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ピッチについて [楽理]

先の初音ミクを用いたデモの時にあらためて痛感したピッチ。まあ、音律には様々な種類があるのでありますが、ピタゴラスって凄いなとあらためて痛感させられてしまうのであります(笑)。

殆どのシーンでは平均律を用いて楽音奏でているワケでありますが、平均律に普段から慣れ親しんでいるにもかかわらず、実は平均律によるピッチの特性とやらを知らずに五度ドンピシャ!で弾いてる人も居ますよね(笑)。これじゃあピアノの調律など未来永劫できるワケはなかろうかと思うワケですな。

純正律と平均律を比較すると、例えばハ長調(=C major)のダイアトニック・スケールではC音を中心にD音とG音が実は平均律よりも「高い」のでありますな。

一方で、C音から見た3度と6度、つまりE音とA音というのは実に情緒を司る音程なのでもありますが、平均律よりもかなりピッチが低いので、平均律に慣れてしまった耳からすると「ピッチが甘く」聴こえます。しかしながらトライアドで弾くとその甘さとやらも「落ち着き」によって姿は補強されるような、そういう独特の情緒は備えているのでありますなあ。

とはいえ純正律は平均律と比較しても7度は甘く聴こえるし、やはり平均律に慣れきった上での和声の高みとやらを追求すると、もはやオルタード・メジャー7thなどを用いるようになってしまえば純正律糞食らえ!的にもなってしまうのが実情(笑)。

ただ、平均律としての「振る舞い」というか特性を知っておくのは重要ではないかと思うんですな。

ギターのチューニングをする人だと概ね単音の「基音」を聴いて合わせているのではないかと思うんですが、ピアノの調律の方法は幾つか方法はあるものの、音程感の僅かな「うなり」を体得、または音感としての情緒として会得しないと平均律は得られないものなんですなぁ。まあ、多くの調律師はクロマチック・チューナーも持っていたりしますけどね(笑)。

例えばピアノの調律でA音(=440Hz)を合わせるとしたら、次は「D音」へ行くわけですな(低い方の)。

これのメリットというのはD音の倍音とA音の二次倍音が殆ど同じ、だけれども、おおよそ1秒に1回のうなりで合わせるようにしないとダメなんですな。

実際には10秒に9.9回とかそういううなりを体得するわけですが、もっと厳密に「音感」として体得するか、厳密にそのうなりのテンポに合致するようなある曲のテンポを記憶に強固にすり込むか、色んな方法があるワケですが、重要なことは、4度音程だろうが5度音程用いようがドンピシャで合わせるとピタゴラス・コンマを発生させてしまう、と。

まあ、ギターなどはその物理的な性質から厳密なジャスト・チューンというのは殆ど存在しないものでもありましょうが、狂いすぎるのもアレだし、だからといって4度や5度ドンピシャでは結果的に音律からもハミ出ているということになりません(笑)。

隣接した弦の5フレットと7フレットのハーモニクスだって、それぞれの弦の基音から見た部分音(=倍音)というのは次数が異なる部分音。5度のハーモニクスだってドンピシャではない倍音だということを知らない人だっている(笑)。

不完全五度と三全音はどちらが高いねん!?

実際には調律における「うなり」とはほど遠いくらいピッチは離れてはいるものの、こういう音程にも厳密に見てみるという「穿った見方」も今一度してみると面白いかもしれませんな(笑)。