SSブログ

Walter Becker 「Selfish Gene」解説 [スティーリー・ダン]


12月5日リリース分のこの曲の楽理面での解説は、アルバムリリース当時にやりましたんでいまさら詳しくは述べませんが、「あの」オイシイ部分のコード進行部ですから左近治としても少々気合い入りました(笑)。

この曲の「skyline down〜」と唄った後のギターブリッジに入るオイシイコードワークについつい耳持って行かれますけど、原曲ではこのギター・ブリッジでも一カ所だけコーラス入れてくるんですが、左近治はソコは省きました(笑)。入れてしまうとソコだけ重厚になってしまうんで省いたワケですが、原曲でも結構ミックスは抑え気味なのでお気付きになっていない人は意外に多いのではないかと思います。

この曲で用いたのはウーリとパーカッションスイッチを使ったハモンド&レスリー、それに加えてローズ、と。

特にリリースした部分の最初の4小節部分のそれらの鍵盤パートの16分音符を隈無く埋めるようなフレージングの妙味がキモですね。ついつい曲の調性感につられて他のバッキングの情感に耳奪われて聞き流しそうな所ですが、ココはグッとこらえて注力(笑)。こういう何気ないフレーズこそが結構耳コピとしては意外に難しさのあるシーンのひとつですね。耳コピとしての難度が高いレベルで要求されるのではなく、実は面倒臭いだけなんですが(笑)。

最後の小節のケツのコードでバッキングのギターがG音→F#音と行く所がオイシイ部分でもありますね。この音があるからこそさらに多様になる、と。美しいです(笑)。

まあ、この曲の醍醐味のひとつとしてマイナー・メジャー9thコードにおける3度ベースのさりげない使い方がオシャレだったりするんですが、マイナー・メジャー9thに限らずマイナー9thコードにおける2ndベース、つまり9th音をベースに持って行く感性のあるアーティストって私は非常に好きでありまして、マイナー3rd音との巧みな「短九」の導入がオイシイわけですね。

「Selfish Gene」のこの部分はただの3度ベースではありますが、Db音をルートとして見た場合、いわゆるメロディック・マイナー・モードで形成さらるダイアトニック・コードのメジャー系コードを母体として見た場合、#5thと13th音の同時使用という「半音ぶつけ」という風にも見ることができますので、マイナー・メジャー9thコードでの3度ベースとして見るだけではメロディック・マイナー・トーナリティーを解釈しきれていないと思うので、こういう解釈も含めると、別のシーンでより深みのある音選びに役立てることができると思います。

いずれにせよ、こういう響きをさりげなく導入できるセンスが重要なんですけどね。

こうまでして説明しても魅力に気付かない方は、残念ながら何聴いてもダメだと思います。SDじゃなくTK聴いててくださいな、と。