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胎児の夢/佐井好子 [クロスオーバー]

5〜6年くらい前にKクリでケータイサイトのショート・コメントでチラッと語った事があったような記憶のある佐井好子。アルバム「胎児の夢」は名盤なのでありますが、私が一番最初に耳にしたのは久保田早紀の「異邦人」がヒットしている最中の頃、叔父貴が「オマエはコレを聴け!」と差し出されたアルバムが「胎児の夢」。

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夢にまで出て来ちゃいそうなアルバムのジャケに圧倒され、後に石川鷹彦はもちろん、今やルパン関連で有名な大野雄二が参加していたことに驚くことになるんですが、当時はカセットに録音したモノでしか持っていなかったんですね。数年前にようやくCDで入手したんですが。

当時は、アコースティック・ギターにも少々興味を抱いていた頃の左近治。当時の物欲のそそるものはというと、

・ウォークマン(初期型)
・シンセ

まあ、シンセなんてなんでも良くて、ポータサウンドがありゃイイか!みたいな(笑)、当時、対面座席の電車の中で弾くポータサウンドのCMシーンを見ながら、汚れの知らぬ青ッ鼻垂らした朴訥な少年(汚れていましたが)は、ドラム興味を示そうとも(左近治の当時のメイン楽器はドラム)、和声への欲求が高まっていた時代だったんでしょうなあ。

それで、アリスの「秋止符」を弾きたくなり、叔父貴から古いアコギを譲ってもらうことになり、「センイチ」買って、当時自分のギターで弾いてみたい曲などを色々練習してみた頃もあったという当時。1980〜81年頃でしたでしょうか。

んでまあ、拙い指使いながらもギターをどうにか弾けるようになった所で叔父貴が持って来たレコードが佐井好子の「胎児の夢」だったというワケであります。

ジャケのあまりのインパクトに及び腰になって(笑)、心の片隅には「不気味で聴きたくねーなー」なんて思っていたんですが、ついついその音楽性の高さに引き込まれてしまったのでありました。正直、プログレ耳としても十分聴くことができます(笑)。

色んなプログレ好きが集まるような所ではやはり佐井好子を好む人間に多く出会ってきたワケで、あらためて佐井好子とはプログレ度も高い作品なのだとあらためて認識させられたワケですが、キャラヴァンやカンタベリー系が好きなタイプの人でなくともすぐに食い付けるような気がします。

当時は「大貫妙子より絶対イイから聴いてみろ!」って叔父貴に言われて聴かされたんですなあ(笑)。

で、左近治も自分の好きな楽曲を制作する上で、初心に返る意味でも当時作ろうとしていた曲を今一度作ろうかなと思い、楽理面の解説でもリンクしていくことになる関連作品を取り上げつつ、そろそろ佐井好子の出番だな、と思うようになったワケです。

数年前にはリリースの可否すら不透明で、権利関係片っ端から事務局に問い合わせたコトもあったんですな、実は(笑)。「佐井好子の着メロなんてそうそうねーだろ」みたいな心意気で(笑)。

今やiTunes Storeでも取り扱っていて、レコードすら探すのに難しかった佐井好子のアルバムが、こうも簡単に入手できるようになったとは、本当に隔世の感を覚える左近治であります。

「青いガラス玉」
「遍路」

この2曲、もし佐井好子をご存知でなく、興味がある方は是非とも聴いていただきたい2曲です。アルバム全編素晴らしい曲ですけどね。「青いガラス玉」のリード・ギターなんてモロにフィル・ミラーだろ!と思わせるような音(笑)。

70年代中後期辺りの日本のスタジオ界というのは結構カンタベリー系の音に出会うことが多いので今のJ-POP界隈(笑)よりもよほど聴く価値があったかと思います。

かくいう日本でも77〜80年頃はクロスオーバー・ブームがありました。でもジャズ/フュージョン界ではインプロヴィゼーションが求められるワケで、うだつのあがらないソロを延々弾くよりも、カンタベリー系のような緻密に計算された世界の方がバランスが取れていたりする、と。そういうバランスの良さも受け入れられやすいのがカンタベリー系だったのではないかと思うんですな。

そんな影響がさらに歌謡界でのモンド化が顕著になってゆく、という時代。あらためて昔は良かったと思うものであります(笑)。