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YMOのテクノポリスについて [YMO関連]

チョット前にテクノポリスをリハーモナイズさせたコード進行を載せた時があったと思うんですが、コンディミをモードスケールとして用いたりする話題やら、特殊なモード導入など色んな側面で語っていたこともあって、あの時に表記したコード表記というのは実は、そういった特殊なモードを想起しやすいように「敢えて」一般的なコード表記を避けて表記していたこともあったので今一度ご確認いただければ幸いなんですが、いずれにしてもまたもやテクノポリスの話題を語っているのは、他ならぬKクリでテクノポリスのレゲエ・アレンジでリリースしているからという理由であります(笑)。

コード進行はとりあえず次のようにして今回アレンジしているのですが、前回のブログでド頭のコードは表記が違いますね。これはシンセ・リードが入ってきた時の最初のF音を和声的に用いることで、前回のコード表記と違ってくるワケです。というより、前回の時点で提示したコード表記上においてシンセ・リード音を各自お試しいただいたらその時点で気付いてほしかった部分なんですね。「なにゆえ敢えてGm△7と表記しているのか?」ということを。

F#△7(+5)/G
Abdim△7

Em7(b5)
Eb△7(+5)

Bm9(b5)/D
Bb△7(+5)

Dm7/Eb
D7(-9、+11)

「F#△7(+5)/G」というのは、Bハンガリアン・マイナーをモードとするコードなので、あの時はあくまでも「マイナー・メジャー7thとしての」情感を感じていただきたかったという配慮から用いた表記だったんですね。

※あくまでも先のコード進行は、原曲に対する私の「過剰な」粉飾でありますので原曲のコード進行とは大きく異なります。特に「Dm7/E♭」というコードを私は2ヶ所で用いており、1つ目は原曲の同主調主和音&下属和音同士の「Gm→G△」「Dm→D△」での「D△」で生ずる部分で用いた物。2つ目は、原曲での同主調下屬長和音に依る偽終止の前のブリッジにて生ずる「E♭△9 (♯11)」とする部分の♭Ⅵ度(フラット・サブメディアント)上のコードとする部分であります。私のアレンジでは、この箇所での和音は短調としての原調の姿を大きく予見させてしまうので、それを暈滃させる為に敢えて「Dm7/E♭」と充てたのであります。


ダブ臭漂わせたレゲエ・アレンジにしているのは、折からのベッカー御大のリスペクトもあります(笑)。とゆーか、私の周囲ではレゲエを拒絶するような人間が比較的多くてですね、なぜだかラップとレゲエは聴かない人が多いので、レゲエやダブのサウンドは、先のベッカー御大でもほんの僅かにエッセンス忍ばせているだけですから、あの後でそれらを聴いた気になるのは到底おこがましいのでありますが、少なくともあのエッセンスに慣れたことでレゲエやダブに親近感を持った者が周囲に居るので、ここはひとつレゲエ的なアレンジを導入してみようか、というコトになったワケであります。


とりあえず話を戻してコード表記の部分の注釈を語っていきますが、例えばディミニッシュ・メジャー7thの表記に関しては、ドミナント7thでのオルタード・テンションを用いた時の構成音と共通することが多いので、隠れたドミナント7thとやらを探っていただきたいという配慮と、想起できたドミナント7thとしての機能は使わない!という強固なキモチの表れでもあるんですな(笑)。

他に少々変わった表記はというと「Dm7/Eb」。

コレはEbから仮想的に3rd音と5th音を見立てることができますね。そうすると「Dm7」というアッパー部分はEbからみた7・9・11・13というコトを示唆しますが、仮想的にそれらの3rd音と5th音を確定することなく、ベッカー御大の場合は非常に多様なモード・チェンジを行う(音をわざと変えてくるので結果的にモード・チェンジとなる)アプローチがあるので、実際にはそういう多様なフレージングを忍ばせていないものの、ベッカー御大を語ってきたからには、コード表記においてもそういう自由度を忍ばせておきたいな、という気持ちが強く表れた表現なんですね(笑)。

以前のテクノポリスのリハーモナイズにおいては、今回例として挙げている「D7(-9、+11)」という部分をメジャー・トライアド同士の分数コードにしていた意図は、コンディミをモードとして導入してダイアトニック・コードを語った後だったので、「隠れたコンディミのモードを見抜いてほしい」という思いから以前は敢えてそうして表記していたのですな。

いずれにしても「隠れた世界」というのは、その時点でモード・スケールが確定しているワケではないから「複調的」可能性を幾つも有しているというワケでして、複調性を語る上で「こういう世界だと、意外にも耳に馴染みやすいでしょ!?」という実例を語りたいが故の左近治なりの配慮だったりするワケであります。

何はともあれ、「穿った見方」をするとイイことあるよ、みたいな(笑)ことを言いたいワケなんですが、小難しい話は扨置き、左近治がYMO関連曲を繰り広げるにあたって、「テクノポリス」のような、一般的には認知度の高いとも思われる代表的な曲を取り上げるのは珍しいコトだと自負しております(笑)。

「ライディーン」やら「テクノポリス」というのはこれまで左近治は全く手を付けていなかったYMO関連曲で、今回はとうとう「テクノポリス」をリリースしちまったぞ、と(笑)。

YMOを初めて耳にして30年が経とうとしている左近治でありますが、スティーリー・ダンやヒンデミットやらヘンリー・カウやらに没頭している私が、それらの楽曲と同じく「ライディーン」に精神を注力させて聴くというのは些か困難なコトであります(笑)。

YMOのそれらの「代表的」とも呼べる曲のみならず、いわゆるキャッチーな曲というのは、よっぽどヒネりを加えない限りは誰がどう手を加えても同じような味にしかならないのですな。その「味」というのも多少クオリティが下がろうとも原曲のキャッチーさが相殺させてしまうようなトコロがありまして、「ウチの娘がとりあえず着メロ作ってみました」程度のモノでも許容されかねない向きがあるんで私は回避してきたのであります。んなコト語らずとも私の繰り広げてきたYMOの関連曲だけでも見ていただければ自ずとご理解いただいているとは思うんですけどね(笑)。

「数捌けなきゃやってられねえんだよ!」とばかりにビジネス面ばかりに目が向いてしまっては本末転倒だと思っておりますので、私はその手の曲を避けてきていたのであります。しかしながら今回このようにリリースしているとはいえ、そこにはやはり違ったアプローチで表現したいという意図が込められているのでありますな。






technopolis_reharmonized.jpg


最後に、原曲でのイントロのケツは偽終止形としてクローズド・ヴォイシングの「C△7」でシメるのが印象的ですが、今回の左近治のアレンジではこの部分でハイブリッド・コードを導入しています。

それは、今回私が用いているヴォイシングというのは低い方から判りやすく階名で言うと(わざわざ今回私が階名で表記するのは、題材がとっても判りやすい「テクノポリス」のため、普段とは違う方もご覧になったり聴いたりするかな、という所からの配慮から)、「シ・ド・ミ・ソ」という風に弾いているワケですが、左近治は「シ」の部分、つまり「B音」を基準に、且つB音を共有するというミラー・コードを形成させているんですな。

ま、判りやすく言えば、B音に鏡を置いて下方に映す、と。ミラー・モードの場合はモード・スケールをそのままシンメトリックに対称形にするのでありますが、ミラー・コードの場合は必ずしも元のコードが基本形である必要はないので、このような転回形のヴォイシングから形成することもあるのでその辺りはご注意を。

すると、先のヴォイシングだと下方に、すぐ半音下に鏡映し状態となるため「A#、F#、D#」という音を下に形成することになります。

結果的にそのミラー・コードを導入したハイブリッド・コードは「C△7/D#m」というコードを形成することになるというワケであります。さらに左近治は飽き足らず(笑)、このハイブリッド・コード上でG#m△7とEm△7を想起できる特殊なモード・スケールを用いております(笑)。何でもアリかと思われるかもしれませんが、一応根拠はあります(笑)。

「C△7とD#m」というコードは、D#チェレプニン・スケールを想起することが可能なので、元の曲調をなるべく失わないように当てはめてみた、というワケであります(笑)。こともあろうにベース音はD#m側の3度ベース、すなわち「F#」なので、元のC△とはまるっきり裏の音(笑)。

見方を変えればこのコード、B音を共有していることで「C△7とB△7」のハイブリッドとも言えるでしょう。しかし、B音は低音域には持ってきていないので、わりとよくあるハイブリッド・コードで「B△7/C△」というのもありますがコチラとは混同しないようにご理解願いたいな、と。ある意味ではB△7が下にあってC△が上にある、みたいな(笑)。そうすると長七ではなく短九の重畳となるワケでもあるんですが、一応左近治は低音にB音を持ってきているのでないのでご注意くださいな、と。

さらに言えばベースはD#mの3度ベースなんで、「F#音」にしているので、アッパーの「C△7」とは真裏の関係であるのも注意ですな(笑)。ただ、こうすることで短九の強烈な不協和は中和されますし、ドミナント7thに近い(完全11度の音が入るので結果的に機能的にドミナント7th系ではなくなります)音だと思ってもらえればよろしいでしょうかね、と。

ま、F#から見れば「M3rd、P11th、aug11th、M13th、7th、b9th」という音で構成されている、と。完全11度が含まれればそれはドミナント7thではないのは今更語る必要はないと思いますが、あらためてこういう風に列挙すれば判りやすいかな、と。

左近治がこーゆーコトをするタイプの人間だということを知らない「一見さん」だと、もしかすると「一体何て音使ってんだよ!?耳コピもまともにできねーのか!?」なんて思われるかもしれません(笑)。ただ、視聴できる部分はこの部分は聴く事ができませんのであしからず(笑)。とはいえ購入されてもとりあえずはメリットとなるような音を添えておりますので(笑)、底意地の悪い左近治がごくたまに見せるマゴコロだと思っていただければ幸いです(笑)。

さらに、このポリ・コード上でFハーモニック・マイナーに+11音を加えた音を弾いているのはお判りいただけるかと思うんですが(笑)、なんでこーゆーアプローチをしているのかについては今更多くを語りません(笑)。詰め込むだけ詰め込んでますけどね。とりあえずは無闇やたらに音を詰め込んでいるのではないのだということをご理解いただきたいな、と。

「オイオイ、耳コピ不完全じゃん!」みたいなのは正直カンベンしていただきたいな、と(笑)。わざと拡張してやっているという所だけは見抜いていただきたいモンですが、曲がテクノポリス故、人のタイプを別な意味で選別しかねないのでその辺りはチョット戸惑う左近治なのでありますが(笑)、まぁ、このトライもわざとやっているコトなので(笑)。

「勝ち負け」という尺度が左近治は嫌いなんですけどね、この尺度、大半の人はなぜか好むんですな(笑)。強いて言うなら左近治の手法を見抜いていただけなければその方が負け組になってしまうんでしょうが、「売れなければ負け」と思われる方がいらっしゃればトコトン負け続けていたいドMの左近治であります(笑)。

極論すれば、私のブログに目ぇ通さないのが勝ち組なのかもしれませんよ、と。