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F/G→A△9 Lo-Dの調を探る [たわごと♪]

 昭和55、6年でしたでしょうかねえ。TBSの『ザ・ベストテン』を見てるとですね、Lo-D(今は無き日立製オーディオブランド名)のCMに渡辺香津美が出てUnicornを弾いているのを見るコトができたのは。

 Lo-DのCMの男声合唱というのは他にも共通して使われていたんで、若い人達を除けば誰もが耳にした曲ではないかと思うんですが(笑)、タイトルにあるようにこのCMアイキャッチの和声構造はF/G→A△9というコードで表せますね。



(以前にリンクさせていたツイッターで呟いていた譜例は、イ長調を基にしたモルドゥアにて態と曲解して呟いていた物で、今回あらためて直しました。イ短調のピカルディー終止および長七・長九附与となるモーダル・インターチェンジという状況に)

 学校で合唱コンクールってェのがあるとですね、みんな殆どヤル気無くてですね、教室にあるオルガンでコレ弾いてやると途端に活気が増したモンですよ(笑)。合唱の方はそっちのけで(笑)。

 Lo-Dの合唱のスゴイ所はですね、一番下の声部の声の方。もうその存在感たるや、それがある事で全体で矩形波出ちゃってマス!みたいなオルガン・トーンのような音(笑)。それに加えうなりが極めて少ない絶妙なハーモニー。そんなワケでオルガンで弾くと結構味わいが出る、と。

 コード構造や奇をてらうような帰結感が印象深いせいか、音楽に興味を示さないような者達もLo-DのCMとなるとオルガンに群がって「教えてくれ!」になったモンでさぁ(笑)。

 Lo-DのCMの曲がひときわ印象深いのも、分数コードと偽終止によるトニック解決というのが心地良いからこそなんでしょうな。不思議な感じが好き嫌いはどうあれ、耳が傾くというか。

 A△9の解決部ですが、おそらくイ短調(A moll=Aマイナー)のメジャー終止形。ビートルズのミシェルもFマイナー・キーなのにAメロはFメジャーで始まりますよね。それと似た技法です(笑)。マイナーの曲をトニック・メジャーで結ぶのは何も珍しいモノじゃないんですが、声楽において高次な和声を聴くとやはり凄さを実感するワケですね。

 権利関係さえ明白ならばいつでもこのジングル作れるんですけど(笑)、和声の構造さえ分かれば誰でも作れるレベルなんで、いちいち取り上げる必要も無いと思うんですが(笑)、市場というのは提供の仕方によっても差はあれど、こういうモノって意外と人気が高かったりします(笑)。

 家電メーカーがオーディオ製品を出すにあたっては当時は色んなブランド名を冠していたモノでしてですね、例えば

日立→Lo-D(ローディー)
東芝→Aurex(オーレックス)
松下→Technics(テクニクス)
三菱→DIATONE(ダイヤトーン)
三洋→OTTO(オットー)

とまあ、こんな感じでしたでしょうか。余談ですが、左近治は松下のスピーカー技術は結構好きです(笑)。中域が厚くてデッドポイントが少ないというか。そういうイメージがありますね。カーステなら大概はカロッツエリアやKENWOODが人気メーカーなワケですが、左近治はスピーカーは必ずPanasonic製のモノに付け替えます。コレは昔から。

 日立の話題なのに松下の話題にしてどーする!とお叱りを受けそうですが(笑)、「和声」で聴かせるようなCMコンテンツの魅力を今のこの時代になってあらためて実感するのでありますよ。近年じゃ日立のCMで印象的だったのはハラカミレイが手がけたアレでしょうか。着うたじゃなくて着メロでリリースする直前まで行ったんですよ。ファイルも作ってあるんですが(ハラカミレイ版のアレンジで)、もう着メロは作りたくなくなったという左近治の勝手なスタンスによりお蔵入りとなっております(笑)。

 日立の樹に群がる前に、やはり「ローディー」だろ、と(笑)。