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読み手にやさしい楽譜 [クダ巻き]

扨て、少々楽譜について語りましょうかね、と。

前回の記事のジノ・ヴァネリ『Santa Rosa』でも例に挙げましょうか(笑)。前置きしておきますが、このSanta Rosaは楽譜は存在しないので(as far as I know)、あくまでも私の採譜による解説というコトを伝えておかないといけません。

前回の記事の16分音符5つ分である「16分の25拍子」にしたという部分は、原曲では「15/8拍子」です。その次に「9/8拍子」で辻褄を合わせて、イコール「24/8=12/8 + 12/8拍子」という風になっております。

楽譜が存在しないため、原曲が「15/8 + 9/8拍子」と記載するかどうかは定かではないんですが、8分の12拍子を2小節繋げるよりも、こういうリズムが複雑な場合は、ポピュラーな小節線ではなく、音符をひとつひとつ読みやすくするような表記の方がラクだと思うので、左近治自身は「15/8 + 9/8拍子」という風に解釈しております。

ま、前回の記事の場合、原曲の「15/8拍子」の小節部分を25/16拍子に変えたぞ、と述べていたワケですね(笑)。16分音符5つ分が減るワケですな。


非常に巧く編集されたクラシック音楽の楽譜においてたまに確認できますが、そういう「よく出来た」楽譜では、変拍子の扱い(表記)が非常にプレイヤー寄りなんですね。

例えば近々リリースする予定のパウル・ヒンデミットもそうなんですけど、変拍子がもたらす不思議な感覚(奇異性)を、そのまま複雑怪奇な表記として載せてしまうとですね、


「いかにもこの曲は、こーゆー所がスゴイんだぞ!」


という、楽譜編集者や採譜側から見た「違う側面」の凄さを伝えようとしてしまって、返って読みにくくしてしまうコトが多いのポピュラー音楽系によくある楽譜の例です(笑)。まあ、いわゆるポピュラーな音楽雑誌には、こういう一風変わった変拍子の凄さを、読みにくい楽譜として凄さを伝えようとしてしまう向きがあるんですな。

クラシック系に現れる変拍子の表記というのは、非常にプレイヤーサイドから見て音を追いやすく作られていてですね、前回のブログにて私が25/16拍子にヘンテコな言葉を当てはめた理由は、

読みやすさ

音の追いやすさ


という、これら2つの側面を満たすための方法なんですね(笑)。25/16拍子という複雑怪奇な拍子が、何の変哲も無いような楽譜として読譜が可能になるというワケです。


Santa Rosaの原曲の方はこの部分を6/8(ハチロク)拍子系としてビート・チェンジを行っているので12/8拍子×2小節なワケですが、そんなビートチェンジを敢えて拍子変更する表記をすることなく4/4拍子を3小節として表記することも可能なワケですよね(笑)。

但し、4拍子にてこの曲を音符として表した場合、あまりにもシンコペーションの嵐となって返って読みづらくしてしまうワケです。

複雑な曲ほど音を巧く追えるような表記にしてあるのがクラシック系の楽譜には多く、配慮されていて好きなんですよね、左近治は。


奇異性を強調しようとするがあまり、小難しい表記にしてしまいがちなのがよくあるポピュラー音楽系の楽譜やら雑誌にある楽器解説系のスコアだったりするんですよ(笑)。

DTPで言うなら、きちんとベタ組みしてくれて読みやすくしてくれるようなモンですかね(笑)。