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「サーカス・マネー」/ウォルター・ベッカー国内盤発売まで2週間 [スティーリー・ダン]

来る2008年12月17日、ウォルター・ベッカーの2ndソロ・アルバム「サーカス・マネー」の国内盤がようやく発売されるワケでありますが、奇遇にもJaRの「Scene 29」も同日発売なんですな。こちらのJaRの方も日本盤はボーナストラック1曲追加されているのでありまして、結局は左近治は輸入盤と共に買わざるを得なくなってくるワケであります(笑)。

まあ、別に良質な音楽にはこういう投資はムダではありませんし、こういう売り手のあざとさに少しは乗っかってあげないといかんのですよ。何年かすれば買ったことすらも忘れてしまうようなどこぞの音楽のCD買うよりも遥かに価値があるってぇモンです。

まあ、ベッカー御大の方においては対訳がどういう風になるのかもチョット興味深々なのでありますが、左近治も国内盤の発売に合わせるかのように、ベッカー先生の前作「11の心象」について楽理面で色々語らなければならないな、と分析記事を準備しているところであります。近日お披露目になるでしょうけどね。

まあ、そんなベッカー先生の楽理面での興味は尽きず、共通項を見出しながらアレコレ色んな曲を例に出したりして特殊なモードやら見慣れぬ(聴き慣れぬ)音列などを列挙したワケでありますが、それらについて語り尽くしたワケではなくまだまだ話題は尽きません。

特にキャラヴァンの「Songs and Signs」を語らなくてはなりませんし、こちらの分析記事もそろそろお披露目になる頃かな、と。

「Songs and Signs」という曲はキャラヴァンの4作目である「ウォータールー・リリー」というアルバムに収録されているワケでありますが、別バージョンみたいな類で言うと、これまた近年発売されたばかりのロル・コックスヒルとスティーヴ・ミラーの2枚組アルバムが記憶に新しいんですが、それに収録されている「Chocolate Field」という曲は「Songs and Signs」のモチーフを引用しておりまして、意外にも「Songs and Signs」の隠れた素顔を垣間見ることができるようなアレンジとなっております(原曲とまるっきり同じというワケではありませんが、一部、それらしき旋律が顔を出すので解り易いと思います)。

私が着うた制作した「Songs and Signs」の方はCDタイムで言うと0分26秒付近の「3・3・3・3・2・2」というリズムのブリッジ部を基に作ったものでありまして、一連のド頭のメロディからココに繋がっている、と。ブリッジは「3・3・3・3・2・2」は原曲では2回続いてBメロに行きますが、左近治の方はブリッジ1回で留めています。

原曲においてはド頭の部分も毒はまぶしておりますし、特に1回目のブリッジはメロディに耳が持って行かれているとなかなか気が付きにくいかもしれませんが、毒の忍ばせ方が極めて絶妙な部分でありまして、このまぶし加減に耳が行かなかった人は、先述のCoxhill / Millerのアルバムにヒントを見出していただけるのではないかと思って話題にしたんですな。

で、それがなにゆえベッカー先生と関係あるのかというと、アプローチが非常に似ているからです。元々初期スティーリー・ダンというのは和声的にポリフォニックに欲張るような響きではなく、旋律的なアプローチでモード・チェンジを行い、独特の雰囲気を誘うような世界があったワケですが、それはキャラヴァンにも非常に似ている所でもあります。

で、それが後年になってベッカーのアプローチとして私は解釈するようになったのでありますが、今から30年以上も前の曲(SDもキャラヴァンも)で、既にそんな和声的&旋律的な魅力をちりばめていながら、そういう曲を知らずに年を重ねていくのはあまりにも勿体無い(笑)。

そういう思いがどうしてもベッカー先生やキャラヴァンを紹介したくなってくるんですな。

どちらを語るにしても耳のうるさいファンの多いバンドを例に出した所で、お気付きの方は別に私のブログなどどうでもいいのでありますが、折角マニアック路線な着信音リリースするなら、これくらいはレコメンデッドさせていただきたいな、というのが私のスタンスなんですな。

私の着信音などどうでもよいから原曲を手にして欲しいのであります(マジで)。遮二無二私の作る着信音が売れてほしいのであれば、この手のジャンルなど無視してチャートものを作っていたのではないかと思います(笑)。

普通にやり過ごしてしまいそうな音の響きにも、そこには音楽の深みを感じ取って聴いてもらいたいという気持ちの表れが、左近治は自身のブログでこうも冗長にさせてしまうんでしょうなあ。

理屈抜きで音楽聴いてもらいたい所なんですが、理屈抜いたら音聴き取れない人の方が多いのだから仕方が無いんですな、コレが。楽譜読めない人に音を説明するのと同じくらい難しいものがあります(笑)。楽譜読めない集団のバンドなど練習するにしても、全員が楽譜読める人間たちのそれと比較しても1割に満たないような練習しかしていないと感じる左近治。つまり、器楽的な心得があろうとも楽譜が読めない人間でこうなのだから、一般的な人たちだと9割以上をムダにしていて、その残ったほんの僅かな隙間に、記憶に残らせる特徴的なモノがないと興味すら抱いてもらえないという現実があります。

そんな所にこだわる前になにかしらひきつけさせなくてはならないという過当競争が、実際には音楽としての魅力を失わせていっているのが悲哀な現実でもありますが、iPodが標準となった今だからこそ音楽は従来以上に密接な聴き方をされているシーンだってあるのだから、その中で「毒性」を見出す人は以前よりも増えると私は思っているんですな。

ニルヴァーナやKORNやレディオヘッドのような毒性に目覚めた人だって、そればかりは聴いていないでしょう。B級であってもFiverのようにアーティスト側そのものがそんな彼らよりも強い毒を発しているバンドだってあります。

そういうのからヒントに毒の魅力の深さに気付いてもらいたいなーと思うことしきり。

余談ですが、Fiverは先ほどの例の中では私が最も好きな近年のバンドですけどね(笑)。彼らは完全に毒に目覚めている音出してます(笑)。

そんな毒の共通項を解説していく過程です、ハイ。