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アース [クロスオーバー]

ノーマットではなくてですね、「Earth (Still Our Only Home)」ってぇ曲をリリースしたんで、先ずはそれについて語って行こうかな、と。原曲の方はおそらくジェフ・ベックのアルバム「ライヴ・ワイヤー」に収録されているんで、そちらの方でご存知の方が多いのではないかと思うのでありますが、元々はJerry Goodman & Jan Hammerのアルバム「Like Children」に収録されているもので、そちらの方はムーグのベースでステップ・シーケンス的でかなりスローなテンポな曲なんですな。

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また、この曲のメイン・リフというのが私は当初8分音符1コ分食って入る弱起のリフだと思って「ダマされて」聴いてしまってですね、この騙されてしまった先入観を払拭するには結構大変だったモンです。

とはいえ、左近治がこの曲を知ったのは「ライヴ・ワイヤー」が先だったのもあって、ライヴ盤の中盤のソロの所でようやくメイン・リフが弱起ではなくド頭スタートというのを聴き取ることが出来た時にはマジカルめいたモノを感じたコトがあったモンです(笑)。

この曲に限らず、騙されて聴いてしまうというか、そういうリフ作りやビート作りをしている曲ってぇのは結構多いモンですが、先のパトリース・ラッシェンにてフェイク・ビートを織り交ぜたコトもあって、騙されやすそうな曲をピックアップした、というワケであります。まあ、底意地の悪い左近治が仕掛けそうなアイデアではありますな(笑)。

底意地悪いと言っても額面通りに受け取らずに、ただの「照れ隠し」と思っていただけると幸いなんですが、まんま底意地悪いと受け取ってもらっても差し障りはございませんので(笑)。

まあ、左近治の場合打ち込みが基本でリリースしているのでありまして、今回用いたドラム音源はAddictive Drumsですな。Ocean WayやADのハットの細かな表現というのが、私はもしかすると一番好んでいる部分なのかもしれません。後はスネアの音ですか。

作業工数的な面で言えば、正直今年リリースした曲の中では一番時間が短く済んだ曲であります(笑)。1時間掛かっておりません。時間費やせばイイというモンでもなくて、物理的にどうしても時間を費やされてしまうような曲ではない限りは概ねテキパキ進むモノです。自分自身の楽曲の思い入れや、古くから聴いている曲というのはやはりテキパキと進むモノです。

グルーヴ・テンプレートには相武紗季のグルーヴは用いておりません(笑)。まあ、用いたとしても強度は少々緩やかに部分的にしか用いませんし、まんま使うワケではありません(笑)。相武紗季に限らず、希代の著名なドラマーだって実際には結構揺れるモノでして、その辺の揺れ具合&ブレ具合というのは物理的なbpmの速さ具合でクセがあるのを見つけるコトができたりするモノでして、クリックを聴いた演奏でなければ(クリック自体も揺らしたモノでなければ)、通常の2CHオーディオからグルーヴを抜粋するのに苦労する点は、ハットとキックやスネアが「ほぼ」同時に鳴っているとはいえ、そのズレ具合を如何に見抜くか、という所がグルーヴを見抜く作業で最も注力するトコロでして、その辺りは結構今回も配慮はしております。

立っている人の体を押して、そのまま地ベタに倒れてくれる人はそうそう居るワケではありません(笑)。大抵は体勢立て直そうと戻ってきてくれるワケですな。ビートの揺れ具合というのはココを見抜くのが面白くてですね、おそらくは興奮して心拍数上がっているんだろうなー、とか普段も血圧低めなんだろーなーというのが判るようになります。実際にはどうか判りませんし、全ての人に当てはまるのかどうかは判りません(笑)。

ヤン・ハマーの良さというのは、ジャズ・ロック系(いまさらながら述べておきますが左近治の言うジャズ・ロックとは、ジャズ界での60年代初頭のジャズ・ロックの意味ではないですよ)というかクロスオーバー・サウンドを醸し出してくれる人でもあるワケですが、まあ、分数コードをスンナリ学べるお手本の代表格のひとりとも言えるでしょうな。耳が未習熟な人にやさしい使い方をしてくれると言いますか(笑)、だからといって初心者限定&御用達という意味で捉えてもらっては困るんですが、リードとなる音の乗せ方が巧いワケですな。歌心を備えた人で決してコード・トーンだけに心酔しているだけではないという。そういう面でロック界でももてはやされる理由のひとつではないかと。

スタンリー・クラークだって本来はドが付くほどのジャズ畑の人であるはずなのにロックをこなせるのは、やはり「乗せ方」が巧いのとそのセンスがあるからでしょうな。

インストゥルメンタルなロックな曲ではない限り、アンサンブルは歪んだギターとベースで希薄な和声。しかしながらリード楽器やボーカルがそのアンサンブルを埋めて「うごめいて」くれるワケでありまして、アンサンブルのリフの辛みとそれらの「ウワモノ」が巧い事動いて、ロック界においては珍しい多様なコードを垣間見せてくれる局面というのは多々有りまして、それを意図的に演出できるセンスを備えていると言いたいワケです。

そういう人達のセンスにハマると、コード表記すら迷ってしまうような特異な和声が生じても許容できるのが「やさしさ」と言いたいワケで、「厳しい」和声が厳しく聴こえるだけなら聴き手はかなり限定されるワケでして、そんな聴き手の選別が少なく且つ高次なレベルの和声を聴かせてくれる人のひとり、と言いたいワケですよ。

キビシイ和声がやさしく聴こえるようになれば、もはやそんな事は意識することなく聴くことができるのでありますが、耳が習熟するのを焦っても仕方がなく、こればかりは自身の感性を肥やすしかないんですが、数聴けば耳肥える、というワケでもありません(笑)。しかしながら、和声への習熟度を高めたいと思っている人ならば、それが早期の段階であればあるほど耳にしていただきたい一人ということでヤン・ハマーはオススメではないかと信じてやみません。

耳が覚醒しきれていないのに背伸びしてヘンリー・カウ聴いても、おそらく良さは消費税分も理解できないのではないかと思います(笑)。それでも聴いてみたい!という人にはヘンリー・カウで最初に手にしてもらいたいアルバムは、私なら敢えて「In Praise of Learning」をオススメします。カンタベリー系の音とフォークロアな風合い、それに室内楽の要素も詰まったロック、という点では先の「In Praise of Learning」は希薄で、少々ハードな側面がありますが、ロックな耳で最初に入るならコレ!みたいなモンがありまして(笑)、高次なレベルの音楽を見捨ててほしくないからこそのオススメの仕方って有ると思うので、ヤン・ハマーで納得していただいた方は是非とも参考にしていただきたいな、と(笑)。


ジェフ・ベックという人は多様な和声を好むロック・ギタリストの代表格とはいえ、フレージングがスケール・ライクになるのではなく、歌心を備えた筆頭格とも言えるでしょう。ジャジーなフレージングが極力少ないモード・チェンジ心を備えているギタリストと言えば判りやすいでしょうか。

そういうクセを持っているからこそ、どういう曲でもジェフ・ベックというカラーに収まりますし、旋律的な面で彩りを添えようという感覚を備えているジミー・ペイジとは異なるアプローチを両者とも感覚的に備えている、と言えるでしょう。ジミー・ペイジの場合は特異なチューニング「DADGAD」も一役買っているとは思うんですが、いずれにせよ、ジェフ・ベックという人は多様な和声に対して好き嫌いなく受け入れているからこそノビノビとプレイできるのではないかと思うんですな。

自分自身の好みを偏狭的な世界へ閉じ込めてしまって型を矮小化させてしまう人というのは特にギタリストというのは特に多いように思います(笑)。