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常々感謝 [Apple]

こうして何気なくブログを書き連ねている左近治のネタというのは、比較的楽理的なテーマを扱うコトが多いワケでありまして、その手のネタを取り扱うと避けて通れぬのが「五線譜表記」だったりします。


ところが、この五線譜表記というのはHTMLという仕様において標準化されているワケでもないので(笑)、大概は画像化したりする必要があるワケですが、画像化する以前に五線譜表記を作成するという手段をパソコンベースという環境において持っていない人の方が大多数なワケでありますね。


まあ、Mac環境であれば簡易的な五線譜表記ならばGaragaBand使ってやりくりすることも可能ではありますが、結局はグラブやらデスクトップやらのスキャンを用いながら画像化するという手順を強いられるワケですが、普段目にする出版物のようなそれと比較してはいけません(笑)。その手の表現力が必要な場合、やはり五線譜表記に特化したソフトが必要になるのであります。


過去にも述べたコトがありますが、私がMacという環境を手にしたのはFinaleとPerformerという2つのソフトをシームレスに扱える(であろう)という可能性に魅了されMacという環境に没頭したのが最初です。非Mac派はそれまでの日本語ROMを搭載したPC-9801シリーズはもとより、EPSONの当時の「互換機」やらFM-TOWNSやらに魅了(笑)されつつあった時代です(笑)。プリンタは当時のパソコンユーザ50人集めれば49人は感熱紙が主流であったであろうという時代に、Macと前述のソフトやらPostScriptを視野に入れなければならないという、広大な海で遭難してしまったかのような孤独感を抱くこともありました(笑)。

物珍しさにやってくる友人とも呼べないような者まで来客となり、「Multiplan使えネーの!?」とか、「ハードディスクだと日本語表示遅いでしょ!?」とか、この手のレベルなんですよ(笑)。iPadの使い勝手も判らぬおそらくはレイト・フォロワーとなる方々の初期の印象なんて時代が変わってもおそらくはこんなコトに等しいのではないかと思います。iPhoneでデコメ求めちゃうとかね(笑)。iTunes Storeでデコメ売るようになったら世も末ですわ(笑)。


Performerで蓄積したMIDIデータを活用してFinaleに流し込んで、テキスト混在させた楽譜を配布。これだけで日頃の作業が大幅に削減できる(慣れるまでは相当な労力と時間を必要としましたが)という所から端を発したMac環境。でもMac使っていて一番楽しかったのはAQUA ZONEが出た時とかFlowFazerでインテリア代わりになっていた頃が一番多くの人々の食い付きが良かったモンである程度優越感に浸れたモンです(笑)。で、現在のAppleのiPhoneやiPadという新たなデバイス出現によって、その頃の優越感に等しいというか、それをも上回る充実感が今のAppleにはあらためて感じるワケです。


Finaleというソフトは実に厄介なソフトでありまして(笑)、他のDTPソフトやIllustratorやらとも少々毛色の異なる単位やら設計だったりするので、いくらMacがWYSIWYG実現していようがどこかピンと来ない所もあり、数多くあるコマンドも「こんなメニューにあったのかよ!」と思わせるくらい予想の遥か上を飛び越すような割り当てに相当苦労したワケでして、その後FinaleがWindows版をリリースした時は、ある意味ウィンドウ内で幾多のチェック項目を選択するかのようなGUIというのはMacよりもWindowsの方が操作としてはそっち向きかな、と思えることもしばしばだったんですが、やはりトータルな作業という視点で見るとMacの方が一貫して作業がスムーズに行くんですな、コレが。


まあMacのハナシばかりしていてもアレなんでFinaleの話題に戻しますが、例えばブログに載せるチョットした譜例程度の五線譜を必要とする場合ならそれほど意識することはありませんが、ある程度の曲の譜面を作ろうとすると、自分の表現したい譜面の表記というのとFinale独特の機能の擦り合わせというカベに直面するモノでありまして(笑)、表現したい筈の表記がなかなか出来なかったり(機能上はできる)、Finale単体で完結させようとする所から工数が大幅に増えてしまうというコトを回避しつつFinaleプラス他のDTPソフトというような「使い分け」を知るというコトも重要な要素となってくるのでありまして、それくらいFinaleは「クセ」のあるソフトなワケです(笑)。不満はあっても作業が終わった段階では誰もが登頂し得なかった山の頂に登り詰めたような達成感がある不思議なソフトでもあります(笑)。


Finale_ScoreTriplets.jpg


譜例での2小節目というのは3連ケツのみから3連刻んでいるフレーズなのでありますが、五線はひとつしかありません。まあモノフォニックのキーボード・パートだと思ってください。ただ、いくらそのパートがモノフォニックとはいえど、プレイによっては右手と左手を混在して演奏しているシーンもあり得るワケで、今回の譜例は、下向きの符尾は左手上向きの符尾は右手という表現をしているモノだというコトをご理解いただきたいんですな。

各拍の連符の「囲み」は拍を飛び越えているワケではありません。が、拍を飛び越えているのは「連桁」なワケですな。しかも3連符なのに両手で2つずつ連桁の向きが変わるワケですから連符の囲みと連桁の繋がっている部分は必ずしも拍頭ではないのでありますな。コレが今回の譜例のキモなのです(笑)。


古いバージョンのFinaleでは、これが出来なかったんですな。無論擬似的にその小節の本来の拍を無視させた設定にした上で後から手動で連符の囲み部分をそれぞれに付け加える、というやり方なら実現していたワケですが、このように、幾つかの裏技的な、時には小節内の拍数と実際の表示を敢えて無効化するような柔軟な発想がFinaleを取り扱う点では重要なポイントなんですな(笑)。


初期のFinaleだと「ヤンワリと」シーケンスのグリッドからブレているようなMIDIデータをSMFでインポートしても、素晴らしいほどの現代譜とも思えるような1024分音符とか出現したりしてワケの判らん楽譜やら、それらの細かい符割りにご丁寧に幾つものタイが与えられている表記に目が眩んだモンでしたが(笑)、昔はそれ用にわざわざSMFデータをまるで着メロ用のデータように「完全ベタ組み」する必要があったというのも今や遠い昔のコト(笑)。


無論、今回の譜例の2小節目の部分はあくまでも「例」でして、出版物として耐えうる表記にするとしたら連桁の傾き具合や連符の囲みの傾き加減を調整した方が綺麗な表記になるので、今回の譜例の編集レベルではまだまだなんですが、少なくとも楽譜編集ソフトでない限り、この手の表現は難しい(おそらく出来ない)と思われます。


Logic_ScoreTriplets.jpg


Logicの楽譜というのは、符尾と符頭の接続部分をズームアップするとお判りになると思いますが、符尾と符頭がほんの僅かにズレて「トゲ」が出るんですな(笑)。解像度の粗いプリンタであればその粗さ故に相殺されてしまうレベルかもしれませんが、こういう所にもっと細かな配慮が欲しいんですな。


Logicの楽譜編集の良さというのは後発というのもあって、目的とするキャラクターをマウスで選択してドラッグしていけるという実に単純且つ明快な操作感にあるワケで、独特の操作性を持つFinaleのそれとは異質なモノです。

例えば今回譜例で示したLogic側の譜例に示した3連符なんてぇのは、デフォルトで表記される1拍目の3連符の最初のアタマの休符は『1拍3連8分休符×2』で表示されるワケですが、ココに四分休符を選択してドラッグしてしまえば、3連符カギ(囲み)の設定をやり直すコトなく置き換えられるんですな。こーゆー柔軟性のある編集はFinaleではできません(笑)。Finaleだとトンデモ無いコトになりかねないんでいくらアンドゥが効くとはいえ、Finaleを扱う方ならこーゆーやり方で編集しようとはまず思いも付かないコトでありましょう(笑)。


無論、Digital Performerのスコアよりも高機能ですし(もうMOTUはComposer's MOSAICをDPに移植するくらいの気概で一緒にした方がイイと思うんですが)、楽譜編集だけに特化したソフトではなくあくまでもDAWソフトありきなワケですからその辺も理解はできますが、改善すればかなり化ける可能性のある部分なので首を長くして期待している左近治であります。Appleならではの操作性で非常にラクな操作性を備えてくる可能性が高いので、そーゆー意味で期待しているんですな。まあ、Logicユーザーの大半はスコア部分はignoreしている方だと思うんですけどね(笑)。


今回のような楽譜編集において必須な操作となるのは符尾の向きの変更と連桁の連結/解除を使いこなす点にあります。これらの操作においてFinaleよりもLogicの方が簡単なのが意外な点でありますので、その辺を強調したかったワケなんですな(笑)。Finaleの場合多くの機能を独特の操作感の上で築き上げてきてしまった感が否めず、Finaleでこのような操作となると設計変更に等しくなるくらい根幹の部分を直す必要性が出てくるので実現するのは相当難しいでしょう。そういう意味でのDAWソフトのクセして楽譜浄書にも充分満たせるようなスコア編集能力を備えるソフトに育ってほしいと左近治はLogicに期待しているのでありますな。可能性は低いかもしれませんが、操作性の簡便さから判断すると結構可能性がある部分だと私は感じております。