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ラゾーナバーゲン2014夏CMの微分音 [テレビ関連]

 CMを見ていると、私がついつい目と耳を傾けてしまうのが、ラゾーナ川崎の2014夏シーズンバーゲンのCMなのでありまして、コレがまた細部に亙って実に興味深い点が満載なのでブログで語ることにしたという訳であります。


 猥雑な町に突如出現するフューチャリスト(=未来派)系場違いな女性と、付け髭を蓄えた太鼓を抱えた少年の2人が、チンドン屋まがいに夜の町を徘徊しているという、実に深みを覚えるのでありますが、なにせ女性が唄う旋律は長音階っぽい節回しであるのに、背景に響くハーディーガーディーの様な音はハ短調の節を奏でている(笑)。

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 長音階っぽいそれも結局はCミクソリディアンであるという事が後に判るので、ハ短調=Cマイナーの背景に主題がCミクソリディアン、つまりこれはブルースであり、そのハーディーガーディーのような世俗的な音が、西洋のLumpen的民族的節回しを追懐してしまうものだから、この折衷感が実に堪らないのでありますな。

 しかも驚くべきは、コンガの低い方の音が僅かにピッチが下がっているのですが、ロ音(独名=H音)より1単位12分音つまりロ音より16.667セント低い微分音として律されているのだから驚くばかり。細部に渡って非常に気が利いているのであります(笑)。

 しかも大抵の場合は、コンガの低い音は原調の核音や共鳴度の高い音(主音・属音・下属音の他に上中音など)にするであろうそれを、ここでは導音付近の微分音に律するのですから、あの調子っ外れな感覚はここに起因するのか!?と非常に深く首肯してしまう訳ですな。キッカリ導音に律していたら、主音への勾配を欲しがって、可笑しさよりも解決したくなる欲求を生んでしまうでしょう。そうしたバランス感覚が絶妙なのですな。

 毎年私は年間のお気に入りアルバム&曲のランキングを発表しておりますが、2014年もほぼ半分を過ぎた所で、このCM曲をノミネートしたくなっている私でございます(笑)。



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