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ハイブリッド・コードの補足 [楽理]



前回の続きを語ることになりますが、先の話題ではハイブリッド・コードの例を出して語ってみた、というワケでございました。
まあ、既にお気付きになっている方もいらっしゃるでありましょうが、「わざと」回りくどい表現をせざるを得ないこともあるのでうだつの上がらない左近治の野郎、などと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが(笑)、嫌がらせをしているワケではないのでその辺りは御容赦願いたいな、と思うことしきりであります。


前回例に挙げたハイブリッド・コードを用いた2曲目の和声は「便宜的に」用いた表記を今一度確認してもらうことにしますが、とりあえず後述のような複数のメジャー・トライアドとそれらの構成音とは異なるベース音の付加、という風に語っていたワケですな。

それが!?


「Eb△、Ab△、C△ にDb音のベース」


という風に語っていたワケですな。


まず最初にお気付きになっていただきたいのはDbマイナー・メジャー7th「系」のハイパーな和声として捉えるコトができる、という見方です。仮にDbをルートとするコード表記をすると、


「DbmM7(9、#11、13)」という風に、マイナー・メジャー7thを基にして実にハイパーな音使いを用いた和声となっているのでありますが、コレはルートこそ違えど、先のGG(=ジェントル・ジャイアント)の「Free Hand」にて取り上げた和声と同じコードとも言えるワケですが、Free Handの方では、各声部の異なる旋法が織り成すことで、ルートから見立てた#11thの他に、和声的に欲張るとすればナチュラル11thも包含してはおりますのでその辺は混同せぬよう注意が必要です。この辺りは「Free Hand」リリース時に詳しく語る予定ですが、「ナンタラmM7(9、#11、13)」という和声をメインにして11th音を要所要所において半音下げる、という解釈で私はGGの「Free Hand」をアレンジしている、というコトで、原曲のそれを垂直レベルで和声的に確認すると、前述のコードの#11thとナチュラル11thの双方を使い分けた旋律となる「移ろい」が生じる、というコトを意味しているので、この辺りを混同しないようにお願いします、と述べているワケであります(笑)。


さらに付け加えると「Free Hand」をヒントに左近治がパクった、というモノでもありませんので(笑)、その辺りも好意的に解釈していただけると有難いかな、と(笑)。


でまあ、先ほどの「DbmM7(9、#11、13)」ですが、今一度構成音を総て列挙すると下記のようになるワケであります。


「Db、Eb、Fb(=E)、G、Ab、Bb、C」


これらの構成音は、先述のように3つのメジャー・トライアドに解体したとはいえ構成音が重複していることもあるので、ベース音も含めるとモード・スケールを確定するに相応しい7声の和声となったので、折角なのでどんなモード・スケールになるのか!?という所に気付いてもらいたいというのが2つ目の気付いてもらいたい重要な点であります。


すると、このモード・スケールはAbハーモニック・メジャーの第4音をルートとするコード、というコトがお判りになっていただけるかと思います。


ちょうど1年くらい前でしたでしょうか。ハーモニック・メジャー・モードのダイアトニック・コードを列挙した時に語ったコトでもありますが、その時を思い出していただければ幸いでございます(笑)。


とりあえずはハーモニック・メジャー・モードという支配下に存在し得るコードであり、それらをシンプルに複数のメジャー・トライアドに「解体」して、高次な和声の取り扱い(情緒溢れるように用いるために)を簡単にするための発想の転換、という点が重要な部分なのであります。


私がリリースしたジングルというのは、鍵盤ひとつ(実際にはシンセを複数レイヤーさせておりますが)で構築したことで和声を貪欲に稼いだ結果、というアンサンブルになってはいるものの、これがバンド・アンサンブルであろうとも、垂直レベルで皆が7声稼ぎまくっていたら愚の骨頂ですよね(笑)。


もっと穿った見方をすれば、3つメジャー・トライアドに解体したのなら、3つのパートで異なるモードを想起して、ハーモニック・メジャー・モードというひとつの支配下に捉われることなく、自由に対位的に織り成すことも可能でありますし、ハーモニック・メジャー・モードによって構築される和声において、このような解体法はとても可能性を秘めている、というコトを述べたかったワケでありますな。


つまり、GGのケリー・ミネアーの場合、局面においてはこういうモードをもちらつかせながら対位的なアレンジを導入しながら、さらに各声部の異なるモード導入によって、特異なモードをさらにフラつかせて多様な演出をしている、というコトにもなるワケですな。


まあ、私がよく使う「便宜的な表記」のsus4 on Dominantのハイブリッド形というのも、実はこういうポリ・モーダルな視点ありきで導入していることでありまして、これには色んな手法の可能性があるとは思いますが、私自身が「クセ」になっている部分をただ単に声高に語っているひとつの例にしか過ぎないことも併せて御理解願いたいな、と。


こういう手法というのはチック・コリアの演奏例で解説した「IIb – Vb」(=ミクソリディアン+エオリアン)という発想にも繋がることでして、仮に見立て方が本人とは違おうとも同じ音を理論的に論ずることは可能でありまして、景観を眺めずにラクな方を選択せずに楽理を追究することが重要だ、というコトを述べたいのであります(笑)。

リディアン・クロマティック・コンセプトを覚えるよりももっと多様な演出が可能になるんですけどね(笑)、ラクな方を選んじゃったりする人も結構多いモンなんですよ(笑)。


まあ、これだけ頻繁にブログで楽理面を語っているものの、文字にすると結局1年くらいラクに費やしてしまうのも私としては実にもどかしい部分があるんですけどね(笑)。それこそ面と向かって喋って語れば1時間も要する必要などないコトであるはずなのに(笑)。


でもですね、音楽の楽しみというのはこんな楽理面抜きにして楽しんでいる人だって多数存在するワケでもあり、その楽しみ方というのは人それぞれであってイイとは思うんですが、なかんずく楽理面を追究する者ならば、こういうコトを苦にもせずに自身に昇華することが重要なのではないかな、と思います。まあ、左近治みてーに楽理にうるせーのが(ホントはこれが当たり前)5、6人集まってバンド組むというようなのが、バンドの音をスムーズに構築させるためにも理想的且つ基本の形だと思うワケであります(笑)。


なお、GGの「Free Hand」は出だしこそは「F#m7(9,#11,13)」と形容できますが、その後マイナー7thを基とするハイパーなコードだけではなく、マイナー・メジャー7thを基にしたコードにも変化していきますので、その辺りの「別の」移ろいをも感じ取っていただきたいわけですが、この辺の詳細は後日リリース時に語ることにしますので、御了承願います。