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リチャード・アルダーソンのミックス [クロスオーバー]

さて、本日はKクリにて2曲リリースされるワケでありますが、その内の1曲「Making Love To You」について。

この曲はグローヴァー・ワシントンJrのソロ・アルバム「Come Morning」収録のモノでして、国内のiTunes Storeでも購入することが可能となっておりますね。

グローヴァー・ワシントンJrと言えば本作の前のアルバム「ワインライト」がお化けヒットとなったため、本作「Come Morning」は全体的にマニア好みっぽく陰鬱な感じをより強く出しているため、セールス的にはそれほどでもなかったと記憶しておりますが、リチャード・アルダーソンの手掛けるこのアルバムの音は実に聴いていて心地よいんですな。特にニーヴ・サウンドが好きな方なら、その音だけでも酔える!と言えるくらいの深みのある音です。また、アルバム全体においてスローな曲が多いので各プレイヤーの一音一音を聴いてミックスの勉強になること間違いなしでありましょう(笑)。少なくとも左近治はこのアルバムはミックスのお手本にしているアルバムのひとつであります。

ベースはマーカス・ミラーなんですが、大抵マーカス君というのはスラップがもてはやされる人なので、指弾きとなるとスラップ全面に押し出した曲の合間の指弾きだと概ね埋もれているタイプの曲が多かったりするんですが(それでも多くのドンシャリタイプのスラップ系ベーシストと比較すれば、マーカスのそれは音程感が豊かな指弾きサウンドを満たしている方だとは思います)、この曲のマーカス・ミラーの音は理想的な音のひとつと言えるでしょう。

左近治が好きなマーカス・サウンドというのは数少ないながらも(笑)、このアルバムのマーカス・ミラーと「ささやくシルエット」、初期〜中期の頃のデイヴ・ヴァレンティンの「Land of the Third Eye」の音は私に取っては三つ巴サウンドと呼べるかもしれません。

アンプ・ミックスをしていると思われますが、ゴリ感の残る、それでいてスラップの音の特徴も踏襲しているというイイ所取りの音のひとつとも言えるでしょう。

また、ガッドのハットとリム・ショットの巧みなEQとコンプの処理具合は、この曲と次の曲「I'm All Yours」を利き比べると、スネアとハットの処理加減の違いが非常にタメになると思います。

「I'm All Yours」の方はかなり前にイントロ部を着うたでリリースしたコトもありますが、ミックスの妙を聴きたい方は是非とも原曲の2曲を聴き比べてみることをオススメします。「同じアルバムなのに全く違う音」というワケではありません。素人耳で聴けば違いは判らないかもしれません(笑)。

まあ、それくらい雰囲気を踏襲しながら曲によってミックスを使い分けているという妙味が知れるというシロモノだというコトを知っていただければな、と思う作品なのであります。

前作の「ワインライト」において左近治が最も好きな曲というか、ミックスの勉強になるのは、ロバータ・フラックも別アルバムにて自身のソロ・アルバムで歌詞を付けたバージョンを謳っておりますが「In The Name of Love」のフルアコ・ギターの距離感など、非常に勉強になります。ミックスにおいてロバータ・フラックの方は無関係ですけどね(笑)。

ミックスを学ぶなら「ワインライト」よりも「Come Morning」だろ!と念押ししちゃいます(笑)。「ワインライト」が日本人受けするようなソニーの音と形容するならば、「Come Morning」はマランツの音、みたいな(笑)。「ワインライト」は中域のスポイルされた部分が「Come Morning」より強く感じるので。

ともあれ、本日リリースするこの曲は本来7月にはリリースするはずだったんですね(笑)。もう季節変わってしまいました!本来ならこのブログも7月の時点で読む事ができたはずだったという、如何に左近治がマイペースなのかというのもあらためて知ることが出来ましょう。巷じゃポニョポニョ唄っている辺りの頃だったんですな(笑)。

いくら着うた作っているとはいえ、あの手の誰もがやりそうな曲を作ろうとは思わず(笑)、場合によってはどこかで初音ミクにでも唄わせていたかもしれません(笑)。そんな時流に流されずに未だ1981年の辺りの音に没頭できるというのは我ながら驚いております。ジョン・レノンの死後や「なんとなくクリスタル」が出版された1年後〜15ヶ月後辺りの時代と思っていただければお判りになるでしょうか(笑)。82年に変わろうとする辺りの時代と言いましょうか。生まれていない人だっているかもしれませんが、私が振り返るとこういう見方になってしまうんですなあ。