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左近治のディレイ考察 [制作裏舞台]

左近治は大の山好きです。2006年の暮れにもNHKで日本の名峰シリーズが再放送されておりました。普段、標高数10メートル程度に生活する左近治が山を満喫している時に下界との違いを第一に認識させられてしまうことは、放屁の多さですか(笑)。

高地で1日2日体を慣らして山へ行けばまた少しは違うんでしょうけれど、山を登ると左近治は放屁が付き物であります。1分に1回以上は出しながら山の空気を汚染しているのではないかと心配してしまうほどであります。

万が一、実が出てしまっても山に捨てて来てはいけないのです。それこそ生態系すら変えてしまいかねません。雑菌やウイルスもそうですし。下手すれば野鳥や虫が新たな菌やウイルスの宿主となって遭遇しかねない本当に笑って済まされないことなんです。インフルエンザとて鴨が媒介しているワケですし。携帯トイレはちゃんとしたショップで売られておりますので、変なところで恥ずかしがらずにこういうケアはきちんとしたいものであります。

気圧差がもたらす生理現象。あらためて気圧の重要性を知る左近治なのであります。

さてさて、DAW上で仮想的な空間を演出するには手っ取り早いのはリバーブでしょうかね。しかし、インパルス・レスポンスを用いようと用いまいともそれ以外にも拾音位置による遅延のシミュレートやそれによる周波数特性の変化などありとあらゆることを想定して音作りをするわけでありますが、ここであらためて感じることが「遅延」の重要性。すなわち「ディレイ」なんですな。

例えば、あるサンプル音源であるドラムの音をひとつ用意するとしましょうか。

以前に述べたこともあるように、サンプル・ライブラリーとして市販されているものは、もちろんきちんとした拾音状況で録音されているわけですが、録音状況時による空間の音も録音されていたり、中にはEQやコンプで味付けされてしまっているものも少なくありません。左近治はこういう音源に対して気に入らない音は一旦ゲートでスパッと切って音を新たに作っちゃうことが多いことも以前に述べた通り。

そこで、busトラックを用いて仮想的なオーバーヘッド・マイキングによるミキシングを実現させてみようではないか!というのが左近治の試み。とはいえ、自然現象をいざ机上でシミュレートするというのは非常に難しいものであります。

やみくもにディレイ(遅延)を与えるだけでは実際のそれとは全然違うんですね。

まずは自分自身の制作環境におけるサンプリングレート周波数と音速を割り出すことが必要ですね。そこで1サンプル長あたりの距離を弾き出せばそれで済むのかというと、いえいえ、全然ダメです。

まず、考慮に入れなければならない要素は大気圧、空気分子の比熱比なども必要な条件。それと気温。それと意図しようとする録音状況の標高、それと時間帯(昼と夜の温度変異)、空気の流れ(空調や風)による音のゆらぎetc….実に多くの要素が必要です。

しかしこれらは大体は数式化されているため、細かいパラメータを持つエフェクトをいくつもルーティングさせたり、プログラミング化が可能なもので(Max/DSPやらReaktorなど)作ってしまった方が楽かもしれません。

しかしですね、これらの要素を使って遅延を与えてもこのままだと周波数特性がどこで聴いてもロスの無い空間になってしまうんですね(笑)。つまり、遅延を与えたポイントでは周波数の変化が必ず起きていて、概ね高域は減衰しているということをも考慮に入れないといけないのです。

例えばキックの音に、このような仮想的空間を模した遅延を与えてみるとしましょうか。しかし実際のオーバーヘッドのマイクには、バスドラをキックした打面とボトムが床、側面の壁、天井などによる反射音も考慮に入れなくてはなりません。打面とボトムの音が共存しているということはすなわち正相・逆相も考慮に入れて仮想的空間を演出するための要素としてのパラメータに加えなければいけなくなります。

さらに考慮に入れなければならないのが「Open Window Unit」という単位。コレは何かというと、ある密閉された空間に窓を開けて音を鳴らすと音がそこから逃げますよね。実はコレ、「吸音率」として知られる単位の名前なんです。

こうした吸音率の値も材質によって色々変わるわけで、これらの資料を手に入れて仮想的空間の遅延によるパラメータに割り当てて、さらには周波数特性としてのEQカーブを施す、と。

こうなると、数個程度のディレイやEQでは太刀打ちできないほどの要素がある、ということがお分かりですね!?(笑)

オーバーヘッド・マイクの位置は動かないので、録音ソースとなるバスドラやスネアなど、各楽器の配置を3次元で見るとだいたい数十cmはそれぞれ離れているワケです。それらも全て考慮してパラメータを与えてやって仮想的な遅延を与えてやるのもいいのではないでしょうか。

ただ、こうした非常に近い距離での遅延をあれこれミックスさせると、吸音率を考慮に入れないとフランジングのような干渉よりもさらに高域の鋭いエッジが過剰に効く音になります。ディレイの中には音質を内部処理で補正してしまうものもあるのですがこういうことも念頭におかないといけません。

なんだかんだ言って、高域レスポンスが甘いアナログ・ディレイの等しい遅延間隔のやまびこによるエコーもオツだったりするものですが(笑)。そうした周波数特性を持った独特のディレイ音というのは、あーだこーだ考えて遅延を計算して組み上げるよりも音が良かったりすることも多々あり(笑)。Kクリ絡みということでYAMAHAさんをヨイショするワケではないんですが、私はYAMAHAのE-1010が好きでしたねえ(笑)。後年、TC-2290手に入れたワケですが(笑)。