向く曲調もあれば、原調など気にせずに赴いた先が帰着点とする曲もあれば、半音階を駆使している訳でもないのに旋法的な世界観とか、或いは十二音技法だのと色々と性格が違う様に、微分音であろうとも異なる世界観を備えているものです。

 微分音という体系が一般的に周知されていない所で私が慮る事のないままに単に好事家だけを食い付かせるだけの情報を十把一絡げにして提供しまった場合、元来の微分音が持っている魅力をも希釈させてしまいかねないという事に加え一挙に多くを語る事でまるで私が「慫慂」するかの様にレコメンドしたりするのも気が引けてしまいかねないでありましょう。手順を踏まえた上で分別し乍ら深く語って行こうという私の狙いをあらためてご理解いただければ幸いです。


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