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253本の弦 [クダ巻き]

この数字でピンと来た方は相当本腰入ってますね。

これは通常の88鍵ピアノのピアノ線の総数ですな。

ま、ピアノってぇのはいまさら語る必要ないかもしれませんが、どの鍵盤においてもピアノ線1本だけではなく必ずユニゾンで鳴っているんですな。

一本の弦だけで、あるいはたった一つの単音がピュアトーンでない限り、人間の耳ってぇのは相当敏感なもので、特にピアノなら1セント上下にズレただけでホンキートンクっぽくなってきちゃいます。何ヶ月か前のJazz Life誌に付いてきたCD-ROMでピアノが使われていましたけど、私はもうあの調律には堪えられなかったものです。

最近はサンプラーもすっかりソフトウェアになったんですが、ピッチベンドデータをチマチマ使わない限り1セント未満の編集は通常は出来ないものが多いのが現実です。なぜそこまでこだわるかというと左近治にとっては1セントという幅が非常に大きいからなんですな。

それ以前にサンプル自体が1セント未満の僅かな幅でズレているサンプルだってあるのが現状です(笑)。どのみち全鍵サンプリングが今や標準なのだから、それも「ぬくもり」として許容できる人も中にはいるんでしょうが、やはり気になるものはどうしても気になってしまうんですなあ。

空調でピッチの僅かな変化があるのを認識したり、そこまではいかなくとも、あるいはマイクで収音された音を聴くと、マイクの物理的な筐体に僅かな「フカレ」が生じて、その筐体の周りに渦が生じたせいで音の揺らぎを感じることなど結構経験されている人も多いんじゃないでしょうか。左近治なんて欠伸すれば六分音くらい耳にするピッチが下がって聴こえちゃうもんです。

旗はなんで風にはためくのか!?

これも実は空気の流れを阻害させる物理的な大きさと空気の流れのスピードによって生まれる「渦」によって生じる動きでして、実は旗のはためく振動数、あるいは旗の大きさや平均的な風速などを逆算して旗の大きさやら柱の太さなど、強度を二の次に考えれば闇雲に旗の大きさや材質や重さなど決めてしまえばいいものではなく、実は結構簡単な数式で逆算できちゃうんです。

場合によっては、風から見たら障害物が無かったかのようにすり抜けるようなこともあるんですね。物体の大きさと波長が釣り合っていた場合がこの例です。

渦巻きが起こるのは、「回折」で最も多いシーンで、先のすり抜けも「回折」のひとつです。もちろん、物体によって遮られてしまうのも「回折」。つまり大きく分けて3パターンの回折があるワケですな。

音だけに限らず、地震だって水波だって、光だってこういう性質はあるんですよ。実は。

それらは既に数式化されてしまっているというのが驚きでして、先人達の偉業というのをあらためて思い知らされるわけなんですな。で、これらの数式化されているものを突き詰めていくと、音作りに応用できるというワケなんです。

更に言えば、大気成分や大気圧や温度もパラメータに加えてしまって、周波数の減衰具合やら干渉具合などを弄ればこれはもう立派な空間系エフェクトを作れてしまうワケなんですよ。

空調も非常に穏やかで、残響成分が極力排除された無響室がリスニングルームの理想かというと、それはあまりに極端で(笑)、スピーカーのセッティングを入念に行った所で、僅かなピッチの変化も聴き取れないようでは徒労です(笑)。生ピアノの音に少しは敏感になるとイイことあるかもしれませんが、そういうサンプルがいけしゃあしゃあと蔓延っている現実にまずは気付くことが重要なのかもしれませんな。