SSブログ

ハイバーな音世界の話題に移る前に [楽理]

左近治本人としては、早い所ハイパーな和声感の世界の話題に導きたくてウズウズしちゃっているのでありますが(笑)、話題を移す前に先のデモ(Aマイナー系のコード進行)で触れていなかったコトを補足しておこっかな、と思いまして、今回はまずおさらいというコトにします。とりあえず今一度譜例を確認していただきたいのでありますが、前回も2小節目を重視していたため、今回の補足する部分も2小節目のCM7(on D)の部分を語ることにします。

Cmaj_fig3.jpg


今回の譜例では、2小節目の3拍目の「F音」について補足しますが、「CM7 (on D)」という分数コードのアッパー部分である「CM7」から見れば、アヴォイド・ノートであり、しかも3拍目という強拍部分で使われていますが、これについては意図があるのでまずはその辺の「言い訳」を(笑)。


確かに4拍子の3拍目ということで「強拍」ではあるものの、ド頭ではありません。


まあ、強拍部分をとても丁寧に扱って歌心を備えていれば自ずと回避する(回避すべき)音であって、例え経過音であろうとも避けた方がイイ部分であるとも言えますが、例えば、今回のデモのバッキングが2小節目の3拍目16分の一つ目のウラにトゥッティやらでハーモニック・リズムが形成されているというシーンなら確かに避けた方がよろしいでしょう。同様に、ハーモニック・リズムが形成されていなくともココの3拍目のド頭と8分裏というのは避けるべきポイントでもあるでしょう。

しかし、今回のデモにおいては積極的に強拍のド頭に用いる、というコトだけを極力回避した上で扱えば「使える」音なのであります。

その理由に、基本的にこの2小節目の背景にあるコードは「CM7 (on D)」というセカンド・ベースの「型」であるので、アッパーは確かに「CM7」を形成しつつも、全体で見れば「Dm系のアッパーストラクチャー」として見立ててもらいたい部分なのであります。とはいえDマイナーを強く示唆したくないがためにCM7のセカンド・ベースという風に省略して用いている世界観であるワケです。


しかしながら、いくら「Dマイナーのアッパー・ストラクチャー」を想起してもらいたい部分とはいえ、積極的にDマイナーのm3rd音(=F音)とかA音とかはあんまり使ってほしくはないんですな(笑)。とはいえ、CM7の拡大解釈としてCリディアンを想起してもらいたくない場面である、というのが真相なんです。


1小節目のAm7(9、11)はトニック・マイナーであるものの、ここで「Aドリアン」を想起してもらっても構わない部分なのですが、そのモードを引き続き「CM7 (on D)」の所で「Cリディアン」を想起してもらっては困るのであります。アッパー基準で見ればここは「Cアイオニアン」であってほしいという意図がある部分なのです。


さらにいうと、3度音程を分散させて下降させていくというモチーフは2小節目3拍目以前からも開始されているように、仮にド頭で「F音」が来ても、フレーズの持つベクトルの勢いがある程度のアヴォイド感は消失させてくれるでありましょう(笑)。しかし、本来の意図というのは、ここで「Cリディアン」を想起してもらいたくないために選択された音が経過的に使われ、且つDマイナーのアッパー・ストラクチャーというさりげない世界の演出にとどめているのでありまして、セカンド・ベースのメジャー7thだからこそこうして導入できる(とはいえ積極的に使用してはダメ)という事を述べたかったのであります。言い訳がましいかもしれませんが(笑)。


いずれにせよ、今回左近治が声高に語りたい部分は、メジャー7thコード上においてどれだけ遊ぶか!?という所に尽きますので(笑)、別のモードを見立ててもイイのか!? or 本来のアイオニアンを想起すべきなのか!?という事を明確にした上で遊ぶ、という明確な意図があってのコトだという部分をご理解いただければ幸いですな。


で、前回の本文の方ではアッパー部の「CM7」の半音下のBチェレプニンを想起する、という風に語っておりますが、別に間違いでもなんでもありません。とりあえずあらためて補足しておきたいのは、Bチェレプニンから得られる音列はGチェレプニン、Ebチェレプニンといずれも等しい音列を導くことができます。


便宜的に「半音下」という近い音程関係で語りましたが、CM7の完全五度(5th音)のGチェレプニンと見立てる方も、異なるモードを並立させる時に便利な手法ですので、必ずしも「半音下」ばかりのアプローチではなく、色んな角度から見立てるコトのできる術を身に付けた方が後々便利になるかもしれませんので、その辺りも補足しておきますね(笑)。


ただ単に遊べばイイってことでもなく、遊びによって得られる音というのが羅列しただけの音ではなく、ある情緒を持たせた上でそのような音を導くコトが重要だと思えるので、その辺りは明確にして取り扱っていかないとダメだとも同時に左近治は思っております(笑)。とゆーコトで、次からは少々ハイパーな世界について語っていこうと思いますので、ま~た冗長的になってしまうかもしれませんがよろしくお願いしますね、と。