SSブログ

ギターのMIDI編集 [クロスオーバー]

ギターの打ち込みとなると結構細かいMIDIイベントの編集が付き物なので、面倒くさい一方で、打ち込み魂を燃え上がらせてくれるモノであります(笑)。

正直言って一番手っ取り早いのはRolandのGR系でMIDIにしちまう、と。ギターなんてェのは押弦しただけでベンド情報は実に細かく入力されているモノなんですよ。

今回左近治があらためてギターのMIDIエディットの話題を挙げる理由はですね、今現在SHOGUNの某曲を制作しているからなのでありますが(笑)、我らが大将、芳野藤丸御大のギターをエディットするとなるとですね、手ェ抜いたらバチが当たるってェもんですよ!(笑)。

最近のギターフレーズは80年代のロックシーン(←死語)に見受けられるような派手なアーミングを耳にする機会は非常に少なくなったものですが、アーミングなんてェのも、実は各弦のベンド幅は全然違うんですよね。

プレーン弦はそれほど大きく変化しないものの、巻弦の低音弦なんてのは2オクターブ以上合っても足りないくらい落ちるんですよ(笑)。ベロンベロンにまでアームダウンさせて弦がポールピースにくっ付いちゃうような(笑)。

んで、アームの構造でこれまた変化具合が違うんですよね。

例えばフロイド・ローズ系をAカーブと例えるなら、ケーラーはBカーブ、ムスタング系ならCカーブに例えられるような変化があります。私はケーラーやムスタング系の変化量が結構好きだったりするんですが、粗悪な弦使ってるとケーラーはブリッジサドルから落ちちゃうんですよね、コレがまた(笑)。

とゆーワケで、ギターを各弦ごとにMIDIチャンネルを割り当ててMIDI編集に勤しむワケですが(笑)、最近じゃあ7弦ギターもすっかりポピュラーになったモノですが、6本から7本に増えようが、実際の所作業に大きな違いはありません。

ただ、ギターのMIDI編集で一番面白いところはですね、先述のようなベンド情報などに加えて、如何にして異弦同音をシミュレートするか、なんですよ。弦ごとに細かいベロシティ・レイヤーが組まれたサンプルなら編集そのものがやりやすくなりますが、それほど多くのベロシティ・レイヤーが組まれていない場合は、低音弦のハイポジションでの倍音の減衰度や弦振動の飽和感を演出してやらなければ面白くありません(笑)。

最近のDAW環境では、これらを緻密にオートメーションで編集して、それに追随するようにプラグイン側でもパラメータが細かくアサインしてあるものも多いため、かなり細かく編集できます。

アフタータッチやらにビビリ音のサンプルをアサインしたり、キー・オフ・ベロシティに離弦時のノイズをアサインしたりなど、弦楽器の打ち込みは奥が深いモノですが(弦楽器のみならず、楽器の演奏形態は実に置くが深い)、ハードウェア・シンセサイザーそのものにキー・オフ・ベロシティが可能なタイプとなると比較的高価なタイプになってしまうものが多く、音源上やらMIDI編集上でコントロールするものの、実際に鍵盤で弾いた感覚で実感するコトは意外と少ないという方が多いのではないかと思います。

キー・オフ・ベロシティやらポリ・アフタータッチとなると通常とは別にさらにセンサーが必要になるんで、概ねキータッチのフィールが他の鍵盤と違ったりするもので、さらには手入れをあんまりしていないと故障しやすいという側面もあります。

キー・オフ・ベロシティをよく多用するシーンは、シンバルのミュート。いわゆるチョークですね。あとはアフタータッチでスナッピーの共鳴ビビリ音とかですね(笑)。

ギターでも前述のように色々な使い道があるんですが、なんと言っても異弦同音による音の差異感を僅かながらでも演出するコトの方がよりリアル感が増します。

細かくオクターブ調整をしてもですね、やはりハイ・ポジションとなるとどんなモノでもフレット打ってある以上は、もはやドンピシャのピッチなんて有り得ないワケですよ。

現実世界においては1本の弦だけでチューナーや音叉に合わせたら後はハーモニクスだけで全部合わせてしまう痛々しい方などいらっしゃるワケですが、ハーモニクスで合わせちゃったら、最初に合わせた弦から遠ざかれば遠ざかるほどピタゴラス・コンマの世界へ行こうとしているんで、本人だけがドンピシャのつもりになっている人も多いんですが、こーゆー初歩的なミスを敢えてシミュレートする必要は無いので(笑)、ハイポジションにおける異弦同音のほんの少しのピッチのズレを演出したり、音質の差異感を演出していくだけで十分リアル感が増すというモノです。

左近治の場合はですね、13セントから35セントくらいの間までズラしちゃいます。弦の太さやポジション位置の想定する具合にもよりますが。35セントなんでクォーター・トーン八分音よりも大きいワケですが、チューニング合わせがしっかりした上でハイポジションのフレット打ちの精度の高い楽器は、オクターブ調整をした上で35セントずれても器楽的に鳴ります。

一方でチューニングすらまともでない、ハイポジションのフレット打ちも精度が粗悪、弾いている人も意識していない棒弾きタイプだと35セントは他のアンサンブルと比較して全然器楽的に鳴ってくれません。仮にチューニングの稚拙さと意図したズレが相殺されて、ピッチがほぼ合っているシーンがあったとしても、全体では器楽的にズレているモノであります。

『器楽的』に調律された弦楽器というのはですね、60セントくらいズレても器楽的に聴こえてくれるから不思議なモノです。

まあ、ELTやら中島美嘉のような歌声は器楽的とは違うフェーズのモノであることは確かですが(笑)。

ピッチ編集をする一方で、細かなピッチのズレを器楽的に演出するコト、それがサンプリングのギター音では本当に難しい所であります。