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指弾きベースサウンドを追求する [ベース]

通常指弾きする時というのは、ベース本体側にフィンガーレストと言いましょうか、まあそれ代わりにピックアップのボディに指当てたりすることもあるんでしょうが、左近治の場合は弾く位置は曲中でもコロコロとポジションは一定しないので、ベースのボディに強く親指を押し付けて弾きます。

それで芯のある音が出るのか!?と思われるでしょうが、慣れとはコワイもので、何時の間にかこういうスタイルになっちまったんですなあ。別にピックアップに押し付けても弾く事は可能なんですが、指板を押弦する位置が変わるということは、運指を行っている、と。すなわちフレージング変われば弦長が変わる、と。

この弦長の変化を自分なりに最小限にする(テンションなり音色なり)クセが身に付いてしまったんですな。それでも速いパッセージのフレーズでチョコマカと指の当てる位置を変えているワケではないんですけどね(指の当て方の角度を変えたりはしています)。

なんでこーゆーのが身に付いたかというと、全てはエイブラハム・ラボリエルの影響かもしれません(笑)。

というのも、左近治がよーく使い分けているのが、

・普通にフィンガー・ピッキングしていても、指板やボディ方向に「垂直」に、指を弦に宛がうような弾き方

・ これが標準的な弾き方だと思うんですが、フィンガー・ピッキングした直後、弾いた指をボディ方向垂直ではなく斜め方向に指を逃すような弾き方


・ もうひとつは、力を入れ気味のアルアイレ。弾いた弦に対してはアルアイレなんですが、直後に自分の親指の第一関節を弾いた指のストッパーにさせる弾き方ですね。

この3種類を多く使っていて、普通のアルアイレやアポヤンドも使いますけど、自分のクセとしてはそれらに大別できるというワケです。

最後の弾き方だと、エイブ先生のようなゴツイ音になりやすいんで(笑)、サジ加減が難しいですけどね。ドナルド・フェイゲンのアルバム『Nightfly』収録の「New Frontier」のような音っぽさと表現すればよろしいでしょうか。特に、この弾き方というのはヘッポコベースじゃない限り、結構弦のサステインがかなり活きるんですね。ベースによってフレットは様々なんでこのポイントを探るのはコツを要するんですが、変にPluckにならないエグみを出せるポイントがあって、その音が好きなんですな。ゴツくなるんで(笑)。弾く側の指も逆反り気味にして当てて弾く、と。逆反りさせない方がどんな弾き方でも芯があるんですが、私はノリと音のメリハリで逆反りと順反りを使い分けています。人差し指で弾いたら直後に中指でミュート(あるいはその逆)なども使い分けると、このゴツさ加減は本当にイイんですよ(笑)。私自身は「アポヤンド風アルアイレ」と言ってます(笑)。16分音符が2個続くような時にコレ使うと、かなーりイイ味出せるんですよ(笑)。別に幾つ続いてもイイんですが、メリハリ付けて色んな音にする方が彩りが増すので(笑)。

まあ、そうは言っても最低音側の弦を弾く際、やはりこういうピッキング側のポジション(右手)は弦負けしないように親指をより一層押し付ける必要があると同時に、チョコマカとポジションを変えながらライヴなどやると結構シンドイものです(笑)。で、当時左近治は、Low-Bサウンド欲しさではなくLow-B弦がストッパーとして弾けるように多弦ベースを手に入れたモノでした(笑)。

じゃあ、Low-Bを手に入れたらLow-B弦引き続けるにはどうしてるんだ?と思われるかもしれませんが(笑)、この辺の音域なら5フレット未満の音域で細かい運指を伴った速いパッセージは少なく、速いパッセージと言っても同じ音を刻むことの方が多いワケでして、ある程度ハリのある音程感ふくよかな音だとネック寄りよりもブリッジ側で、先述の1個目のようなピッキングを垂直に宛がうような弾き方の方が音がバタ付かないで弦振動も安定するんですな。

まあ、そんなようなことを使い分けていたワケですが、指弾きの場合スラップのそれとは倍音構成も違いますが、やはりスラップと比較すれば雲泥の差とも言えるほど高次倍音は乏しくなるんですな。それによってモコモコ感、ベースっぽい音を得られるワケですが、ややもするとウルトラローが鳴っているだけのような感じで音程感があまり掴めない音にもなりがちですね。

指弾きであっても音程感のクッキリしたタイプの音というのは、代表的な例で言えばジェフ・バーリンのような音。プレベに2ハムバッキング(バルトリーニの前身Hi-A)とか(笑)。かと言ってフレットノイズは排除させて耳障りな高次倍音は除いた、キレイなブリブリ感。こういう音が左近治は好きなんですなあ。

ブリブリ感と言っても、YAMAHAのBB系だったりディマジオのULTRAのピックアップのような少々アタッキーでな「プリップリ」感の音もありますが、私は「ブリブリ」感が好きなのです。

低域にコシがあって輪郭がぼやけずに、さらに音程感のクッキリした音を録音時に目指すとなると、EQセッティングとしては少々発想の転換みたいなものが必要で、仮にLo-B弦張ってるベース使っていたとしても、それらのベースの最低音よりもさらに下くらいまでEQカーブを稼ぐよりも、第二次倍音以降の高次成分に的を絞って、この部分の帯域を思いっきりブーストさせて、山的にはふたこぶラクダを狙うような、そういうイメージのEQシェイプにした方がイイんですな。

指弾きなら350~500Hz辺りがキモ(一つ目のコブ)。もうひとつのピークはお好みで(笑)。まあホントはそのコブよりも下(低域)の帯域でベースの最低音の第二次倍音付近を狙った辺りをかなりブーストさせて、本来の最低音辺りをオーバーシュートの逆の要領でスパッ!と切っちゃう。バスレフ型スピーカーをイメージしたような感じで切るんですな。そうするとかなりオイシクなるんですな。

フレットレスの場合だと、ふたこぶラクダの350Hz~500Hzを0.5octほど高域にシフトさせて、700Hz辺りに思いっきりコブの上にイボ作るような感じでQ幅狭目のピークを更に作ってあげます。この場合、3.5kHz~5kHzは結構絞り気味にして7kHz辺りから更にブーストしてやると、かなり旨味のあるフレットレス・サウンドが生まれます。

これらのコツは、やはり基音よりも第二次倍音以降の高次成分に的を絞った大胆なセッティング、オーディオ特性的な視点だと、ラインよりもよりアンプっぽいカーブなんですが、こういう大胆なセッティングにさらにアンプに通してもアリなんです(笑)。それがエレクトリック楽器の面白い所ですな。

まあ、これらのセッティングもほんの一例で、これが全てに通用するワケじゃないですし、マーカス系のスラップサウンドやらピックの場合となるとやはり違ってきますが(笑)、私はこういうセッティングを基準の上で他のタイプはどれくらい差異が生じるのかという基準を持っているんで、得意なセッティングをひとつでも基盤に持っていると、他の全く異なるセッティングにおいても差異感を利用して掴みやすくなるので、得意なセッティングというのは備えるべきだと思いますな。老婆心ながら。


こんな感じの指弾きベースサウンドのお手本となったのは、左近治の場合はジャドソン・スペンスの1stアルバムだったり、incognitoの「100℃ Rising」だったり、Basiaの「Sweetest Illusion」
だったんですな。

それと、テーパーコアを使っていると思われる、マーカス・ミラー参加のDavid Sanbornのアルバム「Hearsay」収録の「Got to Give It Up」。たぶんコレはハムバッキング動作時のリアピックアップの音を強く出したF-Bassだと思うんですが、コンプも結構掛かっているとはいえココまでサステインフルなLow-Bサウンドは、私自身色々聴いてきましたがこういうLow-Bサウンドはなかなかお目にかかることができません。


で、明日9月28日リリースはあなくろ本舗でバーシアの「An Olive Tree」の一部分です。ステレオ再生の場合、Lchからチャップマン・スティック、Rchからフィンガー・ベースの音が聴こえます(笑)。余談ですが、スティックの音作りはフレットレスのEQセッティングと似たものを私は活用しております(笑)。スティックはもっと狭いんですけどね。絞り部分が。

まあ、ベースの奥深さを知ってもらえるといいんですが、それをケータイのスピーカーで鳴らすことが殆どの着うたでやっている、という(笑)。時にはあまりに矛盾してしまって端末によってはキレイに聴こえないことも多々あるワケなんですが(笑)、ベース音を際立たせるためにアンサンブル自体をオクターブシフトさせたりはしたくはないので、安易なアレンジしたくはないんですな。

着メロのそれは低域再生が不足するのを補うためにオクターブシフトさせたり、倍音成分上げたり、オクターブミックスしたりと色んな方法があるんですが、それによって本来あまり意識することがなかった「低音域の発見」が利用者側に明確にさせることで楽曲の新たな発見を見出している人が多いと思うんですね。もちろんそれが何たるかということを知らないまま聴いている人が大多数だと思うんですが。

でも、こういうアレンジは着うたではあまりしたくはないというか(笑)、着メロ時代から私はオクターブシフトさせてしまうような安易な手段は講じてこなかったコダワリがあるので、そういう部分も再認識していただける有難いですな。