SSブログ

インダストリアル・サウンドを実感した時 [制作裏舞台]

いわゆる環境音とでも言いましょうか、そういう「音効」の世界をより器楽的に採り入れようとする手法は現代音楽やら映画音楽などの多くの世界で試みられていたことであり、今でこそサンプラーやら多数のエフェクトを用いてお手軽に得られるほどに「形骸化」してしまったと呼べるほどにポピュラーになっております。

私が「インダストリアルだなぁ」と実感したのは、スコーピオンズのアルバム「暴虐の蠍団」での「Steamrock Fever」やら「カロンの渡し守」に用いられているSEやARP系とおぼしきシンセSEサウンドに出会ったのが最初でしょうか。

当時の時代背景もありパンクスやらニューウェーヴ志向な世界になり、YMOが出現。そして坂本龍一の「B-2 UNIT」を手にした後のYMOのアルバム「テクノデリック」がリリースされたほぼ同時期のザ・ビートニクスによる「出口主義」の音を聴いて、「インダストリアルな世界観」というのが培われたような気がします。

その後集めたアルバムでピンク・フロイドやらGONGやらを聴いていくと、それらの世界観こそが「源流」とも呼べるような独特のイメージを構築していたのだと実感したものでありました。

左近治がスネークマン・ショーなどに明け暮れている頃に耳にしたホルガー・チューカイ(シューカイ)の「Persian Love」(←なぜか「ペルシアン・ラブ」と訳されますが、正しい英語読みは「パージャン」です)。この曲はホルガー・チューカイ自身がFMラジオを断片的に録音したもので構築していった音楽というのは後になって知るワケでありますが、フレーズ・サンプリングとも呼べるその手法と自信の備わっている世界観の一本スジが入っているような強固なイメージに圧倒されたこともありました。まあ、この曲は当時三宅一世が出演したCMでも用いられておりますが、スネークマン・ショー収録の方は曲の後半部にてかなりテープカットされて編集されてしまっているのが難点と言えば難点。

しかしながら80sの音楽シーンというのはアナログはどんどん廃れて、ロック界ではテクニカル志向でヘヴィメタ・ブーム、エレクトロな音効など用いようものなら途端にブーイングの嵐になりかねないような時代もあり(笑)、ロックとインダストリアルな音効が本当にいい意味での邂逅というのはナイン・インチ・ネイルズの出現を待たねばならなかったのではないかと思うことしきり。

この頃はサンプラーを駆使した音楽もかなり浸透していて同時期にはグランジ系の音もかなり根付いたこともあって、ダーティーなエレクトロ感を演出したポーティスヘッドとかも登場して、その後KORNが出てくる、と。これで完全にスタイルが構築されたと言っても過言ではないでしょう。

私もその後それらのミクスチャー/インダストリアル・ロック系の音に魅了されながらロブ・ゾンビとかに手を染めつつ(笑)、ケミブラが登場してきた頃にハウス熱に冒された、と(笑)。それが今を遡ること丁度10年前の頃でしたでしょうか。J-POPが最も熱かった時代ですね。カラオケや合コンのネタ用に渋々覚えたこともありました(笑)。そんな10年前、SMAPにオマー・ハキムとウィル・リーが参加していると言われても、昔なら飛び付いていたでしょうが、当時はignoreしちゃってた頃もあったモンです。


明日、3月21日リリースはとりあえず4曲ありまして、まず一つ目はEFXシリーズ。

こちらは80s初期のミニマルなテクノを演出したんですが、音的なイメージはというと、粗雑感のある量子ノイズたっぷりのデジリバ黎明期によく見られた中域に飽和感のあるキャラクターを持った初期反射音(アーリー・リフレクション)を混ぜながらEMT系のリバーブで音像を構築するという、まあ一聴していただければ「ああ、この手の音ね」と懐かしい感じをお分かりいただけると思うんですが、この曲はまさに先述のリバーブ部分に注力したというワケです。従来のEFXシリーズとも全く毛色が違うので着信音としてもキャッチーではリバーブないかと思っております。

YMO関連となると、坂本龍一の「iconic storage」の続編ですね。いわゆる従来の続き部分です。

さらには特命係長只野仁(笑)のBGMで、お色気の中にオチがあるというか、そういうシーンで多用されるフルートのジングル(笑)。もうお馴染みですね。ショートジングルなのでサイズ的にもコンパクトでありやす。

最後に「森のくまさん」のホラーMix(笑)。

メロディこそ「森のくまさん」なんですが、リハーモナイズさせて全く別の曲に仕上げております(笑)。

想定しているイメージとしては、悪魔の本性が時折目を覚ます覚醒前の双子の姉妹がピアノの連弾というシーンです(笑)。

妹の方はピアノが弾けず、片手(右手)だけでお姉ちゃんと一緒のピアノでメロディ・パートを弾いています。そこに姉が伴奏を弾く(両手)ワケでありますが、この伴奏こそがリハーモナイズさせまくって恐怖感を演出している部分です(笑)。

弱起で入る所から全く異質な和声で入るので、初めて聴く人にはそれが「森のくまさん」には到底感じないかもしれません(笑)。メロディに耳を凝らしていると、それがようやく「森のくまさん」ということにお気付きになることでしょう。

シーンの背景としては、廃墟となった学校の音楽室に姉妹が居て、ピアノを弾いていると。

実はこの行動こそが呪いの「暗示」でして、姉妹の「ある行動」をきっかけに呪いのスイッチが入って世界のどこかで処刑されている人が居る、と(笑)。

その「ある行動」というのは、A音すなわち「ラ」の音ですね。この鍵盤を姉妹が打鍵する時が「処刑執行」を意味する「スイッチ」なんですね。

その「ラ」音はオクターブ違いで、姉と妹が弾いている、と。ところが妹は姉よりも悪魔の魂にまだ目覚めておらず「健常」な所を残しているため、姉の弾く伴奏に違和感と恐怖を抱きながらメロディを奏でているんですね。

「予感」を妹は感じながら、弾くのをやめることができずにリットする(Rit=すなわちリタルダンド)。

傍から聴けば「なんでソコ、リットすんだよ!」とかツッコミ入りそうですが(笑)、ピアノの鍵盤のA音をふたりが弾いた直後に任務終了。

どこかで執行されてしまった処刑の世界と姉妹の世界が同じ音像で鳴っているというイメージで、執行された側の音は叫び声を上げるヒマもなくノド笛だけが鳴っているという音を使いました(笑)。

従来左近治がリリースしていた「森のくまさん」とは全く対極のフェーズにあるアレンジでして、その対比を楽しんでいただければな、と思います。


まあ、今回この「森のくまさん」で試したことというのは、後に続くであろうインダストリアルな音像演出のために必要だったアイデアを生かしてみたというワケであります。

こういう森のくまさん、人の気配が少なくなった時間帯の学校で白目向きながら弾いてあげるといいかもしれませんね(笑)。動向次第では五線譜掲載します(笑)。