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ようやく国内発売にこぎつけた「サーカス・マネー」/ウォルター・ベッカー [スティーリー・ダン]

半年ほど経過してようやく国内でSHM-CDとして発売が決定したようですな。2008年12月17日予定とのこと。

小さい店舗だと発注量は各店2〜3枚、大型店舗で20枚くらいでしょうか!?(←初回受注)

おそらくは、20枚以上初回注文してくれた店舗にサンプル(視聴盤)提供という裏事情かもしれません(笑)。別にベッカーに限らずCDの発注なんてこういうモンでしょ!?


しかしながらスティーリー・ダンのファンは結構多い。判る人にしか判らない売り方ではなく、今作がかなり判りやすいアプローチでアルバム制作しているのだからこそ、このアルバムの位置付けは後世に残る名作であろう作品として積極的に注力してもらいたいんですな。


サーカス・マネー販促としてのキーワードは!?


●メロディック・マイナー・スケールを導入した作曲技法(ホントはメロディック・マイナー・モードですがコレくらいで十分)
●マイナー・メジャー7thコードを巧みに使うアレンジ


この2点がキーワードですので、左近治ブログをご覧いただいている販売担当者の方々にはこういうキーワードをちりばめてもらいたい
モンですな。それで売れようが売れまいが私は責任取れませんが(笑)。重要なのは、この手の和声的なアレンジは前作の「11の心象」でもやっております。それも非常に大胆に。

今作はシンプルに、且つメロディラインを重視してさりげなく各所で見せるベッカー独特のコードワークが絶妙だと。「11の心象」だと、耳の付いて来れない人だと、あまりに細かい和声の当てはめを理解できなかった人が多かったと思うんですな。

今作では、その「当てはめ」を極力シンプルにすることで、ひとつのコードの中で奏でられる旋律が、スーパー・インポーズされたような不思議な調性のフラつきがより顕著になっているところがキモなんですよ。

例を挙げれば、Key=Ebで

Fm7→Eb/B→BbmM9・・・(Eb/Bは「EbM7(+5)」とも表記可能)

というコード進行があったとして(このコード進行はベッカーの曲ではなく、今左近治が勝手に作ったモノ)、この、少々扱いにくいような3つのコードに対して、どういう音列を「公約数」的に用いることが出来るか!?という妙味がスーパー・インポーズたる技法の入り口。

それが「Selfish Gene」の中盤ど2本のギターリードによるブリッジ部分の巧みな音選び、「Downtown Canon」のさりげないマイナー・メジャー7thの導入、「Paging Audrey」の、その場を離れたくないような気持ちにさせてくれるかのような巧みなコードワークなど、語れる部分など色々あります。

しかしながら、販促としての上記キーワードだと新参者を尻込みさせてしまう可能性すらあるかもしれません(笑)。

POPやらディスプレイがあるのかどうか判りませんが、やっぱりこの手のジャンルに詳しい担当者の手書きコメントやらが一番効果的なのではないかと思うんですな。特に、この手のジャンルに一定の信頼が顧客側に置かれているタイプの店舗ならば。

モノによっては、担当者個人の愛情すら伝わってくるようなコメントをさりげなく書いているコメントだって目にすることがあるCDショップ(笑)。誇張した書き方で購買欲をそそらせるという手法も勿論ありますが(笑)、理論的に于嗟だ這麼だ〔ああだこうだ〕書く前に、センシティヴなコメントの方が彩りを添えることの方が功を奏したりするような。

CDショップの販売担当者であれば、多くのジャンルにおいて相当の知識は有しているでしょうから、自身の嗜好も加味した上での一定の評価をコメントするなどワケないと思うのでありますが、ベッカーの作品は感覚的な部分だけに埋没されることなく作品の魅力を味わってもらいたいものであります。


ま、そんな中、既に「サーカス・マネー」の輸入盤を入手してすっかり魅了された方へ、ベッカーの嗜好するような類の曲を今回は取り上げてみることにしまひょ、と。

国内のiTunes Storeでも取り扱っているので興味のある方は是非聴いてみてくださいね。

「Falcon Love Call / Azymuth」

アジムスの2ndアルバム収録の名曲です。アジムスはクロスオーバー・イレブンの「アレ」しか知らねぇ!って人にも是非聴いてもらいたいんですが、いきなりこの曲に没頭できるのは和声への習熟度の高さを要求されるかと思うんで、ワンクッション置いてこの曲を聴いた方がいいかもしれないんですが、この曲の特徴的な和声はウォルター・ベッカーのソロ・アルバム「11の心象」収録の日本盤ボーナストラック「Medical Science」と共通する和声があります。

いずれ私もこの辺については解説しますが、ベッカー・サウンドのヒントとなるようなサンプル曲を用意しているのでとりあえずお聴きになってみてください。



以前に取り上げた「男と女」系のコード進行ですね。イントロやブリッジ部に合いそうな感じのアレンジに(笑)。

今回はこの辺で。