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嘗ては無学な音だと思っておりました [楽理]

扨て今回はですね、無学か否かってぇコトは扨置いてチョットばかり思い起こしていただきたいコトがあるので、それをまず想起していただいた上でブログを読み続けていっていただきたいな、と思うコトがありましてですね、まずは思い起こしていただきたいコトを語るとしますね。


例えば、私がチック・コリアを題材に「ミクソリディアン+エオリアン」やら、調的な「九度の関係」やらを振り返っていただきたいのでありますが、さらにはジェントル・ジャイアントの「Free Hand」を語っていたのも参考にしてもらいましょうかね、と(笑)。


いずれにしてもそれらの共通項となる重要なコトは、多旋法的なアプローチによって和声や調的な機能を離脱するためのモノだと言いたいワケでして、特に今回は調的な関係である「九度の関係」というのはあらためて参考になるかと思いますのでその辺を念頭に置いていただけると理解も進むのではないかと思っております。



そこでまあ、ハナシをブログタイトル通りに「無学な音」だと思ってしまっていたコトについて語ってみようかと思うんですが、率直なハナシ、嘗て左近治が某曲を聴いて自分の無学さは棚上げして、嘲笑していたようなコトがあったというコトを述べるワケですな(笑)。

まあ、その当時の左近治も一応は楽理的知識はソコソコ備えていた筈なんですが、自分の当時の知識の拙さとそれに伴う器楽的(耳も含む)習熟度の浅さというモノはなかなか自分自身は気付かないモノです(笑)。概ね他人が指摘した所で、自分自身の感覚ってぇのはよっぽどな動機がないとなかなか受け入れられなかったもするモンです(笑)。ただ、当時の私とてソコソコの楽理的な知識は備えていたので、多少のアウトサイドな音などヘコたれるコトなく追従できるコトが多かったと自負しておりましたが、それでも受け付けることの難しい音に遭遇したコトがあったんですよ(笑)。で、当時はその音を私はせせら笑っていたワケですな(笑)。その某曲について先ずは語ってみるコトにしましょうか(笑)。


ソレが無学な音ではないというコトに気付くまで結構な日数を要したかもしれません(笑)。そうですねー、少なくともマイナー・メジャー7th系の響きにドップリ浸かるようになり、その後カンタベリー系を自身でアナライズしていき、濱瀬元彦氏のブルーノートと調性という著書に出会すまでは私はその曲を「無学な音」だと断罪しておりました(笑)。プレーヤーは敬愛するスコット・ヘンダーソンですよ(笑)。あのスコット・ヘンダーソンの音にミソ付けていたんですからねー。


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勿論、スコット・ヘンダーソンがどんな人かというのはチック・コリア・エレクトリック・バンドで散々耳にしておりましたし、エレクトリック・バンドの1st収録の「Cool Weasel Boogie」なんてメチャクチャ好きな曲ですよ。エモーショナルなスコット・ヘンダーソンのそれが如実に反映されている曲のひとつだと思います。

当時の私とてスコット・ヘンダーソンがどんな人なのか!?というコトは判っておりましたし、何らかの意図があってココまで音外すんだろうとは思ってはいましたよ(笑)。しかしあまりに大胆で、それこそ動機や脈絡もないような青天の霹靂とばかりに突然アウトな音が炸裂するソレに、私は別の意味で脳幹ブッ直撃喰らいまして(笑)、腹抱えて笑ったと言いますか、それこそ後ろ指指しかねないほどに嘲笑するような感じで見下してしまった曲があったんですなあ。まあ若気の至りってぇヤツですね(笑)。その曲が、ジェフ・バーリンのソロ・アルバム「チャンピオン」に収録の「Subway Music」でありまして、今回はこの曲について深く語ってみようかと思うワケでして、正直なトコロ楽理的な部分において相当高次なモノが用意されているというコトだけは現時点でも語っておきましょうかね、と(笑)。


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私がスコット・ヘンダーソンを生で見たのは比較的遅くてですね、世はまだバブル全盛の時で、トム・コスターがアルフォンソ・ジョンソン、スティーヴ・スミスやら率いて来日した時が最初でした。チック・コリア・エレクトリック・バンドでは早々からフランク・ギャンバレになったようなモンでして、ソコから渡辺香津美のスパイス・オブ・ライフの来日、そこから先のコトですから結構後年のコトです。まあしかしそれも今から20年以上経過しているのかもしれませんが(笑)。


でまあ、先述のジェフ・バーリンのアルバム「チャンピオン」というのは私が入手したのは1986年頃だったでしょうか。そういう時代背景ですと私の場合はチック・コリア・エレクトリック・バンドを知った後に聴いたスコット・ヘンダーソンの音でありまして、無論この当時とてスコット・ヘンダーソンという人のバックグラウンドやキャリアは当然知っていたワケですが、そういう人がアウトサイドな音を使うのは至極当然と思ってはいても、あまりに奇怪奇天烈な音の前に当時の左近治はピックラこいたワケですよ(笑)。一体どういう想起してんねん!?みたいな(笑)。


正直な所、曲としてはパワー・コードでトニック・マイナー → サブドミと動いている所に、何の脈絡も無い、まるで青天の霹靂のように外れたフレーズが炸裂するワケですね(笑)。

つまり、前フリ&動機付けなどの脈絡がほぼ皆無(希薄)なため、いくらアウトサイドな音に慣れている左近治であっても、コレにはびっくらこいたワケでして、しかも当時の左近治はチェレプニンやらドゥアモルの和声やらまだまだ咀嚼できていない所もあり、そんな音を前に自分の無学さを棚上げして、かのスコット・ヘンダーソンのプレイのそれをあざ笑ってしまったコトがあった、というコトが当時の恥ずかしい私の行動だったワケですな(笑)。


とりあえず、原曲の「Subway Music」というのはどういうモノなのか!?というコトを先ず語ってみましょうか。基本的にはbpmは四分音符=180くらいのシャッフルで、テンポとしては速い部類になるでしょう。ジェフ・バーリンのオルタネイトなフィンガリングのそれは、テンポの速い曲というコトもあって、よりジェフ・バーリンの凄テクというモノが如実に表れている曲でありますね。イントロ部はE一発系から開始されるワケですが、E一発というのも色々ありますんでその辺をもう少し詳しく語っておくと、この曲の場合はEのブルースではありますがEのミクソリディアン系をベースにして#9th音やらのブルーノートを随所に忍ばせるタイプのE一発ってぇこってす。

私のブログを読まれている方なら、そのE一発の説明って何!?みたいにギモンを抱く方はいらっしゃらないと思うワケですが(笑)、E一発って言ってもマイナーをベースとしてドリアンを代用して弾くマイナー系の方と、メジャーな響きを基本としていても時折#9th音を入れたりと、まあブルーノートというオルタード・テンションを絡めつつも基本の部分は「メジャー的」な響きを優先させるミクソリディアン系みたいに大別して分けるコトができるかと思いますが、その辺のコトを述べているワケです。本曲のイントロ部のE一発はメジャー感のある方の一発モノと認識していただければ良いと思います。

一方で、マイナーをドリアンで代用することがあるのは何故だろう!?というひとつの要因となる部分においても今回の例によってひとつ明らかにしていくコトになるので、その辺もお楽しみにしていただければ幸いです(つづく)。