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転調とモード・チェンジ [楽理]

扨て、スリーコード(主要三和音)の構成音を全て拾うと、重複する音こそあるものの、それによって生まれる音階こそがその曲の「調性」だということが判りました。ハ長調(=C)とイ短調(=Am)というのは

「ド レ ミ ファ  ソ ラ シ」

を共有しているからこそ、これでは転調ではないということですね。


「AmでE7と現れたらソはソ#になりますぜ、ダンナ」それなら「ド レ ミ ファ ソ# ラ シ」ではないのか?

と、こう疑問を呈する人も居るでしょう(笑)。Amの曲で大部分はソを使っていてソ#に一時的に変化させようが、曲を通してソの音をソ#で弾き通そうとも、「ド レ ミ ファ ソ# ラ シ」という音階はチャーチ・モード(=教会旋法)には現れない音階です。

並び方を変えて「ラ シ ド レ ミ ファ ソ#」。フムフム。これは和声的短音階(=Harmonic Minor)ですわ。

旋律的短音階(=Melodic Minor)というのもありますけどね、これらは「よく知られた」短音階ではあるものの7つの教会旋法には含まれていないワケですね。

つまり、非チャーチ・モードの音階は現代音楽など特殊な音楽を除けば、調号とうまくマッチしてくれる音階ではない、と。だからこそ転調ではなく「モード・チェンジ」なワケですよ、平行調の世界というのは。

仮にAmの曲でトニックマイナーが現れようと、ポピュラー系の音楽やジャズなどでは「ほぼ」Aのナチュラル・マイナーを用いずに一時的にAドリアンを使用することが殆ど。ここだけで言えば「ファ#」になっているわけで。

まあ、トニックマイナーにおいて9th音を強調しながら短音階の強烈な叙情性を醸し出したいがために、♭6th音を一緒に使って

「Dm6 add 9 / A」というコードを弾くことがありますよ。Amにおいて9thを強調しながら♭6th音を使うというような和声ですがコード表記上はこうなります。試しにA音をベース(低音)に「シ ド ミ ファ ラ」とオクターブアップさせながらシで始まってシで終わるような速いアルペジオを弾いてみてくださいね♪

こういうAmにおいて♭6thと9thの増四度を巧みに使った強烈な叙情性を利用すればドリアンではなくなるというシーンもあるものの、大概はドリアン使っているシーンが多い中で、平行調を「転調」と間違えてしまっては、真砂の数ほどの曲でもドリアンを用いたような曲を例として挙げていたら二重の矛盾を生じさせてしまうワケですよ。

モード・チェンジを語ることすらできないわ、転調の何たるかをも伝えることができないようではそんな解説のコード・ワークなど聞いて呆れてしまうワケです(笑)。

こういうことに興味を覚えた人が楽理を追求していくもよし、こんなこといちいち知りたくもないという人が取り残されていくのもよし、音楽の世界などこんなモン。覚えたいにしてもそれらを知れる本をどこで手にすればいいのかも判らない。

音楽に限らず、自分自身がどういう本を手に入れたいのか判らないような場合はその時点で研究不足や知識不足を招いているから、まともな本にも出会わないワケですな。コンビニで用を足そうともまず売ってないでしょうし(笑)、ネットで検索するだけで十分というのも愚の骨頂(笑)。