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マーカス・ミラーのF-Bassサウンド [ベース]

「よせばいいのに」という曲がありましたねえ(笑)。

Late昭和のムード歌謡を代表する曲のひとつと言っても過言ではないでしょう。

んで、よせばいいのに左近治は、低域再生は不足して当然のケータイ用着うたにおいて、なぜかベースをフィーチャーしたマジ曲ばかり最近はリリースしているという現実。ある意味暴挙ともいえるのかもしれません。

低域再生をある程度ソツなくこなすケータイも無くはないものでありますが、真砂の数ほどある機種総てにおいてベース音の低域を再現させるというのはもはや博打みたいなものでして、うまいこと聴こえてくれる機種もあればそうではない機種もあるんですな。

それらの機種ごとにどうにかこうにかアレンジしたりEQやら音の処理施すのが制作者の役目だろ!と言われるかもしれませんが、ここにはどんなコトしても不可能なモノすらあるので、博打と述べたのはそういう意味なんですな。

倍音成分の弄り方次第ではケータイでも「鳴っている」かのように聴こえさせることは可能ですが、楽器のアンサンブルを原曲と照らし合わせた場合、中低域にシフトされる周波数分布によって原曲のアンサンブルとは全く異なる、場合によってはその曲の持つ和声構造を乱してもなお、ベースを上方にシフトさせなければならないというシーンではどうしても抵抗したくなるのでありまして、美しい和声の分布はトコトン原曲をリスペクトしたいのでありますな。ダブルストップで和音をかき鳴らしているワケではないベースだからといって闇雲にオクターブ上げたりとかしたくないんですよ(笑)。

ある曲の一部分のコードが「Cm」だからといって、転回形など全く気にせずコードトーンさえ満たしていればアンサンブルの再現などどうでもいいような考えのアレンジなど勿論作りたくないというのが左近治のスタンス。

着うた再生させる上で様々な障壁があるものの、ベースの音は軽視してもらいたくはないんですなあ。


前置きが長くなったところで今回のテーマは「マーカス・ミラー」。

キレイなスラップ・サウンドで一世を風靡したマーカス君ですが、85~86年辺りくらいになると「コレ、Jazz Bassの音じゃないだろー」というような曲をかなりの頻度で遭遇するようになったモンですが、それ以降概ね90年にさしかかるくらいまでは、国内ではサドウスキー商法と名付けたくなるほどのマーカス・ミラーの音というものへの誤った解釈によって、マーカス・ミラーの音とは雲泥の差もあるベースが飛ぶように売れていたりした時代もあったモンですわ(笑)。

70年代のジャズベースのリア・ピックアップのマウント位置の違いによって、マーカス・ミラーの音は得やすくなるというコトなど、そんな商法が横行していた頃にはそんなtipsなどほとんど知られていなかったのが現実じゃないでしょうか。

そんな時代に、私がマーカス・ミラーを耳にして「こりゃ絶対ジャズベースじゃねえや」、but「イイ音」と認識していた曲がありましてですね、後述にて代表的なものを列挙しようと思うんですが、もはやこの時代から実はマーカス・ミラー自身はジャズベースだけにこだわっているわけではないようでして、これを「あのジャズベースで得られる」とか「サドウスキー買えば手に入れられる」と思わせてしまっていたわけですな。

とはいえ、左近治がそんな確信を得るのもレイラ・ハサウェイを引き連れてきたラス前年度のLive Under the Skyのライヴにてマーカス君がF-Bassを使っているのを観てからなんですが(笑)。


下記の曲は間違いなくF-Bassだろ、と左近治の思うマーカス君参加の曲たちです。実際はどうか知りませんけどね(笑)。

『Maputo』/The Crusaders 「Healing the Wounds」
『Palm of Your Hand』/The Jamaica Boys 「The Jamaica Boys」
『Big Time』/Miles Davis 「Amandla」
『Odile, Odila』/Lee Ritenour 「Festival」
『Inside You』/Richard Tee 「Inside You」
『See Me』/Luther Vandross 「Give Me the Reason」
『Westside Drive』/渡辺貞夫 「Fill Up the Night」


『See Me』やら『Westside Drive』辺りなんて相当古いと思うんですが、この頃から既にマーカス君はあの難しいトーンコントロール類を持つF-Bassを使っていたのだなあと痛感するんですが、サドウスキーのようなか細い電気的な音がなぜあれほど神格化されてしまっていたのか不思議です(笑)。サドウスキーの音ってウィル・リーが参加しているパット・メセニーとゲイリー・バートンの「Reunion」だったり、トム・シューマンのソロアルバム「Extremeties」こそが象徴的な音だと思うんですよね、コレがまた。

マイルスの「アマンドラ」やリー・リトナーの「フェスティバル」のマーカス君は、前述の曲だけではなくアルバム全般でF-Bassじゃないの?と思わせる音なんですけどね。

マーカス・ミラー中毒になってしまった方なら、70年代のジャズベースの次にはサドウスキーじゃなくてF-Bassを所有された方がよっぽどイイのではないかと思うんですよね。まあ現状のF-Bassは当時のマーカス君のF-Bassとはモデルは違うは、回路も違うわなんですが、現状のF-BassでもやはりF-Bassの音してますし。初期のF-Bassなんてイーグル・ベースを思わせるような感じでしたなあ、そういえば。こう言ってはなんですが、サドウスキーよりもF-Bassの方が価値があると思うんですけどねえ。今までサドウスキーを散々弾いて来ましたけど、マーカス・ミラーの音になるサドウスキーには出会ったことないです(笑)。先述のウィル・リー系の音なら音質の個体差のあるサドウスキーではありますが10本中8,9本の確率で出会えたモノですが(笑)。

で、これだけ熱く語るトコ見ると、今週のリリース曲は大方予測がつくというワケでして。