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トランジェントやらを弄ってみることに [DAW]

先ごろリリースされたMetric Haloのドライバ&ソフトV5.1の中に新エフェクトである「Transient Contlrol」なるものを使ってみることに。

今回もサンプル曲を用意したんですが、シンセ音のApple Loopに安直なキックを混ぜただけではありますが、このキックは今では旧製品となってしまったNative InstrumentsのKompaktに付属したきたサンプル「GM Kit」のキックを使っています。

Kompaktを持っている方ならお判りとは思うんですが、このGMキットはとても潤沢な残響が原音に付加されているため(笑)、深いリバーブがとても不快に思われる方もいるでしょうし、そのまんまじゃ扱いづらい音だと思います。

今回わざわざこれを用いた理由はというと、やはりゲートの重要性。ゲートとはいえ帯域全体をカットしてはダメなので、セルフ信号をトリガーとするサイドチェイン・フィルター動作をしてくれるゲートを使うことが大前提。

まあ、そうして不要な残響をカットして若干コンプを掛けて味付けします。これもSC動作のコンプではありますが、SCフィルターとしてのサイドチェインのコンプってぇこってす。ディエッサーのような働きですね。

そうしてトランジェントを弄るワケですが、そもそもトランジェントとは原音の忠実性の部分を弄るようなエフェクトだと思っておりますが、左近治はその原理がどうなっているのかは詳しく知りません(笑)。おそらくノイズ・シェイピングの発想から生まれたものではないかと思います。

44.1/48kHzのような低サンプルレートでもその効果を出すには、粗いノイズ・シェイピングやら、サンプル間補正の「均し」の曲率というのはおそらく色んな方面で研究がなされているのだと思うんですが、このサンプル間の部分に効果が発揮されるような原理なんだろうと思っております。

ノイズ・シェイピングを積極的に音作りにおいて活用していたのはKORGの01/Wシリーズだったと思い起こさせるワケですが(それでもガラリと変わるようなモノではありませんでしたが)、ノイズ・シェイピングを音作りに活用したものは一昔以上前の時代でもあったことなんですな。

まあ、その時代のデジタルの忠実性など、ごくありふれた44.1kHzのサンプルレート周波数の帯域内においても現在と比較すれば忠実度で言えば劣るモノだったであろうと思うワケでありますが、そういう世界を音作りとしても積極的に応用できるようになったのはイイ世の中になったものだと思います。ある意味ではフォトレタッチソフトなどでコントラストやらを弄っているようなモノなのかもしれませんが。

まあ、本題に戻るとしまして、前半2小節が生のKompakt音源のキックの音、後半2小節が左近治編集の音、というワケであります。

ひとえにコンプの動作というのもアナログハードの名機と言われるものでも操作可能なツマミやノブというのは意外に少なかったりします。可聴帯域をいくつかに細分化して見れば、全帯域等しくリニアに連動して動作するのではなく、実際にはその可変量に応じてほんの少しだけ特性が変化したりなど様々です。それにより特定の帯域には非常に僅かな時間差で応答の遅延やらギャップが生じたりするというのがアナログ回路というワケですな。また、そういう変化を敢えて狙って作っていたりもするでしょうし、僅かな差というものが音質に独特の質感を付加させることにもつながるというワケです。

その僅かな時間というのは、MIDIの1バイトのデータ転送よりも短い時間内で動作していることが殆どだと思います。1サンプル長に匹敵する短い時間でも応答差の違いというのは起こり得るでしょうし、それがキャラクターとなるワケでしょうな。

ノイズ・シェイピングやら高サンプルレート周波数を扱うと、通常の可聴帯域外の帯域であっても処理することにつながるのでありますが、耳に聴こえない音を扱うのは無意味とばかりに高サンプルレート周波数を扱わないというのはあまりに勿体ないわけでして、高サンプルレート環境だからこそ、可聴帯域外ではなく応答部分を積極的に処理させるような使い方で音を弄るという視点で高サンプルレートを扱うと功を奏することが多いと思うワケですな。

「応答」とは、アナログ回路にある僅かな遅延をよりリアルに処理させることで生じる遅延差とか、イコライザーなどの応答特性にも現れますし、時間差だけではなく、音や処理の忠実度(EQで例えるならカーブの特性の忠実度と言えば解りやすいでしょうか)にも現れることについて左近治は語っているのであります。

現在では実際に楽器を弾かなくともリアルな音を得られる環境にありますが、高サンプルレートを毛嫌いする人の多くは、ソフトシンセ類を多用する人が多いように見受けられます。ソフト音源であろうともソフト・サンプラーなら処理自体は比較的軽快なソフトが多いので沢山扱うことは可能でしょうが、ソフト音源よりも軽快な動作をしてくれるソースは生のオーディオトラックなんですな。つまりテープレコーダー代わりとしてトラックを扱えば、エフェクト側でより高サンプルレート周波数を積極的に使うことが可能ともなりますし、自動化(トータル・リコール)が便利だからとばかりに音源側の動作を重視していては勿体無いと思うんですな。

というわけで、おとの忠実度やらを扱う処理を時間的に見た場合の重要性を語ってみたつもりでありますが、左近治本人はトランジェント弄って悦に浸っているだけであります、ハイ。