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GG再発 [プログレ]



扨て、先日はGG(=ジェントル・ジャイアント)のアルバム「フリー・ハンド」収録の同名曲である「Free Hand」についてチラッと語っていた矢先だったのでありますが、GGオフィシャルによれば年明けにはGGのこれまでのスタジオ・アルバムの一部が再発される予定とのニュースが飛び込んで参りました。

日本国内で重点的に再発されるGGのアルバムと言えば、初期の1st~4thくらいのもので、5thアルバムの場合は「なんちゃって国内盤」としてリリースはされるものの、概ね「ガラスの家」以降というのは版権の難しさもあるのかなかなかリリースされないモノだったんですな。


「ミッシング・ピース」「ジャイアント・フォー・ア・デイ」という2作(9th、10th)は、GGが米国市場を重視したために、カンサスっぽいカラーを出してしまったため、旧来のファンを遠ざけてしまったというのもあってバンドが急速に衰えてしまった時でもあるんですが、世はパンクス・ブームやらブラコン(=ブラック・コンテンポラリー)ブームの波に飲まれてしまい、時代の波によって迷走してしまった感は否めませんが、それでも要所要所にGG色を鏤めようとする工夫が痛いほど判るのがファンとしては辛い所でもあります(笑)。


まあそういう悲運の2作後に最終スタジオアルバムとなる「シヴィリアン」に関しては再発されないようでありますが、GGはプログレ・ファンの間では結構知名度がある方で、楽曲レベルや演奏技術もかなり高い評価であるのに、なかなか知名度が高まらないのは、冒頭にも触れた初期4作品にリリースが偏重してしまっているのも影響しているのではないかな、と思われるのであります。


「ガラスの家」「The Power and The Glory」「Free Hand」「Interview」というスタジオ・アルバムは、実は結構高いクオリティを持っているアルバムだと思うので、再発を機にあらためてGGの魅力に触れていただきたいと思うばかりであります。

とはいえ、35周年記念として数年前にレイ・シャルマンが立ち上げた出版社から一応リリースはされていたという過去もあるワケでして、それらのCDにもあまり目に触れる機会の少ない日本国内市場において、今後どのような展開になるのかは興味深い所ではあります。


先の中期の4作品の国内リリースの冷遇ぶりを振り返れば、2010年に国内できちんとリリースされるかどうかも疑わしいのも事実でありますが(笑)、とりあえずは「きちんとした」マテリアルで改めてリリースされるのはイイことであります。


「きちんとした」というのは色んな理由があるんですが、GGというのはマスター・テープに起因するトラブルが多いバンドでありまして(笑)、マスター・テープの違い、果てはミックス違いによって、流通する国によっては若干音が異なる、というこれまたコレクター心をくすぐってくれるバンドでもありまして(笑)、それもまたひとつの大きな醍醐味となっているのでありますな(笑)。


例えば、先のブログでも例に挙げたアルバム「フリー・ハンド」。これもまあ、大きな違いというのはオフィシャルHPでも触れておりますが、そこに掲載されていないのもありまして、多少GGを深く知っている方ならお気付きの方は多いと思うのですが、同名の「Free Hand」という曲だけを取り上げてみても、非常に大きな違いがあるのでありまして、今回はその辺のネタを鏤めておこうかな、と。


基本的に、「Free Hand」というアルバムは大別して以下のリリース・バージョンがあります。


● テラピン盤
● ONE WAY盤


で、ONE WAYの方は「悪名高い」のでもありますが、同時に「コレクター心」をくすぐるアイテムでもあるので、この辺りを念頭に置いていただければな、と思います(笑)。


とりあえずアルバム「Free Hand」の同名タイトル「Free Hand」だけで語りますが、ONE WAY盤というのは、本来聴けるはずのゲイリーのレス・ポールの歪んだギター・トラックが全く聴こえない箇所があります(笑)。まあ、それは目を瞑るとしましょうか(笑)。さらにはですね、ドラム・トラックの、おそらくオン・マイクとオーバーヘッドの位相反転スイッチの設定が行き届いていないのか、キックは後ろから聴こえ、タム類は前から左右ワイドに聴こえるという、実にスッ飛ぶドラムの音として聴こえちゃうんですな(笑)。ある意味ではドラムと他のパートが非常に分離しているため、器楽的な興味で耳コピするというシーンであれば耳コピなどラクにできる素材かもしれません(笑)。


しかしながら、ゲイリーの16分アタマ抜きのLPサウンドは無かったりとかしますんで、この辺は注意が必要です(笑)。


で、ONE WAY盤はいずれも出版社は「CEMA」なのでありますが、ONE WAYは幾度と無く「修正」してバージョン違いをリリースしたため、CDのバーコードは全く同じでも銀盤の内側には製造ロット違いの刻印がかなりあるのでこの辺りはオフィシャルHPで確認していただくとして、CDの背タイトル部分に「CEMA」表記がある方が比較的レア・アイテムだと思われます(この場合「ONE WAY」表記はありませんが実際にはONE WAYです)。


テラピン(Road Goes on Forever含)に関しては「Free Hand」に限らず、ONE WAY盤の抱えていた問題をクリアしてオリジナル通りにマスタリングされているので(On Reflectionが短かったりとか、最後の曲のドラムのオカズ割愛とか)、聴き比べをするのも面白いかな、と。


但し、テラピン盤はアルバム全体的に「やや」低音を稼いだミックスになっているので、個人的には「Free Hand」に関してはレイ・シャルマンのPBのオイシイ、エグみのある音というのはONE WAY盤の方がドラムが「分離」しているのもあってとてもよく聴こえるんですよ(笑)。テラピンだとそのPBのオイシイ帯域が、低域稼いでしまうしまうので埋没しちゃってる所があるんで、PBのおいしさを堪能できるのはONE WAY盤だと思うんですな。コレに関しては「His Last Voyage」然り。


レイ・シャルマンのPBは時を重ねるほどに「鳴って」くるので、初期の1stだと結構汗でサステインが死に掛けているようなアタッキーな音になってくるのでありますが、ベースそのものが「こなれて」鳴ってきているのか、高次の倍音のサステインも即座に失わない「おいしさ」を備えてくるので、この辺はPBブームである現在からしてもとてもイイ研究材料になるのではないかと思うのであります。


PBの暴れ具合を抑えつつも、潤沢に鳴らしきるこういうPB達者のプレイというのは、かなり腕達者な人ではないと聴くことができないプレイです。ウィル・リー、初期のアンソニー・ジャクソン、フレディ・ワシントン、レイ・シャルマンという人達は、私の好きなPB使いの代表するベーシストであります。


ONE WAYとテラピンの違いで、後はジャケの手の形が違うとか、歌詞のインナーの有無とかそういうのは無粋ですので今回は触れませんのでご容赦を(笑)。