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図形的に見るチャーチ・モード [楽理]

ブログの設定ミスにより、本来なら12月5日リリース予定の「sonatine」/坂本龍一について、前回のブログ記事のような先走り発表となってしまったワケですが(笑)、たまにゃあこういうこともあるだろうとお茶を濁すしか無い左近治であります。

坂本龍一といえば、楽理面に関して私が今更述べる必要も無いくらい興味深い作品があったりするワケですが、決して奇をてらうかのように特殊な世界を持ち込んでいるのではなく、特殊な世界観をも噛み砕くからこそ「坂本龍一」という魅力が生まれるのではないかと思います。

坂本作品を幾つか左近治もリリースしているワケですが、高橋ユキヒロのソロ・アルバム「Saravah!」収録の「Elastic Dummy」や自身のソロ・アルバム「音楽図鑑」収録の「A Tribute to N.J.P.」とか、非常に興味深い作品だということをあらためて痛感してしまうワケであります。

ところで、坂本龍一が他のアーティストと比較して違いを感じるのは特に和声面においてだろうというのは疑いの余地はないのでありまして、たとえその和声に対して楽理的な知識が無かろうとも、おぼろげながら違いというのは感じているはずです。

というのも、ありふれたタイプの音楽というのは結局の所チャーチ・モードの世界を漂っているだけなので、人によってはそれが自然に感じたりするワケで、セカンダリー・ドミナントを導入した楽曲に出会っても、これは概ね同じチャーチ・モードではあるものの他の調の性格を一時拝借しているに過ぎなかったり、というのが「ありふれた」曲に見受けられるものでもあります。

「チャーチ・モード」とやらを図形的に見ると、そこには7種類あるワケですね。アイオニアン(=メジャー・スケール)を見れば、図形的には「偏り」があるものの、この「偏り」こそが調的な情感を生むというのを指し示していると思って頂ければよいかと思います。

church_modes.jpg


一方で、ドリアンを見れば対称的な図形となっているのが判ります。

図形的に見ると、円を12等分したピースの6個分、つまり増四度(=減五度)の範囲内に半音音程が1つでも表れてくれる方が、一般的な調的な情緒を得る(得やすい)ことのできる「偏り」がある、というコトでもあるでしょう。

まあ、図形的に見た「対称性」を持ったタイプの音階というのは、色んなシーンで馴染みやすいといいますか、毒の世界への入り口の道案内としても役立つ前フリ的な要素を持つ音階としても使えるワケですが、毒の世界ではかえって対称性を持つ音列を扱う方が情緒的には理解しやすいという、一般的な世界とは相反するような性格を持っているようなものだと理解していただければ伝わりやすいでしょうか(笑)。

例えばですね、長三和音と短三和音の協和具合というのを探った場合、短三和音というのは、それらの構成音から生じる倍音列と「かちあう」音をになるんですね。

長三和音がピーカンの晴れだとすると、短三和音というのは雨と思って頂ければな、と(笑)。または目にホコリが入ってしまったようなモノでしょうか。

なぜ、そういう形容をするのかというとですね、目にホコリが入ったら取りあえずは拭おうとしたりホコリをとろうとしますよね。その「欲求」そのものが短三和音で生じる「情感」だと思って頂ければよいかと。

これは何も左近治が根拠無く形容しているのではなく、倍音列と差音の双方から生じるものだということが理論的な裏付けがきちんとあるんですな。

和声を同軸で見た場合、このような情感があり、旋律的に見た場合はどこかに偏りを欲する、というのが人間の自然な感覚なのでありましょう。

ただ、この手の偏りが自身の頭の中で「先が見越せる」ほど慣れてきてしまうと陳腐な響きにも聴こえかねない人もいる(笑)。そうすると、調的にニュートラルだったりチャーチ・モードで表せない「偏り」を欲するワケでして、左近治はまさにこういうタイプのひとりだというワケです(笑)。

大根ひとつしかないのに、色んな料理を作ることが出来るのは主婦の鑑(笑)。食ったらどうせウ●コになっちゃうんだから始めからウ●コを食卓に出す人はいませんよね(笑)。そういうのも好きな人がいるのかもしれませんが(笑)。

12個しか音のないのをどうやって料理しているのか!?というコトでもあるんですな。

元素や分子構造だって無数にあるワケではないし、とりあえず味覚や嗅覚として察知できるのは人間は限られているワケでして、組み合わせというのはある意味決まっているんですな。

音楽の特異性の部分だけに没頭してしまい、スケール博士やコード博士、みたいなタイプの覚え方をしてしまうとですね、どんなに工夫を凝らした料理にもマヨネーズ掛けたりとかタバスコ掛けちゃうみたいな料理しか出来ないんですな(笑)。沢山の女性の顔写真集めて楽しんでも、目先の女性ひとり相手する方がよっぽどイイんですが(笑)、スケールやらコードをアレコレ覚えるよりも、目の前の音を相手しろってこってすな。

カップ麺しか知らない人間が、身近な所で巧いラーメン屋を見つけた、と。

その辺のJ-POPという地区の中ではまあまあのラーメン作っている料理人を見つけた程度で音楽そのものを語ってほしくはないんですな。その程度をレコメンデッドするようじゃタカが知れてるでしょ、ってコトですな(笑)。

プログレ界では不可避な話題の「レコメン系」。もちろんレーベル名でもあるんですが、ネットの世界ですらテレビ見た感想程度のようなものが大挙する昨今、音楽ついてきちんと知りたければやはり学ばなければならないんですな。こんな左近治のブログ読んでる場合じゃあねえってこってすよ(笑)。