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ステレオ音源のパン定位 [DAW]

先日、私の周囲でLogicProについて少々疑問を抱えている者が居たので、ついでに語ってしまおうかなと思っているのでありますが、まーココんトコ楽理的な話題ばかりだったのでたまにゃあ息抜き程度にこーゆーネタでもブログの題材にすっかな、と(笑)。どーせまた近々その手の話題になるんだし(笑)。

で、LogicProにおける疑問とやらは別に私が抱えているのではなく、私の知人の方であったのでありますが、ステレオ音源を左右どちらかに少しパンを振りたいけどパンニングだけでイイのかな!?

ってぇ疑問だったワケですな。フムフム、なかなか着眼点というかイイ所に疑問が沸いたモンですね、と。

過去にもステレオという音像がデフォルトとなってしまっていることの弊害を2年ほど前に語ったことがあったと記憶しているんですが、今回の疑問の主はドラムやってる者でして、周囲にLogic使ってるのが多いモンだから買っちゃった、みたいなそんな人なワケです(笑)。ただドラムやってるとはいえコードネームやらには我々が相当叩き込んだため楽理面においても話は付いて来れるようにはなった人、というイメージを抱いてもらえれば伝わりやすいでしょうか。

ラウンジ的なミックスを施したかったのか、ドラム音源はマルチアウトにアサインされてそれぞれの音は自分の好みに配置させてステレオイメージを作り出しております。ただ、いわゆるラウンジ系の音をイメージしているので彼の場合は「かみしも」で言えば「かみて」(=上手)すなわち聴衆側の向かって右側にドラムのそれらのキットの音を寄らせたいけど、コレでイイのかな!?という疑問だったワケですね。

マルチアウトにアサインして各音を適度に振りつつ、さらにそれらを2chにバスでまとめていたミックス音をパンニングさせていた、という方法を採ろうとしていたワケですね。

正解というのは厳密に言うと無いと思うワケですが、私の提示した方法というのはバスにステレオでまとめるまではオッケー。その後のパンニングはパンで振るんじゃなくて「Direction Mixer」で振る、という所が重要になるとアドバイスしたワケですね。

厳密に言えば、Direction Mixer側で定位を振ってステレオイメージを「等しく」左右どちらかにシフトさせた後、Direction Mixer側で得た定位と似た定位の位置にフェーダー上のパンを振って、そのルーティングをAuxに戻してセンド類をポストパンさせて、この場合重要なのは3dB補正を行う方がイイのですが、プロジェクト全体に3dB補正を施したくなければSonalksisのFreeGを使うということを奨めた左近治だったんですね。

別に正解はないですし、人間には中央の耳なんてぇモノは存在しない(笑)。どんなに健常な耳の人であろうと片耳ずつ感度を調べれば10dBくらいの差はあって、それを脳で補正をしてステレオ感を構築しているのが実情。

ドラムってぇのは出音の存在感でどうにかなる部分もあるんで、私の推奨したものでなくてもミックス的に良くおさまっているのであればそれはそれでイイんでしょうが、極端な例で言えばステレオでトレモロが振れるエレピなど。エレピそのものは左右どちらかにパンニングしたいけどトレモロのステレオ感をもある程度保持したいというシチュエーションの時に必ずしや糧となるだろうと思って、先の方法を推奨したワケであります。

フェーダー上のパンだと左右の信号の音量バランスが変わるだけなので、左右どちらかにパンを振った時点で元のセンターのイメージ具合というのは失ったイメージとなってそれがどちらかに振れている音を聴くことになるワケです。Logicのマニュアルでも述べているとは思うんですけどね。私の先の推奨した例だと、元のセンターのイメージをキープしながら音像がシフトすることになるので、不自然さが少なくなるんですな。

また、最近のドラム音源の音によってはステレオでひとつのキャラクターを作り出しているのが多くてですね、センターのイメージをキープしてやりながら定位を弄らないと元のキャラクターを失うモノもあるんですな。

とまあ、老婆心ながら語っているワケですが、こういう痒い所にも手が届くのはLogicの秀でた部分のひとつでもあると思うんですが、おそらくはその彼自身、ただ単にパンを振っただけの不自然さを感じたんでしょうな(笑)。

ただ、DAWアプリケーションである程度のアンサンブルを構築できるようになったとはいえども、出したい音が阻害されることなく録音され、そのイメージをミックスする、という所が一番重要だという所は忘れてほしくないんですな。特に楽器やる人間とすれば重要な部分だと思います。